ジムカーナ歴6年の築山拓也選手が北海道ジムカーナ第6戦H-BC1で念願の初優勝!

レポート ジムカーナ

2025年9月24日

全国的に猛暑日が続いた今夏だったが、8月31日の北海道更別村は曇りで、最高気温22℃と涼しめの一日となった。そんな空模様の下、当地に建つ十勝スピードウェイのジムカーナコースでは2025年JAF北海道ジムカーナ選手権 第6戦が開催された。

2025年JAF北海道ジムカーナ選手権 第6戦
2025年JMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズ第6戦
2025年JMRCオールスター選抜 第6戦
2025 TOKACHIショートトラックジムカーナ

開催日:2025年8月31日
開催地:十勝スピードウェイ ジムカーナコース(北海道更別村)
主催:TOSC

 今回のレイアウトはスタート直後に逆バンクなど中・高速コーナーを駆け抜け、その後は島周りと2つのターンからなるテクニカル区間が待ち受けていることが特徴。また、レイアウトの長さはJAF全日本ジムカーナ選手権並みの1分20秒前後と、地区戦スラローマーたちにとってチャレンジングな設定になっているのも見どころだ。

 全7戦で行われる北海道地区戦も残り2戦。H-PN1クラスとH-BC1クラスはチャンピオンが確定しているが、H-BC2クラスは王座争いの真っただ中、第6戦は大事な一戦になる。2025年JMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズのミドル部門は全8戦中の7戦目だが、まだチャンピオンが決まらないクラスもあり、9クラス54選手によるアツい戦いが繰り広げられた。

2025年JAF北海道ジムカーナ選手権の第6戦は8月最後の日に、更別村に建つJAF公認サーキット、十勝スピードウェイ内のジムカーナコースを舞台に開催された。
最終第7戦直前、シリーズが佳境を迎えた一戦のレイアウトはスタート直後の中・高速区間とその直後からフィニッシュまで続くテクニカル区間、剛柔織り交ぜた設定で競われた。
夏も終わりの8月末、津軽海峡から北はまだ酷暑真っただ中だったが、この日の十勝は曇り空。涼しい天候の中、スラローマーたちは慣熟歩行に勤しんだ。

2025年JAF北海道ジムカーナ選手権 第6戦

H-PN1クラス

 H-PN1は前戦でチャンピオンを確定させた米澤匠選手が、今季はここまで無敗と無双状態で全戦優勝を目指して今回の一戦に挑んだ。Heat-1からライバルたちを寄せつけない走りで、2番手以下に1秒以上差をつけてトップに立ち絶好調。久しぶりにエントリーしてきた金内佑也選手が2番手、3番手に由田兼三選手がつけた。

 Heat-2で金内選手は中間タイムで、米澤選手に0.259秒差まで迫る。後半もミスもなく走り切るが、0.512秒差までしか詰め寄れず2番手は変わらず。由田選手もベストタイムを0.5秒以上更新したが3番手に留まった。優勝が決まった米澤選手がウィニングランで全クラストップタイムとなる1分13秒014を叩き出し、見事開幕6連勝を飾った。

「ロードスター一筋、10年以上ジムカーナをやっていて全戦優勝はしたことがないのですが、これで王手をかけました。次回でフルポイントを目指して頑張ります!」と、米澤選手は大きな記録に王手をかけて意気込んだ。

PN1クラスはND型マツダ・ロードスターを武器に、クラス唯一1分13秒台で駆け抜けた米澤匠選手(シンシアDLSOロードスター)が開幕からの連勝を6に伸ばした。
金内佑也選手(シンシアDLクスコWMBRZ)が今季の北海道地区戦初登場。アバルト124スパイダーからZD8型スバルBRZに乗り換えても、H-PN1の2位を得る速さを見せた(左)。ZD8型BRZをドライブする由田兼三選手(DLXPLコサ犬BRZシンシア)はHeat-1から順位は変わらず、3位を得た(右)。
H-PN1は左から2位の金内選手、優勝した米澤選手、3位の由田選手、4位の河原浩幸選手(シンシアDLラブカアクレ86犬)のトップ4が表彰された。

H-BC1クラス

 成瀬悠人選手がチャンピオンを確定させているH-BC1だが、築山拓也選手と宮田祐次選手が熾烈なランキング2番手争いを展開している。今回の一戦は宮田選手が欠場したため、築山選手がどこまでポイントを稼げるかに注目が集まる。

