ただ一人、1分切りの金内佑也124スパイダーが、オーバーオールウィン!

レポート ジムカーナ

2021年9月7日

JAF北海道ジムカーナ選手権はシリーズ後半戦に突入。8月上旬、新千歳モーターランドで第5戦が行われ、併せて人気のオートテストシリーズも開催された。

JAF北海道ジムカーナ選手権第5戦
JMRC北海道 SPARCOアウティスタジムカーナシリーズ第5戦
JMRCオールスター選抜第5戦
コクピットテクニカルジムカーナ

開催日: 2021年8月8日
開催場所: 新千歳モーターランド(北海道千歳市)
主催: C.S.C.C.

2021年JMRC北海道トヨタカローラ札幌GRガレージ厚別通オートテストシリーズ第5戦
Let’s try おーとてすと

開催日: 2021年8月8日
開催場所: 新千歳モーターランド(北海道千歳市)
主催: C.S.C.C.

 JAF北海道ジムカーナ選手権は今年、全7戦のシリーズが組まれている。開幕から2戦連続で新千歳モーターランドが舞台となり、その後、第3戦、第4戦はオートスポーツランドスナガワジムカーナコースでの開催となる。第5戦は再び新千歳に戻り、第6戦は十勝スピードウェイで年イチの地区戦開催があり、最終戦は9/26に新千歳で行われる。

 今回の第5戦は約3か月ぶりに新千歳での開催。なおJAF北海道ジムカーナ選手権には今年、JMRC北海道 SPARCOアウティスタジムカーナシリーズが全戦併催されており、JMRCシリーズは6月に行われた全日本ジムカーナ選手権開催時に併催されたEXラウンドを加えた計8戦のシリーズとなっている。

新千歳モーターランドは、手前の広場と、奥の島の間を抜けるふたつのセクションで構成されたジムカーナコースだ。
今回のコース図。終盤には5本のパイロンの間を抜けるスラロームが設定された。前半の島回りも規制のパイロンが置かれ、一筋縄では行かない設定となっている。

 PN1クラスは、全日本選手権にも参戦中の米澤匠選手が順調に開幕2連勝を飾ったが、第3戦では今年からアバルト124スパイダーに乗り換えた金内佑也選手が優勝。しかし第4戦は米澤選手が巻き返して3勝目をあげて、新千歳に戻ってきた。得意の新千歳で4勝目を狙った米澤選手だったが、第1ヒートは金内選手がただ一人、1分の壁を破る59秒892でトップに立った。

 注目の第2ヒート。さらなるタイムアップを狙った金内選手だったが、痛恨のシフトミスでベスト更新は果たせず。対するラストゼッケンの米澤選手は、自らのタイムを0.3秒近く詰めたが、1分00秒199というタイムに終わり、59秒台に乗せることは果たせず。第2ヒートでは誰も1分を切れなかったため、金内選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、逆転タイトル獲得に繋がる貴重な2勝目をもぎ取った。

PN-1クラスは金内佑也選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、シリーズ2勝目をあげた。「新品のタイヤで1本目からいい走りができたのが勝因ですね。このクルマでは今までで一番の走りができたと思います。59秒台出せたら凄いなぁと思っていたので(笑)、そのタイムが出せて嬉しいですね。ただ、エンジンのおいしい所で曲がれるコーナーも多かったので、今日は124向きのコースだったとは思います」。
PN-1クラス表彰の各選手。

 SH1クラスは成瀬悠人選手が開幕3連勝と見事なスタートダッシュを決めたが、前戦では長南明宏選手が勝利し、反撃の狼煙を上げた。2台の戦いは今回、さらにヒートアップ。第1ヒート、ラス前の長南選手が1分01秒197で暫定ベストを塗り替えると、最終ゼッケンの成瀬選手は1分01秒168で応酬。超僅差ながらも、トップで折り返す。

