全日本ラリー第2戦で勝田範彦/保井隆宏組が刷新されたステージを快走!

レポート ラリー JAFWIM

2025年4月18日

全日本ラリー選手権 第2戦「ツール・ド・九州 2025 in 唐津」が、4月11日から13日に佐賀県唐津市周辺を舞台に開催。唐津市郊外の「ボートレースからつ」を拠点とするラリーはほとんどのステージが刷新され、初日に6SS/50.32km、最終日となる2日目に6SS/55.00kmの計12SS/SS総距離105.32km)が設定された。

2025年JAF全日本ラリー選手権 第2戦「ツール・ド・九州 2025 in 唐津」
開催日:2025年4月11~13日
開催地:佐賀県唐津市周辺
主催:GRAVEL

 全日本ラリー選手権の第2戦は、SS総距離が100kmを超えるターマックラリーのため、各クラスのシリーズ順位を競う得点係数は1.2となる。エントリーは選手権クラスに58台、オープンクラスに6台の計64台。天候は2日間ともやや気温が低かったものの、穏やかな天候に恵まれてドライコンディションの中で競われたが、両日とも前日の夜にまとまった雨が降り、午前中はステージの一部に濡れた路面が残る中でのラリーとなった。

唐津市内にあるボートレースからつのイベントホールに競技会本部が、同駐車場にサービスパークがそれぞれ設定された。
ボートレースからつのイベントホールで開会セレモニーが行われた。多くのクルーが参加する中、唐津市の峰達郎市長が挨拶を務めた。
会場にはJAFがブースを出展。こどもロードサービス検定やジュニアライセンス発給など、家族で楽しめるコンテンツが実施された。
唐津神社でセレモニアルスタートが行われ、多くのファンや地域住民がラリーカーに声援を送っていた。

JN-1クラス

 JN-1クラスは、第1戦でのタイムペナルティで優勝を逃したヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(トヨタ・GR Yaris Rally2)が、SS1でベストタイムをマーク。この日最長の14.45kmを走るSS2では、勝田範彦/保井隆宏組(トヨタ・GR Yaris Rally2)がベストタイムを刻み、トップに躍り出る。だが、SS4で再びコバライネン/北川組が首位に浮上。SS5とSS6も制したコバライネン/北川組は、初日を勝田/保井組に2.8秒差の首位で折り返した。

 ラリー2日目は、オープニングのSS7で勝田/保井組がコバライネン/北川組に16.8秒差をつける会心のベストタイムで首位の座を奪取。コバライネン/北川組はSS9のステージ中盤で痛恨のスピンを喫し、しかも道幅の狭い場所でのスピンだったため、SS9だけで約50秒近くロス。この時点で1分近いマージンを築いた勝田/保井組は、残る3SSを安定したペースで走り切ってフィニッシュ。勝田選手は「今回はフィンランドから来てくれたエンジニアの力が大きかった。ピーキーな挙動がマイルドになり乗りやすくなりました」と語り、開幕戦に続く今季2勝目を獲得した。

 SS9を終えて1.2秒差という鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)と奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GR Yaris Rally2)の争いは、鎌田/松本組がSS10でその差を10.1秒差に拡大。奴田原/東組もSS11、12で追い上げるものの、6.5秒差で逃げ切った鎌田/松本組が3位入賞を果たした。

JN-1クラス優勝は勝田範彦/保井隆宏組(GR YARIS Rally2)。
2位はヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(AICELLO速心DLヤリスRally2)、3位は鎌田卓麻/松本優一組(Castrol TEIN DL SKODA)。
JN-1クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位のコバライネン/北川組、1位の勝田/保井組、3位の鎌田/松本組。

JN-2クラス

 JN-2クラスは、初日を2番手の三枝聖弥/木村裕介組(スバル・WRX STI)に55.2秒の大差をつけ首位で折り返した小泉敏志/村山朋香組(トヨタ・GRヤリス)が、2日目最長となる14.53kmのSS9で痛恨のコースオフ。「路面に砂があって危ないコーナーだということは分かっていたんですが、それを正確にペースノートに書き切れていませんでした。ペースを落として慎重に走っていたのですが、残念です」と、ここでリタイアとなった。

