日程変更されたSUGOでのFRJ第4大会は2戦とも雨中決戦!第10戦を制した古谷悠河選手が念願のチャンピオンに王手!!

レポート レース

2021年11月11日

5大会・全13戦で争われる、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)も、いよいよ佳境に差し掛かった。当初、スポーツランドSUGOでは8月末に行われるはずだった第4大会は、10月9日に日程が改められて、第10戦と第11戦として開催されることとなった。予選、決勝レースともにあいにくの空模様の下でのレースとなったが、それぞれドラマチックな戦いが繰り広げられた。

2021年フォーミュラリージョナル地方選手権 第4大会
(2021 SUGOチャンピオンカップレースシリーズ Rd.6内)

開催日:2021年10月9日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主 催:株式会社菅生、SSC

 練習走行が行われた金曜日までは、しっかりドライコンディションを維持していたSUGOだったが、土曜日はあいにくの雨模様。夜半から降り始め、早朝にはいったんやんだものの、皮肉なことに予選が始まる直前にまた降り始めてしまう。

 その予選は15分間の計測で、2回行われた。1回目は徐々に雨も弱まって、周回を重ねていくごと路面状態が向上していく中、ポイントリーダーの古谷悠河選手を上回り、そのままタイムを縮め続けた澤龍之介選手が、FRJ初のポールポジション(PP)を獲得。古谷選手に続く3番手には、三浦愛選手がつけた。

 10分間のインターバルを経て、2回目の予選を迎えたが、雨は再び勢いを増していた。その雨に足を取られ、コースアウトするドライバーが相次ぎ、なんと3回も赤旗が出されることに。その初っ端が古谷選手で、次が第10戦マスタークラスのトップ、畑享志選手だった。ともに車両はダメージを負っており、わずか3時間足らずで控える第10戦の決勝に間に合うか心配された。

 ともあれ、なかなか連続して周回が許されない状況の中、残り3分強で再開されたラストアタックで、それまでトップにつけていた大草りき選手を逆転し、澤選手が2戦連続でPPを獲得。3番手には小川颯太選手が、そして初参戦の太田格之進選手が4番手。マスタークラスは今田信宏選手がトップを獲得した。

「2回目の方が雨は強かったですね。1回目は最後の最後だけ集中していきました。2回目は赤旗続きで、ずっと思うようにアタックできなかったんですが、最後にタイヤをガンガン温めて行こうと。水的には減っていたので、本当に嬉しいです。チームのみなさんに感謝です。エンジニアやメカニックの皆さんが、すごく的確なクルマを作ってくれて、マジ凄いです。決勝でも2連勝目指して、頑張ります!」と連続PPの澤選手は意気込んだ。

富士スピードウェイでの前大会からFRJに参戦を始めた澤龍之介選手(D’station Racing)。参戦4レース目にして初ポールポジション獲得の勢いを保って、連続してPPを奪ってみせた。

 決勝レースは18周、もしくは25分間で競われた。予選の後、雨はやんでいたものの、路面はまだ濡れていたこともあり、第10戦のスターティンググリッドに着いた時には全車ウェットタイヤを装着していた。しかし、予選5番手の小川選手と7番手の塩津佑介選手がドライタイヤに交換。チームメイト同士、勝負に打って出ることとなった。

 だが、それ以上に驚かされたのが、第11戦の予選から3時間にも満たないインターバルだったにも関わらず、古谷選手と畑選手が車両をグリッドに並べていたことだ!

 古谷選手に関しては、心配は無用だった。スタートを決めて澤選手をかわしてトップに浮上。オープニングラップこそ後続を背後に置くも、2周目の1コーナーで大草選手が澤選手をかわす間に、古谷選手はなんとか安全圏にその差を拡大。3周目以降は明らかに2番手以下よりペースが上回るようになり、早々と独走体制を築き上げていった。

 レースは規定の25分間を過ぎたことから、17周目にチェッカーが振られたが、古谷選手は2位の大草選手に11秒もの差をつけて3勝目をマーク。PPだった澤選手は3位フィニッシュとなった。小川選手と塩津選手はドライタイヤが威力を発揮する展開にならず12位と13位に沈み、ギャンブルに失敗した。

 「珍しくスタートがうまくいって、スタートで追い抜くのは2回目ぐらい(笑)。良かったです。1周目は苦しかったんですけど、なんとか守りきって、2周目以降は良くなっていった感じです。予選で自分のしょうもないミスでクルマを壊してしまったんですけど、なんとか間に合わせてくれたばかりか、こんな完璧なクルマを用意してくれて、もう感謝しかないです。次は最後尾からですけど、今回みたいなペースがあれば、追い上げていけると思います」と古谷選手は振り返った。

第10戦で今季3勝目を挙げた古谷悠河選手(TOM’S YOUTH)は、直前の第11戦予選で喫したクラッシュの影響を全く感じさせない、完璧なレースを展開した。
第10戦の表彰台には左から、4番グリッドから2位を射止めた大草りき選手、優勝してチャンピオンに王手をかけた古谷選手、3位でFRJ初優勝の第9戦から連続表彰台となった澤選手が登壇。

