全日本ジムカーナ第2戦名阪でPN2古田公保選手が全日本初優勝!
2025年4月25日

全日本ジムカーナ選手権の第2戦「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」が、4月19~20日に奈良県の名阪スポーツランド・Cコースで開催された。
2025年全日本ジムカーナ選手権 第2戦「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」
開催日:2025年4月19〜20日
開催地:名阪スポーツランド・Cコース(奈良県山添村)
主催:LAZY W.S、R-7
開幕戦の筑波ラウンドから約1カ月半のインターバルを経て開催された第2戦は、全クラス合わせて152台がエントリー。公開練習が行われた19日は朝から晴れ渡り、最高気温が30度に迫る4月としては異例の暑さに見舞われた。一方、20日は終日薄曇りの過ごしやすい天候になり、朝の気温が20度弱、最高気温は25度程度に留まる中、各クラスとも第2ヒートまで目が離せない激戦が展開された。
コースは、テクニカルからハイスピードまでメリハリの効いたレイアウトが設定された。各コーナーには絶妙な位置にパイロンが設置され、内周から外周へ全開で飛び出すシケインではパイロンペナルティが続出。PN2クラスでは、両ヒート合わせて20台中12台が“パイロンの罠”に落ちる展開となった。



PE1クラス
電動パーキングブレーキが装着されたP車両・AE車両が対象となるPE1クラスは、このラウンドからアルピーヌ・A110Rを投入した大橋政哉選手が、第1ヒートのベストタイムをマーク。第2ヒートでもベストタイムを更新した大橋選手は、開幕戦を制した山野哲也選手(アルピーヌ・A110R)に0.026秒差をつけ、今季初優勝を飾った。「昨年、このコースで山野さんに勝つことができたのは、山野さんにブレーキトラブルがあってのこと。今回、直接対決で勝てたことは本当にうれしいし、自信にもつながります」と大橋選手。
2位には、「名阪は路面とタイヤがマッチングせず、自分自身にとって最も勝率の悪いコース。路面温度が上昇した土曜日の公開練習は良かったんだけど、天候が薄曇りの今日は路面温度が僕らのタイヤにとっては少し低かった。今日の結果をしっかりと分析して、巻き返しを図らなくてはね」という山野選手が入賞。3位には、第2ヒートでダブルエントリーの山野選手とのタイム差を0.623秒差に詰めた野島俊哉選手(アルピーヌ・A110R)が入賞した。




PN1クラス
1500cc未満で前輪駆動のPN車両が対象となるPN1クラスは、出走した13台すべてがトヨタ・ヤリスというワンメイククラスの様相を呈している。第1ヒートは、昨季のチャンピオン・朝山崇選手がクラス唯一となる1分14秒台のタイムでトップに立つが、第2ヒートに入ると昨年から全日本ジムカーナに本格復帰したベテランの矢島融選手がベストタイムを0.389秒更新。
さらに、矢島選手と同じく昨年から全日本ジムカーナに復帰したベテランの緒方崇之選手が、矢島選手に0.336秒差の2番手に浮上してくる。第1ヒートトップの朝山選手も再逆転を狙うが、「後半セクションで一瞬コースを見失って……」と、緒方選手のタイムを0.199秒上回ってくるものの、矢島選手のタイムには0.137秒届かず。2004年N2クラスチャンピオンの矢島選手が、今季初優勝を飾った。2位に朝山選手、3位は「昔、矢島選手に散々やられてたんですよ。今回は矢島選手に勝ちたかった」という緒方選手が獲得した。




PN2クラス
1500㏄未満で後輪駆動のPN車両が対象となるPN2クラスは、出走20台すべてがマツダ・ロードスターと、こちらもワンメイク状態となっている。第1ヒートは、永川悠太選手がベストタイム、藤井裕斗選手が2番手、石井拓選手が3番手と新進気鋭のドライバーたちが上位を占めた。
だが、第2ヒートは永川選手がパイロンペナルティ、藤井選手と石井選手はタイムアップするものの順位を落とす。その中、第1ヒートは3番手タイムをマークしながらもパイロンペナルティで下位に沈んだ古田公保選手が、クラス唯一となる1分12秒台のタイムをマークし、トップに浮上。第1ヒート4番手の小林規敏選手が第2ヒートでタイムアップを果たすものの、古田選手のタイムには0.375秒届かない。「昨年は第1ヒートでトップ、第2ヒートで逆転されたので、そのリベンジを果たすことができてホッとしました」という古田選手が逆転で全日本初優勝を飾った。2位に小林選手、第1ヒートのタイムで永川選手が3位に入賞を果たした。




PN3クラス
1500cc以上で2輪駆動のPN車両が対象となるPN3クラスは、第1ヒートで川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)がベストタイム、名阪を得意とする久保真吾選手(アバルト・124スパイダー)が川北選手と同じ1分12秒台のタイムで2番手につける。
第2ヒートは1分12秒台にタイムを乗せてくる選手が現れない中、第1ヒートトップの川北選手がベストタイムを更新。第1ヒートをミスコースで終えたユウ選手(トヨタ・GR86)が1分12秒台にタイムを乗せてくるものの、川北選手のタイムには0.297秒届かない。「開幕戦で結果を残すことができなかったので(クラス21位)、今日が開幕戦だと思い頑張ります(笑)」という川北選手が、昨季PN3クラスにクラス替えして以来初の優勝を獲得。「なかなかうまくいかないですね。難しいコースでした」というユウ選手が2位、第2ヒートはパイロンタッチに終わった久保選手が3位に入賞した。