 小泉/村山組の脱落により首位に躍り出た三枝/木村組も悪夢に襲われた。SS9のフィニッシュまで約500mの地点で、ミッショントラブルが発生。「石でも噛んだかと思うくらいの衝撃で、そのままガラガラと音が出てどこにもギヤが入らなくなりました……」とリタイア。

 このラリーに向けて、マイナーチェンジ後のトヨタ・GRヤリスを投入した貝原聖也/西﨑佳代子組が首位に躍り出た。だが、その貝原/西﨑組に大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリスDAT)がジリジリと迫ってくる。前夜に降った雨を懸念してウェットセッティングで挑んだ貝原/西﨑組と、天候が回復すると読んでドライセッティングで挑んだ大倉/豊田組の争いは、最終SSでベストタイムをたたき出した大倉/豊田組が貝原/西﨑組を逆転。大倉選手は「午前中のステージは、正直ドライセッティングはハズレかなと思いましたが、バランスは悪くありませんでした。若い選手には勝てないなと思っていたので、最後のベストタイムは自信につながります」と語り、JN-2クラスでは初となる優勝を飾った。

 2位の貝原選手は「最後はセットを外してしまいましたが、100kmのSSを走り切ったことは次のラリーにつながると思います」と次戦を見据えたコメント。3位は「今回、眞貝(知志)監督の代理で来日したTGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ監督に、ペースノートのすべてのコーナーをチェックしていただき、これまでで最も完璧なペースノートで戦うことができました」という大竹直生/橋本美咲組(トヨタ・GRヤリス)が獲得し、TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cupでは開幕戦に続く2連勝を飾った。

JN-2クラス優勝は大倉聡/豊田耕司組(AISIN GR Yaris DAT)。
2位は貝原聖也/西﨑佳代子組(ADVICS多賀製作所K-oneGRヤリスDL)、3位は大竹直生/橋本美咲組(GR YARIS GR4 Rally)。
JN-2クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の貝原/西﨑組、1位の大倉/豊田組、3位の大竹/橋本組。

TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup

TGR MCC1位は大竹/橋本組、2位はジール・ジョーンズ/バイデン・トムソン組、3位は稲葉摩人/竹下紀子組。

JN-3クラス

 JN-3クラスは、初日を首位で折り返した山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)を、2日目の最終セクションで上原淳/漆戸あゆみ組(スバル・BRZ)が激しく追い上げる展開となったが、2.3秒差まで迫ったギャラリーステージのSS11で上原/漆戸組が痛恨のスピン。山本選手は「2日目のコンディションにセッティングをアジャストし切れませんでしたが、ライバルのミスにも助けられ、なんとかトップで帰ってくることができました」と振り返り、開幕戦に続き2連勝を飾った。

 2位の上原選手は、「スピンした挙げ句、エンストもしてしまって……。600mちょっとのSSで11秒も負けてしまいました。林道SSだけなら勝っていただけに、悔しいですね」と課題を語った。3位には、「昨シーズンで全日本をシリーズで追いかけるのは卒業しようと思ったんですけど、今年は6戦出ます。辞める詐欺ですみません(笑)」という曽根崇仁/小川由起組(トヨタ・GR86)が入賞した。

JN-3クラス優勝は山本悠太/立久井和子組(SammyK-oneルブロスYHGR86)。
2位は上原淳/漆戸あゆみ組(埼玉スバル・DL・KYB・シャフトBRZ)、3位は曽根崇仁/小川由起組(P.MU☆DL☆INGING☆GR86)。
JN-3クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の上原/漆戸組、1位の山本/立久井組、3位の曽根/小川組。

JN-4クラス

 これまで二度の全日本チャンピオンを獲得している高橋悟志/箕作裕子組(スズキ・スイフトスポーツ)と、全日本では2勝を挙げている筒井克彦/本橋貴司組(スズキ・スイフトスポーツ)、地元の黒原康仁/松葉謙介組(スズキ・スイフトスポーツ)による三つ巴の戦いとなったJN-4クラスは、SS3で首位に立った黒原/松葉組が2日目も逃げ切り、全日本初優勝。

