全日本カートEV部門 第3戦/第4戦は中井悠斗選手とティモフェイ・デグチャリョブ選手が待望の初優勝
2026年8月5日
全日本カート選手権 EV部門 第3戦/第4戦が7月20日に東京都江東区のシティサーキット東京ベイ(CCTB)で開催された。厳しい暑さの中で争われたレースでは、これまで実力を示しながらも優勝にあと一歩届かなかった二人のドライバーが、待望の初優勝を飾った。
2026年JAF全日本カート選手権 EV部門 第3戦/第4戦
開催日:2026年7月20日
開催地:シティサーキット東京ベイ(東京都江東区)
主催:TOM'S、RTA
全日本EV部門の今季2度目の大会には、第1戦/第2戦を都合により欠場していたCDエナジー EV Kart Racing Teamの山本新之助選手が参戦。オーディションを勝ち抜いて2026シリーズのシートを獲得した12名のドライバー全員がそろった。
決勝日を迎えたサーキットは快晴。この日の東京は最高気温が35度を超える猛暑日となり、強い日差しに照らされたアスファルトが熱を帯び、会場は厳しい暑さに包まれた。その影響もあってか、第4戦予選では体調不良で欠場するドライバーも現れている。真夏のレースでは、走りだけでなく体調管理も重要な要素となる一日だった。
暑さへの対策はマシンにも施された。コントロールユニットの過熱を防ぐため、昨年に続いてモーター脇の導風板内に保冷剤を設置し、さらにケースの上にはスタート直前までロックアイスの袋を置いて冷却効果を維持していた。
もっとも、今季は固定ギヤ比の変更によってモーターの発熱が大幅に抑えられている。大会前々日にレース距離に5周を足したロングランテストを実施し、モーター温度が昨年より10度以上低くなることが確認されたという。
また運営面では、競技進行の効率化を目的に、各ヒートの重量計測を出走前に実施し、ヒート終了後の重量計測は行わない方式を採用した。参加台数が12台に限られる全日本EV部門ならではの方策と言える。
汗が止まらないほどの暑さにもかかわらず、会場には今回も多くの観客が来場。セッションの合間にはデモ走行や電動バイクの子ども向け試乗会が行われるなど、会場は終日にぎわいを見せた。屋内コースのLIGHTNING TRACKで行われた恒例のキッズEVカート無料体験走行には、開場直後から長い待機列ができるほどだった。
タイムトライアル
12名のドライバーが最初に臨むのがタイムトライアルだ。各車が順番にコースインし、単独走行で2周のタイムアタックを実施。ベストタイムの順位が第3戦予選に、セカンドタイムの順位が第4戦予選のスターティンググリッドの位置となる。オーバーテイクが難しいCCTBでは、このタイムトライアルがレース展開に大きく影響する。なお、タイムトライアルの走行順は、参加受け付け時に抽選で決められた。
そのタイムトライアルで24秒827のトップタイムを記録したのは、前日のテストセッションでも好調だった中井悠斗選手。24秒892で続いたのは横山優之介選手で、今季最高位7位からの巻き返しへ向け絶好の位置を確保した。3番手には中井選手と互角のタイムを記録したティモフェイ・デグチャリョブ選手、4番手には前大会2連勝の徳岡大凱選手が続く。予選は第3戦、第4戦とも15周、決勝は20周で争われる。
第3戦予選
第3戦予選は中盤から波乱の展開となる。トップ4はグリッド順のままスタートを切り、中井選手が先頭でリードを拡大。一方、3周目にはデグチャリョブ選手が横山選手をかわして2番手に浮上し、トップ2が後続を引き離していく。しかし7周目、デグチャリョブ選手がコントロールを乱してサイドウォールに接触し、リタイア。
