同ポイントで最終決戦の四国ジムカーナPN王座を争う熱戦は徳永秀典選手が制す!

レポート ジムカーナ

2025年10月16日

全7戦で争われる2025年JAF四国ジムカーナ選手権。最終第7戦は毎シーズン恒例、愛媛県のJAF加盟クラブ、チーム.エトワール(ETOILE)が主催するハイランドパークみかわジムカーナコースでの「エトワールスーパースラローム2025 INみかわ」だ。今季は第4戦と第5戦で、中国地区と四国地区の交流戦なども行われ、話題に事欠かなかった四国ジムカーナ。最終戦も近年まれにみる接戦の王座争いが繰り広げられ、話題が盛りだくさんだ。

2025年JAF四国ジムカーナ選手権 第7戦
2025年JMRC全国オールスター選抜ジムカーナ第7戦
エトワールスーパースラローム2025 INみかわ

開催日:2025年9月28日
開催地:ハイランドパークみかわジムカーナコース(愛媛県久万高原町)
主催:ETOILE

 今回の一戦で注目は、ベテラン二人によるPNクラスとBSC1クラスの争い! PNはJAF全日本ジムカーナ選手権王者に9回輝いた天満清選手と、1990シーズンに全日本A1クラスを制し、現在はJMRC四国ジムカーナ部会長も務める“走る部会長”徳永秀典選手が王座を争う。ここまで勝利数、2位の回数も全く一緒。そして主催に伴う欠場も共に一回ずつと全くの同ポイント。最終決戦で上位に入った方が、チャンピオンを確定となる。

 一方BSC1は、全日本でも名を馳せた四国地区を代表するスラローマーによる一騎討ち。中高速セクションでの抜群のアクセラレーションに定評がある田中康一選手と、ターンセクションを得意とする窪田竜三選手、全く異なる持ち味の二人の有効ポイント差はわずか5ポイント。このクラスも王座の行方に注目が集まる。

王座を争う最終決戦の舞台、元スキー場の駐車場であるハイランドパークみかわジムカーナコースは早朝、霧に包まれた。しかし山の空模様は変わりやすく、2時間ほどで霧は晴れて競技が行われた。

 最終戦のレイアウトを設定したのは、全日本PN1クラスで戦う朝山崇選手。「四国には地区戦以外なく、初心者も上級者も同じコースを走るために覚えやすく、ターンできない人でもゴールできることを大事にしました。でも、攻め方によってきちんとタイム差がつくコースにしたい……。更に言えば、クラスも大括りになってるので(例えば2WDのPN車両はひとまとめ)パワー差も出ないようにしたい。そういう想いでつくっているけど、この両立はなかなか毎回悩ましいんです」と、レイアウトづくりの難しさを明かした。

 今回の一戦の設定について「コースは息を抜く暇をつくらず、ずっとコーナリングが続いて影響しあうように設定しているので、先を読んで走ることができればタイムにつながるコースにしました。だから、逆に一度リズムを崩すとじわじわとしばらくタイムロスになるという感じ。特に、向きを変えるのが遅くて膨らんだりすると、次もアクセルが踏めずにタイム差になります。2〜3個先のパイロンの位置を意識して、早めに向きを変え続ける走りが正解です」と、特徴を語った。

 
全日本スラローマー、朝山崇選手がレイアウトを設定。霧でも視認性が高い白いパイロンも使用するなど、天候が変わりやすいみかわへの対策も施された。最終盤の細かいターンセクションに向かう手前のスラロームの進入では、特に多くのスラローマーたちが確認に勤しんでいた。

 前日から雨が続き、完熟歩行の頃まではみかわが霧に包まれた。しかし、競技開始を前に雨はあがり、徐々に路面が乾いていくダンプコンディションに。だが、正午付近から雨の予報も出ており、スラローマーたちは空と路面を何度もにらむ一戦となった。最終戦を勝利し、有終の美で今季を締めくくるのは誰なのか? その戦いの火ぶたが切って落とされた。

R1クラス

 モーターランドたぢかわでの前戦で、R1クラスのチャンピオンを確定させた乃一智久選手は今回の一戦を欠場。一方、中国地区からKAZUYA選手が今季3回目となる遠征を果たした。

 基本、軽自動車が中心となっているR1だがホンダ・シティも参戦し、レイアウトによって車両の得手不得手が如実に表れる。ターンセクションが多くなるみかわでは、トラクションをしっかりかけられる車両とセットアップが重要視される。前輪駆動の車両が有利と思われたが、その予想を大きく覆したのは、後輪駆動のスズキ・カプチーノで2戦2勝のKAZUYA選手だった。