 一方、マスタークラスのスタートは、前に出た今田選手がトップを奪う。しかし、中盤に差し掛かると5番手スタートから上がってきたTAKUMI選手のチャージが激しさを増していく。14周目の2コーナーで逆転を試みたTAKUMI選手だったが、今田選手を弾く格好に。トップでチェッカーを受けたものの、この接触に対して10秒加算のペナルティが課せられ、4位へと降格。繰り上がって今季2勝目をマークしたのが、畑選手だった。

 「スタートで失敗してしまい、最初はなかなか前に追いつけなかったんですが、途中でラインを変えてからは一気に追い上げることができて。そうしたら前で接触があって、まず今田選手を抜き、本当はTAKUMI選手も抜きたかったんですけどね。でも、勝てて良かったです」と畑選手。古谷選手同様、第11戦予選での地獄から勝利の天国に這い上がるかたちとなった。

スタートで失敗したと言うマスタークラスの畑享志選手(F111/3)だったが、しっかり挽回すると他車のペナルティもあり、今季クラス2勝目を挙げた。
第10戦マスタークラスの表彰台に登壇したのは、左から2位の今田信宏選手、優勝した畑選手、3位のDORAGON選手。

 第11戦の決勝もまた、ウェットコンディションでの戦いとなった。だが、第10戦の決勝より水がはけていたことから、ドライタイヤでグリッドに向かったドライバーもいた。しかし、結局ドライは適さないとの判断で、全員がウェットタイヤで臨むこととなった。

 この一戦で最大の焦点は、最後尾スタートの古谷選手が三浦愛選手より、ひとつでも前のポジションでゴールすれば、鈴鹿での最終大会を待たずして、チャンピオンが確定すること。ちなみに三浦愛選手は6番グリッド、まずはマスタークラス勢の壁を突破する必要があった。

 PPから今度こそはスタートを決めた澤選手がホールショットを決めて、大草選手をかわした小川選手がひとつポジションを上げた。注目の古谷選手はなんと、オープニングラップの4コーナーまでに6台のマスタークラス勢を全車かわし、早くもターゲットの三浦愛選手の背後につけることとなった。

 2周目に入ると澤選手が2番手以下にほぼ3秒の差をつけるなか、1コーナーでは大草選手が小川選手を抜き返して2番手を奪還。小川選手は思うようにペースが上がらず、3周目には太田選手に、そして4周目には三浦愛選手、古谷選手に相次いでかわされてしまう。

 トップを逃げ続けていた澤選手だったが、霧雨から本格的な雨に転じたレース中盤以降は、次第に大草選手の接近を許してしまう。だが、序盤に築いた貯金をしっかり守り抜いてポール・トゥ・ウィン。「マジで嬉しいです(笑)。常にプッシュして逃げ切ろうと考えていたんですけど、大草選手のペースが途中から良くなってきたので、不安もあったんですけど、無線でエンジニアが状況を常に教えてくれたので、冷静に走れました。本当に良かったです。最終戦の鈴鹿も、また出たいです!」と澤選手はFRJ2勝目を喜んだ。

第11戦は澤選手がポール・トゥ・ウィンでFRJ2勝目をゲット。5レース戦って2勝と、ドライバー選抜オーディションを勝ち抜いた実力を発揮している。

 2位は大草選手、そして3位は太田選手が獲得。その後方で最後まで4番手争いを続けていた三浦愛選手と古谷選手だったが、三浦愛選手が守りきった。その結果、王座確定は持ち越した古谷選手ではあったが、次回の鈴鹿での第12戦で7位フィニッシュすれば確定という、かなり有利な状況になった。

 レース後、古谷選手は「(三浦愛選手に対して)無理しなかったのではなく、抜ける間合いまで行けませんでした。コーナーの立ち上がりで離されてしまって。スタートはまた決まって、直後のごちゃごちゃに巻き込まれずに済んだのは良かったんですけど……。次は、タイトルはもちろんなんですけど、優勝がもっと欲しいです。スッキリ終われたらいいですね」と語ってくれた。

三浦愛選手(手前)と古谷選手(奥)、古谷選手のチャンピオン確定を賭けた直接対決を繰り広げた4位争いは三浦愛選手に軍配。チャンピオン確定は第5大会に持ち越された。
第11戦の表彰台。左から連続2位となった大草選手、FRJ初ポール・トゥ・ウィンの澤選手、3位は今大会がFRJデビュー戦だった太田格之進選手が登壇した。

 マスタークラスでは畑選手がクラス4番手スタートから2連勝。「クラッチの調子が悪くて、うまくスタートできなかったんですが、遅れても全部抜いたれ!と思っていたら、本当に上手くいきました(笑)。後半、リヤタイヤがタレてきて、若手に追いつかれちゃったんですけど、互角に走れたのは良かったです」と振り返った。

 今回はポイントリーダーの田中優暉選手が第10戦は5位、第11戦では4位という結果に甘んじたため、畑選手は3ポイント差にまで急接近。さらにTAKUMI選手、今田選手、三浦勝選手にも逆転の可能性を残しており、マスタークラスは最後までチャンピオン争いが大いに盛り上がりそうだ。

畑選手が怒涛の追い上げをみせて2連勝を飾った第11戦マスタークラスの表彰台には、左から2戦連続2位の今田選手、畑選手、予選順位を守りきった3位のTAKUMI選手が登壇した。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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