ポイント争いもヒートアップ! まだまだ予断を許さない西地域

レポート カート

2021年7月15日

全日本カート選手権の西地域は、後半戦となる第4戦が静岡県・オートパラダイス御殿場で開催された。FS-125部門では酒井仁選手(LUCE MOTOR SPORTS)が2勝目を獲得、FP-3部門ではスポット参戦の宮崎琉選手(ASTECH)がポール・トゥ・ウィンを飾った。

2021年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 西地域第4戦
2021年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 西地域第4戦

開催日:2021年7月10~11日
開催地:オートパラダイス御殿場(静岡県小山町)
主催:RTA、APG

 東/西地域各5戦+東西統一競技会で行われるFS-125部門とFP-3部門は、この大会からシリーズ後半戦に突入。チャンピオン争いもいよいよ佳境を迎える。OK部門と併催の今大会は2DAY開催。7月10日にタイムトライアル(TT)、11日に予選と決勝が行われるスケジュールだ。

 静岡県の東側に位置するオートパラダイス御殿場は、関東圏から訪れるユーザーも多いサーキット。西地域としてはもっとも東寄りの会場での一戦となった。

 参加17台のFS-125部門。大会初日に行われたTTでは、第2戦のウィナー・酒井選手が最速タイムをマークしたが、ペナルティでそのタイムは抹消に。代わって第3戦の勝者、加藤大翔選手(HRS JAPAN)がTTトップとなった。酒井選手は2番手に。3、4番手は山口大耀選手(HRS JAPAN)と卜部和久選手(TEAM EMATY)だ。

 大会最終日。15周の予選では酒井選手がオープニングラップに加藤選手をかわしてトップでゴール、決勝のポールを獲得した。2番手でゴールした山口選手は、ペナルティで失格に。代わって卜部選手がフロントローに並ぶこととなった。決勝グリッド2列目は加藤選手と安藤哉翔選手(ONE POINT)だ。

 薄曇りの空の下で26周の決勝が始まると、酒井選手は綺麗に1コーナーをクリアして、その先のストレートですでに2番手以下を引き離した。酒井選手の後ろを行くのは卜部選手と安藤選手。加藤選手は1周目のアクシデントで大きくポジションを下げた。

 レースが4分の1を終えると、卜部選手が安藤選手を引き離し、ひとり酒井選手を追う展開となった。逃げる酒井選手、食い下がる卜部選手。両者のペースはほぼ同等で、その差が1秒を超えることはない。互いに死力を尽くしての疾走は、延々と続いた。

 レースが終盤に入ると、卜部選手が酒井選手に0.5秒差まで接近し、サーキットに緊張感が漂い始めた。だが、ミスなく走り続ける酒井選手に対して、心身ともに全力を振り絞ってきた卜部選手は走りが乱れ始め、ゴールが近づくと再び両者の差が広がった。

 逃げ切りに成功した酒井選手は、ピットウォールの向こうで見守るチームの仲間にガッツポーズを披露しながらチェッカーを受け、2勝目を遂げた。東地域で堂園鷲選手が2連勝中の今、予選・決勝とも1位で最大ポイントの獲得に成功したこの1勝は、チャンピオンシップの面でも大きな意味を持つものだ。

 卜部選手は自己最上位を更新する2位を得たが、酒井選手を捕らえ切れなかったレースに、マシンを降りた直後の表情は硬い。トップ2から4秒後れて、安藤選手が3位フィニッシュで今季初の表彰台へ。加藤選手は1周目の後退を懸命にリカバーして4位に入り、西地域のポイントリーダーの座をキープした。

2勝目をつかんだ酒井仁選手は、「神戸(第2戦)で優勝したけど、他のレースは結果が良くなかったので、今回はすごく勝ちたかったんです、だからすごくうれしいです。決勝は卜部選手が速かったり自分が速かったりという展開がずっと続いて、精神的にもキツくて、長く感じたレースでした。ペースをコントロールする余裕はぜんぜんなくて、ずっと全開でした。次の中山でも勝ってポイントを獲りたいです」と、同じく2勝を挙げている東地域の堂園選手のポイントを意識している様子だ。
FS-125部門の表彰式。左から2位の卜部和久選手、1位の酒井選手、3位の安藤哉翔選手が登壇した。

