東北ジムカーナSATW-2の一騎討ちは第6戦を巻口洋平選手が制して最終戦決戦へ!

レポート ジムカーナ

2025年9月16日

スポーツランドSUGO国際西コースは3月にインターナショナルレーシングコースとともに全面路面改修を行った。2025年JAF東北ジムカーナ選手権はSUGO西と同じく宮城県に建つ、JAF全日本ジムカーナ選手権を初開催した赤門自動車テストコース、そして秋田県の新協和カートランドを舞台に全7戦で転戦している。シリーズもいよいよ大詰め、王座争いも佳境を迎えた第6戦を8月17日に開催した。

2025年JAF東北ジムカーナ選手権 第6戦
2025年JMRC東北ジムカーナシリーズ第8戦
2025年JMRCオールスター選抜 第6戦

開催日:2025年8月17日
開催地:スポーツランドSUGO国際西コース(宮城県村田町)
主催:SRSC

 前週にレーシングコースで開催された2025年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第8戦では、新舗装によってグリップ感が変わった路面に手こずるドライバーが多かった。SUGO西で走り込んでいるスラローマーたちからもまだ路面を掴み切れていない、という声が聞かれた。「走るたびにグリップ感が変わるんですよね」と、路面を表現するスラローマーもいた。

 SUGO西での東北地区戦では前日練習の他に当日、本番を前に一本のみだが公開練習が行われる。レイアウトは若干異なるものの、車両のセットアップや路面状況の確認が直前にできるとスラローマーたちに好評だ。

 第6戦のレイアウトを設定したのは宮城県のJAF公認クラブ、菅生レーシングスポーツクラブ(SRSC)代表を務める大谷保志氏だ。「路面に関しては去年の全日本で剥離があったこともあり、改修となりました。以前の路面は水はけが悪い部分もあったんですが、これが改善されたのが一番大きなポイントです。また、国際西コースは本コースと異なる事業者が担当しているので、同じ溶剤を使っているかどうか分からないので、路面の性質が同じとはいえませんが非常に走りやすい路面に改修してもらったと思います」と、新路面について語った。

 続けて「今日はちょっと長めですが、全日本用に考えたコースです。自分でも走ってみて、中央をたすきがけのように車速をのせていく際に、アンジュレーションが微妙に変わっていくのは醍醐味だと思います。カートコースならではのカントも考えて、コースなりに走るなら簡単ですが、渡りを多用することでバランスをとるのが難しいコースにしてあります」とレイアウトの特徴も語った。

スポーツランドSUGO国際西コースが舞台となった2025年JAF東北ジムカーナ選手権 第6戦は雲が出ているものの晴れ空の下で開催。55選手が夏の暑さの中で、その暑さに負けないホットバトルを繰り広げた。
今季、SUGO西で開催される東北地区戦を主催する宮城県のJAF公認クラブ、菅生レーシングスポーツクラブ(SRSC)の大谷保志代表が今回の一戦のレイアウトを設定。コースを斜めに駆け抜けるストレートからパイロンターンまでバラエティ豊かで、様々なドライビングスキルを要するレイアウトで競われた。
朝から気温がグングン上昇していく中、スラローマーたちは積極的に慣熟歩行に繰り出した。シリーズも佳境の大一番を控え、彼らの内に秘めた闘魂の熱も上昇していったに違いない。

 王座争いは例年に増して激戦が繰り広げられている。序盤、勝利を積み重ねて独走かと思われたスラローマーたちが、中盤からライバルの追い上げにあい、2戦を残してチャンピオンを確定させたのは、PN3クラスの畠山佳選手のみ。今回の一戦でチャンピオン確定の可能性があるクラスもあるが、王座争いが最終第7戦までもつれることが濃厚なクラスばかりだ。

 最終戦の新協和はSUGO西とは全く異なる特徴を持っているだけに、SUGO西で走り慣れている南東北勢は今回の一戦でチャンピオンを確定させたいところ。逆に北東北勢は走り込んでいる新協和での最終戦で決着をつけたい。意地と意地がぶつかった今回の一戦で、チャンピオンが確定するクラスが出るのか注目された。

完熟歩行後のドライバーズブリーフィングでは株式会社菅生モータースポーツ部の副部長、尾形知臣氏が挨拶を述べた。
エンドレスレディの加藤心菜さん(左)とSUGOオフィシャルナビゲーターの大山あみさん(右)も登場。酷暑に負けずヒートアップした第6戦を盛りあげた。
SRSCは表彰台の横にテントを設置してミストシャワーと扇風機を用意。予想どおりの酷暑への対策は、スラローマーや関係者たちに好評だった。

