九州ジムカーナ最終戦、直接対決で逆転優勝のPN2立川博史選手はじめ続々王者確定!
2025年10月20日
2025シーズンは全9戦を全て、熊本県大津町に建つHSR九州ドリームコースで争うJAF九州ジムカーナ選手権。ポイントの有効戦数が6戦ということもあり、多くのクラスで今回の最終第9戦まで王座争いがもつれこみ、最終決戦となった。
2025年JAF九州ジムカーナ選手権 第9戦
2025年JMRC九州ジムカーナ チャンピオンシリーズ第9戦
2025年JMRC全国オールスター選抜 第9戦
2025年JMRC九州ジムカーナ ジュニアシリーズ第9戦
とびうめジムカーナフェスティバル2025
開催日:2025年10月5日
開催地:HSR九州ドリームコース(熊本県大津町)
主催:TOBIUME
「HONDA SAFETY & RIDING PLAZA Kyushu」略してHSR九州のドリームコースはフラットのように見えるが、勾配やカント、そして縁石もあり、設定されたレイアウトによってクセが出るコースでもある。特に180°以上の回り込むようなターンでは、配されたパイロン位置がカントの頂点などであった場合は、その後の立ち上がりを視野にいれたライン選択が勝敗を大きく分けることになる。
最終戦ではコースをトレースしながらも、1番パイロンをフックとした540°ターンからのスラローム、そして11番パイロンが配置された縁石がらみのターンなど、テクニカル区間が勝負どころとなった。更に、選手の中にはテクニカルセクションからの立ち上がり、そして進入時のブレーキングでタイム差が出る、という声も聞かれた。
また、9戦のうち70%の四捨五入、有効ポイントが6戦であることが今回の一戦まで王座争いを非常に接戦にしていることもあり、最終戦にも関わらず100選手のエントリーを集めた。前日からの雨が残り、第1ヒートの路面はセミウェットからのスタート。しかし、10月とは思えない30℃に迫る気温とともに、アツい戦いが繰り広げられた。
2025年JAF九州ジムカーナ選手権 第9戦
ATクラス
ATクラスは今季5戦目の成立となったが、3勝を挙げている福田哲哉選手が不参戦。有効4戦となるため、第4戦で勝利を挙げている田口和久選手が唯一、福田選手を逆転できる可能性を残して最終戦を迎えた。
午後にかけて天候回復とともに、路面状況も好転していくと予想された今回の一戦。第2ヒートでの勝負が濃厚な中でも、確実に第1ヒートでタイムを残したのはやはり、ランキング2番手につける田口和久選手だった。しかし、ライバルたちはコースと路面に対応しきれず、どのくらいのタイムが決勝タイムとなるか不明なまま、第2ヒートを迎えた。
第2ヒートでもやはり、田口和久選手がトップタイムを更新。クラス最終ゼッケン、第1ヒートはミスコースで後がない福崎真吾選手も懸命のアタックで勝負を賭けるも、2秒以上及ばず2位どまり。田口和久選手が今季2勝目を手にするとともに、チャンピオンを確定させた。
「1本目はとにかくミスコースなくそれなりのタイムで走ろうとしましたが、路面もタイヤも温まってなく、ブレーキ一発目でフルロックしてかなり焦りましたが、無難なタイムを残せました。2本目は気温も上がってみんなタイムを上げてくるはずなので、1本目よりしっかりコースを叩き込み、やれる事をやって走行しました。走行後のタイムが聞けなかったので、リザルトが出るまでタイムが分からなかったのですが、中野(秀幸)さんがミスをしたらしくタイムが伸びず、チャンピオンが獲れましたね」と、田口和久選手は最終戦を振り返った。
「2025シーズンはジムカーナにもATクラスができたのですが、台数が少なく成立してなかったのを見て、(テクニックステージ)タカタのダートラより近所のジムカーナに参加しました。とはいえ全日本ダートラチャンピオンの細木選手、九州の岡本選手はジムカーナも走りながらダートラをやっているので、ダートラの練習にもなるかと思い参戦していました。九州ダートラATクラスは二年連続チャンピオン獲れたので、ダートラ車でジムカーナもあわよくばチャンピオン獲れるかと途中から思い出しましたが、福田選手や中野選手がしっかりしたクルマで出てきたので、正直後半は厳しい戦いでした。2026シーズンはATクラスの台数が増えそうなので、また楽しい戦いができそうです。しかし、全日本ダートラのPNE1クラスでシードが獲れたので、全日本ダートラを中心に九州ジムカーナも出てみようと思っています。車両を変えたので、ジムカーナだけでなく九州ダートラにも出ますよ! 忙しいシーズンになりそうです」
