JAFカップジムカーナはスピードパーク新潟で開催。PN1は関東の片山誠司選手がウェット路面を攻略

レポート ジムカーナ

2025年11月5日

2025年JAFカップオールジャパンジムカーナ/JMRC全国オールスタージムカーナ in 関東が、10月25~26日に新潟県のスピードパーク新潟で開催された。全日本ジムカーナ選手権を含め、同コースで全国規模のジムカーナ大会を開催するのは、今回が初となる。

2025年JAFカップオールジャパンジムカーナ
JMRC全国オールスタージムカーナ in 関東

開催日:2025年10月25~26日
開催地:スピードパーク新潟(新潟県胎内市)
主催:TASK、THE・MC

 全日本選手権と全国8地区のJAF登録クラブ地域協議会(JMRC)で開催された地方選手権を締めくくるこの大会には、今シーズンの全日本ジムカーナ選手権で各クラスシリーズ成績上位10位以内に入賞した選手と、地方ジムカーナ選手権で各クラスシリーズ成績上位6位以内に入賞した選手が出場。今年は、併催クラスを合わせて153台のエントリーを集めた。

 170mのストレート区間を持つ国内最大規模のカートコースにレイアウトされた今回のJAFカップは、右回りを基準に外周セクションと内周セクションをつないだコースで設定。前半区間に90度と180度のパイロンターン、ゴール手前にシケイン的なパイロンスラロームが設置されている。

 決勝が行われる前日の公開練習までは好天が続いてドライ路面だったが、決勝当日は朝から降雨に見舞われた。一時的に雨が止んだ時間帯もあったが、両ヒートともウェットコンディションの中で競技が進められることに。

 今シーズン、関東ジムカーナ選手権は全10戦が組まれていたが、同コースでの開催は1戦のみ。そのときの路面コンディションはドライで、関東地区の選手を含め、多くの選手がスピードパーク新潟のウェット路面は初経験という状況の中で、競技はスタートした。

あいにくの雨降りとなってしまった2025年のJAFカップオールジャパンジムカーナ。全国規模のジムカーナ大会としては初開催のスピードパーク新潟が戦いの舞台となった。
開会式および表彰式、ブリーフィングはスピードパーク新潟の隣に建つ新潟食料農業大学胎内キャンパスのエントランスで行われた。またパドックの一部として同キャンパスの駐車場が使用されている。
JMRC関東運営委員長である小口貴久大会会長、JMRC中部副運営委員長の青木啓児大会副会長が挨拶を行い、JMRC全国ジムカーナ振興事業委員長の後藤和弘組織委員長兼競技長がドライバーズブリーフィングを実施。
2024年のJMRC全国オールスターの地区対抗戦を制したJMRC中国ジムカーナ部会の馬場靖典部会長から、小口大会会長に優勝旗が返還された。
選手宣誓を行ったのは、RX-7でBC2クラスに参戦の小林純選手と、ロードスターでPN3クラスに参戦の徳武銀河選手。
コースの外周と内周を走るレイアウトの中にパイロンを巧みに組み合わせた。フィニッシュ前にスラロームが設けられている。

PE1クラス

 第1ヒートでクラス唯一となる1分3秒台のタイムを叩き出した全日本2位確定の大橋政哉選手(アルピーヌ・A110R)が、第2ヒートでベストタイムを1分2秒台に引き上げることに成功。これでJAFカップ4連覇だ。「スピードパーク新潟は苦手なイメージがあったので、優勝できてうれしいです。来年は5連覇目指して頑張ります」と大橋選手。

 2位には、第2ヒートで自己タイムを0.362秒引き上げてきた関東地区チャンピオン確定の古田孝一選手(アルピーヌ・A110R)が入賞。そして第1ヒートから大きくタイムを上げてきた全日本6位確定の飯野弘之選手(アルピーヌ・A110R)が3位入賞した。

PE1クラス優勝は大橋政哉選手(DLFG-LFWμA110R)。
ほかを寄せつけないタイムで大橋政哉選手が勝利。手のひらでJAFカップ四連覇達成を表現して喜んだ。
2位は古田孝一選手(R-SPEC柿崎A110RDL)、3位は飯野弘之選手(いいの眼科DLμA110R)。
PE1クラスの表彰式。左から4位の清水弘之選手、2位の古田選手、1位の大橋政哉選手、3位の飯野選手、5位の大橋政人選手、6位の鎌田孝選手。