 Heat-1で築山選手は中間タイムで成瀬選手に0.158秒上回ったが、トータルでは成瀬選手が築山選手を僅か0.066秒上回る1分14秒96のトップでHeat-2に突入する。午前中より気温が上がり、各スラローマーのタイムアップが期待されたが、トップタイムを破るどころかタイムダウンするスラローマーも出て苦戦する。そんな中、築山選手は中間ベストタイムを更新すると、ついに均衡を破る。トップタイムを1.396秒更新して唯一の1分13秒台を叩き出して逆転、トップに立つ。クラス最終出走の成瀬選手はベストを0.308秒更新するも築島選手には届かず2位。3位はHeat-2でタイムダウンしてしまったが、浅野晴海選手が守り切った。

 見事、ジムカーナ人生で初優勝を飾った築山選手は6年前からジムカーナを始め、今季からH-BC1に転向して試行錯誤を繰り返してきた。その成果が実り、初優勝した走りは「無我夢中で走った」と振り返った。更に「走り以外の細かいところを奥さんが助けてくれるので、走りに集中することができるようになり、初優勝することができました。次回も優勝してシリーズポイントで2位を確定して、今年を気持ち良く終われたらと思っています」と、築山選手は夫婦二人三脚で掴み獲った初優勝を心から喜んでいた。

 最終第7戦を前にランキング2番手争いは、築島選手が宮田選手に13ポイント差をつけて一歩リード。初優勝をきっかけに勢いがついた築山選手が、最終決戦でどのような走りを見せるのか楽しみだ。

ZC33S型スズキ・スイフトスポーツを操ってHeat-1をH-BC1クラス2番手で折り返した、築山拓也選手(SCENEエリアSスイフトYH)はランキング2番手を争ううえでも貴重なジムカーナ初優勝を逆転で成し遂げた。
ホンダ・シビックを駆ってチャンピオン確定済の成瀬悠人選手(AIM・URG・YH・シビック)はHeat-2で築山選手の伸びには敵わず2位となった(左)。浅野晴海選手(SCENE☆YH☆MR2)はトヨタMR2をドライブして3位、2位を獲った第4戦以来のトップ3タイムを残した(右)。
H-BC1は左から2位の成瀬選手と初優勝の築山選手、3位の浅野選手のトップ3が表彰台に登壇した。

H-BC2クラス

 3クラスが成立している地区戦で、H-BC2だけがまだチャンピオン確定となっていない。ランキングトップで今回の一戦に臨んだ小野寺俊選手は、Heat-1でパイロンペナルティを犯したが3番手に踏みとどまった。トップタイムは大川龍之助選手がマークし、逸見将吾選手が2番手で続く。小野寺選手と王座を争う笠原康彦選手は4番手から、Heat-2での逆転を狙う。

 朝から続く曇り空の下でも路面温度は上がり、Heat-2では最初に走った木村選手が1分16秒台でトップタイムを更新し、ライバルたちもタイムアップが期待される。しかし、大川選手はHeat-1と全くの同タイム、笠原選手もベストこそ大幅にタイムアップするが、トップタイムに届かない。

 その中で最終ゼッケンの小野寺選手が走り出し、Heat-1でペナルティを犯した第1パイロンを無事通過。中間こそHeat-1のタイムから遅れるも、1分16秒144で0.714秒逆転、チャンピオン確定に向けて大きな一勝を挙げた。

「第1ヒートで心の迷いからパイロンタッチしてしまったので、オーバーオール(タイム)を獲りたかったけど勝ちにいく走りをしました。クルマのオーナーの木村選手も2位に入ることができて、とても嬉しいです」と、小野寺選手はHeat-2での走りを振り返った。

H-BC2クラスは進化型GRヤリスを駆る小野寺俊選手(シンシア★ワコーズDL★ヤリス)が今季3勝目を挙げ、チャンピオン確定に大きく近づいた。
H-BC2はGRヤリス勢がトップ3を占めた。小野寺選手とダブルエントリーした木村司選手(T箱シンシアSO.DLヤリス)は2位に入り、1-2フィニッシュを果たした(左)。両ヒートで全く同じタイムを記録した大川龍之介選手(シンシア白ヤリス)が3位を獲得した(右)。
H-BC2もトップ3が表彰台に上がった。左から2位の木村選手と優勝した小野寺選手、3位の大川選手。

