ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組が圧倒的速さで北の大地を駆け抜けた!
2023年9月19日
9月8~10日に北海道帯広市郊外の北愛国交流広場を拠点に開催された全日本ラリー選手権 第7戦「RALLY HOKKAIDO」。シリーズ終盤戦で各クラスのタイトル争いが佳境を迎える中、TOYOTA GAZOO Racing WORLD RALLY TEAM(TGR-WRT)代表であるヤリ-マティ・ラトバラ選手が、ユホ・ハンニネン選手とコンビを組んでJN1クラスに参戦、初優勝を遂げた。
2022年FIA International Rally
2023年JAF全日本ラリー選手権 第7戦
2023年XCRスプリントカップ北海道 第5戦
RALLY HOKKAIDO
開催日:2023年9月8~10日
開催地:北海道帯広市、陸別町、足寄町、池田町、音更町周辺
主催:AG.MSC北海道
第6戦「ARKラリーカムイ」から約2か月のインターバルで開催された今回の「RALLY HOKKAIDO」。初日に、このラリーではWRC開催時代からおなじみとなっているギャラリーステージのSS1/4/7「RIKUBETSU LONG」(4.63km)や20kmを越えるロングステージのSS2/5/8「YAM WAKKA」(23.49km)、道幅が広く良質なグラベルステージのSS3/6「PAWSE KAMUY REVERSE」(9.81km)の計8SS(103.98km)を設定。
2日目は、SS9/12「OTOFUKE REVERSE」(6.12km)と、現在は使用していない池田町の町営野球場を利用する新たなギャラリーステージとして設定されたSS10/11「SSS IKEDA」(0.50km)の計4SS、2日間合わせて12SS(SS総距離117.22km)のラリーとなった。
開催直前にまとまった雨が降ったこともあり、SS2/5/8「YAM WAKKA」は前半の約8kmまでがウェットコンディションとなり、2日目のSS10「SSS IKEDA」も前日の夜に降った雨の影響によりマッド状態となったが、その他のステージはハーフウェットからドライ路面という良好な路面コンディションの中での戦いだ。
また国際格式のインターナショナルクラスと、北海道で開催されるスノーやグラベルラリーを対象に開催されているXCRスプリントカップ北海道も併催され、総勢75台が出場。8日には帯広駅前の平原通りを一部封鎖してラリーショーやセレモニアルスタートが開催され、陸別ステージと池田ステージではモリゾウ氏ことトヨタ自動車の豊田章男会長がGRヤリスラリー1で、元WRCチャンピオンのユハ・カンクネン氏がヤリスWRCでデモランを行うなど、3日間合わせて多くの観客が足を運び、大会を満喫する様子がうかがえた。
JN1クラス
ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組が出場することで話題となったJN1クラスは、そのラトバラ選手がSS1から世界基準の速さを披露。初日に設定された8SSすべてでベストタイムを重ね、2番手に1分52秒もの大差で初日を折り返した。
一方、タイトル争いの渦中にいる勝田範彦/木村裕介組(トヨタ・GRヤリスJP4-ラリー2)は、シリーズランキングトップのヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(シュコダ・ファビアR5)に36秒差をつける2番手、シリーズランキング2番手の福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアR5)は、ラリー序盤からサスペンションアームを曲げてしまうトラブルが相次ぎ、首位から5分13秒5差の6番手と苦戦を強いられている。
ラリー2日目、池田町のギャラリーステージSS10「SSS IKEDA 1」は前夜に降った雨の影響で路面がマッド化となり、ベストタイムは路面が乾き始めた時間帯に走行したXC-2クラスやJN5クラス、JN4クラスの選手が総合4番手まで占めたが、ラトバラ/ハンニネン組はクラスベストとなる総合5番手のタイムをマーク。その他のSSは初日と同じく総合ベストタイムを重ね、2位の勝田/木村組に2分16秒4差をつけ、総合トップとなるJN1クラス優勝を果たした。
「ラリー北海道は、WRCラリージャパンの時代を含めて2回出場していますが、2006年はグループNクラスで優勝争いをしながらも最終日にコースオフ、2007年もコースオフでリタイアという結果でした。今回、最後まで走りきって優勝できたことが非常にうれしい」と、ラトバラ選手。3度目の挑戦でリベンジを果たした。
2位に勝田/木村組が入賞し、初日3番手のコバライネン/北川組もポジションを守って3位でフィニッシュ。シリーズ2番手の福永/齊田組はSS9を走り終えた時点でふたたびサスペンショントラブルに見舞われてリタイアという結果に終わり、最終戦を待たずしてコバライネン/北川組の2年連続チャンピオンが確定した。