PE2クラス

 PE2クラスは、「実はJAFカップに出場するのは初めてなんです」という全日本3位確定の高江淳選手(ミニ・クーパーS)が、第1ヒートでパイロンタッチのペナルティが加算され下位に沈むものの、第2ヒートで「走行ラインは第1ヒートから変えず、前後タイヤのグリップに全集中しました」とベストタイムを更新して逆転優勝。自身初となるJAFカップを手にした。

「ウェット路面でしたが、路面の砂利が雨で流れていたので、1コーナーからいい感触で走ることができました」という東北地区2位確定の藤原雄司選手(ミニ・クーパーS)が2位を獲得。3位には、第1ヒートでベストタイムを奪いながらも、第2ヒートで痛恨のミスコースに終わった全日本4位確定の大川裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。

PE2クラス優勝は高江淳選手(DL☆REOひかりBPFミニ)。
JAFカップ初出場という高江選手だったが、持ち前の集中力を発揮して逆転優勝を遂げた。
2位は藤原雄司選手(コニシタイヤ☆QM☆MINI)、3位は大川裕選手(DLセラメタSEIJOスイフト)。
PE2クラスの表彰式。左から4位の髙屋隆一選手、2位の藤原選手、1位の高江選手、3位の大川選手、5位の林幸照選手、6位の篠崎祥選手。

PN1クラス

 関東地区2位確定の片山誠司選手(トヨタ・ヤリス)が、「6年ぶりにスピードパーク新潟を走ったのですが、そのときはドライ路面でした。雨の新潟は初めてです。ウェット路面用のライン取りが功を奏したんじゃないかと思います」と、両ヒートで2位以下を1秒以上引き離すベストタイムをマーク。JAFカップでは4年ぶりとなる優勝を果たした。

 2位は「高速コーナーでリアを出しすぎてしまい、タイムが伸びませんでした」と悔しい表情を見せた東北地区チャンピオン確定の松下武史選手(トヨタ・ヤリス)が獲得。3位には、「ターンが得意なので、もっとターンしたかったです(笑)」という中部地区チャンピオン確定の岡直輝選手(トヨタ・ヤリス)が入賞した。

PN1クラス優勝は片山誠司選手(AZUR YH S+ ヤリス)。
ウェット路面を攻略した片山選手。JAFカップとしては2021年のイオックス・アローザ以来の勝利だ。
2位は松下武史選手(DLBGつながるITヤリス)、3位は岡直輝選手(M-I☆SUAC☆DLヤリス)。
PN1クラスの表彰式。左から阪本芳司選手、2位の松下選手、1位の片山選手、3位の岡選手、5位の長畑年光選手、6位の矢島融選手。

PN2クラス

「学生時代を新潟で過ごし、そのときに何度かこのコースを走ったことがあります」という全日本6位確定の中田匠選手(マツダ・ロードスター)が、第1ヒートのベストタイムをマーク。第2ヒートは、「スピードパーク新潟を走るのは初めてですが、自分の中ではギリギリ合格点の走りができたと思います」という関東地区チャンピオン確定の橋本恵太選手(マツダ・ロードスター)がベストタイムを更新する。

 だが、第1ヒートトップの中田選手がさらにベストタイムを0.461秒塗り替え、結果的には両ヒートを制する走りを見せてJAFカップ初優勝を果たした。2位には橋本選手が入賞し、3位は関東枠から出場した福田大輔選手(マツダ・ロードスター)が獲得した。

PN2クラス優勝は中田匠選手(DLクスコWm小倉ロードスター)。
上位3選手は第2ヒートで1分4秒台の戦いを繰り広げたが、中田選手が1分4秒386でトップを奪取。
2位は橋本恵太選手(XPLロードスターGメカFWG)、3位は福田大輔選手(BST2エリアWmロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の津野友佑選手、2位の橋本選手、1位の中田選手、3位の福田選手、5位の米澤匠選手、6位の前田清隆選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、2024年の全日本チャンピオンで今シーズンは中部地区2位確定の大多和健人選手(マツダ・ロードスターRF)が、「少し変な制御が入ってしまいました」と言いながらもベストタイムをマーク。その大多和選手に0.139秒差で関東地区4位確定の大坪伸貴選手(トヨタ・GR86)、さらに0.447秒差で東北地区チャンピオン確定の畠山佳選手(スズキ・スイフトスポーツ)が続く僅差の勝負に。

