全日本ジムカーナ第4戦の激戦PN4クラスで山口栄一選手が衝撃のデビューウィン!
2025年6月6日

5月31日~6月1日にかけて、全日本ジムカーナ選手権 第4戦「オールジャパンジムカーナ in 仙台」が、宮城県仙台市の赤門自動車テストコースで開催された。30度傾斜のバンクを有するこのコースで全日本ジムカーナ選手権が開催されるのは、今回が初めてとなる。
2025年JAF全日本ジムカーナ選手権 第4戦「オールジャパンジムカーナ in 仙台」
開催日:2025年5月31日~6月1日
開催地:赤門自動車テストコース(宮城県仙台市)
主催:奥州VICIC
かつてはツインリンクもてぎ(現在のモビリティリゾートもてぎ)のオーバルコースで全日本ジムカーナ選手権が開催されたこともあったが、その時はオーバルコーナーにパイロンセクションを設定して走行。純粋にバンクを駆け抜けるのは今回が初めての試みとなる。
前日から決勝当日の早朝まで降った雨の影響が残り、第1ヒートの前半クラスはハーフウェットコンディション。PN3クラスが走行するころにはドライ路面となり、第2ヒートは全クラスドライコンディションの中で競われることとなったが、今度は乾いた砂が路面の一部に堆積するようになり、ラインを外すとタイムダウンにつながる難しい路面となった。





PE1クラス
シリーズランキングトップの山野哲也選手と、山野選手とダブルエントリーのシリーズ3位につける野島俊哉選手が、スーパー耐久シリーズ富士24時間レースに参戦するために欠場となったPE1クラス。
第1ヒートは、濡れた路面で4WDの威力を発揮した深川敬暢選手(アウディ・TTクーペ)が、第3戦を制した大橋政哉選手(アルピーヌ・A110R)に0.968秒の差をつけトップに立つ。完全ドライ路面となった第2ヒートは、「少し砂っぽいところに乗ってしまったけど、全体的にうまくまとめることができました」という大橋選手がベストタイムを更新。山野選手と並ぶ今季2勝目を挙げ、シリーズランキングでもトップに立った。
2位には、「バンクを全開で攻めました」という角岡隆志選手(ポルシェ・911GT3)が入賞。第1ヒートトップの深川選手も第2ヒートでタイムアップに成功したものの、逆転を許し3位となった。




PE2クラス
PE2クラスは、第1ヒートで「ATクラスを盛り上げたくて、この1戦のためにクルマをつくってきました」という藤原雄司選手(BMW・ミニ クーパーS)が、今回は髙屋隆一選手とのダブルエントリーで挑んだシリーズランキングトップの河本晃一選手(スバル・BRZ)を0.287秒差に抑え、トップに立つ。
第2ヒートに入ると、藤原選手とダブルエントリーの鈴木昭仁選手(BMW・ミニ クーパーS)が、「第1ヒートが不甲斐ないタイムだったので、第2ヒートは全開で攻めました」とベストタイムを更新。さらに、第1ヒートトップの藤原選手が鈴木選手のタイムを0.428秒更新してトップの座を奪い返すが、第1ヒート2番手の河本選手が、「第2ヒート勝負だとは予想していましたが、自分でもまさか1分5秒台が出るとは思いませんでした」という会心の走りで藤原選手を逆転、今季3勝目を手にした。




PN1クラス
PN1クラスは、この第4戦まで未勝利のディフェンディングチャンピオン・朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)がトップに立つが、第2ヒートは「第1ヒートでパイロンタッチしてしまったのですが、第2ヒートは自分なりに気持ちよく攻めて走ることができました」という緒方崇之選手(トヨタ・ヤリス)がベストタイムを更新する。
ところが、第1ヒートはトップと1.583秒差の6番手に終わっていた斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)が、緒方選手のタイムを0.276秒更新してトップに浮上。第1ヒートトップの朝山選手は「全力で走ったんですけど、届きませんでした」と0.058秒届かず2位。斉藤選手が、第2ヒートの逆転劇で今季2勝目を挙げた。




PN2クラス
PN2クラスは、第1ヒートをパイロンペナルティで終えた藤井裕斗選手(マツダ・ロードスター)が、「第1ヒートはウェット路面だった部分が、第2ヒートは路面がダスティだったり剥げて荒れていたりした部分があり変化が大きかったです」としながらも、クラス唯一となる1分04秒台のタイムで逆転。開幕戦以来となる今季2勝目を獲得し、ランキングもトップに。
第1ヒートトップの古田公保選手(マツダ・ロードスター)が2位。「楽しいコースだったんですけど、バンクの左回りが今ひとつ攻め切れませんでした」という箕輪雄介選手(マツダ・ロードスター)が3位になり、今季初表彰台を獲得した。