B1クラス
軽自動車が集うB1クラスでは、マツダAZ-1を駆る池武俊選手が4勝、ホンダS660をドライブする平山英治選手が3勝を挙げる一騎討ちで最終戦を迎えた。
平山選手が第1ヒートをトップで折り返したが、勝負は完全にドライアップした第2ヒート。クラス前半ゼッケンの渡邉和成選手がS660を操って、平山選手のターゲットタイムを更新。渡邉選手のタイムを更に更新したのが、続いてスタートを切ったスズキ・アルトワークスを武器にする大崎真也選手で、1分32秒912をマークした。
平山選手にトップタイム更新の期待がかかったが、ベストタイムを上回るも大崎選手には0.602秒届かない。クラス最終ゼッケンの池選手も果敢にアタックはするが、平山選手と0.356秒差で3位に終わり、大崎選手が今季初勝利! 池選手が12ポイントを手にし、チャンピオンを確定させた。
「1本目はフルウェットの路面でアンダーステアとの戦いで、かわすべきパンロンを見失いミスコースでした。でも、2本目は完全ドライとなり、良い走りができたと思います。深いターンは上手く回せませんでしたが(笑)、結果は優勝でランキング3位となりました。今シーズンはクルマもそこそこアップグレードして臨みましたが、ドライバーの方がまだまだな感じで……。次シーズンはクルマ的に不利ですが、チャンピオン争いができるようにもっと頑張ります」と、大崎選手は2026シーズンへの意気込みも語った。
3位でチャンピオンを確定できた池選手は、「2位以上を獲れば自力でシリーズチャンプ確定だったのですが、1本目は無理をし過ぎて最終セクションでスピンしてしまいました。2本目は深いターンで致命的なミスが出てしまって、結局2本とも大失敗でした。これはシリーズも負けたかなと思ってパドックに戻ると、大崎選手が平山選手をかわして優勝だったようで、自力では落としたシリーズチャンプが転がり込んできたかたちになりました」と、苦しみながらもチャンピオンを確定できたことに、安堵の表情を見せた。
「AZ-1が昨年の途中で復帰して、今年は久しぶりに開幕からAZ-1での参戦でした。しかし、昨年まで長期不動だったせいか、いろいろとクルマにトラブルが頻発して大変でした。幸いどれも早く修理ができたので欠場せずに済みましたが、その分練習不足になって後半は厳しかったです。とはいえ、シリーズは今まで参戦した中で一番の接戦になったので、楽しく走れました!」
B2クラス
B2クラスはホンダ・シティを武器にする、梅本泰行選手と松本博文選手が3勝ずつ分け合う王座争いで、最終戦を迎えた。この一戦を勝利した方にチャンピオンが確定することになる…… はずだったのだが、松本選手が不参戦。戦う前に梅本選手がチャンピオンを確定させた。
梅本選手は第1ヒートでパイロンペナルティを犯しながらもトップで折り返すと、第2ヒートは2位以下を大きく引き離してトップタイムを更新し、今季4勝目で有終の美を飾った。「今回、ライバルの松本選手が欠場ということで、シリーズチャンピオンがほぼ確定していたので楽な気持ちで臨めたんですが、最後は気持ちよく勝って締めくくりたいと思い、気合いを入れてました」と、チャンピオンを確定させても貪欲に勝利を狙っていたことを明かした。
走りについて「第1ヒート、慎重に走らせたつもりでしたが最終パイロンセクションで、あろうことか真正面からパイロンに当たってしまい、ペナルティに。第2ヒートが始まるまでに、イメージから立て直す必要がありました。第2ヒートは、予想どおりドライ路面での勝負で守りに入ってはいけないと思い、攻めていきました。結果は優勝で締めくくることができ、タイムも上のクラスでも上位に食い込めるタイムを出すことができました」と、振り返った。
