小出峻選手がオートポリス大会2連勝、チャンピオン候補としてもてぎ大会へ駒を進める
2022年10月20日

九州のオートポリスで10月1~2日に第6大会・第11戦と第12戦が開催された、激戦続くFIA-F4選手権。予選/決勝ともにコンディションに恵まれた一方で、予選では赤旗が2度も出て、決勝もセーフティカー(SC)が何度も導入され、全員が全員、本領を発揮できたかは定かではない展開となった。
2022 FIA-F4選手権シリーズ 第11戦/第12戦
(2022 SUPER GT Round7内)
開催日:2022年10月1~2日
開催地:オートポリスインターナショナルレーシングコース(大分県日田市)
主催:株式会社GTアソシエイション、APC、株式会社オートポリス
レースウィークの走行開始となった木曜日は天候が不安定。専有走行は2回行われたが、1時間のセッションをドライタイヤ通しで走ることは一度も許されず。金曜日になってようやく終始ドライコンディションが保たれたが、季節外れの暑さによって全体的にタイムはコースレコードに遠く及ばなかった。
土曜日早朝に行われた予選では2度も赤旗が出され、最後は8分ほど計測時間を残していたにもかかわらず終了が告げられる。中断前後にまともに走れたのは、誰もが2周ずつでしかなかった。しかし、そういう状況だったからこそ、ドライバーの実力、組み立てのうまさが結果に表れていた。
30分ずっと走り続けていれば当然ラバーが路面に乗り、表面上の砂埃などが飛んでコンディションは向上する。しかし、そう容易くいかないことを見越し、早めにアタックをかけてまずはタイムを置きに行く。その上で徐々にタイムを詰めていくのがセオリーながら、果たせずとなれば、再開後はわずかに残ったタイヤの温もりを信じて、いきなりプッシュする。これができたドライバーが上位に、しかも普段とほとんど変わらぬ面々が並んでいた。
第11戦、第12戦ともにトップ3の顔ぶれは変わらず。荒川麟選手と三井優介選手を抑えて、小出峻選手がベストタイム、セカンドベストタイムとも唯一1分52秒台で他を圧倒。これにより12戦中8戦でポールポジション(PP)獲得となった。
「これまでFIA-F4で自分が学んできたことを、しっかり発揮することだけを考えて予選に臨みました。2戦ともにPP獲得は、手を抜かずにやれるだけのことをやった結果です。決勝でも同じように自分の力をしっかり発揮することができれば、最後までトップを守れると思います」と小出選手は力強く語っていた。
第11戦決勝はグリッドを見誤ったドライバーがいたため、スタートディレイとなった。集中力を欠きかねない事態に、仕切り直されたスタートでは「反応は良かったのに、温度が高かった影響なのか、路面に張りつく感じがして……」と小出選手は一瞬出遅れる。荒川選手に並ばれてしまうも、しっかりイン側のラインをキープして一歩も引かず。
直後の第1ヘアピンで接触があってSCが導入されるも、それぞれ自走可能だったこともあり、1周でSC先導は解除される。リスタートのうまさには定評がある小出選手は、荒川選手を寄せつけなかった。リードが1秒に達した6周目、今度は第2ヘアピンでアクシデントが発生し、SCがまたもや導入されて、今度は3周の先導となる。
2度目のリスタートも決めた小出選手がそのまま逃げ切って7勝目を挙げた。荒川選手は1秒と遅れず続いてゴールしたものの、「このコースはとくにタイヤに厳しく、タイヤのマネジメントが鍵になってくると思っていたので、後ろから仕掛けられない距離を常に保ちつつ、タイヤを守る走りを心がけていました」と小出選手。
3位は中村仁選手や小林利徠斗選手、岩澤優吾選手を背後に置くも、最後までポジションを守り抜いた三井選手が獲得した。そしてインディンペンデントカップでは、昨年のチャンピオンのHIROBON選手が久々に参戦して優勝を飾っている。





日曜日に行われた第12戦決勝も、再びスタートディレイとなった。8番手からスタートするはずだった小林選手が、フォーメーションラップでオイルをグリッド上に撒いてしまったためだ。その処理には25分を要すとともに、またSCスタートでのレース開始に切り替えられる。
「SCスタートに関しては幸いなことに、PPからたくさんやらせてもらっているので、そこには自信がありますし、SCスタートと聞いた時には80%ぐらい勝てると思っていました」と語る小出選手。
もちろんトップをキープしたままレースをスタートした小出選手は、ここで逃げ足の速さを見せつけた。リードを広げてなお、少しもアクセルを緩めることなく、約4秒差の圧勝で「昨日とは違って独走で勝てたのは自分でも満足しています。その時できることの最大限を引き出せました」と小出選手。
2位の荒川選手も終始単独走行。その後方では序盤こそ岩澤選手の追随を許していた三井選手だったが、終盤にはしっかり引き離していた。またインディペンデントカップでは、DRAGON選手が昨年の第10戦SUGO以来となる優勝を挙げている。すでにチャンピオンを確定させている鳥羽豊選手は、予選のコースアウトが響いて今大会は2戦とも5位に留まっていた。
今大会の結果によって、チャンピオン候補は小出選手と三井選手のふたりに絞られた。その差は14ポイント。これを「たかが」と思うか「されど」と思うかで、ふたりに残る最終大会で有利・不利が分かれるのではないだろうか。





フォト/遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部