PN3クラス
PN3クラスは、バンクの最上部まで使ってコーナリングスピードを上げたユウ選手(トヨタ・GR86)が、第1ヒートでクラス唯一の1分6秒台、第2ヒートもクラス唯一となる1分3秒台のベストタイムをマークして優勝。
2位には、後半セクションでわずかに遅れた川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)が入賞。3位には、「第2ヒートは、路面のグリップが高い部分と砂っぽくて滑る部分の差が激しくて、後半は慎重になりすぎてしまいました」という西野洋平選手(トヨタ・GR86)が入賞。2023年の第5戦以来、約2年ぶりとなる表彰台を獲得した。




PN4クラス
PN4クラスは、今季2勝を挙げている津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が第1ヒートを制するが、第2ヒートはスラロームセクションでミッショントラブルが発生しタイムダウン。第3戦を制した松本敏選手は、トヨタ・GRヤリスGRMNから進化型のGRヤリスに乗り換えこの大会に挑んだが、第2ヒートは「以前のGRMNでは出なかったガス欠症状が出てしまった。まだ進化型に対する理解度が足りない」と、第2ヒートでタイムアップを果たすものの、トップには0.384秒届かず。
優勝は、全日本初出場ながらも「気合いと根性で踏みました(笑)」という関東の山口栄一選手(トヨタ・GRヤリス)が獲得。2位に松本選手、3位には「路面が乾いた第2ヒートは、グリップが上がった分、気持ちが先行してしまい攻め過ぎてしまいました」という若林隼人選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。




BC1クラス
開幕戦から第3戦まで3人のウイナーが誕生し、混戦模様となっているBC1クラスは、第1ヒートで第3戦を制した西井将宏選手(ホンダ・インテグラ・タイプR)がベストタイムをマーク。
第2ヒートは、今季から全日本にシリーズ参戦している玉木航選手(スズキ・スイフトスポーツ)がマークしたタイムがターゲットタイムとなる中、第1ヒートトップの西井選手がベストタイムを更新。これで勝負あったかと思われたが、第1ヒートは「クルマの調子が悪く、攻め切れませんでした」とクラス5番手で折り返した橋本克紀選手(ホンダ・シビック・タイプR)が、「勝負どころはバンクだと思い、第2ヒートはノーブレーキで突っ込みました」と決死の走りでベストタイムを塗り替えた。昨年の第5戦&第6戦のスナガワ2連戦以来となる全日本優勝を獲得した。
2位の西井選手はシリーズランキングトップに浮上。全日本4戦目の玉木選手は3位になり、全日本初表彰台となった。




BC2クラス
広瀬献選手(ホンダ・S2000)が開幕戦以来3連勝を挙げているBC2クラスは、ディフェンディングチャンピオンの若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が第1ヒートのトップタイムをマークする。
ドライ路面となったものの、砂やダストが路面を舞う第2ヒートは、広瀬選手がそのベストタイムを0.125秒更新しトップに浮上。だが、クラス最終ゼッケンの若林選手がベストタイムをさらに更新。「第1ヒートに照準を合わせてソフトコンパウンドのタイヤを選択したのですが、第2ヒートは路面に陽が当たるようになってタイヤが合うかどうか心配だったんですが、何とか間に合って良かったです」と、会心の走りをみせた若林選手が優勝を飾った。
「クルマはどこにも問題ない。結果的にはドライバーがコースに合わせ切れなかった」という広瀬選手が2位。前走車のトラブルにより再出走となった第2ヒートはタイムダウンに終わったが、第1ヒートのタイムで梅村伸一郎選手(ロータス・エキシージ)が3位となった。




BC3クラス
BC3クラスは、第2戦を制した菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が第1ヒートのベストタイムをマーク。
第2ヒートに入ると、第1ヒート3番手の大橋渡選手(スバル・インプレッサ)が、菱井選手のタイムに迫るものの0.216秒届かず。一方、菱井選手は「バンクを目一杯使ってコーナリングスピードを上げるのも良いかもしれないけど、自分はなるべく最短距離を走れるよう、バンクの真ん中を走った」という攻め方で、自身がマークした第1ヒートのベストタイムを更新。両ヒートとも制する走りで、今季2勝目を獲得した。
2位に大橋選手、3位には、第2ヒートでエンジン不調に見舞われタイムダウンに終わったものの、第1ヒートのタイムで一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。




PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]