全日本ジムカーナ選手権 第2戦はベテラン勢の逆襲ラウンドに!

レポート ジムカーナ

2023年4月25日

全日本ジムカーナ選手権 第2戦が、4月15~16日に広島県広島市のスポーツランドTAMADAで開催された。この週末はウェットからドライ、そしてウェットと天候に翻弄される展開となりつつも、ベテランドライバーたちが発奮、健闘を見せた大会となった。

2023年JAF全日本ジムカーナ選手権 第2戦「MAZDA SPIRIT RACING CUP IN TAMADA」
開催日:2023年4月15~16日
開催地:スポーツランドTAMADA(広島県広島市)
主催:SLT.C、T4、TEAM INDY

 新たなクラス区分やタイヤ規定で開催される今シーズンの全日本ジムカーナ選手権は、開幕戦のもてぎ大会から約3週間のインターバルを経て第2戦が行われた。その第2戦の会場となったスポーツランドTAMADAには、併設された箱Dクラスを合わせて122台がパドックに集結。

 この大会が行われる1週間前には、全日本ドライバーたちの協力により、競技車両を使って広島市内を走行するパレードランが実施された。大会を告知するなどのプロモーションが行われ、決勝日には3000人を超える観客が集い、華麗なジムカーナテクニックを満喫した。

 決勝コースは、外周とスピードが乗るショートカットを組み合わせたハイスピード区間に、2か所の360度ターンを組み合わせたレイアウト。外周区間のダイナミックな走りと、360度ターンでの繊細なマシンコントロールが要求される。

 公開練習が行われた15日は雨に見舞われてウェットコンディションとなったが、決勝日の16日は朝から好天に恵まれ、路面温度も時間が経つにつれ上昇。だが、第2ヒートのPN4クラスが走行している時間帯に、天気予報どおり雷雨に見舞われ、コースはあっという間にウェットコンディションに。PN4クラス以降は、第1ヒートの結果がそのまま順位に影響することとなった。

 開幕戦は、若手ドライバーや新鋭ドライバーが活躍した今シーズンの全日本ジムカーナ選手権。第2戦は、昨年のチャンピオンやベテランドライバーがリベンジを果たし、全クラスで今シーズン初優勝が連発する結果となった。

360度ターンを序盤と終盤に設けつつ、外周を主体としたハイスピード寄りのコースレイアウトとなっている。

PE1クラス

 3月に行われたスーパー耐久シリーズでのレースアクシデントにより、全日本ジムカーナ選手権の開幕戦を欠場したディフェンディングチャンピオンの山野哲也選手(アルピーヌ・A110S)が、いよいよ復帰を果たしたPE1クラス。体調はまだ完治とは言えない様子だ。

 そんな山野選手は両ヒートでクラス唯一となる1分8秒台のタイムを刻み、復帰1戦目を完全勝利で飾った。2位には、開幕戦優勝の大橋政哉選手(アルピーヌ・A110S)、3位には開幕戦表彰台を逃した古谷知久選手(ポルシェ・GT3RS)がそれぞれ入賞した。

PE1クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY71RS A110S)
PE1クラスの表彰式。左から4位の深川敬暢選手、2位の大橋政哉選手、1位の山野選手、3位の古谷知久選手、5位の飯野弘之選手、6位の大川裕選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、公開練習から好調の福田大輔選手(マツダ・MAZDA2)が、決勝第1ヒートでベストタイムをマークする。第2ヒートも第1ヒートとほぼ遜色ないタイムでまとめ、MADZA2のお膝元でもある広島のTAMADAラウンドで、今季初優勝を獲得した。

 2位は開幕戦優勝の斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)、3位は開幕戦2位の朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)が入賞し、順位は入れ替わったものの、表彰台上位3台は開幕戦と同じ顔ぶれが並んだ。

PN1クラス優勝は福田大輔選手(T2レイズWmSPMマツダ2)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の中根康仁選手、2位の斉藤邦夫選手、1位の福田選手、3位の朝山崇選手、5位の中根卓也選手。

PN2クラス

 開催地の広島県を中心に、西日本で活躍するロードスターが揃い、20台のエントリーを集めたPN2クラス。第1ヒートは川北忠選手がマークしたトップタイムを、昨年のJG8クラスチャンピオンの小林規敏選手が更新。第2ヒートは、開幕戦を制した小野選手が1分8秒台に飛び込みトップに立つ。

 だが、第1ヒートトップの小林選手がまたも再逆転を遂げる。小林選手にとってホームコースのTAMADAで、待望の今季初優勝となった。2位に小野選手、そして3位には第1ヒート4番手から追い上げた地元の柏昇吾選手が入賞した。

PN2クラス優勝は小林規敏選手(BS☆XPL☆EXロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の川北忠選手、2位の小野圭一選手、1位の小林選手、3位の柏昇吾選手、5位の古田公保選手、6位の中田匠選手。