JN2クラス
JN2クラスはコ・ドライバーの東駿吾選手が前戦の第6戦でタイトルを確定、またドライバーの奴田原文雄選手もシリーズ2番手の山田啓介選手がこのラリーをスキップしたことで、ラリーが始まる前に奴田原選手のタイトルが確定した。
そしてラリーは、その奴田原/東組(トヨタ・GRヤリス)が、初日からクラスベストタイムを連発。2日目のSS10「SSS IKEDA1」ではパイロンタッチのペナルティ1分が加算されながらも、2位に2分43秒4の大差をつけ、今季5勝目を飾った。
また、初日2番手につけていた石川昌平/大倉瞳組(トヨタ・GRヤリス)は、2日目のSS9でマシントラブルが発生しストップ。なんとか再スタートするものの、最終SSでふたたびマシントラブルが発生し、TC12Aでタイムアウトとなってリタイア。この石川/大倉組のトラブルにより、SS9で川名賢/前川冨哉組(トヨタ・GRヤリス)が2位に浮上し、フィニッシュ。3位には三枝聖弥/船木一祥組(スバル・WRX STI)が入賞した。
JN5クラス
JN5クラスは、SS5でシリーズランキングトップの大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリス)と、SS4を終えて3番手につけていた十勝出身ドライバーの笠原彰人/宗片さおり組(トヨタ・ヴィッツ)が相次いでコースアウトという波乱の展開となる。
そんな中、前戦のカムイで全日本初優勝を飾った松倉拓郎選手、そして山田真記子選手のクルー(マツダ・デミオ15MB)が快走。初日トップの座を2日目もしっかりと守り切り、2位の小川剛/松本優一組(トヨタ・ヤリス)に54.4秒差をつけ、グラベルラウンド2連勝を飾った。
また、九州のベテランドライバー同士の対決となった3位争いは、これまで全日本チャンピオンを3回獲得している原口真選手と、亀森隆志選手のクルー(トヨタ・ヴィッツ)が三苫和義/遠藤彰組(ホンダ・フィットRS)を3.6秒差に抑え、表彰台を獲得した。
この結果、今回ノーポイントで終わった大倉選手が、最終戦で松倉選手と同点に並ぶ可能性はあるものの、選手権規定の「上位得点の獲得回数が多い順」により、最終戦を待たずして松倉選手が全日本チャンピオンを確定させることとなった。
JN3クラス
JN3クラスでは、林道ステージで速さをみせた加納武彦/横手聡志組(スバル・BRZ)が初日をリードする。だが、路面がマッド化した2日目のSS10「SSS IKEDA 1」で、2番手につける山本悠太/立久井和子(トヨタ・GR86)が、わずか500mのステージで18.9秒差を一気に逆転。
最終SSで加納/横手組が反撃するものの3.9秒届かず、山本/立久井組が今季5勝目を挙げた。2位に加納/横手組、そして2位に19.1秒差でベテランの曽根崇仁/竹原静香組(トヨタ・GR86)が3位入賞した。
JN4クラス
シリーズランキング2番手の内藤学武/大高徹也組(スズキ・スイフトスポーツ)がSS1から快走したJN4クラス。初日最終ステージとなるSS8は、第6戦カムイを制した香川秀樹/松浦俊朗組(ホンダ・シビック)がベストタイムを奪い一矢を報いるものの、その香川/松浦組に50.1秒の差をつけた内藤/大高組が初日首位で折り返した。
2日目に入っても内藤/大高組の勢いは止まらず、池田町の旧野球場のSSS以外は2本の林道ステージでベストタイムをマーク。香川/松浦組に1分以上の差をつけ、今季2勝目を挙げた。2位には香川選手/松浦選手が入賞。
そして初日の後半戦まで3番手争いを展開していた東隆弥/大橋正典組(スズキ・スイフトスポーツ)がSS6でコースアウト、小舘優貴/福田智治組(三菱・ミラージュ)がSS7でドライブシャフトを破損してリタイアと相次いで戦列を離脱。全日本ラリー初挑戦の井之上優/立久井大輝組(ホンダ・インテグラ)が3位表彰台をつかんだ。
JN6クラス
JN6クラスは、すでに今シーズンのチャンピオンを確定させている天野智之/井上裕紀子組が、ラリー北海道でも快走。マッドな路面にJN1クラスやJN2クラスのドライバーが四苦八苦したSS10での総合12番手というタイムを含め、2日間すべてのSSでベストタイムをマーク。今シーズンの開幕戦から無傷の7連勝を達成した。
初日2番手の中西昌人/山村浩三組(ホンダ・CR-Z)が、2日目もしっかりとポジションを守って2位に入賞、初日3番手の福島賢大郞/原田晃一組(トヨタ・アクア)が2日目のSS9でコースアウトし、粘りの走りをみせたベテランの清水和夫/古川智崇組(トヨタ・ヤリスHEV)が3位に入賞した。
国際格式クラス
XCRスプリントカップ北海道 XC-2クラス/XC-3クラス
フォト/CINQ、遠藤樹弥、小竹充、中島正義、山口貴利 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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