その後方では横山選手、徳岡選手、松尾柊磨選手が激しい2番手争いを展開。横山選手と徳岡選手は何度も順位を入れ替えながらゴールし、中井選手、横山選手、徳岡選手、松尾選手の順でチェッカーを受けた。しかし横山選手にはオーバーテイク時の黄旗無視により1周減算のペナルティが科され、正式結果は徳岡選手2番手、松尾選手3番手となった。
第3戦決勝
第3戦決勝は、中井選手と徳岡選手がフロントローからスタート。中井選手は先頭を守り、その直後に徳岡選手、松尾選手が続く。
中井選手はこのヒートでも圧倒的なペースを見せ、3周目以降は徐々に後続との差を広げる。7周目には約1秒、15周目には約1.5秒までリードを拡大し、そのまま独走でチェッカーを受けた。2025年のデビュー以来、通算10戦で6度の表彰台を獲得しながら届かなかった初優勝を手にした。
2位争いでは徳岡選手と松尾選手が接近戦を続けたが、終盤に徳岡選手がわずかにリードを広げて2位を獲得。松尾選手は自己最高位を更新する3位で初表彰台を勝ち獲った。
最後尾からスタートしたデグチャリョブ選手は驚異的な追い上げを見せ、5周目には6番手、12周目には5番手へ浮上。残り2周で佐藤琉葵選手をかわし、4位まで順位を上げてレースを終えた。
5位でチェッカーを受けた佐藤選手に続いたのは11番グリッドから追い上げた横山選手だったが、ジャンプスタートによる5秒加算とプッシングによる1順位降格のペナルティを受け、最終結果は9位となった。
第4戦予選
第4戦予選はタイムトライアルのセカンドタイム順により、デグチャリョブ選手がポールポジション、横山選手、中井選手、徳岡選手が続くグリッドとなった。
スタート直後からデグチャリョブ選手が圧巻の速さを披露する。好スタートから1周目で約0.7秒のリードを築くと、その差を着実に広げてトップのままゴールし、決勝のPPを獲得した。
2番手争いでは横山選手と中井選手が最後まで接近戦を展開したが順位は変わらず、横山選手が2番手、中井選手が3番手で決勝グリッドへ。徳岡選手は4番手、松尾選手が5番手で続いた。
第4戦決勝
第4戦決勝はスタート直後から大きく動く。中井選手が好スタートで横山選手をかわして2番手へ浮上し、徳岡選手も2コーナーで横山選手を抜いて3番手に上がった。
デグチャリョブ選手と中井選手は3周目までに後続を引き離し、レースは早くも一騎打ちの様相となる。その後方では徳岡選手、横山選手、アクセル・ノコム選手、松尾選手、佐藤選手、山本選手が隊列となって激しく争う。
トップ争いは終始0.5秒前後の間隔で続き、一瞬のミスも許されない緊張感のある攻防となった。一方、6周目には横山選手が徳岡選手をかわして3番手に浮上。しかし10周目、7コーナーで再逆転を狙った徳岡選手と接触し、徳岡選手はサイドウォールに衝突。再スタートしたものの最後尾まで順位を落とした。
終盤になると中井選手が再び差を詰めたが、デグチャリョブ選手は冷静な走りで付け入る隙を与えない。残り3周で差は再び0.5秒ほどとなり、そのままチェッカー。今季デビューながら開幕戦からトップクラスの速さを見せ続けてきたデグチャリョブ選手が、待望の初優勝を飾った。
中井選手は2連勝こそ逃したものの2位でフィニッシュし、開幕戦から続く全戦表彰台記録を更新した。3番手でゴールした横山選手はプッシングによる3秒加算ペナルティを受けて6位となり、佐藤選手が3位へ繰り上がって初表彰台を獲得。松尾選手が4位、ノコム選手が5位となった。
第4戦終了時点でシリーズは全8戦の折り返しを迎えた。ランキングは89点の中井選手が首位に立ち、83点のデグチャリョブ選手、82点の徳岡選手が続く。チャンピオン争いはわずか7点差の接戦のまま、後半戦へ突入する。
PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、JAPANKART REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



