XCR北海道第3戦XC-2を番場彬/梅本まどか組が制して番場選手は開幕三連勝を達成!

レポート ラリー JAFWIM

2025年7月14日

2月に開幕した2025年XCRスプリントカップ北海道の第3戦が、4カ月以上のインターバルを経て7月4~6日に開催された。今季のXCRスプリントカップ北海道は全6戦のカレンダーが組まれている。2月中にスノーラリー2戦は終了しており、今回の第3戦は10月11・12日に十勝地方で行われる最終第6戦まで続く、グラベルラリー4連戦の幕開けとなった。

2025年XCRスプリントカップ北海道 第3戦
(2025 ARKラリー・カムイ内)

開催日:2025年7月4~6日
開催地:北海道ニセコ町、京極町、倶知安町、真狩村、蘭越町周辺
主催:ARK

 シリーズ中盤の二連戦が、JAF全日本ラリー選手権と併催されるかたちもすっかり定着しており、今回の第3戦も2024シーズン同様、全日本第5戦「2025 ARKラリー・カムイ」に併催され、全日本と全く同じアイテナリーの下で走る102.37km、11本のSSが勝負の舞台となった。

 全日本併催ラリーにスポット参戦するクルーと車両が注目を集めるのも、XCRスプリントカップ北海道(XCR北海道)の話題のひとつで、昨季の第3戦でもマツダCX-5のスポット参戦などが話題になったが、今季もラリー・カムイからXCR北海道に挑むクルーたちがラリーに花を添えた。

昨季の第4戦「RALLY HOKKAIDO」でXC-2クラスからデビューを果たした、哀川翔氏が総監督を務めるFLEX SHOW AIKAWA Racingの三菱・トライトンが今季は第3戦から登場。川畑真人/中谷篤組がリタイアに終わったトライトンデビュー戦のリベンジに挑む。2023シーズンのRALLY HOKKAIDOでXC-2を制している川畑選手は、ラリー・カムイ初参戦となる。

 一足先に昨季のラリー・カムイでデビューした竹岡圭選手率いる圭rally projectのトライトンは二季連続でXC-2に参戦。そして、三菱自動車がこの2台を技術支援することがラリー前に発表されたこともあって、その速さに注目が集まった。

 また、K-one Racing TeamはXC-2にトヨタ・ランドクルーザー250でエントリー。ダカールラリーで数々の実績を残してきた三浦昴選手がドライバーを務めることもあって、XCR北海道初挑戦となるこのチームもラリー前から高い関心を集めた。

2025年XCRスプリントカップ北海道 第3戦は、2025年JAF全日本ラリー選手権 第5戦「2025 ARKラリー・カムイ」との併催。年々熱量が上がっているXCR北海道だが、スポット参戦組が更に盛りあげた。写真左上からXC-2クラスに参戦した三菱・トライトン勢の竹岡圭/山田政樹組(圭rp×TOYOTIRE×三菱トライトン)と川畑真人/中谷篤組(FLEX翔TOYOTIRESトライトン)、左下はXC-2にトヨタ・ランドクルーザー250で挑んだ三浦昂/羽琉組(K-one TOYO ATランクル250)。他カテゴリーからの参戦も盛んで、右下のスズキ・ジムニーシエラを駆ってXC-3クラスにフル参戦しているのは、ともに川畑選手と同じドリフトドライバーの藤野秀之/玉城詩菜組(WISTERIA TY ジムニーシエラ)。第2戦で勝利を挙げ、二連勝を狙う。

XC-2クラス

 上記した3クルーを含む7クルーが挑んだXC-2は、スノーラリーで二連勝したランキングトップで、ディフェンディングチャンピオンでもあるドライバーの番場彬選手と、コ・ドライバーの梅本まどか選手が駆るトヨタ・ハイラックスがスタートダッシュを決める展開となる。

「道が荒れる2ループ目で勝負を賭ける走りは避けたかったので、1ループ目からプッシュしました」と、ラリーを組み立てた番場/梅本組は、まずSS1で川畑/中谷組を15.3秒差で下すスーパーベストをマーク。川畑/中谷組はSS2では3.9秒、SS3でも3.4秒差で番場/梅本組に食らいついたが、トップを奪うことはできず、前半の3SSで22.6秒のビハインドを負ってしまう。

 それでも川畑/中谷組はギャラリーステージとなったSS4で今回のラリー初のベストタイムをマークして反撃の狼煙をあげたかに見えた。だが午後の2ループ目に入ると、番場/梅本組はいずれも再走となった3本のSSでコンディションが悪化したにも関わらず、全てタイムアップを果たしてベストを連取。対する川畑/中谷組はどのSSでもタイムを上げることができず、その差は広がる一方。結局、5日のレグ1を終えた時点で番場/梅本組は、川畑/中谷組に1分11秒3のマージンを築いてラリーを折り返すことになった。

 6日のレグ2は、16.24kmの新ステージ、“SUNFLOWER”が控えるなど、最後まで気が抜けない一日となったが、この最初のSUNFLOWERとなったSS8で川畑/中谷組がコースオフ。コースに復帰できたもののクラス最下位タイムに終わり、6番手まで順位を落とす結果となってしまう。一方、番場/梅本組はペースキープに徹した走りでこの日もトップを堅持。川畑/中谷組に代わって2番手に浮上した浅井明幸/古川和樹組が操る三菱・エクリプスクロスPHEVに、最終的に5分以上の大差をつけて快勝した。

 開幕三連勝達成の番場選手は、「昨日の内にマージンをつくって、未知のステージが控える今日は無理をしないで逃げ切るという、作戦どおりのラリーができました。昨日の2ループ目は、あそこまで道が荒れてしまうと、ギャップのいなし方やかわし方が問われるステージになったと思うので、カムイの経験値があった分、自分の方がタイムを稼げたんだと思います」と勝因を一言。