 黒原選手は「2日目の朝の時点で2番手の選手と3秒差しかなかったのですが、2日目オープニングのSS7が勝負だと思って集中して走ったことが勝利につながったと思います。今まで全日本では、プレッシャーに押しつぶされて勝てそうで勝てない時が何度かありましたが、今回は全然緊張せずに最後までリラックスして走り切ることができました。次は地元以外でも優勝したいです(笑)」と抱負を語る。

 2位の高橋選手は、「初日は難しいコンディションだったので、セッティングだけではなく自分の運転を変えて攻めました。2日目は単純にセッティングミスです。残念ですけど、仕方ない」と悔しさをにじませる。3位は初日の前半を快走した筒井/本橋組が獲得した。

JN-4クラス優勝は黒原康仁/松葉謙介組(itzz YH TCSR AN スイフト)。
2位は高橋悟志/箕作裕子組(ミツバWMDLマジカル冷機スイフト)、3位は筒井克彦/本橋貴司組(TEAM221 DL スイフト)。
JN-4クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の高橋/箕作組、1位の黒原/松葉組、3位の筒井/本橋組。

JN-5クラス

 JN-5クラスは、初日の6SS中4SSでベストタイムを重ねた河本拓哉/有川大輔組(マツダ・デミオ)が、「初日は100%の走りで攻めましたが、しっかりとコントロールできてマージンを築けたのが大きかったです。2日目はそれを消化しながら逃げ切ることができました」と、2日目も首位をキープしながらフィニッシュ。昨年に続き唐津2連覇を達成した。

 SS11を終えて1.6秒差という僅差の勝負となった2位争いは、「開幕戦でトップからクラッシュしてしまったことが頭に浮かんで、2日目の前半は抑え気味になってしまいましたが、最後は自分の走りができました」という中溝悠太/佐々木裕一組(トヨタ・ヤリス)が勝利。「2日目は、リアサスペンションのセッティングを間違えてしまい、前半戦のセクションで苦戦したことが最後まで響きました」という小川剛/山本祐也組(トヨタ・ヤリス)が3位となった。

JN-5クラス優勝は河本拓哉/有川大輔組(DL CUSCO WM TWR OTS TAKATAデミオ)。
2位は中溝悠太/佐々木裕一組(AQTEC KYB DLヤリス)、3位は小川剛/山本祐也組(itzzノアBRIDE DL ANヤリス)。
JN-5クラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の中溝/佐々木組、1位の河本/有川組、3位の小川/山本組。

JN-Xクラス

 JN-Xクラスは、初日のSS3を終えてベテランの清水和夫/山本磨美組(トヨタ・ヤリス)が首位に立つが、今シーズンはターマックラウンドをトヨタ・RAV4 PHEVで挑む天野智之/井上裕紀子組がSS5で清水/山本組を逆転。

 2日目は、SS7で天野/井上組が清水/山本組を一気に引き離すものの、SS9で清水/山本組が差を縮めるという展開となった。天野選手は「このクルマは得意不得意がすごくあるクルマなので、今は得意なステージでなんとか勝負している感じ。今後は、不得意な部分を少しずつカバーできるようにセッティングを進めていきたいです」といいつつも逃げ切り、開幕戦に続き2連勝を飾った。

 2位の清水選手は、「2日目の前半をドライタイヤで行って、後半をウェットタイヤで行ったのが、結果的に大失敗。まったくの逆でしたね。天野選手はミスをしないので、(優勝は)自分からもぎ獲っていかなければならない。次、頑張ります」と次戦に向けて意欲を語る。地元の山北研二/春日美知子組(トヨタ・アクア)が残る表彰台の一角を獲得した。

JN-Xクラス優勝は天野智之/井上裕紀子組(TRT・DL・RAV4 PHEV)。
2位は清水和夫/山本磨美組(SYE YARIS HEV)、3位は山北研二/春日美知子組(美獣DL WM翔恵龍アクア)。
JN-Xクラスのセレモニアルフィニッシュ。左から2位の清水/山本組、1位の天野/井上組、3位の山北/春日組。

PHOTO/CINQ、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、大野洋介[Yousuke OHNO]、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、中島正義[Tadayoshi NAKAJIMA]、山口貴利[Takatoshi YAMAGUCHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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