 第2ヒートに入ると、中部地区9位確定の鈴木勇一郎選手(トヨタ・GR86)が「第1ヒートの走りはちょっとぬるかったので、第2ヒートは今シーズン最後の走りだと思い、集中して走りました」と、大多和選手が第1ヒートでマークしたベストタイムを0.078秒更新してトップに立つ。

 チームメイトでもある鈴木選手の逆転を許した大多和選手は、第2ヒートでクラス唯一となる1分3秒台のタイムを叩き出し、再逆転に成功。自身3回目となるJAFカップ優勝を果たした。2位に鈴木選手、3位には逆転を狙った第2ヒートでスピンを喫してリタイアに終わった大坪選手が入賞している。

PN3クラス優勝は大多和健人選手(HSM熊王3SDLロードスター)。
元全日本チャンピオンがJAFカップで魅せた。大多和選手が3度目のJAFカップを手にした。
2位は鈴木勇一郎選手(熊王AZUR牧速GR86DL)、3位は大坪伸貴選手(DLマンパイ・PON屋BRZ犬)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の畠山佳選手、2位の鈴木選手、1位の大多和選手、3位の大坪選手、5位の山本哲也選手、6位の岡野博史選手。

PN4クラス

 第1ヒートでクラス唯一となる1分1秒台のタイムを叩き出した全日本チャンピオン確定の津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が、第2ヒートではベストタイムをさらに0.643秒塗り替え完勝。「金曜と土曜のドライ路面で少し苦戦し、日曜はウェットというコンディションの中、地元選手の攻め方もすごく参考にさせてもらいました。来年の全日本に向けても、今回の経験を活かしたいと思います」と津川選手。

 2位には、第2ヒートで自己タイムを一気に3秒縮めてきた全日本5位確定の上本昌彦選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞。3位は「来年、ここで開催される全日本でリベンジしたいです」という関東地区チャンピオン確定の大脇理選手(トヨタ・GRヤリス)が獲得した。

PN4クラス優勝は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)。
2025年の全日本チャンピオンを確定させ、JAFカップ優勝のダブルタイトルを獲得した津川選手。
2位は上本昌彦選手(ルブロスK1レイズDLヤリス)、3位は大脇理選手(ADVANリジットGRヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の若林隼人選手、2位の上本選手、1位の津川選手、3位の大脇選手、5位の秋山義忠選手、6位の山口栄一選手。

BC1クラス

 0.1秒の中に関東地区4位確定の齋藤寿選手(ホンダ・インテグラ)と全日本の久保田尊治選手(ホンダ・シビック)、中部地区2位確定の水谷琢志選手(ホンダ・インテグラ)が並んだBC1クラスの第1ヒート。第2ヒートで関東地区チャンピオン確定の近藤岳士選手(ホンダ・CR-X)が大逆転を果たした。

「まわりから第2ヒートのウェット路面は(CR-Xに)不利と言われていたのですが、ワンチャンスを活かすことができて本当にうれしいです」と近藤選手。そして「FFで走るのは約10年ぶりです(笑)」という全日本4位確定の小林規敏選手(ホンダ・CR-X)が第2ヒートで追い上げ2位入賞。3位は「第1ヒートで気づいた修正点を、第2ヒートでうまく修正できた点は良かったと思います」という水谷選手が獲得した。

BC1クラス優勝は近藤岳士選手(YH・Moty's 渦CR-X)。
近藤選手はJAFカップを制したことで「モチベーションが上がったので、来年も頑張ります(笑)」とコメント。
2位は小林規敏選手(Motive CRX BS)、3位は水谷琢志選手(K1YHプロμインテグラ柴NU)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の齋藤寿選手、2位の小林選手、1位の近藤選手、3位の水谷選手、5位の巻口洋平選手、6位の久保田尊治選手。

BC2クラス

 BC2クラスは、スピードパーク新潟をホームコースとする関東地区2位確定の小林純選手(マツダ・RX-7)が、第1ヒートではクラス唯一となる1分2秒台のタイムでトップに立つが、第2ヒートは関東地区チャンピオン確定の山本秀夫選手(ホンダ・S2000)が逆襲。

「今回、ほぼ初めてSタイヤで走ってみたんですが、第2ヒートはうまくまとめることができたと思います」と山本選手。自身初となるJAFカップ優勝を果たした。2位に小林選手、3位には全日本3位確定の梅村伸一郎選手(ロータス・エキシージ)が入賞した。