「今シーズンを振り返ると、50代最後の年に開幕戦で地区戦初優勝を飾ることができ、その後三連敗からの三連勝というシビれる展開で、初めてのシリーズチャンピオンを獲得することができました。支えてくださったみなさんに、心からお礼申しあげます。また、3年前にRTCR(福岡県のJAF加盟クラブ、ラリーチームクロスロード)の佐藤(裕)さんからライセンス取得を勧めていただいたおかげで、この場に立つことができたのだと思います。本当にありがとうございました。来シーズンはクルマを乗り換えることになり、上のクラスで走ることになりますが、引き続き応援よろしくお願いします!」
B3クラス
2023シーズンBC1クラス王者の井上洋選手がPN2クラスに移籍、B3クラスは“HSR九州の主”松尾裕佐選手が5勝を挙げてチャンピオンを確定させている。最終戦はライバルのLeon選手がB2に参戦したこともあり、やはり松尾選手が優勝候補筆頭だ。
路面がウェットからドライアップしていくダンプコンディションで、後半ゼッケンになるほど路面状況は改善していく中、やはり第1ヒートのトップタイムをマークしたのは松尾選手だった。第2ヒートに入ってもその構図は大きく変わらず、路面が好転して多くのスラローマーがトップタイムを更新するものの、松尾選手はそのタイムを跳ねのける。2位の本村博紀選手に0.7秒以上の差をつけて優勝を果たした。
「今回は本村先輩が出場することになったので、偉大なる先輩に全力で挑む大会になりました。1本目ですが雨は止みましたが、路面が乾き始めのウェットだったこともあり、先に走る本村さんの走りを見ると、なかなか踏めない感じかな…… と思いつつスタートしました。ラインの組み立てはほぼ想定どおりで、とりあえずトップタイムで良かったです」と、松尾選手は第1ヒートの走りを振り返った。
第2ヒートについては「完全ドライになり、イコールコンディション。いきなり本村選手が5秒以上タイムを更新してきましたが、驚きはなかったです。路面が変わっているので、ブレーキはドライでも抑え気味にしつつ、コーナー姿勢つくったらアクセルは信じて踏んでいく、バックストレートエンドは抑えてパイロンクリップを最重視しました。本村さんに初めて勝てた事が全てでした!」と喜びを語った。
「2025年を振り返ると、2024年からの『どこが遅いのか』、2025年に2位が2回、『なぜ負けたのか』、そこばかりを考えて走ってました。2024年半ばから、おぼろげに見え始めてきた答えがやっと見つかり、修正にとりかかれた感じです。『もっと若くに気づけていればなぁ』とも感じますが。本当はモビリティ大牟田がなくなった2013年を最後に、成績不振と結婚と子供で公式戦引退するその前に気づけてればと、若干の悔いがあるのです…… でも後悔はないです。若手にも気づきを与えたいな、と考えております」
B4クラス
B4クラスはホンダS2000を父の小石正浩選手とドライブする小石孝浩選手、トヨタMR-Sでダブルエントリーする古賀雄行選手とJAF全日本ダートトライアル選手権SA2クラス王者の岡本泰成選手、そしてZN8型GR86を駆る藤本泰則選手たちが激戦の王座争いを繰り広げている。最終戦も最多となる15選手による争いとなった。
第1ヒートでは古賀雄行選手と藤本選手がパイロンペナルティで大きく出遅れる中、トップで折り返したのは小石孝浩選手。クラスでひとり1分33秒台を記録し、1秒以上開けて加々美一臣選手が2番手で折り返す。
路面状況が一変した第2ヒートは前半ゼッケンからターゲットタイムを続々と更新し、完全に仕切り直しとなった。その中でも岡本選手は気温が上がる中、先行で走れる優位性を最大限使って1分29秒台に突入した。
しかし、岡本選手のタイムも古賀雄行選手によって塗り替えられ、小石孝浩選手がまさかの失速。最終ゼッケンの藤本選手も果敢なアタックでタイムを削りにいくが、古賀雄行選手に届かず2位。古賀雄行選手がクラス最多勝となる今季3勝目をマークした。王座争いは2位に入った藤本選手が、小石選手を有効ポイントでうっちゃり逆転でチャンピオンを確定させた。
優勝した古賀雄行選手は「第1ヒートはウェットが残っていたので第2ヒート勝負になると思い、コースの習熟を意識して走りました。2本目は完全にドライ路面になって、サイドブレーキの左右差があって右リアがロックしづらいのを意識しながら、左ターンは特に意識しました。全体的に上手くまとまりました。来年はフル参戦で頑張ります」と喜びを語った。