2025年JMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズ ミドル部門 第6戦

R-ATクラス

 R-ATクラスの第6戦は一騎討ちとなり、丸田敦士選手がトップタイムを出してHeat-2を迎える。ランキング2番手の數野康博選手は、第6戦を勝って王座争いを最終戦に持ち込みたいところだが、トップタイムには届かず。丸田選手は更にタイムアップして優勝を果たし、チャンピオンを決めた。

「今まで皆勤賞的に優勝してきましたが、今回は千歳で練習してきたので勝てたと思います。皆さん、練習を頑張りましょう!」と、丸田選手の勝利は練習の賜物であることを明かした。

R-ATクラスはレクサスISを駆る丸田敦士選手(通勤快速IS)が両Heatを制して勝利を挙げた。
R-ATは左から2位の數野康博選手(ギャランドゥ)と優勝した丸田選手、参戦スラローマーが表彰台に立った。

R-Ecoクラス

 R-Ecoクラスには、二連勝中の上井康斗選手が函館から6時間かけてエントリー、今回の一戦で勝てばまだチャンピオン確定の可能性が残る。一方、開幕第1戦以来、勝利がないランキングトップの矢口泰成選手は、勝ってライバルの猛追をかわしたいところだ。

 Heat-1は上井選手がR-Ecoで唯一、1分21秒台を出してトップで折り返す。0.622秒差で矢口選手が2番手で追い、4秒以上開けて野坂壮平選手が3番手につけた。

 朝から続く鉛の色の空の下で始まったHeat-2は、上井選手が2つのパイロンペナルティでベストを更新できない波乱の展開となった。トップタイムが更新されないまま、最終出走の矢口選手がスタートする。矢口選手は渾身の走りを見せてベストを0.271秒更新したが、上井選手を超えることができず2位となり、王座争いの決着は最終戦に持ち越されることになった。

 三連勝を決めて首の皮一枚、王座争いに踏み留まった上井選手は「ターンのテクニカルなところが得意なので、良い走りができたのが勝因だと思います」と振り返った。

R-Ecoクラスでトヨタ・ヴィッツRSを駆ってHeat-1トップで折り返した上井康人選手(未来大半魚丼Vitz)はHeat-2でダブルパイロンペナルティを犯すも逃げ切って三連勝を果たした。
ZC32S型スイフトをドライブする矢口泰成選手(北大DLアーレスティGスイフト)はR-EcoのHeat-2でタイムアップを果たすも、0.351秒勝利に届かず2位となった(左)。3位は軽自動車のホンダS660を操る田中立行選手(ガレージシンシアS660)が獲得した(右)。
R-Ecoは4位までのスラローマーが表彰を受けた。左から2位の矢口選手、優勝した上井選手、3位の田中選手、4位の森本里美選手(シンシアDLヒロ・ロードスター)。

86/BRZクラス

 今回の一戦で最激戦区となった86/BRZクラスは、既にチャンピオンを決めている北村拓也選手が不参戦。若手のニューカマー、22歳の尾崎光歩実選手と経験豊富な山内見音選手によるランキング2番手争いが見どころとなった。

 Heat-1はトップの山内選手が、2番手の尾崎選手に0.56秒の差をつけて折り返した。Heat-2で尾崎選手は中間で山内選手を0.442秒上回ると、1分21秒745を記録して逆転。一方、山内選手は中間で尾崎選手のタイムに届かず、更に後半も伸び悩んでタイムダウンを喫して2位に留まった。

「2つ目の180°ターンでミスしたものの、ジムカーナは今年から始めて4戦目で初優勝ができました。とにかく楽しく走れたのが良かったです」と、優勝した尾崎選手は走りを冷静に分析しつつも満面の笑みを浮かべた。

新王者不在の86/BRZクラスはZD8型BRZをドライブし、ジムカーナ4戦目ながらランキング2番手を争う尾崎光歩実選手(BRZ)が初優勝を達成した。
86/BRZは4位までを新旧BRZ勢が占めた。ZC6型を駆る山内見音選手(シンシアみおんBRZSTIDL)は尾崎選手に逆転を喫して2位(左)、石田昌輝選手(シンシアBRZ)もZC6型をドライブして3位を獲得した(右)。
86/BRZは左から2位の山内選手、初優勝の尾崎選手、3位の石田選手が表彰台に登壇した。

R-1クラス

 R-1クラスは向中野凌選手と小畑涼介選手、小石翔太選手による三つ巴の王座争いが繰り広げられている。小石選手は今回の一戦で勝たないと脱落してしまうが、十勝は86/BRZで戦った2024シーズンまで4連勝中と相性が良いコース。小石選手はHeat-1から2番手の向中野選手に1秒近い差をつけてトップに立つ。小畑選手が3番手に続き、やはり三選手が上位を占めた。

