アライヘルメットが新型“GPV-R”と“SKV-R”を発表

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2026年6月16日

写真:アライヘルメットが新型“GPV-R”と“SKV-R”を発表

 5月30~31日、全日本カート選手権 OK部門 第3/4戦が開催された鈴鹿サーキット南コースのパドックにて、アライヘルメットが新型モデルの展示・発表会を実施。四輪用「GPV-R」とカート用「SKV-R」の詳細が明らかとなった。

 今回発表された四輪レース用ヘルメット「GPV-R」とカートレース用ヘルメット「SKV-R」の2モデルは、2024年に定められたFIAの新規格「8859」「8878」に対応したものだ。これまでの主流だった2015年の規格と比べて試験条件が厳格化されており、安全性能が大幅に強化されたモデルと言える。

 ヘルメットの基本性能である衝撃試験では、衝撃速度が旧規格の8.5m/sから8.7m/sへ引き上げられた一方、頭部に伝わる衝撃のピークGは旧規格の約300Gから約275Gに低減されている。またシールドの耐貫通性能も大きく強化され、旧規格の約500km/hから約864km/hとなり、従来以上に高い安全性が求められる仕様となった。

 さらに新規格では、衝撃吸収試験中にシールドが開かないこと、片手で操作できること、2アクション操作であること、といった新たな要件が追加され、シールド機構の設計難易度が大幅に高まった形だ。ちなみに新規格のドラフト段階では、シールドロックを中央に配置するセンターロックの義務化も検討されていたが、最終規格からは外されている。

 だがアライヘルメットは、事故時の救助性向上という考えを重視し、このセンターロック機構を独自に採用。ドライバーがどの姿勢でも迅速にシールドを開けられるよう配慮した。実際のところ、顎部に強い衝撃が加わる試験ではシェルが大きく変形するため、センターロックでシールドを保持するのは難しく、この開発は大きなチャレンジになったという。それでも“よりドライバーを守る”ために、採用に踏み切ったという。

 スーパーGTのGT500に参戦する山本尚貴選手が、スーパーフォーミュラの開発テストでGPV-Rを実走にて使用し、そのインプレッションを語った。装着感については「従来モデルと同等のフィット感に加え、低重心化によって重量バランスが大きく改善された」とコメント。重量そのものではなくバランスの良さが、強いGがかかるフォーミュラカーでは重要だと強調した。

 新しいシールドロックはFIAの厳しい要件を満たしながらも操作性に優れ、「2アクションながら直感的で使いやすい」と好印象の様子。衝突時にも不用意に開かない点を含め、バランスの取れた仕上がりと語る。視界面では進化ポイントである下方視野の拡大に触れ、ステアリング周辺の操作系が見やすくなり、ドライバーの視認性向上に寄与しているという。

 また、内装の脱着式化については「暑い日本のレース環境では大きなメリット」とし、衛生面や快適性の改善を評価。空力面では、従来のようなウイングやフィンなしでもヘルメットの浮き上がりが抑えられたとし、加えて通気性の向上で曇りや目の乾きも軽減されたと語った。

写真:山本尚貴選手は“絶対的な安心感”を理由に約30年に渡りアライヘルメットを使用。2023年の大事故を経て「命を預けられる唯一のヘルメット」とその信頼性を強調した。
山本尚貴選手は“絶対的な安心感”を理由に約30年に渡りアライヘルメットを使用。2023年の大事故を経て「命を預けられる唯一のヘルメット」とその信頼性を強調した。

 今回のGPV-RおよびSKV-Rには、新しいシールドロック機構となる「GPV-Rシールドロックシステム」が採用されている。これは厳しい試験条件下でも確実にシールドを閉じた状態を保持しながら、黒いレバー操作のみでスムーズに開閉できる設計だ。

 あわせて「GP-VASシールドシステム」も導入。特許技術である可動軸機構によりシールド装着位置の低位置化を実現し、大幅な位置ダウンに成功した。これにより帽体表面の曲面がより滑らかとなり、衝撃を受け流す性能が向上。さらに重量配分の最適化によって低重心化も進み、装着時の体感的な軽さにも寄与している。

 そして視界や快適性も進化を遂げている。視界性能が改善され、シールド開口部は下方向へ8mm拡大。これによって近年のレースで重要性が増しているステアリング周辺の情報確認がしやすくなっている。そのほか、内装の脱着式化、マイク・給水システムへの対応、側方視野を調整できる構造、ベンチレーション性能向上といった進化も挙げられた。

写真:松田次生選手はGPR KARTING SERIESのRokSHIFTERにてSKV-Rを使用。重量バランス改善による軽快な装着感と通気性向上、下方視野の拡大などを評価し、実戦での快適性と使いやすさの進化を言葉にした。
松田次生選手はGPR KARTING SERIESのRokSHIFTERにてSKV-Rを使用。重量バランス改善による軽快な装着感と通気性向上、下方視野の拡大などを評価し、実戦での快適性と使いやすさの進化を言葉にした。
写真:全日本カート選手権 OK部門に参戦した際にSKV-Rを装着した佐藤蓮選手は、軽量感と高い通気性、扱いやすいセンターロック機構を評価し、快適性の大幅な向上を実感したと語っている。
全日本カート選手権 OK部門に参戦した際にSKV-Rを装着した佐藤蓮選手は、軽量感と高い通気性、扱いやすいセンターロック機構を評価し、快適性の大幅な向上を実感したと語っている。

 価格はGPV-R RO(8859規格)が98,000円(税込107,800円)、SKV-R(8878規格)が67,000円(税込73,700円)。6月上旬から受注が開始され、早ければ8月末に発売予定となる運び。規格適合に留まらず、「より安全に守る」というアライの思想を色濃く反映したヘルメットとして、今後のレース現場で注目されそうだ。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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