一方、2位の藤本選手は「ギア比を変更したばかりで、ぶっつけ本番の状態だったため、リズムを掴むのにも苦労しました。1本目はサイドブレーキのトラブルに見舞われ、ターンがうまく回れず、下位に沈んでしまいました。修理用の部品も持ち合わせておらず、一時は勝負を諦めかけましたが、周囲の方々の励ましに支えられて気持ちを立て直すことができました」とのこと。
第2ヒートでは「『ダメでもやれるだけやろう』と気持ちを切り替え、2本目の出走直前までサイドブレーキの再調整など、できる限りの準備を行いました。その甲斐あって、2本目ではなんとかサイドをロックさせることができ、無事に走り切ることができました。結果として、2位に滑り込むことができ、大変嬉しく思っております」とチャンピオン確定の舞台裏を明かした。
「今年、最も厳しい戦いとなりましたが、最終的にチャンピオンを獲得できたことを心から嬉しく思っております。ジムカーナの“楽しさ”と“難しさ”を改めて実感した一年でした。10年以上のブランクに加えて年齢の影響もあって、やはり思うようにはいかないものですね。中でも特に苦しめられて、かつ深刻だったのが、コースを記憶する力の衰えです。これはもう、健常な方には想像もつかないかもしれません。もはや病的なレベルです(笑)。それでも、これも選手としての能力の一部として、受け入れるしかありません。だからこそ集中して、人一倍時間をかけてイメージトレーニングに励んでいます。コースが発表されてからは、ほとんどの時間をその準備に費やしているほどです。それでも間違えるんですけどね(笑)。2026年も、きっと苦労の連続になると思いますが、幸いアクセルとブレーキの踏み間違いは今のところありません(笑)。これからも、苦しみながらも楽しむ気持ちを忘れずに、挑戦を続けていきたいと思っています」
B5クラス
B5クラスでは三菱・ランサーエボリューションⅩを駆る金子立選手、GRヤリスを操る井上直喜選手とGRカローラをドライブする松尾圭介選手が2勝ずつ挙げている。第1ヒートは松尾選手がパイロンペナルティ、井上選手がミスコースと奮わず、金子選手がトップで折り返す。
勝負の第2ヒートとなったが、互いに1本目でタイムを残せていないGR勢にとっては勝負を賭けるにも不安要素が多すぎたのか、タイムは上がらず。終始攻めの走りに徹した金子選手が更にトップタイムを塗り替えて今季3勝目、チャンピオンも確定させた。
「チャンピオン決定がとびうめラウンドまでもつれ込んだこともあり、1本目で決めようと力み過ぎたところがありました。結果、ゴール前で失敗しバックギアを入れるハメになりました。2本目は1本目のフィーリングから、ゴール前の連続ターンセクションさえ攻略できれば勝機あり、と考えてましたので落ち着いて挑み、何とか修正することができました」と、金子選手は最終戦の走りを振り返った。
「九州はあまりパワーを活かすことができないコースレイアウトが多いため、そういった意味ではランサーよりもヤリス有利だといえます。序盤はなかなか思ったようなタイムが出せず苦しみましたが、他のクルマと同じライン取りでは勝てないと思い、ランサーのパワーを活かせるように積極的にサイドを使って向きを変えるスタイルを6月あたりから確立できたことが、その後の勝ちに繋がったと思います」
PN1クラス
今季はスポット参戦に留まっている、ディフェンディングチャンピオンの林紘平選手が最終戦にエントリー、衛藤雄介選手とJUICHI選手の王座争いが混沌となることも予想された。しかし、JUICHI選手は最終戦でオープンクラスに舞台を移し、戦う前に衛藤選手がチャンピオンを確定させた。
注目の林選手は第1ヒートで撃沈。終盤までは好タイムを残すものの、最後のテクニカルセクションでパイロンペナルティを犯した。一方、着実にトップタイムをマークしたのはベテランの衛藤選手。1分30秒981を記録し、2番手以下を0.5秒以上突き放した。
勝負の第2ヒートは林選手が、衛藤選手のターゲットタイムを2.801秒更新して幕を開けた。このタイムは誰も更新できず、最終ゼッケンの衛藤選手も0.282秒届かず2位どまり。林選手は見事、全クラストップタイムを記録して逆転優勝し、その強さを誇示した。