 Heat-2の小石選手は1分18秒177をマーク、トップタイムを0.186更新する。続く小畑選手はパイロンペナルティでベスト更新ならず。最終出走の向中野選手は中間で0.419秒遅れ、後半なんとか追いつきたいところだったが、0.49秒届かず2位となった。

 十勝5連勝を果たした小石選手は、「一本目でメリハリをつけて走ったところを、更にメリハリをつけて走った結果勝てました。これで最終戦での決着に残れたので、チャンピオン目指して頑張ります」と、最終決戦に向けて勢いがついたようだ。

R-1クラスはZC6型BRZを武器に十勝でめっぽう強い小石翔太選手(GRDLサピカモティーズBRZ)が両ヒートを制する完勝で、十勝での連勝を5に伸ばした。
NB型ロードスターを駆る向中野凌選手(室工大ラブカ☆DLロードスター)はR-1の2位で王座争いのトップを守った(左)。小畑涼介選手(SCENEシルバースイフトDL)はZC33S型スイフトを操り逆転を期したHeat-2でパイロンペナルティを犯し、3位に留まった(右)。
R-1は4位までのスラローマー、左から2位の向中野選手、優勝した小石選手、3位の小畑選手、4位の沓澤大祐選手(セルオート通勤車輌DLスイフト)が表彰された。

R-2クラス

 R-2クラスは不参戦だった第4戦を挟んで三連勝中の伊藤健太選手と、残る3戦で勝利を挙げている川尻尚克選手が王座を争う。Heat-1では1分19秒265をマークした川尻選手がトップに立って折り返した。

 Heat-2で伊藤選手は中間で川尻選手に0.279秒遅れるものの、後半で取り返し0.116秒差で逆転。川尻選手は中間トップタイムを0.214秒更新したが後半遅れてタイムダウンとなり、2位に留まった。優勝した伊藤選手は「1本目上手くいかなかったところを修正して2本目を走り、勝つことができました」と喜んだ。

R-2クラスは伊藤健太選手(PガレDLランサー)が三菱・ランサーエボリューションIXを武器にHeat-2で逆転、4連勝を達成した。
一騎討ちとなったR-2は左から、2位の川尻尚克選手(シンシアGRヤリスRC)と優勝した伊藤選手が表彰台に上がった。

オープンクラス

 クローズド部門のオープンクラスには、デミオとNB型ロードスターのマツダ勢やZC33S型スイフト、トヨタ86、三菱・ランサーエボリューションはじめターボ四駆勢などバラエティー豊かな車種が参戦。

 Heat-1は86を駆る井澤貞登選手が1分29秒701をマークしてトップに立つ。2番手には前田賢一選手、3番手は渡部康太選手とZC33S型スイフト勢が占めた。Heat-2に入ると涌井慎司選手がデミオを操って2.981秒もトップタイムを更新、更に長谷川煌選手がNB型ロードスターを武器に0.585秒縮めて逆転した。

 そして、今回の一戦に向けて86の車高調やタイヤを新調してきた井澤選手がスタート。新装備に慣れてきたか、中間トップタイムを1.115秒削ると、後半もスムーズに走り切って1分25秒065で再逆転。ジムカーナを始めて2戦目でトップを獲った井澤選手は、「まだ出走するか分かりませんが、次回は猛者たちが居る86/BRZクラスに出て腕試しをしたいです」と、意欲を見せた。

オープンクラスはトヨタ86を武器にジムカーナ2戦目の井澤貞登選手(86)が両Heatトップで制した。
オープンの表彰台の両脇はマツダ勢が獲得。2位はNB型ロードスターを操る長谷川煌選手(室工大nbロードスター)が(左)、デミオをドライブする涌井慎司選手(デミオ)が3位に入った(右)。
オープンはトップ4が表彰を受けた。左から2位の長谷川選手、トップの井澤選手、3位の涌井選手、4位の前田賢一選手(ときどきスイフトスポーツ)。

フォト/小竹充[Mitsuru KOTAKE] レポート/小竹充[Mitsuru KOTAKE]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ページ
トップへ
モータースポーツライセンスをMSマイページから更新してQUOカードを当てよう!ライセンス更新&アンケート回答者から500名様にQUOカードが当たる!2025年12月31日まで