2025年JAF東北ジムカーナ選手権 第6戦

PN1クラス

 赤門での前戦が不成立となったPN1クラスでは、松下武史選手が王座争いをリードしている。開幕第1戦こそディフェンディングチャンピオンの田澤拓実選手に勝利を譲ったものの、第3戦、第4戦で優勝を果たしている。二人の地元勢に割って入り混沌の王座争いにしているのは、東北地区枠からJAFカップ出場を狙う全日本スラローマー、阪本芳司選手だ。赤門での全日本第4戦の直前に行われた第2戦で勝利を収めて以来となる、今回の一戦に参戦。二連勝中と成長を遂げている松下選手が、阪本選手に挑んだ。

 公開練習では阪本選手が新路面に対応できず、後れをとってしまった。本番のレイアウトは、インフィールド区間の奥に270度ターンが追加された。路面状況を探りながら走る阪本選手にとっては、追加されたターンセクションは心配材料のひとつ。松下選手はじめ地元勢による番狂わせの予感もある中、第1ヒートの口火を切った。

 クラス2番目にスタートした阪本選手が1分35秒台をマーク。このタイムを誰も更新できないまま、松下選手がクラス最終ゼッケンからスタートした。スピードがのる前半セクションでは、阪本選手を約0.2秒上回る中間タイムを記録。トップタイム更新に期待がかかるも、渡りが増える後半セクションになると二人の差が開いていく……。大きく遅れた松下選手は1分37秒台の2番手タイムでフィニッシュし、差は約1.5秒と大きく開いてしまった。

 勝負の第2ヒートで阪本選手はトップタイムを約0.4秒上げ、更に2番手以下を突き放す。松下選手もこのタイムに食らいつこうと果敢にアタック。しかし気持ちが先にいき過ぎたか、フロントタイヤの動きが怪しくなってしまう。ターンでも速度を殺しきれずパイロンから離れる悪循環に陥り、トップタイム更新ならず2位。阪本選手は今季シリーズ2勝目を挙げた。

「路面は奥伊吹によく似ている感じでした。タイヤに対する攻撃性が少ないので、2本目タイム上がりそうだと思っていましたね。路面温度と(タイヤ)の相性があるので、そこもポイントだったかもしれません。1本目は特にイケイケで走り過ぎたので、2本目はちょっと抑え気味にして距離で稼いだのが良かったのかもしれませんね」と、阪本選手は路面の感想と勝因を語った。

PN1クラスはJAF全日本ジムカーナ選手権PN1クラスでも戦う阪本芳司選手(エリアスポーツヤリス71RS)がトヨタ・ヤリスを駆って今季二度目のスポット参戦も優勝をさらった。
PN1はヤリス勢がトップ3を占めた。2位はランキングトップを走る松下武史選手(DLBGつながるITヤリス)が獲得(左)。もう一人の全日本勢、野口弘毅選手(Effect速心S+ヤリス)は1番ゼッケンで3位に入った(右)。
PN1は左から、2位の松下選手と優勝した阪本選手、3位の野口選手が表彰台に上がった。プレゼンターはJMRC東北の日向俊男運営委員長、アシスタントを加藤さんと大山さんが務めた。

PN2クラス

 PN2クラスは唯一、2勝を挙げている関勝哉選手が王座争いをリードしているが、関東地区からの刺客・二木達也選手が第3戦以外でトップ3に入る安定感で追いかける。更に第3戦で優勝した藤原雄司選手、開幕戦を制した小室拓也選手が続く混戦となっている。今回の一戦には全日本スラローマーの福田大輔選手がスポット参戦し、勝負の行方が読めない一戦となった。

 第1ヒートは久しぶりの復活となった虻川卓也選手が、いきなり1分34秒台という好タイムを記録して先手をとった。しかし、即座に福田選手が1分33秒台へとターゲットタイムを大きく更新してみせた。注目のラスト4登場となったが藤原選手が唯一、虻川選手をかわす2番手タイムをマークするものの、他の3選手はタイムメイクに苦しんだ。夏場のSUGO西の新路面はまだ誰も体験したことがなく、35℃を超える気温に多くのスラローマーが悩みながら第2ヒートを迎えることになった。

 関選手は現状の5番手では、最終戦へとチャンピオン確定が持ち越しになってしまう。第2ヒート前の慣熟歩行で、師と仰ぐ東北を代表するスラローマー、上野健司選手とレイアウト攻略を検討し、なんとか今回の一戦で決めたい強い意志を見せる。