「今年はスポット参戦する1年と決めて、エンジョイクラスの講師を勤めながらジムカーナを続けていました。最終戦を前にサスペンションを新しくしたので、自分が今どれくらいの位置にいるのかを確認するためにも、この大会に参加しました」と、林選手は最終戦に参戦した経緯を語った。
続けて「ぶっつけ本番のセットだったのですが、2本目が天候に恵まれたこともあって、いつもどおりの走りができて勝つことができました。来年はまた地区戦を追いかけるとともに、全日本(スポーツランド)TAMADAと可能なら(ハイランドパーク)みかわ、そしてJAFカップ参戦を計画しています」と、来季の計画まで明かした。
有終の美を飾れなかった衛藤選手は、「来年に向けて新ショックを投入しての参戦となりましたが、前日の練習会でも全くセットが出せないままの1本目でした。ライバルのペナルティもあり、なんとかトップタイムだったものの、全くクルマのセットが噛み合っておらず2本目に不安が残る内容でした」と明かした。
第2ヒートについて「予報どおりドライとなり、クルマの動きは少しマシになったものの、やはりセットは噛み合っておらず、ライバルに逆転されて2位に終わりました。とはいえ、セットが出ていないながらも表彰台には上がれたのは好材料だと捉えています」と、振り返った。
「2021年以来のチャンピオンを獲得できたのは、師匠であるケープラント奥薗(圭介)さんのアドバイスをもとに、オフシーズンにクルマとドライビング両方を見直したことが大きな要因だったと思います。トップドライバー経験とセッティングノウハウの両方を持った存在というのは、自分にとって大きいです! そのおかげで開幕前にはかなり手応えを感じてましたし、開幕二連勝の勢いのままチャンピオン獲得できました。来年もチャンピオン獲得できるよう、オフシーズンにクルマとドライバー両方をしっかりと準備していきます」
PN2クラス
ZN6型トヨタ86/ZC6型スバルBRZが活躍できるクラスとして用意された、九州独自のPN2クラス。BRZを駆る立川博史選手が3勝、86を操る野崎健児選手が2勝を挙げて王座を争っている。勝利数では下回っているものの、ポイント的には野崎選手がここまで2位に着実に入ることから有効ポイントでは有利に立っている。
第1ヒートで先手をとったのは、野崎選手。立川選手が大きく出遅れる中、トップで折り返すことに成功する。ただし、勝負は路面コンディションが大きく改善した第2ヒート! しかし、誰ひとりとしてトップタイムを抜くスラローマーは現れない。
膠着状態の中でラスト前の立川選手が気を吐き、トップタイムを1.937秒更新して1分30秒973まで押し上げた。ラストの野崎選手は立川選手の走りにプレッシャーを受けたのか、ミスコース……。確定に手をかけたチャンピオンが、指の間からこぼれ落ちてしまった。
今季4勝目をマークした立川選手は、「2番手の野崎さんと勝った方がチャンピオンという一戦。1本目から気合い入れて走ったらスピンしてしまい、これはやらかしたと思いました。2本目は苦手な540°の深いターンをとにかくまとめなければと思い、ゼロカウンターとオーバーステアを5、6回に分けて、回転速度を落とさないように立ち上がりまで集中しました。野崎さんもミスコースして、なんとか逆転できました」と、念願のチャンピオン確定にホッとした様子だった。
「2025年は母の入院から死別まで二ヶ月間ジムカーナから離れてましたが、忘れられないシーズンとなりました。それでもチャンピオンを獲得できて嬉しいです」
PN3クラス
PN3クラスは全日本にステップアップした元王者、黒水泰峻選手がスポット参戦したことでも王座争いが混沌とし、最終戦決戦に。天候の回復とともに、第1ヒートでも徐々に路面が回復してきたのはPN3からだった。
それでもグリップに不安が残るこの路面では、圧倒的に前輪駆動が有利な展開。第1ヒートを制したのは、やはりスズキ・スイフトスポーツを操る早田洋介選手だった。2番手にGR86をドライブする髙木伸一選手がつけ、ランキングトップでロードスターRFを駆るTomohide選手は3番手で折り返した。
