4季目も盛況のXCR北海道は表彰式で参戦クルーを称え、来季の更なる飛躍を発表!
2025年10月23日
北海道の大自然に伸びる道を舞台にスノーとグラベル、二つの路面で競われた2025年XCRスプリントカップ北海道。陸別町が舞台となった第6戦「とかち2025」が終わった10月12日に、隣の帯広市内に建つ森のスパリゾート北海道ホテルにて今季の表彰式が開催された。
XCRスプリントカップ北海道
2025年シリーズ表彰式
開催日:2025年10月12日
開催地:森のスパリゾート北海道ホテル(北海道帯広市)
主催:XCRスプリントカップ北海道事務局
今季のXCR北海道は、9月下旬に開催が予定されていた第5戦「RALLY EAST-IBURI 2025」が悪天候により中止となったため、当初の予定から1戦減った5戦のシリーズとなった。まず2025年JAF北海道ラリー選手権と併催された序盤2戦はスノーラリーで競い、2025年JAF全日本ラリー選手権の第5戦「2025 ARKラリー・カムイ」と併催した第3戦からはグラベルラウンドへと突入した。
全日本第6戦「RALLY HOKKAIDO」と併催となった第4戦では今季最多の22クルーがエントリー。3クラスに分かれて激戦を展開した。そして、表彰式と同じ週末に開催された北海道ラリー第6戦と併催、事実上の5戦目となる第6戦にも、昨季のこのラリーから5クルー増となる13クルーが3クラスに集い、今季最後のグラベルバトルに興じた。
最速の座を競うXC-2クラスでは、2024シーズンはグラベルラウンドから参戦を開始した、トヨタ・ハイラックスを駆る番場彬選手が今季は開幕第1戦から参戦。同じCUSCO RACINGでハイラックスをドライブする羽根田琴選手と、三菱・エクリプスクロスPHEVを武器に参戦を続ける浅井明幸選手とともに全5戦フル参戦を果たしてシリーズを盛りあげた。
今季も話題を集めたXC-2のスポット参戦組は川畑真人/中谷篤組が昨季、デビューを果たした三菱・トライトンを武器に全日本と併催の2戦に参戦。また、ダカールラリー市販車部門での活躍で知られる三浦昴選手はトヨタ・ランドクルーザー250のラリーカーを仕立てて第3戦でデビューさせた他、第4戦では寺川和紘/石川美代子組がデビュー戦のマツダCX-60で快走を見せるなど、バラエティに富んだクラスとなった。
また国外からの参戦で話題を集めたタイのMana PORNSIRICHERD/Kittisak KLINCHAN組はハイラックスを駆って開幕戦と終盤の2戦に参戦。竹岡圭/山田政樹組はトライトンを武器にグラベルラウンド3戦全てに挑み、2クルーともに準レギュラーといえる活躍を見せた。
これまで塙郁夫選手がトヨタ・ライズを駆って王座を守ってきたXC-3クラスは、塙選手が参戦を休止したこともあり、スズキ・ジムニー勢が台頭。JAF日本ドリフト選手権D1グランプリシリーズでも活躍するドリフターコンビ、藤野秀之/玉城詩菜組と、昨季のRALLY HOKKAIDOでデビューウィンの快挙を見せた奈良裕/花田圭一組の2クルーを軸としたバトルがシーズンをとおして展開された。また、XC-1クラスは惣田政樹/猿川仁組のみの参戦が続いたが、1シーズンで3種類のラリーカーを投入、それぞれのラリーで見せ場をつくった。
10月12日午後7時から始まった表彰式には、その数時間前まで最終戦を戦っていたクルー達がラリーの本拠地だった陸別町から移動して出席した。北海道ホテルはシリーズ創設時から表彰式会場としてお馴染みだったが、2023シーズン以来となる舞台となった。
式典は、冒頭に今季を振り返るダイジェスト映像が流された後に、XCR 北海道の小池治郎事務局長による開会の挨拶で幕を開けた。続いて株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント営業企画本部事業管理部事業創造室の室長である、高橋秀利氏が来賓を代表して挨拶。そして、横浜ゴム株式会社タイヤ消費財商品企画部課長補佐である内山貴史氏による音頭で乾杯が行われた。
表彰はXC-1から始まり、今季を通してクルーを組んだ惣⽥選手にドライバー部門、猿川選手にコ・ドライバー部門のチャンピオンカップが贈呈された。
続くXC-2ではまず5戦全勝の快挙を達成した番場選手にドライバー部門のチャンピオンカップが手渡された。番場選手はXCR北海道が始まった2022シーズンから続く4連覇を見事に成し遂げた。浅井選手が2位、羽根田選手が3位、そしてPORNSIRICHERD選手が4位で表彰を受けた。
最終第6戦までチャンピオン決定が持ち越されていたコ・ドラ部門は、第2戦を除く4戦で番場選手のサイドシートに座り、最終戦で優勝を飾った梅本まどか選手がチャンピオンカップを受け取った。梅本選手は初のチャンピオン獲得だ。浅井選手のコ・ドラを務めた古川和樹選手が2位、PORNSIRICHERD選手とクルーを組んだKLINCHAN選手が3位で表彰を受け、スノー2戦で羽根田選手と番場選手のコ・ドラを務めた藤田めぐみ選手が4位に入賞した。