 第2ヒートでも虻川選手がひと際目立つ走りを見せ、トップタイムには及ばないものの藤原選手を上回り2番手を奪還。そして、福田選手はトップタイムを更に上げてみせた。一方、第2ヒートも王座を争うランキングトップ4は力を発揮できない。小室選手は第1ヒートに続きパイロンペナルティを犯し、二木選手はタイムを上げたが1分35秒台と奮わない。藤原選手が虻川選手を上回ったと思われたが、ペナルティ。最終ゼッケンの関選手もペナルティを犯して5位止まりとなった。

「昨日から全然かみ合っていなかったですね。でも、徐々に(タイムが)上がっていけたのでそこは良かったと……。最終戦でなんとかしてチャンピオン守りたいですね。上野塾長に2カ月間また指導してもらいます」と、関選手は最終戦に目を向けた。

 ランキング上位陣が総崩れする中で福田選手が優勝し、地区戦勢の最上位は2位の虻川選手となった。優勝した福田選手は「新しい路面はビックリするくらい(タイヤが)食わなくて驚きました。フロントがとにかく逃げていく感じで、スキール音が鳴りっぱなしで! 今日の1本目はタイヤのコントロールがちょっと悪くて中間あたりから熱ダレしてしまって、2本目は温度管理をしっかりできたので後半セクションもキチンと走れました」と、今回の一戦を振り返った。

 地区戦に挑んだ経緯について「今年、全日本フル参戦というのもキツかったので、(第4戦)赤門を走ったら、どうせならJAFカップも出たいと思って参戦しました。最終戦の秋田(新協和)は自分の地元なので、実家から参戦しようと思います」と明かした。

 一方、2位の虻川選手は「ロードスターできあがってから2カ月で、この3日間SUGO走ったのと、練習会でオフィシャルやってるときに何本か走っただけなんです。正直、今日の結果は想像していませんでした! 藤原選手にいろいろ慣熟歩行で教えてもらったことも、とても役に立ちました。最終戦は出場したいですが、カミさん次第ですね(笑)」と、久々の競技会を楽しんだ様子だった。

マツダ・ロードスターのワンメイクとなったPN2クラスは福田大輔選手(BST2エリアWmロードスター)が両ヒートを制して優勝した。
PN2の虻川卓也選手(MXΩSWT戸田足ロードスター)は今季地区戦初参戦で2位を獲得した(左)。藤原雄司選手(コニシタイヤQMロードスター♡)は第1ヒートのタイムで3位に入った(右)。
PN2は左から4位の二木達也選手(エンドレスDLivロードスター)、2位の虻川選手、優勝した福田選手、3位の藤原選手、5位の関勝哉選手(AR・RMW・DLロードスター)、6位の米田茂選手(マキシマFCロードスター)が表彰された。

PN3クラス

 PN3は開幕4連勝を決めた畠山選手が、初の地区戦チャンピオンを確定させている。前戦で石井和則選手に止められるまでは、無双状態といえた今季の畠山選手だったが、第6戦は予想外のスタートとなってしまう。畠山選手は公開練習では走らず、池沢広行選手や石井選手といったランキング上位陣が着実にタイムを残し、第1ヒートを迎えた。

 佐々木聖選手が1分35秒台を記録してトップに躍り出た一方、公開練習で好調だった池沢選手や石井選手らは1分36秒台に留まった。最終ゼッケンの畠山選手は気負いもあったのか、ダブルペナルティを犯して下位に沈んでしまう。畠山選手はチャンピオン確定済とはいえ、今季最大のピンチに陥った。気温35℃を超える中、二度目の慣熟歩行も率先してコースに入り、入念に下見を行う。この姿勢が功を奏したのか、第2ヒートでは畠山選手が逆襲することになる。

 第2ヒートは路面温度が上がり、タイムアップすることは難しいと思われる悪条件となった。しかし、新舗装の路面はラバーがのるほどグリップが高くなるのか、各クラス軒並みタイムアップを果たす。「体感的にはグリップは高く感じないんですが、ボトムスピードは上げられるんですよね…… 凄い不思議な路面です」と漏らすスラローマーもいたほどだ。

 第1ヒートで佐々木選手が記録した1分35秒699を抜いてきたのは、午前中はペナルティに沈んだ太田代明大選手で、1分34秒745とターゲットタイムを一気に押し上げる。しかし佐々木選手はこの逆転を許さず、0.158秒太田代選手のタイムを上回ってトップを奪還した。

 これで勝負ありかと思われたが、畠山選手はスタート直後から絶妙なトラクションコントロールを見せた。ターボパワーを活かすためのラインどりと高い回転数をキープする走りで、中間タイムを約0.3秒削り取り後半へ。第1ヒートで課題だったターンも見事に決めた畠山選手は見事、佐々木選手のタイムを0.384秒抜き去り、9番手からの大逆転勝利を果たした。