PN2では第2ヒートで各スラローマーが大きくタイムアップしていたことを考えると、PN3でもタイムアップは必至の状況。Wエントリーで前半ゼッケンを背負ったTomohide選手が、まずは早田選手がマークした1分30秒101を更新する、1分29秒609を記録する。
そして、早田選手はスタートを切ると、圧倒的なターンスピードと立ち上がりのトラクションでTomohide選手を各セクションで突き放す。トップタイムを0.45秒更新して、早田選手は再逆転を果たした。最終ゼッケンの髙木紳一選手は、テクニカルセクションでの速さが足りなかったか3位に留まり、早田選手が今季初優勝を飾った。一方、王座争いでは獲得ポイント数が同ポイントとなったが、有効ポイントでTomohide選手が髙木紳一選手を8ポイント上回り、チャンピオンを確定させた。
優勝した早田選手は、「1本目はハーフウェットでFF有利の中、ベストは予定どおりでした。しかし、完全ドライの2本目で、今シーズンの集大成ともいえるベストな走りができました。JAF戦では父(卓氏)の前で勝てたことがなかったので、父の前で勝ったのがとにかく嬉しかったですね。終わり良ければ全て良しといった感じです!」と嬉しさを爆発させた。
「今年は藤澤鈑金のオーナーでもある藤澤卓弘選手と一緒に、セッティングを煮詰めながらWエントリーで戦った一年でした。二人三脚のシリーズで、藤澤選手のロードスターをチャンピオンマシンにできたのが嬉しいですね」
PN4クラス
PN4クラスは、シリーズが進むにつれて調子を上げてきた山家丈夫選手が4勝、開幕二連勝を決めた古賀雄一選手が3勝を分け合う。山家選手が前戦を制してチャンピオン確定済だが、古賀雄一選手は最後に一矢報いたい最終戦だ。しかし、古賀雄一選手は第1ヒートでパイロンペナルティを犯し、大きく出遅れてしまう。一方、山家選手は安定の走りでトップタイムを記録して折り返す。
勝負の第2ヒートになるかと思われたが、ペナルティに泣いた古賀雄一選手は攻め切れないジレンマを抱えた走りで奮わず。山家選手は狙いすぎたのか、パイロンペナルティでトップタイム更新はならずも、逃げ切りに成功。今季5勝目を手にし、有終の美を飾った。
「一本目からしっかりタイムも残せたので、2本目は少しアグレッシブに攻めてみましたが、残念ながらパイロンタッチ。まだまだ精度を上げなければ! と感じました」と、山家選手は第2ヒートでのミスの原因を明かした。
「このイベントでは今年一年間かけてヤリスDATの運転方法を試行錯誤して、ようやく結論に達したドライビングを実践することを心がけました。オートマでも、全てのシフト操作は手動で行っていますが……。今シーズン、初めてのGRヤリス! しかもオートマ!! という事で、苦労しつつもチャンピオンを獲得できた、思い出に残る一年になったと思います。マニュアル車相手に互角に走れるトヨタGR-DATには、まだまだ可能性があると感じております」
2025年JMRC九州ジムカーナ ジュニアシリーズ第9戦
B-FFクラス
少数精鋭による争いとなったB-FFクラスは、スイフトを駆る古家隆規選手が4勝を挙げる力強い走りでチャンピオンを確定済。最終戦も勢いそのままに行くかと思われたが、第1ヒートでミスコースを犯してしまった。新しい勝者が現れるかと期待がかかったが、古家選手は王者の貫禄を見せて第2ヒートをしっかりまとめ上げ、トップタイムを更新。2位に1秒以上の差をつけてシリーズを締めくくった。
「今シーズンから公式戦にエントリーするようになりました。誰になんと言われようと、第1ヒートは慣熟走行のつもりでミスなく走るようにしているんですが……。勝負は第2ヒートと決めていたんですが、後半セクションに向かう手前のターンで失敗してしまい大回りしてしまったのが悔やまれます。ただ、他のセクションは自分の中でもそこそこ良い走りができていたので満足です。勝てたのは運が良かったからだと思っています」と、古家選手は最終戦を振り返った。
「通勤しながら大会にも出ているので、クルマの調子を大会に合わせるのが難しい一年でした。特に夏場にウェストゲートバルブの不調に見舞われてしまい、その時期が大変だったのを思い出します。来年も引き続き参戦したいと思います。毎年、次の年につながるような成長できるシーズンにしたいですね」