 22台が参加したFP-3部門では、スポット参戦組が猛威を振るった。決勝グリッドのポールは宮崎選手、2番手は土志田洸彰選手(GRIZZLY.RACING with ALBOL ALDEA)。3列目には蒲生尚弥選手(のりものクラブ・アステック)と飛田陽宏選手(NOBLE GP RACING)が並び、レギュラー参戦組のトップは3番グリッドの関優成選手(TEAMぶるーと)。西地域ランキング首位の中村海斗選手(Formula Blue Team Nagao)は予選を2番手でゴールしたが、必備部品の脱落で失格となり最下位からのスタートだ。

 24周の決勝では、土志田選手がスタート直後にトップを奪ってレースをリード。対して宮崎選手は5台一列の先頭集団の中、一時は5番手までポジションを下げた。だが、レースが折り返し点を過ぎると、宮崎選手が反撃を開始。8番グリッドからトップ浮上の森岡真央選手(Ash)に続いて2番手に上がり、17周目には先頭に復帰。以降はトップの座を守り切り、16歳の宮崎選手が勝利を飾った。

 宮崎選手の後方では、急浮上の中村選手がこの集団に加わってきたこともあり、熾烈なバトルが勃発。その結果、2番手ゴールの土志田選手にはプッシングとフロントフェアリングのペナルティが、3、5番手ゴールの中村選手と森岡選手にはそれぞれフロントフェアリングのペナルティが下り、2位は関選手、3位は脇万葉選手(TEAM EMATY)のものとなった。

レース中盤までは苦しい展開だったが、後半で抜け出して見事優勝を手にした宮崎琉選手。「初めての勝利で、しかも(TTも予選も1位の)パーフェクトウィンなので、信じられないですね。トップからのスタートだったけれど、下手な抜かれ方をして5番手まで落ちてしまって、そこからの巻き返しだったので、とてもうれしいです。去年は東地域に出て(2回スポット参戦)、ぜんぜん結果が良くなかったので、そのリベンジができて良かったです。次はもてぎの東西統一戦に出ようと思っています」
FP-3部門の表彰式。左から2位の関優成選手、1位の宮崎選手、3位の脇万葉選手が登壇した。

 同時開催のジュニア選手権・西地域第4戦。8台が参加したFP-Jr部門の決勝では、伊藤聖七選手(Ash)を松土稟選手(LIFE・ROAD.Racing with Ash)と箕浦稜己選手(BirelART West)が追う展開に。残り2周、ここまでトップを守り続けてきた伊藤選手に松土選手が勝負を仕掛けたが、これは果たせず松土選手は後退。代わって2番手に上がった箕浦選手が、2~3コーナーでついに伊藤選手を攻略してトップを奪い、2連勝を果たした。

 あと一歩で初優勝を逃した伊藤選手は、2位でチェッカーを受けると天を仰いだ。TTでトップの武藤雅奈選手(TAKAGI PLANNING)は予選ヒート以降精彩を欠いたが、最後は3位フィニッシュでレースを締めくくった。

 また参加10台のFP-Jr Cadets部門では、酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)がポールから独走、両手を広げたポーズでチェッカーを受けて2連勝を果たした。

 その酒井選手が見事な走りを見せたのが、予選でのこと。トップ白石麗選手(HRS JAPAN)の真後ろに着けて最終ラップを迎えた酒井選手は、勝負どころの2~3コーナーの手前でラインを変えて勝負に出ると見せかけて、白石選手に守りのラインを取らせ、その立ち上がりで加速の鈍った白石選手をパス。10歳とは思えない大人顔負けの頭脳プレイで決勝のポールを獲ってみせた。

 酒井選手の後方で繰り広げられた3台の戦いでは、残り2周の逆転で山代諭和選手(チームナガオ)が2位を獲得、最終ラップの攻防で藤村太郎選手(ハラダカートクラブ)が3位を手に入れた。

「勝てるとは思わなかったので、とてもうれしいです。(終盤、伊藤選手のリードが広がって)諦めてはいなかったけれど、ちょっとヤバいなと思って、死ぬ気で追いかけました。チャンピオンを獲りたいです」と目下2連勝と好調の箕浦稜己選手。
FP-Jr部門の表彰式。左から2位の伊藤聖七選手、1位の箕浦選手、3位の武藤雅奈選手が登壇した。
「優勝してチャンピオンの可能性を残すことができてよかったです。うれしいです。決勝ではとにかくひとりで逃げるために、(接戦になった)予選とは乗り方を変えて独走を狙いました」と、この優勝でポイントリーダーに浮上の酒井龍太郎選手。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の山代諭和選手、1位の酒井選手、3位の藤村太郎選手が登壇した。

フォト/JAPANKART レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部
※一部誤りがございましたので、修正を施して再公開いたしました。

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