 1Heat、2番手につけたのは前輪駆動のダイハツ・ミラを操る堤耕平選手。KAZUYA選手は中間タイムでは堤選手と0.09秒差だったにも関わらず、後半は更に稼いで0.7秒以上突き放す好走を見せる。

 2Heatでの逆転に賭けたい堤選手だったが、雨が強くなりタイムアップは厳しい状況になってしまう。KAZUYA選手も含めて、多くのスラローマーたちがタイムアップできないまま、1Heatの結果で勝負あり、KAZUYA選手が今季3勝目を飾った。

「中国地区戦を中心に参戦しているのですが、今年は四国に3戦ほどお邪魔させていただきました。中国は5戦しかなく、フルパイロンジムカーナのコースもないので、どうしてもハイランドパークみかわで走りたくて参戦して、いろいろ勉強させてもらえました。四国に来て天満さんと徳永さんの戦いも見せてもらえて良かったです」と、コメントを残した。

R1クラスは主戦場の2025年JAF中国ジムカーナ選手権RCクラスでもスズキ・カプチーノを駆り、一週間前に満点チャンピオンを確定させたKAZUYA選手(JIC広高WmDL吉カプチーノ)が勝利を挙げた。
R1は左から、2位の堤耕平選手(浅野DXLMOTYSBSミラ)と優勝したKAZUYA選手、3位の福田和秀選手(ダンロップ・シティ)のトップ3が表彰台に立った。

R2クラス

 R2クラスもR1と同じく、土居清明選手が前戦で有言実行のチャンピオン確定を果たしている。その土居選手と更に、ランキング2位を確定させた西尾吏巧選手も不参戦となった。

 その中で気を吐いたのは、近畿地区から四国地区戦に遠征を続ける道下貴広選手。1Heatでクラスただひとり、1分13秒台を記録する。鬼の居ぬ間に勝利を挙げたいジュウガワ貴行選手だったが、スタートするとエンジンの不調が発覚。「日ごろのメインテナンスを怠っていたせいですね……。シーズンオフにしっかり直してきたいと思います」と無念そうに語ったが、道下選手との差は1秒以内。一発逆転は十分にありうるタイム差だった。

 しかし、ジュウガワ選手の願いは届かず、2Heatを前に降り始めた雨により道下選手が逃げ切りに成功。ランキングでも道下選手が逆転に成功し、ランキング3位の座を確定した。「優勝したときのためにこのTシャツを買ってきました(笑)。今年は近畿、四国を中心に中部地区にも参戦し、関東にもちょっとだけ参戦したんですが、やっと優勝できてこのTシャツを着れました。このTシャツが日の目を見ることができて、個人的に非常に嬉しいです」と、喜びを爆発させた。

R2クラスはスズキ・スイフトスポーツをドライブする道下貴広選手(FAスイフトDLモティーズS+)が念願の今季初優勝。この時のために、レーシングスーツの下に着込んだTシャツも披露した。
R2もトップ3が表彰された。左から2位の清家大選手(BSSMCスイフト)と優勝した道下選手、3位の菊池慎一郎選手(Rスポーツ・インテグラ)。

R3クラス

 R3クラスも山﨑聡一選手がチャンピオンを確定済。今季は山﨑選手が頭ひとつ抜け出したものの、高芝大輔選手、北上宰選手、そして武田弘己選手の4強が毎戦熾烈な争いを繰り広げている。今回のレイアウトはターンセクションが大きくタイム差に影響する。トラクションこそ優れる山﨑選手が操るロータス・エキシージだが、ターンの精度を上げるのが非常に難しい車両だけに、武田選手が駆るホンダS2000といったアンダーパワーの車両にも勝機がある。

 1Heatでターゲットタイムをマークしたのは、武田選手だった。R2のトップタイムを0.7秒近く上回る好タイムでフィニッシュ。続くホンダNSXを駆る高芝選手にタイム更新の期待がかかるも、パイロンペナルティを犯してしまった。そしてクラス最終ゼッケンの山﨑選手は、中間タイムで武田選手から約0.6秒遅れをとってしまう。後半、ターンセクションの勝負となったが、しっかりとターンを決めきった山﨑選手が武田選手を1秒以上突き放した。

 ウェット路面となった2Heatでは誰もベストタイム更新はならず、山﨑選手が今季5勝目となる勝ち名乗りをあげた。「今年は本当に仕事が忙しく、寝ずに頑張って念願のチャンピオンを獲得できました。練習はいつもモーティブさんのビギナーズカップにしか行ってないのですが、つまりビギナーズカップに行けば速く走れるということです。皆さんビギナーズカップに参加しましょう! 来年は出場できればします。とりあえず西フェス頑張ってきます」と、練習のススメを説いた。