 続けて「今回に関しては、路面との相性も自分のクルマ&タイヤのパッケージの方が合っていたと思いますが、RALLY HOKKAIDOの路面はまた別ですから。川畑選手のパッケージが速さを見せてくる路面もあると思うので、警戒して戦っていきたいです」と、開幕4連勝への意気込みを見せた。

 川畑/中谷組は、レグ2でもSS9でベストを奪うなどトライトンの速さを垣間見せたが、最終的に5位でフィニッシュ。「トライトンらしい動きを感じながら走ることができました」と語った川畑選手は、「クルマが軽く感じられるような運動性能を持っているし、ガンガン攻められる走破性もあるんですが、タイムに繋がられなかったのが残念。もちろん今回のタイム差は納得できるものではないので、見えてきた改善点を次戦までにできるだけ詰めていきたいと思います」と振り返った。

 リタイアに終わった昨季のリベンジを果たして2位入賞の浅井/古川組は、「今回から換えたLT(ライトトラック)用のタイヤが、重いエクリプスクロスにマッチしてくれました。タイヤの外径を小さくしたことで、加速感も良くなりました」と手応えを感じた様子だった。

 レグ2後半で車両の不調に見舞われた竹岡/山田政樹組を、SS10でパスした羽根田琴/星野杏組のハイラックスが3位を獲得。「前戦のスノーラリーから時間が空いてしまったこともあって結構、昨日は悩んだ一日となりました。今日は気持ちを切り換えたら、軽快に走れてタイムも出せたので、成長を実感できた一日になりました」と振り返った羽根田選手は、第2戦の2位に続くトップ3フィニッシュとなった。

 ランクル250を駆った三浦/羽琉組は6位でフィニッシュ。「ダカールに比べたら道は凄く良かったです(笑)。狭い道は慣れないでしょうとも言われたけど、実はダカールでもTVに映らないだけで、これくらいの幅の道は走るので、そんなに神経は使わなかったです」と、三浦選手は感想を語った。

 更に「クルマがまだほぼノーマルなので、今回は電子制御系を中心としたクルマの動きの習熟に努めたラリーになりました。ただ、足回りはそんなに心配していないし、トラクションも問題ないので、次戦までに改善できることを対策して速さに繋げていきたいですね」と今後に向けた抱負を明かした。

トヨタ・ハイラックスを駆る番場彬/梅本まどか組(CUSCO YHジオランダー HILUX)は圧倒的な強さでXC-2を制した。
XC-2の2位は三菱・エクリプスクロスPHEVをドライブする浅井明幸/古川和樹組(TY北海道三菱エクリプスクロスPHEV)が獲得(左)。番場/梅本組のチームメイトで同じくハイラックスを操る羽根田琴/星野杏組(CUSCO ダンロップ HILUXレボ)が3位に入った(右)。
XC-2はトップ3が表彰を受けた。左から2位の浅井/古川組、優勝した番場/梅本組、3位の羽根田/星野組。

XC-3クラス

 6クルーが参戦したXC-3クラスは、スノーラリー二連戦でも好バトルを展開したスズキ・ジムニーシエラを駆る藤野秀之/玉城詩菜組と、スズキ・ジムニーを操る奈良裕/花田圭一組がSS1から抜け出して優勝争いを繰り広げた。SS1から三連続ベストをマークした奈良/花田組が一時は16.5秒のリードを築くが、「1ループ目は刻々と変わる路面に苦労しました」と明かした藤野/玉城組がSS4から反撃を開始。

 SS6まで三連続ベストであがって奈良/花田組を逆転、2秒差でトップに立つ。奈良/花田組はSS7で再逆転を狙うも、SS中盤でタイヤトラブルにより手痛いタイムロス。藤野/玉城組との差は27.2秒まで広がってしまう。

 レグ2を迎えて「タイヤ的には自分達の方が有利な路面だと思う」と、逆転を期してスタートした奈良/花田組だったが、この日も藤野/玉城組は連続ベストをマーク。最終的には1分14秒4のリードで奈良/花田組を振り切って二連勝を飾った。

「今日は攻めつつ、攻めてはいけないところは大事に走るという走り方に徹しました。攻めすぎるとラリーは完走できないことを、このシリーズで学んだので(笑)」と振り返った藤野選手。続けて「ドラもコ・ドラもやっとラリーに慣れてきたな、と実感できた一戦でした」と安堵の表情を見せた。

 二戦続けて藤野/玉城組の後塵を拝したかたちとなった奈良選手は、「昨日の後半はパンクで遅れてしまいましたけど、藤野選手のジムニーにはちょっと追いつけない感じがあったので、RALLY HOKKAIDOに向けて色々と調整しないといけないですね」と昨季、XCR北海道初優勝を飾ったラリーに向けて気合を入れ直していた。スノーラリーではトップ2クルーに迫る速さを見せた、ダイハツ・ロッキーをドライブする相原泰祐/上原あずみ組は、今回のラリーでは勝負に絡めず3位で終えることになった。

藤野/玉城組はXC-3で二連勝を果たして、王座争いのリード拡大に成功した。
奈良裕/花田圭一組(トライバルスポーツ・ラリー ジムニーTY)がスズキ・ジムニーをドライブしてXC-3で2位入賞(左)。ダイハツ・ロッキーを操る相原泰祐/上原あずみ組(D-SPORT Racing ロッキー)が3位に入った(右)。
XC-3もトップ3が表彰された。左から2位の奈良/花田組、優勝した藤野/玉城組、3位の相原/上原組。

フォト/大野洋介[Yousuke OHNO]、小竹充[Mitsuru KOTAKE] レポート/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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