PN4クラス
PN1~3に該当しないPN車両が対象となるPN4クラスは、第1ヒートのタイムで逃げ切った津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が、「今回は、我慢しなければならないところをしっかり我慢しないとタイムが出ないコース設定。そこを我慢し切れなかった選手が多かったと思う」と開幕戦に続き勝利。
2位には「第2ヒートはシフトリンケージがおかしくなって、1速と2速が入りづらくリズムに乗り切れなかった。やられっぱなしなので、次はなんとかしなくちゃね」という松本敏選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が2位。第1ヒートのパイロンペナルティを第2ヒートでリカバリーした堀隆成選手(トヨタ・GRヤリス)が、3位に入賞した。




BC1クラス
前輪駆動のB・SC車両が対象となるBC1クラスは、第1ヒートで神里義嗣選手(ホンダ・CR-X)、田中康一選手(ホンダ・シビックタイプR)、伊藤眞央選手(ホンダ・インテグラタイプR)、小武拓矢選手(スズキ・スイフトスポーツ)、ケイヤ選手(ホンダ・インテグラタイプR)、清水翔太選手(ホンダ・インテグラタイプR)の6台が1分12秒台にひしめき合う混戦状態となる。
第2ヒートに入っても、神里選手が第1ヒートでマークしたベストタイムを塗り替える選手がなかなか現れない中、第1ヒート3番手の伊藤選手が「名阪は初めて走るコースで、あまりうまく合わせ込めていないんですけど、その中で第2ヒートは前半区間をうまく攻めることができていると思います。その分、後半区間が攻略し切れなくて……」と言いながらもベストタイムを更新。だが、その不安が的中し、「前半は無理しないようにタイヤを温存し、後半で勝負をかけました」という神里選手が伊藤選手のタイムを0.08秒更新して逆転優勝。伊藤選手は、開幕戦に続き連続2位を獲得。3位には第2ヒートでタイムアップを果たした小武選手が入賞した。




BC2クラス
後輪駆動のB・SC車両が対象となるBC2クラスは、第1ヒートで広瀬献選手(ホンダ・S2000)が1分9秒台、若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が1分10秒台と、3番手以降を3秒以上引き離す異次元の勝負を展開する。
第2ヒートはタイムアップを果たす選手が続出するが、第1ヒートの広瀬選手と若林選手のタイムを上まわる選手はなかなか現れない。その中、「もともと名阪はエキシージが苦手なコースのひとつなんですが、前半のテクニカルな区間はエキシージの方が有利だと思うので、前半区間で頑張ります」とスタートした若林選手が、その言葉どおり前半区間でタイムを伸ばしベストタイムを更新し、クラス最終ゼッケンの広瀬選手を待つ。その広瀬選手は、若林選手とは対照的に後半区間で勝負してベストタイムを0.292秒更新。開幕戦に続く今季2勝目を飾った。
2位に「広瀬選手とのタイム差は詰まってきていると思うので、第3戦以降巻き返します」という若林選手が入賞、3位にはチャンピオンを獲得した2019年以来、6年ぶりに全日本ジムカーナへ復帰した西森顕選手(ホンダ・NSX)が入賞した。




BC3クラス
4輪駆動車のB・SC車両が対象となるBC3クラスは、第1ヒートで菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)がベストタイムをマーク。0.221秒差で大橋渡選手(スバル・インプレッサWRX)がつける。開幕戦を制し、昨季のPN4クラス時代から9連勝中の奥井優介選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)は、後半セクションで駆動系にトラブルが発生し、リタイヤとなる。
第2ヒートは、「後半区間を大事に行きすぎました」という一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が3番手に順位を上げてくるが、トップの菱井選手、2番手の大橋選手にはタイムが届かない。第1ヒート2番手の大橋選手も「第2ヒートは前半からうまくリズムに乗れませんでした。得意なコースなんですが、コースセッターの“罠”に落ちた感じですね。パイロンの位置が難しかったです」とタイムアップならず。菱井選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り今季初優勝を飾った。




PE2クラス
自動変速機付きで2輪駆動のスピードP車両・AE車両が対象となるPE2クラス。第2ヒートでは、河本晃一選手(マツダ・ロードスターRF)が第1ヒートの自己タイムを更新し、1分14秒668を計測して1位、1分15秒171を計測した髙屋隆一選手(スバルBRZ)が2位、1分17秒426を計測した高江淳選手(ミニ・クーパーS)が3位という暫定結果(No.11)が発表された。しかし、後に発表された暫定No.11改訂版(No.21)では河本選手と高江選手ら3名が失格、続いて発表された暫定No.21改訂版(No.29)では、さらに5名が失格とされ、PE2クラスは出走12名中8名が失格となる異例の事態となった。
これらは、「2025年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則 第2章 第2条 4)(4)① ア)(オ)」に記された「タイヤおよびホイールは、いかなる場合も他の部分と接触しないこと。(ステアリングホイールを右または左に最大に操作した場合であっても、タイヤおよびホイールは、他の部分と接触しないこと)」の違反により、河本選手をはじめとした4名が失格。また、「2025年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則 第2章 第2条 4)(2)」に記された「最低重量」の違反により、高江選手をはじめとした4名が失格となった。ちなみに、暫定結果の改訂に伴う、繰り上がり順位による再車検が行われた結果、違反とされた4台が同一車両による重複参加(ダブルエントリー)だったことから、合計8名もの失格者が出る事態となった。
そして、No.29の30分後に発表された正式結果(No.30)により、髙屋選手が1位、大川裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)が2位、髙屋選手とダブルエントリーの瓜本琴葉選手が3位、林幸照選手(アバルト124スパイダー)が4位というリザルトが確定した。なお、正式結果発表後に行われた表彰式では、関根基司審査委員長から、今大会すべてのクラスが全日本選手権として成立したことが宣言されている。





PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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