KYOJO CUPが10周年の節目。次の10年の展望を語る
2026年5月13日
女性ドライバーたちによって争われる「KYOJO CUP」は5月9日、富士スピードウェイにて2026年シーズンを前にプレスカンファレンスを開催。2017年の創設から10周年を迎えるにあたり、KYOJO CUPの関谷正徳代表からこれまでの歩みと今後の展望をが語られた。
司会進行を務めたインタープロトモータースポーツの関谷葉子氏は、KYOJO CUPの10年を「女性ドライバーだけのレースを開催してきた10年ではありません」と振り返り、モータースポーツをもっと多くの人に開かれたスポーツにするための挑戦であり、女性が主役として評価される場所をつくるための歩みだったと説明した。
目指しているのは、モータースポーツを一過性のイベントや興行ではなく、人を育て、社会に根づき、文化として残していくこと。競技としての価値、選手が正当に評価される仕組み、そして多くの人が共感できる環境が必要であり、KYOJO CUPはそのひとつの答えとして生まれたと位置づけている。
そして関谷正徳氏は、日本が世界有数の自動車大国でありながら、モータースポーツが欧米ほど社会に文化として根づいていないことへの問題意識から、この挑戦を始めたと語った。文化として成立するには、レースを開催するだけでは不十分で、選手が尊敬され、努力が評価され、勝利に名誉が与えられ、次世代が憧れる存在になる必要があると指摘。
また、モータースポーツは車両性能ばかりが注目されがちだが、実際には判断力、集中力、精神力、身体能力といった人間の力を競うスポーツでもあると強調。その本質を分かりやすく伝える方法として、同一条件の車両で競うワンメイクレースの考え方が生まれ、インタープロトシリーズを経てKYOJO CUPへと思想が受け継がれてきた。
その過程で見えてきた課題が、女性ドライバーが安心して挑戦し、継続的に成長・評価される環境が整っていなかったという現実である。男女を分けないジェンダーレスな環境が、結果的に女性にとっては厳しい構造となっていたことから、女性が主役として実力を競える独立したカテゴリーとしてKYOJO CUPが構想された。
2017年に富士スピードウェイで始動したKYOJO CUPは、まず参戦しやすさを最優先に考え、FCR-VITAを用いてコストを抑えた環境を整備。当時は女性ドライバーだけのカテゴリー自体が珍しく、自然に選手が集まる状況ではなかったため、運営側が全国の女性ドライバーに直接声をかけ、カテゴリーの輪を広げていった。
同時に、競技として成立させるため、練習会の実施や若手発掘オーディションを開催し、選手育成にも力を注いだ。YouTubeによる無料ライブ配信を通じて、サーキットに来られないファンにもレースを届け、選手とカテゴリーの価値を高めてきた。また賞金の拡充によって、勝利の価値を明確にし、女性ドライバーをプロ競技者として評価する姿勢を打ち出している。
その結果、創設から8年目となる2024年のVITA最終戦では37名の女性ドライバーが参戦。女性ドライバーが一堂に会するカテゴリーとして、確かな成長を遂げた。そして2025年からはKYOJO FORMULAを導入し、参加枠を限定することで競技性を高め、選ばれた選手が頂点を争うシリーズへと進化している。
次のフェーズとして重視されているのが国際化。英語配信の開始や海外向けトライアウトを実施し、日本国内にとどまらないカテゴリーを目指しているという。海外選手の参戦は競争の質を高め、国内選手への刺激にもなるとし、同時に日本国内の育成強化も進めていく方針が示された。カートからVITA、フォーミュラへと段階的に成長できる育成導線を整え、次世代の女性ドライバーを育てていくという。
そして次の10年の目標として、KYOJO CUPを日本発の新しいモータースポーツ文化として世界に広げることを掲げた。将来的には世界中の女性ドライバーが集い、世界一を決める舞台の実現も視野に入れているそうだ。またモータースポーツを通じて培われる判断力や安全意識を社会に還元し、交通安全や豊かなクルマ文化の形成にも貢献していきたいと語った。
「KYOJO CUPの10年はその可能性を信じて続けてきた10年です。今からさらに10年後を目指してさらなる挑戦を続けていきたいと思います。次の10年はこの挑戦をさらに広げてモータースポーツを文化として社会に根づかせていく、そんな10年にしたいと思います」と表明、すでに新たな歩みを進めている。
PHOTO/後藤佑紀[Yuuki GOTOU] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