 第2ヒートに入ると、トップの2台のタイムは塗り替えられることなく競技は進行。再逆転を狙ってスタートした長南選手だったが、結果は1秒近くもタイムを落として順位キープにとどまってしまう。ウイニングランとなった成瀬選手は逆に自らのベストを0.8秒更新して1分00秒362をマーク。盤石のシーズン4勝目をさらった。

SH-1クラスは第2ヒートで大きくタイムを上げた成瀬悠人選手が優勝。「1本目は持ち込んだ中古のタイヤが思いのほか効かなくてアンダーを出しまくったので、2本目はちゃんとクルマを曲げる走りに徹したのが良かったと思います。新千歳は中古の方がフィーリングがいい時もあるんですが、今日はそうはならなかったですね。このSA車両のEK9とSタイヤというパッケージが好きなので、まだまだクルマを煮詰めて、もっと曲がるクルマにしたいと思います」。
SH-1クラス表彰の各選手。

 一方、JMRC北海道 SPARCOアウティスタジムカーナシリーズも各クラスで接戦が展開されている。R-1クラスは、ここまでトップ2台が勝ち星を分け合っているという状況だ。開幕戦を制したのは梶靖博選手だったが、第2戦は岩田聖選手が優勝。岩田選手が欠場した第3,4戦は梶選手が連勝したが、前戦では岩田選手が2勝目をマークした。

 第1ヒートから1分3秒114という飛び抜けたタイムを叩き出したのは、今回、背水の陣で臨んだ岩田選手だった。2番手に続いた梶選手を2.6秒も上回った、このスーパーベストを脅かすドライバーは第2ヒートに入っても現れず。サイドターンのミスで第2ヒートはタイムを落としたものの、第1ヒートと同じく1分3秒台に乗せた岩田選手が圧勝を飾った。

R-1クラスは岩田聖選手が快勝した。「函館の大学時代からここは走ってますが、今年から社会人になって札幌に出てきて走る機会も増えたので、コースに慣れてきたのは大きいと思います。グリップの感じも掴めてきました。今日は1本目ほぼノーミスで走れて手応えもあったのでタイムも出てくれたと思います。今日はアプローチで向きが変えやすかったので、ヴィッツ向きのコースだったかもしれませんね」。
R-1クラス表彰の各選手。

 また今年に入って参加台数がほぼ倍増しているR-2クラスも注目のクラス。今回も7台が参加したが、うち6台はスバル・インプレッサで残る1台はGRヤリスと、ランサー・エボリューションがゼロという全国的にも珍しいラインナップとなっている。逸見将吾選手が第2戦からの3連勝が効いてタイトルレースを大きくリードするが、今回は開幕戦を制した笠原康彦選手が3戦ぶりに復帰してきたため、戦いの行方が注目された。

 第1ヒートでは逸見選手が貫禄を見せて、笠原選手を1秒も引き離す1分2秒838のトップタイムで折り返すが、「1本目で逸見選手にぶっちぎられたので(笑)、2本目は気合いを入れました」という笠原選手が、第2ヒートで見違えるような走りを見せて1分2秒569を叩き出す。しかし最終ゼッケンの逸見選手も1分2秒461でゴールし、再逆転なったかと思われたが、痛恨のパイロンタッチを取られて万事休す。笠原選手が2勝目を飾り、逆転タイトルへの望みを繋げた。

スバル勢が火花を散らしたR-2クラスは笠原康彦選手が逆転勝ちを収めた。「今日は4WD車にはきつい設定がありましたけど、そこの走り方で差がついたのかなという気がしますね。多少は経験を活かせたのかもしれません(笑)。このクラスは台数も増えて、若い人も速くなっているので、レベルが上がってきた感じがします。僕も若い人に負けないように頑張ります」。
R-2クラス表彰の各選手。
P-ATクラスは2ヒートともベストタイムを奪った猿川仁選手がシーズン3勝目をあげた。
P-ATクラス表彰の各選手。
R-Ecoクラスは西山直登選手が逆転でシーズン2勝目を飾った。
R-Ecoクラス表彰の各選手。
86/BRZクラスは河原浩幸選手が第1ヒートのタイムで逃げ切って、4戦ぶりとなる今季3勝目を獲得した。
86/BRZクラス表彰の各選手。
賞典外クラスは小野寺俊選手が優勝。
賞典外クラス表彰の各選手。
Closedクラスでは、金内洋子選手が快勝した。
Closedクラス表彰の各選手。