R3クラスはロータス・エキシージを駆ってチャンピオン確定済の山﨑聡一選手(SPEC-DLオメガEXIGE)が両Heatとも制する優勝で、有終の美を飾った。
R3も左から、2位の武田弘己選手(DL4児のパパS2000)と優勝した山﨑選手、3位の高芝大輔選手(BS・CP55・NSX)のトップ3が表彰台に登壇した。

R4クラス

 R4クラスは山下和実選手が開幕4連勝でチャンピオンを確定済。しかし、山下選手は第5戦と第6戦を落として調子を崩している。更に今回の一戦は、優勝した前戦に続き佐藤忍選手が参戦。山下選手との戦いぶりにも注目が集まった。

 しかし、二人の勝負は意外な結果で幕を閉じる。佐藤選手はテクニカルセクションも、力でねじ伏せるような豪快なアクセルワークと見事なステアリング捌きで、三菱・ランサーエボリューションXを加速。ターゲットタイムを一気に1分11秒台まで押し上げたかと思われた。しかし、ポストからは無情にも黄旗が提示。一方、流れるようなラインどりでランエボVIを前へ前へと進める山下選手。1分11秒686を記録し、1Heatをトップで折り返す。

 2Heatは他クラスと同じく、ウェット路面となりタイムアップは望めない。それでも佐藤選手は果敢にアタックを行い2Heatでの一番時計をマークするも、やはり山下選手には届かなかった。優勝した山下選手は「今年はマシントラブルに相当泣かされた一年でした。僕は泣いていたんですが、部品を交換していると周りの人が笑顔で近寄ってくるんです(笑)。でも、最終戦勝てたんで来年の開幕戦まで、毎晩美味しいお酒が飲めると思います。皆さんには苦虫を潰していただいて、また来年会えればと思います」と表彰台の頂点で語った。

三菱・ランサーエボリューション使いによる優勝争いとなったR4クラスは、ランエボVIをドライブしてチャンピオン確定済の山下和実選手(SMCランサーエボ6)が優勝でシリーズを締めくくった。
R4の2位はランエボXを駆って2Heatで激走を見せた佐藤忍選手(YHモーティブクスコランサー)が逆転で獲得(左)。3位も背水の陣で2Heatを迎えた西原貴志選手(R☆にしはランサー)がランエボIXを操って掴み獲った(右)。
R4の表彰台には左から、2位の佐藤選手と優勝した山下選手、3位の西原選手が上がった。

PNクラス

 まだチャンピオンが確定していないクラスのうちのひとつ、PNは緊張感張り詰める最終戦となった。フルパイロンコースのみかわではGR86からマツダ・ロードスターRFに乗り換えて、ダブルエントリーする天満選手が最終ゼッケン。スバルBRZを操る徳永選手が、クラスラスト前ゼッケンを務める。

 1Heatでの二人は内田憲作選手がマークした1分11秒台を目指し、徳永選手がスタート。アナウンスの八塚勝博氏の声も気合が入る。徳永選手は中間タイムで内田選手から約1秒のアドバンテージを稼ぎだす。さらに後半テクニカルセクションに入ると、大柄なスバルBRZの車体を前へ前へと押し進める。ターゲットタイムを一気に1分9秒989へと押し上げた。

 続く天満選手も気合が入る。ストレートスピードで劣るロードスターRFにも関わらず、中間では徳永選手に遅れること0.13秒。後半テクニカルセクションで一気に巻き返せるビハインドで変則スラローム、そして最終三角パイロンへと進入していくが、わずかにリズムが整わない。失敗というにはほんの些細なリズムの掛け違いがタイムに大きく影響し、天満選手は0.492秒差の2番手で折り返すこととなった。

 そして、天満選手逆転の願いは届かず、2Heatを前に無念の雨……。徳永選手が最終決戦を制し、チャンピオンを確定することとなった。「気合だけで走りました! 奇跡が起こりましたね。今日は天気が悪かったんですが、天満さんのおかげで盛りあげに貢献できたと思っています。非常にしんどい一年間でしたが、本当に楽しい一年間でもありました。自分で言うのもなんなんですが、60歳を手前に少し運転上手くなった気がします。来年は後輩の育成に励みたいと思います」と、笑顔で激しい王座争いを終えた。

王座争いが今回の一戦までもつれたPNクラスは、スバルBRZを駆る徳永秀典選手(DL植田自動車MTVAEBRZ)が1Heatで見せた圧巻の走りで制して三連覇を確定させた。
PNの王座を狙う天満清選手(DLMOTIVEロードスター)はGR86からマツダ・ロードスターRFに乗り換えて最終決戦に挑んだが、2位で逆転チャンピオン確定ならず(左)。ND型ロードスターをドライブして、1Heatで一時トップに立つタイムをマークした内田憲作選手(DLMOTIVEロードスター)が3位を獲得した(左)。
PNは5位までのスラローマーが表彰された。左から4位の鎗内良壮選手(CP55レイズWmロードスター)、2位の天満選手、優勝した徳永選手、3位の内田選手、5位の星川栞人選手(DLスノコロードスターSPD)。

