2年連続王者の貫禄! 野尻智紀選手が速さも強さも見せつけて今季初優勝
2023年4月14日

全日本スーパーフォーミュラ選手権は1大会2レース制で2023年の開幕ラウンドが行われた。その2レース目となる第2戦は、ディフェンディングチャンピオンの野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が予選から速さを発揮。2番手に大差をつけてシーズン2度目のポールポジションを獲得すると、ポール・トゥ・ウィンで今季初優勝を飾った。
2023年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦
開催日:2023年4月9日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C
全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦
前日以上に青い空が広がった富士スピードウェイで第2戦が開催された、全日本スーパーフォーミュラ選手権。開幕戦では多くのマシンが接触アクシデントなどでダメージを負い、各チームは夜遅くまで修復作業に追われていたが、その甲斐あって第2戦の公式予選には全22台が出場できることとなった。
今回は通常通りのノックアウト方式が採用され、第1戦終了時点のドライバーランキングをもとにQ1の組み分けが実施。予選でフロントローを分け合った野尻選手と宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM'S)はそろってA組、開幕戦ウィナーのリアム・ローソン選手(TEAM MUGEN)はB組に出場した。
A組の予選では野尻選手がトップタイムを獲得。早めにコースインして2周連続アタックを試みた宮田選手は1000分の25秒差まで近づいたが、逆転とはならなかった。以下、山下健太選手(KONDO RACING)、坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)、牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)までがQ2に駒を進める。
B組はローソン選手がトップタイム。A組が出走後、コースコンディションも向上したのか、野尻選手のタイムを0.5秒も上回ってみせ、前日に続くTEAM MUGENの好調さをうかがわせた。ここに阪口晴南選手(P.MU/CERUMO・INGING)、大湯都史樹選手(TGM Grand Prix)、福住仁嶺選手(ThreeBond Racing)、小林可夢偉選手(Kids com Team KCMG)、山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)が続く。
Q2に進む全12台が決定すると、早速、野尻選手がQ2トップタイムを決め、昨年の第9戦から4戦連続となる通算15回目のポールポジション獲得となった。続いて宮田選手、大湯選手がトップ3に入り、注目のローソン選手は4番手。以下、坪井選手、山下選手と続いた。

予選からわずか4時間のインターバルをはさみ、決勝レースがスタート。昨日に続いて抜群のスタートを切ったのは大湯選手で、ポールシッターの野尻選手もかわしてオープニングラップでトップに躍り出た。後続は野尻選手、宮田選手、坪井選手、山下選手というオーダーで、ローソン選手はややポジションを落として6番手。
宮田選手はスタートで大湯選手にかわされて3番手に後退した後もペースが上がらず、じわじわとポジションを下げていってしまう。8周目、後方でポジション争いをしていたジュリアーノ・アレジ選手(VANTELIN TEAM TOM'S)と太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1コーナーで接触。アレジ選手はコース脇でストップしてしまい、第1戦に続きこのレースでも序盤にセーフティカー(SC)が導入される。
ただし開幕戦のSCと異なるのはそのタイミング。前回は義務づけされたタイヤ交換ができるピットウインドーがオープンする10周終了を前にリスタートが切られたが、今回はSC中にピットウインドーがオープンする10周を消化。スピードが制限されているSC中にタイヤ交換をすればロスタイムを大幅に削れるとあって、ほとんどの車両が一斉にピットロードへと飛び込んできた。
大湯選手は一番にピットへと滑り込んでタイヤ交換を行うが、隣同士に位置するピットへ後続の車両が入ってくるため、ファーストピットレーンへ戻るまでにわずかなタイムロスが生じてしまった。ピット位置が出口に一番近い野尻選手はそのロスなくコース復帰を果たす。大湯選手の鼻先でファーストピットレーンに入ると、事実上のトップに返り咲いた。その後方もやや順位変動があり、大湯選手の後ろには坪井選手、山下選手、宮田選手、ローソン選手と並ぶ。
13周目にSCが隊列を離れてリスタート。差が詰まっているリスタート時を最大のチャンスと読んだ大湯選手はここで勝負をかける。オーバーテイクシステムも使って一気に加速すると、1コーナーでのブレーキング勝負へ。しかしブレーキをロックさせて激しくタイヤスモークを上げ、1コーナーで止まり切ることができなかった。
これで大湯選手はトップに立つことができず、さらにはこのブレーキロックでタイヤにダメージを負ってしまい、レース終盤に一気にペースダウン。再度タイヤを交換するためにピットに入り、上位争いからは脱落することとなってしまった。
レースは平川選手を見た目上のトップに周回が進んでいった。ピットストップ分のマージンを稼ぎたい平川選手だが、野尻選手もほぼ同様のペースで走行を続ける。後続も大きな差が築かれることはなく、第1戦のように再びSCが入る状況にでもならない限り、ポイント圏内での復帰も難しい状況だ。
結局、最後の最後までピットストップを引っ張った平川選手は、39周を終えるところでタイヤ交換へ。これで名実ともに野尻選手がトップに返り咲いた。残り2周も安定の走りで野尻選手がトップチェッカー。今季初優勝を飾り、2戦続けての表彰台フィニッシュで、ドライバーズランキングもトップに立った。
2位は坪井選手で、昨年の第6戦富士大会以来となる表彰台獲得。坪井選手に続いて3番目にチェッカーを受けたのはローソン選手だったが、ローソン選手にはSC中の手順違反によるレース結果への5秒のタイム加算ペナルティが出されていたため、4番手フィニッシュの山下選手が繰り上がりで3位となった。




2023 N-ONE OWNER'S CUP Round.2


Ferrari Challenge Trofeo Pirelli Japan Round1 Race2




フォト/石原康 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部