XC-3クラスは、第2戦から4連勝を飾った藤野選手がドライバー部門のチャンピオンカップを手にした。最終戦で今季2度目の2位を獲得した相原泰祐選手がシリーズでも2位に入り、開幕戦を制した奈良選手が3位で表彰を受けた。コ・ドラ部門では藤野選手と同じく、D1GPとの二刀流に挑んだ玉城選手が藤野選手と組んで4勝を挙げて、ともに初のXCR北海道チャンピオンに輝いた。相原選手のコ・ドラを務めた上原あずみ選手が2位、奈良選手と組んだ花⽥選手が3位で表彰された。
式典の最後ではオーガナイザーを代表して札幌市のJAF公認クラブ、AG.メンバーズスポーツクラブ北海道(AG.MSC北海道)の新井野恵美子理事が挨拶し、恒例となっている2026シーズンのカレンダー(予定)を発表。来季は本州での2戦を含む全7戦のシリーズとなることが発表され、会場はどよめきに包まれた。
また、津軽海峡を越えて2戦が行われることから、名称も新たに『XCRスプリントカップシリーズ』となることも併せて明らかにし、スケールアップされる来季への期待感が高まる中、表彰式は盛況のうちに終了した。
なお後日、XCR北海道の公式ホームページで、来季序盤のスノーラリー2戦と道内で開催されるシリーズ外の一戦において、ロールバーなどが不要なチャレンジクラスの設定を検討中であることも明かされた。創設以来、シーズンを追うごとに盛りあがりを見せてきたXCR北海道、来季は更なる盛況が期待されるところだ。
2025年XCRスプリントカップ北海道チャンピオンインタビュー
惣田/猿川組は今季、スノーラリー2戦はランクル70で戦い、第4戦でまず先代デリカD:5を投入した後、最終戦で現行デリカD:5をデビューさせて話題を提供し続けた。ドライバーの惣田選手は「今年は参加した4戦全て無事にゴールまで辿り着けたことが、まず嬉しいです。自分はこのシリーズに少しでも多くの人に出てもらいたいので、まずはこの競技の裾野を広げるべく参加しています。その意味でもクローズドクラスのようなクラスができれば、もっと多くの人々が参加してくると思うので、ぜひ検討をお願いしたいですね」と話したが、そのアイデアは早速、チャレンジクラスとして実現することになりそうだ。コ・ドラの猿川選手は、「このシリーズに関係された全ての人に、まずは感謝したいと思います。今年は全体の台数も増えてきましたが、来年は大会の数も増えるので、また楽しみです。このシリーズがもっと盛りあがればいいな、と思っているので来年もよろしくお願いします」と、来季に向けての希望を語った。
見事、XC-2ドライバー部門V4達成の番場選手は久々のフル参戦を果たし、5戦全勝と最高の結果を残した。しかし、「まだ自分にも伸びしろがあると再確認できた一年でした(笑)」とのことだ。「今年もライバルの車両が速くて昔、APRC(FIAアジア・パシフィックラリー選手権)に出ていた時に身につけたテクニックを、引き出しから出してこないと勝てないようシンドイ年でした。ただそれを出した時に、“ハイラックスってまだこんな運転もできるんだ”という発見もあって、クルマの動かし方などでも学びが多い一年でしたね。来年はチームの地元の群馬でも大会があるので、今からすごく楽しみです」とのことで、5連覇にも期待大だ。一方、初チャンピオン獲得となったコ・ドラの梅本選手は、「番場さんの4連覇もかかっていたので最初はプレッシャーもありましたが、ラリーを追うごとに車両にも慣れて、番場さんとの息も合ってきたので、色んなことが学べて楽しい一年でした。ハイラックスは、今まで乗ってきたヤリスとは視界も感じる挙動も全然違うので、ペースノートの作り方・読み方も変わってきて大変でしたが、大きくて丈夫な車両ということで、ちょっとした安心感もありましたね。仲間意識の強い和気あいあいとした、このシリーズの雰囲気も楽しかったです」と今季を振り返った。
ドリフト界では確固たる地位を築いている藤野選手だが、ラリーの世界は今季から本格的な挑戦を開始、いきなり王座獲得とD1GP王者の実力を見せた。「コ・ドラもラリー初心者だったので、二人でラリーの楽しさも含めて色々なことを一から経験しながら追いかけたシーズンでした。でも振り返ってみると凄く勉強できて、めちゃくちゃ楽しい一年でしたね。セッティングも毎戦必ず変えるようにしましたが、ドリフトとは違うので、ジムニーの方々から頂いたアドバイスが凄く参考になりました。やっぱりセットが決まって勝てた時の嬉しさは、ドリフトと同じものがありましたね」と、充実したシーズンを戦えた様子。ドリフト界では師匠となる、藤野選手のコ・ドラを務めた玉城選手は、「ドライバーさんが活躍する姿を凄く間近で見れたのが、いい経験になりました」とのことだ。「回を追うことに、できることが増えていってその分、余裕がつくれたので、ノートのつくり方を含めて成長できたと思います。普段はドライバーをやっていますが、ラリーではドライバーを支えるコ・ドライバーという仕事に惹かれるものがありました。いつか自分の出身地の沖縄で、最終戦を開催してもらえたら嬉しいですね(笑)」とシリーズの更なる拡大に期待を膨らませていた。
<XCRスプリントカップ北海道ホームページ>
https://www.xcr-h.com/
フォト/田代康[Kou TASHIRO] レポート/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