2021年JMRC北海道トヨタカローラ札幌GRガレージ厚別通オートテストシリーズ第5戦
参加18台の激戦区MTクラスは天間優貴アルトワークスが2連勝

 オートテストはJMRC北海道のタイトルがかかるシリーズが年間を通して行われている。今年は計8戦が予定されており、第2戦は延期となったが、これまで3戦が開催されてきた。今回のようにJAF北海道ジムカーナ選手権と同日開催となる場合が多いが、単独開催もあり、10月3日には第7戦が道南地区で、そして最終戦は10月24日に札幌市近郊で、オートテストフェスティバルという形で開催されることがリリースされている。

 北海道地区はオートテストが日本に導入されて以来、積極的に開催を続けてきた地区ということもあり、長く参戦を続けているリピーターも多い。そのためもあって、コース設定も毎回、工夫が凝らされており、今回もスタート直後からオートテストのテクニックを要求されるセクションが連続する、難易度がやや高めの設定となった。

 今回の競技会は走行タイムを小数点以下3桁まで換算してポイントとする形で行われた。ユニークなのは、2ヒートの合計ポイントで順位を競うこと。ペナルティによる大量減点は致命的なミスになるため、2本のヒートをペナルティを受けずに、しっかりと走り切ることが勝利への大前提となる。

 ATクラスは昨年のチャンピオン、高田克己選手が第1ヒートで41.740ポイントをマークして首位に立つが、第2ヒートでは西村みやか選手が37.170という高ポイントで断トツのクラスベストを奪取。トータル1.070ポイントの差で高田選手を下した。

 MTクラスでは前回、昨年のチャンピオンで第一人者の大貝進一選手を下して波に乗る天間優貴選手と高橋龍生選手がともに70.000というまったく同ポイントで並んだが、規定により天間選手が2勝目を獲得した。入門者クラスのCLクラスは第1ヒート3位、第2ヒート2位と安定した走りを見せた永井大介選手が優勝。EXクラスは村上清賢選手が優勝を果たしている。

今回のコース図。2本のパイロンの間を2輪だけ通過させる、『ラインまたぎ』が3か所も設定され、オートテストの楽しさを十分に味わえる設定となった。
ATクラスは西村みやか選手が、第1ヒートでペナルティポイント5点をもらいながらも、見事な逆転優勝を飾った。「1本目はしっかりタイムを残そうと思ったのですが、ペナルティをもらってしまいました。2本目はリバースギアを使う所の走り方を、1本目から変えたのが良かったと思います。オートテストは去年から始めましたが、今回が初優勝です。“やっと勝てたな”という思いです」。
ATクラス表彰の各選手。
MTクラスでは天間優貴選手が2連勝を飾った。「今日はリバースギアを使う所もスムーズに行けたし、スピードを乗せる所も、しっかり走れたのが勝因だと思います。でも2本目は最終コーナーで突っ込んでしまったので、やっぱりオートテストは“我慢が大事”ということも再認識できた一日でしたね(笑)」。
MTクラス表彰の各選手。
CLクラスは今季、参戦2戦目の永井大介選手が優勝を飾った。
CLクラス表彰の各選手。
EXクラスは村上清賢選手が総合でも3番手となる高ポイントをマークして優勝した。
EXクラス優勝の村上選手。
当日のオートテスト参加者の皆さん。

フォト/加藤和由 レポート/JAFスポーツ編集部

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