BSC1クラス

 もう一つの最終決戦は、BSC1。2022年全日本JG4(現B・SC1)クラス王者の田中康一選手と、このクラス二連覇中で、2002年全日本第6戦のA1クラスも制している窪田竜三選手による王座争いだ。ポイントは田中選手が一歩リードしているが、今回の一戦のリザルト次第で窪田選手にもチャンピオン確定の可能性は充分にある。

 1Heatで先手を奪ったのは田中選手。窪田選手の中間タイムが伸び悩む中、一気にタイムを詰めて1分10秒541を記録した。窪田選手も後半のテクニカルセクションで開いた差を縮めたが、中間計測までに失ったタイムを取り戻すことはできず、0.651秒差の2番手で折り返した。

 しかし、2Heatではタイムアップが望めないと誰もが思っていた中、窪田選手は驚愕の走りを見せた。数センチ単位で距離を詰めていく細かいステアリング操作を繰り返し、精密に描いた理想のラインをトレース。中間タイムは自身の1Heatから遅れることわずか0.2秒と、まさかの逆転劇への期待が高まる。しかし、グリップが落ちたウェットパッチの上ではターン直後のトラクションに期待することは難しかった。それでもベストタイムを0.046秒更新し、2Heatでのトップタイムを記録して一矢報いた。

 優勝、そしてチャンピオンを確定させた田中選手は「スイフトに乗り換えて2年目で、やっと結果を残すことができて良かったです。途中ターンが苦手なのを披露した時もありましたが、最終戦でしっかりとまとめ切ることができて良かったです」と、喜びとともに安堵した表情も見せた。

他クラスと同じく1Heat勝負となったBSC1クラスは、一発で好タイムを叩き出した田中康一選手(YH☆ワコーズ☆RSKスイフト)が制し、スイフトに乗り換えて初のチャンピオンを確定させた。
BSC1は左から、2位の窪田竜三選手(ダンロップ☆RSK☆インテグラ)と優勝した田中選手、3位の右城義文選手(DL SPEC-Dインテグラ)のトップ3が表彰台に登壇した。

CLクラス

 CLクラスは参戦3名と、少数精鋭による争い。しっかりと走り切った内田紘暉選手がトップタイムを譲らず、山口寿選手との同門対決に勝った。内田選手は「最終戦を優勝で締めくくることができ良かったと思います。また来年も楽しく走りたいと思いますので、よろしくお願いします」と、2026シーズンへの参戦継続も明かした。

三つ巴の争いになるかと思われたCLクラスだが、NB型ロードスターを駆る内田紘暉選手(SPEC-Dロードスター)が1Heatで2番手以下を1秒近く離すタイムでトップに立つと、そのタイムで逃げ切った。

 最後に徳永選手がJRMC四国ジムカーナ部会の部会長として、「今年は中国地区との交流戦を2戦設けるなど、新しい試みにチャレンジした年でした。(JMRC中国ジムカーナ部会の)難波(眞)前部会長と始まった話が、やっと実現化できて嬉しかったですね」と、今季の四国地区戦を総括した。

 続けて「来年は四国地区でも8戦、中国地区でも8戦で地区戦が開催される予定となっているため、交流戦は実施しない方向で動いていますが、現(JMRC中国ジムカーナ)部会長の馬場(靖典)さんが徳島カートランドに中国地区の選手を連れて参戦したいと言ってくれています」と、初開催で両地区のスラローマーからも好評だった交流戦の来季について言及。どのようなかたちで開催されるのか、注目だ。

「2026年はTEC(徳島県のJAF加盟クラブ、トータルエクセレンスクラブ)の天満さんが尽力してくれ、徳島カートランドでの大会も2戦になる予定です。また、新たな刺激を受けることができればと思っています。事実、今年参戦してくれた四国地区のエントラントからも中国地区のトップレベルの選手の走りを間近に見れて良い刺激になったとか、賞品が豪華になったとかいろいろ意見ももらっています。2026年も良い大会が主催できればと思っています」と来たる新シーズンへの展望を語った。

表彰式終了後には四国外から参戦してきた“海外勢”たちに記念品が贈られ、タイヤメーカーの販促グッズなどの景品が当たるじゃんけん大会も行われた。

フォト/谷内壽隆[Hisataka TANIUCHI]  レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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