PN3クラス

 総勢27台がエントリーと大所帯となったPN3クラスは、奥井優介選手(トヨタ・GR86)が、開幕戦を制した大多和健人選手(マツダ・ロードスターRF)を0.94秒差に抑え、第1ヒートトップに立つ。第2ヒートはタイムアップを果たすドライバーが多いものの、第1ヒートで奥井選手がマークしたベストタイムには届かない。

 その奥井選手の第2ヒートはパイロンタッチに終わってベストタイム更新とはならなかったが、トップの座は守りきっている。このまま奥井選手が逃げ切るかと思われたが、第1ヒートはパイロンタッチでクラス24番手に沈んだユウ選手(マツダ・ロードスターRF)が、奥井選手のタイムを0.43秒更新。第2ヒートの逆転劇で、昨年のJG6クラスチャンピオンのユウ選手が今季初優勝を飾った。2戦連続の2位に奥井選手、3位には第1ヒート4番手から順位をひとつ上げた大坪伸貴選手(スバル・BRZ)が入賞した。

PN3クラス優勝はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の野島孝宏選手、2位の奥井優介選手、1位のユウ選手、3位の大坪伸貴選手、5位の西野洋平選手、6位の大多和健人選手。

PN4クラス

 PN4クラスは、第1ヒートの後半区間で追い上げた松本敏選手(トヨタ・GRヤリス)が、第1ヒートのトップタイムをマーク。開幕戦優勝の茅野成樹選手(トヨタ・GRヤリス)は、わずか0.04秒届かず2番手につける。

 雨が降り始めた第2ヒートは、茅野選手が第2ヒートの中ではトップタイムを叩き出すものの、茅野選手自身が第1ヒートでマークしたタイムに0.04秒届かず。雨が勝負に水を差したPN4クラスは、第1ヒートのタイムで松本選手が2年ぶりとなる全日本優勝を果たした。2位に茅野選手、3位に折茂紀彦選手(トヨタ・GRヤリス)がそれぞれ入賞した。

PN4クラス優勝は松本敏選手(ADVICS☆VT☆DLヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の石原昌行選手、2位の茅野成樹選手、1位の松本選手、3位の折茂紀彦選手、5位のいながわひろゆき選手、6位の上本昌彦選手。

BC1クラス

 第2ヒートの雨が強くなり、第1ヒート勝負となったBC1クラス。開幕戦で2位入賞を果たした関東チャンピオンの石澤一哉選手(ホンダ・インテグラ)を、野原博司選手(ホンダ・CR-X)が0.097秒逆転してトップに立つ。このあと、野原選手のタイムを更新する選手がなかなか現れない中、クラスラストゼッケンのJG4クラスチャンピオン・西井将宏選手(ホンダ・インテグラ)が0.262秒逆転。雨に翻弄された開幕戦でクラス8位に沈んだ西井選手が、第2戦で今季初優勝を飾った。

BC1クラス優勝は西井将宏選手(アイスペックインテグラDL)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の山越義昌選手、2位の野原博司選手、1位の西井選手、3位の石澤一哉選手、5位の橋本克紀選手、6位の田中康一選手。

BC2クラス

 BC2クラスは、開幕戦3位のJG2クラスチャンピオン・広瀬献選手(ホンダ・S2000)が、第1ヒートで開幕戦優勝の若林拳人選手(ロータス・エキシージ)を0.81秒引き離す快走で今季初優勝を飾った。2位に若林選手、そして1分8秒台の攻防戦となった3位争いは、今季SC車両のトヨタ・GR86を投入した天満清選手が、早くも表彰台の一角をつかんだ。

BC2クラス優勝は広瀬献選手(WMマロヤAR林歯科S二千YH)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の坂本稔和選手、2位の若林拳人選手、1位の広瀬選手、3位の天満清選手、5位の野本栄次選手。

BC3クラス

 BC3クラスは、中間地点では4番手タイムだった津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が、後半セクションで大きくタイムを伸ばし、それまでトップをキープしていた佐藤英樹選手(三菱・ランサーエボリューションX)を逆転し、今季初優勝を飾った。2位は佐藤選手、3位には開幕戦優勝の一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。

BC3クラス優勝は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の菱井将文選手、2位の佐藤英樹選手、1位の津川選手、3位の一色健太郎選手、5位の大橋渡選手、6位の西原正樹選手。

箱Dクラス

 併設クラスの箱Dクラスは、全車第2ヒートはスタートせず、第1ヒートのタイムで順位が決まった。優勝は、前半区間からライバルを凌駕する速さをみせた大井貴之選手(トヨタ・スターレット)が獲得。2位に古瀬光男選手(日産・サニー)、3位に山梨俊二選手(トヨタ・カローラレビン)がそれぞれ入賞した。

箱Dクラス優勝は大井貴之選手(YSSK1箱DSPスターレット)。
箱Dクラスの表彰式。左から2位の古瀬光男選手、1位の大井選手、3位の山梨俊二選手。

フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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