B-FRクラス
B-FRクラスには、B4クラスに匹敵する14選手が集った。福岡県のJAF準加盟クラブでもある、九州大学体育総部自動車部(QUCC)の部員をはじめ、若手が数多く参戦するこのB-FRは、これからの九州ジムカーナ界を支えるスラローマーが凌ぎを削るクラスだ。
学生スラローマーたちの挑戦を退けてチャンピオンを確定している栗原翔選手だったが、B-FFの山家選手と同じく第1ヒートでミスコース。トップタイムは、GR86を駆る女性スラローマーの髙木典子選手が記録した1分36秒663だった。
第2ヒートは路面状況的にタイムアップができそうなものの、大幅な更新は期待できないと思われた。しかし中盤ゼッケン、86勢の久保田匡紀選手がトップタイムを2.239秒更新し、続く髙木典子選手は再逆転ならず、0.277秒差で2番手どまり。
肉薄の戦いに終止符をうったのは、やはり栗原選手だった。軽量なND5型ロードスターでテクニカルセクションを軽々とこなしていき、トップタイムを3.028秒更新する衝撃の走りで今季5勝目! 圧倒的な強さで最終戦を締めくくった。
「1本目からベストを狙っていこうと思ってスタートしましたが、気負いすぎてコースをロストしてしまい、ミスコースになってしまいました。そこで、2本目はタイムを残さなきゃいけない中で、周りの選手たちもタイムを上げてきていたので、少しのミスが命取りになると思いました。でも、何故か緊張とかはしていなくて、落ち着いていつもどおりの走りをすることができた気がしたので、ゴールライン超えて少し耳を済ませてたら『ベストタイム更新』と聞こえたので、その時は思わずガッツポーズが出ました(笑)」と、会心の走りを振り返った。
「全戦追って参戦したのは今年が初めてで、自分のクルマがシーズン前に不調で出せなくなってしまい、先輩からのご厚意でロードスターを借りて参戦しました。初めてのフルシーズン、借りた競技車両で最初は本当に技術とかもなくて乗りこなすことができず、思った走りができずに悩みに悩んだこともありました。でも周りの選手たちと競い合ったり、教えあったりということを少しづつ重ねていく度にタイムも出るようになってきて、自分自身のウデを磨き、多くの人と支え合い、関わってきた一年だったかな、という風に思います」
オープンクラス
6選手によって争われたオープンは、第1ヒートからトップを守り抜いた別府政治選手が、ND型ロードスターに乗り換えてPN1から転向してきたJUICHI選手の追撃を振り切った。
「1本目は、とりあえずパイロンが見えない左540°ターンを成功させること、パイロンとの距離感を確認することに集中して走りました。2本目は、コース全体の走りの完成度を上げるよう攻めて走りましたが、コーナリング時やパイロン進入時に突っ込み過ぎてフロントタイヤのグリップを失う箇所があり、コンマ2秒のタイムアップに終わりました」と、別府選手はトップでも反省を忘れない。
更に「今シーズンは、腕試しでオープン参加し、タイヤも中古品で低コストで走りましたが、そこそこタイムも出て楽しめました。来シーズンも同じスタンスでオープン参加しようと思ってます」と、来季の予定も明かした。
エンジョイクラス
元気印の学生ドライバーたちがWエントリーするなど、活気あふれるエンジョイクラス。岡寛文選手が第2ヒートで着実に自身によるトップタイムを更新して優勝を飾り、2位にはQUCCの齋藤蓮選手が入った。
岡選手は、「一年ぶりのジムカーナでした。1本目540°ターンを大きめに回ってしまい、2本目は修正できたものの2回もコースが頭から飛び、走行内容は不完全燃焼でしたので、反省してまた挑戦したいです。物価高などの費用上昇で去年は一回しかジムカーナに行けなかったのですが、2026年はもう少し行けるようにしたいです」と語った。
フォト/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI] レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



