西日本を代表する計算ラリーシリーズが、和歌山県を舞台に開催!
2022年7月13日

近畿アベレージラリーお馴染みの一戦、「2022きのくにラリーin阿弖河(あてがわ)」が、今年も7月2~3日、和歌山県有田川町をホームタウンとするラリーとして開催された。
2022年JMRC近畿アべレージラリーシリーズ第3戦
2022きのくにラリーin阿弖河
開催日:2022年7月2~3日
開催場所:和歌山県有田川町
主催:RMN
近畿地区では、今年も2種類のラリーが開催されている。ひとつはJAF中部・近畿ラリー選手権とWタイトルで開催される、SSの速さで順位が決まるスペシャルステージラリー=JMRC近畿SSラリーシリーズと、もうひとつは時間の正確さを競う第一種アベレージラリー=JMRC近畿アベレージラリーシリーズである。そのアベレージラリーシリーズは、今年は全4戦が組まれるシリーズ戦となっている。
その中でも今回、7月2~3日に開催された第3戦「きのくにラリーin阿弖河」だけは、アベレージラリーには珍しく唯一のナイトラリーで、今年で創立50周年を迎えるJAF加盟クラブ、「ラリーメイトナニワ(略称RMN)」が主催をする。
RMNといえば、JAFのラリー委員も経験され、長年クラブの事務局長を務められた畑中博氏が、このラリーを育ててきたと言っても過言ではない。フィールドとなる和歌山県有田川町清水(旧清水町)には何度も足を運び、住民の方々とのふれあいを大切にし、清水町を舞台にした、「きのくにラリー」のひとコマを自ら描いたイラストカレンダーも作成した。

そのカレンダーは住民の方々や選手、オフィシャルにも毎年配布され、楽しみにされている方も多くおられた。そんな畑中氏だが、今年の2月に急逝された。今回のスタート会場となった「ふれあいの丘(道の駅しみず)」の食堂の一角には、過去のカレンダーのイラストや、畑中氏の写真などを展示し、畑中氏を追悼するコーナーが設けられた。

また、今回のラリーで驚かされたのは、あるチェックポイント(以下CP)が、民家の前に設置されたことだ。設置だけではそれほど驚かないが、住民の方は外でバーベキューをしながら観戦し、CPのチェックラインでは花火を上げ、全選手にお菓子とドリンクをプレゼントするという歓迎ぶり。これも畑中氏と住民の方が、町内のお店で食事をしながら出た話の中で決めたということで、畑中氏が志半ばで亡くなられたことを住民の方は悲しんでおられた。


今回のクラスは、ライセンスの必要な総合クラスと、ライセンス不要でラリーコンピューターは装着自由のクローズドAクラスと、ラリーコンピューターを付けていないクローズドBクラスの計3クラス。Bクラスでは地元の方の参加もあり、トータル41台と賑やかなラリーとなった。
ラリーは2セクション制で、セクション1を終えると、クルーは一旦、ふれあいの丘に帰ってくる。ここではケータリングなどのサービスは自由に行えるため、昔のナイトラリーの雰囲気が思い出される場所となった。そんな中でのセクション1の設定は、基本的には看板や標識などの目印のある所で指示速度が変わる、パスコン地点(PC=速度変更地点)を探してラリーを進める単純なラリーとなった。
総合クラスは、5か所あったCPをこなした後でも、12クルーが誤差13秒以内にひしめくという大混戦。この中、セクション1をトップで折り返したのは、浅田知彦/中川亜希子組で減点は4秒。続いて松浦秀勝/小川博史組が5点で続いた。
セクション2からは、目標物の代わりに距離によって走行速度が指示される距離PCや、カーブミラーの数を追うことでPCを見つける等の、複雑な要素が絡んでくる難解なセクションとなる。ライバルだけでなく、深夜の走行と言うことで自分自身との眠気との戦いも強いられる中、7CPで首位を走っていた浅田/中川組が何と脱落。
「看板のPCを見落としてそのままCPにチェックインしてしまいした。次のPCを見落としたことも引きずって、距離PCも落としました。土曜日までは良かったけれど、日が変わったら、ダメになりました」と苦笑い。
逆にこの区間を制して優勝したのが、このラリー連覇中の児玉智比呂/進政範組。「スタートで、“二度あることは三度ある”と言うから、今回も勝てるかもね、と進選手と話した通りになりました。妻から頼まれた(賞品の)お米を持って帰ることができて嬉しいです。これでラリーを続けられます(笑)」とは児玉選手。見事にきのくにラリー3連覇を果たし、シリーズポイントでもトップに立った。


2位は「7秒、5秒と減点を貰ったので、10位以下と思っていたら、ほかの人がやらかしてくれたおかげで、この順位です」という荒井重信/上垣秋広組が入賞した。3位と4位は同減点だったが、規定により0区間の数の差で四條隆幸/佐柳陽組が3位をゲット。久しぶりのラリー参加での入賞を喜んだ。



島根からエントリーの杉谷仁/武田朗組が4位となり、「メダルが欲しかった!」と悔やんだ。5位はセクション1の2番手からドロップした松浦/小川組が入賞。ナビゲーターの小川選手は「特にミスしたつもりはなかったのに」と、がっくり。ドライバーの松浦選手は、「5位に入れるとは思わなかった。次も頑張ります!」と、二人のムードは正反対だった。
有川和正/小西健太郎組は、9CPでゆっくり走り過ぎて大きく遅れてしまい、6位に落ちたが、「今回はタナボタでこの順位なので、良かったです」とのコメント。この区間で10秒でも早く走れていたら2位もゲットできただけに、悔やまれるラリーとなった。


クローズドAクラスは、終始安定した減点でクリアした岸本芳昭/成瀬喬則組が優勝。総合でも2位相当の順位に、「今日は畑中さんのこともあり、集大成のラリーで、この位置に立たせてもらって良かったです」と喜んでいた。
2位は関東から遠征してきた石原淳/藤波誠一組が入賞。「20年ぶりのナイトの計算ラリーでしたが、こんなに楽しかったんだ、と昔のラリーを思い出しました」とドライバーの石原選手。ナビの藤波選手は、「存分に楽しみましたが、9CPで大きく遅れたのは不満です」と語った。



クローズドBクラスは愛知からエントリーの疋田倫大/門脇昌紀組が優勝。「2019年に10秒差で4位だったので、今回は表彰台に乗れたらいいなと思っていたら、優勝できました(笑)。最初から最後まで楽しいラリーでした」と喜んだ。
2位は、「40年来のコンビです。ノーチェック区間の後、競技車が連なってダンゴ状態になってしまったので、どうすることもできませんでした」と悔んだ、岡山からエントリーの安藤恭平/田代啓之組が入賞した。3位は新婚の土井一久/土井紗衣子組が入ったが、「20km/h台の速度をキープして走るのは、きつかったです(笑)」と、ポルシェで走る難しさを語ってくれた。




フォト&レポート/山口貴利
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