BC2クラス優勝は山本秀夫選手(YHコサFWGXPLS2000)。
山本選手が第2ヒートで気を吐き、1分1秒367のタイムでJAFカップを制した。
2位は小林純選手(まこねんコサ犬サカモトRX-7)、3位は梅林伸一郎選手(ORJブリッドDLエキシージ)。
BC2クラスの表彰式。左から4位のトミーアルパカ選手、2位の小林選手、1位の山本選手、3位の梅村選手、5位の塩澤広充選手、6位の若林拳人選手。

BC3クラス

 全日本チャンピオン確定の菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)と同2位確定の奥井優介選手(トヨタ・GRヤリス)が第1ヒートから好勝負を展開。「ここのコースは、見た目以上に行けるようで行けないコーナーが多い。行くところと行けないところをちゃんと計算していかんと、行かなくてはいけないところで止まれなかったりと、ややこしい」という菱井選手が1分00秒762のベストタイムをマーク。

 だが第2ヒートは「ここのコースはアクセルを踏めそうで踏めない。苦手なんですよ」という奥井選手が、59秒台のタイムを叩き出してトップに立つ。すぐさま第1ヒートトップの菱井選手が、58秒台のタイムでフィニッシュし、全日本チャンピオン確定とJAFカップ優勝の2冠を達成した。2位に「来シーズンも菱井選手と戦いたい」と話す奥井選手が入賞、3位には関東チャンピオンの大澤勝紀選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)が入賞した。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコGRヤリス)。
全日本ジムカーナ選手権で上位を争う選手同士の戦いとなったが、菱井選手に軍配が上がった。
2位は奥井優介選手(DL☆速心LFW☆茨トヨヤリス)、3位は大澤勝紀選手(フォースDLコルトSPランサー)。
SC3クラスの表彰式。左から4位の岡本尚史選手、2位の奥井選手、1位の菱井選手、3位の大澤選手、5位の小川謙輔選手、6位の佐藤林選手。

Womenクラス

 Womenクラスは、JAFカップは5年ぶり2回目の出場となる中部地区の渡邉千尋選手(マツダ・ロードスターRF)が、両ヒートでベストタイムをマーク。「かつこ選手をはじめ、いろいろな方のサポートをいただいたおかげです」と、3回目のJAFカップ優勝を果たした。

 2位には、「第1ヒートで悪かったところ、とくにコーナーの奥で行き詰まったところを修正しました」という関東2位確定の吉澤美枝選手(スバル・BRZ)が入賞。3位は地区戦と同じくトレッドウェア280のタイヤで走行した関東チャンピオン確定の東方紀美恵選手(スバル・BRZ)が獲得している。

Womenクラス優勝は渡邉千尋選手(ITO陶マツダロードスターRF)。
2019年、2021年とJAFカップのWomenクラスを制した渡邉選手が3度目の優勝を飾った。
2位は吉澤美枝選手(セラメタASノアCP川越BRZ)、3位は東方紀美恵選手(リジットBPSシバタイヤBRZ)。
Womenクラスの表彰式。左から4位の木村真生選手、2位の吉澤選手、1位の渡邉選手、3位の東方選手、5位の武田とも子選手、6位の大江美由希選手。

SLWクラス

 併催クラスのSLWクラスは、関東地区の斎藤達也選手(ケータハム・スーパー7)が両ヒートとも2位以下を大きく引き離して優勝。3.34秒差の2位に東海林宏一選手(ケータハム・セブン)が入賞、第1ヒートはクラス最下位に終わった関東地区の沼田真一選手(ケータハム・スーパー7)が、第2ヒートで一気にタイムを縮め3位となった。

SLWクラス優勝は斎藤達也選手(コサ犬ケントSスーパー7UPS)。
併催クラスは圧巻のタイムを記録した斎藤選手が勝利を収めている。
2位は東海林宏一選手(スーパーライトR300)、3位は沼田真一選手(HMCSスーパー7BDR青)。
SLWクラスの表彰式。左から4位の立屋征美選手、2位の東海林選手、1位の斉藤選手、3位の沼田選手。

 全国8地区によるJMRC全国オールスタージムカーナの地区対抗戦は、中部地区が優勝、2位に東北地区、3位に関東地区がそれぞれ入賞した。

JMRC全国オールスタージムカーナの表彰式。JMRC中部の菅野秀昭ジムカーナ部会長が優勝旗を受け取り、故郷に錦を飾った。

PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO]、CINQ REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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