「赤門や協和と違って、フラットな路面のSUGO独特のタイヤの使い方を前日練習からできなかったんですが、第2ヒートで上手く合わせ切れました」と、勝因を分析した畠山選手は最終戦も優勝でシーズンを締めくくる決意も見せた。

PN3クラスはスズキ・スイフトスポーツを操って逆転勝利を挙げた畠山佳選手(QM DLスイフト)が満点チャンピオンも確定させた。
ZN8型GR86を操り、第1ヒートはPN3のトップタイムだった佐々木聖選手(DL-EBR犬GR86-ラブカ)は畠山選手の逆転に遭い2位となった(左)スバルBRZをドライブする太田代明大選手(ivoryTHBRZ)はペナルティで背水の陣となった第2ヒートで3位まで挽回した(右)。
PN3はトップ5が表彰を受けた。左から4位の池沢広行選手(BGつながるITDXL86DL)、2位の佐々木選手、優勝した畠山選手、3位の太田代選手、5位の工藤将人選手(SKIP工藤石材TUSシビック)。
2025年JAF東北ジムカーナ選手権PN3クラスチャンピオン 畠山佳選手
「今シーズンは昨年のシリーズチャンピオンと2位が不在の中でしたが、東北戦3年目で初めてのチャンピオンなので素直に嬉しいです。中でも第4戦の赤門がポイントだったと思っています。第2戦では優勝できたものの、自分の中では全く思いどおりの走りができていなくて不安だったんです。でも、同じコースで結果を出せてチャンピオンが見えてきました。逆に第5戦の赤門が一番苦い思い出にも残っていて、人生初の540°ターンも経験して練習が必要だと実感しました。来年はクラスを変える予定なので、悔いのないように攻め切りたいです」

SATW-2クラス

 SATW-2クラスの王座争いは、後輪駆動のホンダS2000を駆る阿部崇治選手と、前輪駆動のスイフトを操り、PN3から転向してきた巻口洋平選手の一騎討ちとなっている。開幕戦での阿部選手の勝利に始まり、ここまで阿部選手が3勝、巻口選手が2勝を挙げた。そして、驚くべきは互いに優勝を逃した一戦では、必ず2位を確保しているという安定感も見せている。最終戦は不参戦が濃厚な阿部選手にとっては、今回の一戦が自力でチャンピオンを確定できるラストチャンス。巻口選手は勝利を収めて、最終戦に王座争いを持ち越したいところだ。

 是が非でも優勝したい巻口選手だったが、第1ヒートはスタート直後にまさかのパイロンペナルティ。第2ヒートでの逆転に賭けることになってしまった。「ちゃんと走ればタイムが出ることは分かっているので、行くしかないと思います」と覚悟を決めた様子だ。

 第2ヒートでの巻口選手は、阿部選手が第1ヒートで記録したトップタイム、1分33秒136超えを狙ってスタート。ペナルティを避けるべく慎重に入ると、第1ヒートでの自身の中間タイムより約0.1秒遅れて後半セクションに入った。ターンセクションで抜群の立ち上がりを見せると、阿部選手を0.549秒上回り、トップに立った。

 再逆転を期した最終ゼッケンの阿部選手だったが、ペナルティに加えてスピンも犯してタイム更新ならず2位となった。この結果、二人は入賞回数までも同数となり、最終戦でのチャンピオン確定となった。

 阿部選手は「第1ヒートは、巻口選手がパイロンタッチしたのが分かっていたのでナリに走ったんですが、生タイムで負けていたのでヤバいと思っていました。第2ヒートは巻口選手の中間タイムを知って、集中力が切れてしまいました。最終戦は仕事の都合で出場できない予定ですが、ちょっと調整したいですね」と、悔しんだ。

 一方、巻口選手は「SUGOはとてもグリップ高いイメージだったんですが、(新舗装は)それと比べると下がった気がします。ただ、決して悪いわけではなく、グリップが抜けるような感じはなく走りやすいですね」と新舗装について語った。続けて「1本目は早々にやらかしてしまったんですが、2本目は逆にそれで集中できたんだと思います。最終戦は阿部さんが出てきてくれることを信じています」と勝因を分析した。

 果たして最終戦の新協和での「MSCあきたスーパースラローム 桃豚CUP」恒例、副賞で贈られるブランド豚「十和田湖高原ポーク桃豚」の美味に酔いしれるのはどちらになるのか?

SATW-2クラスはスイフトを駆る巻口洋平選手(QUICK GRIPスイフト)が崖っぷちの第2ヒート一発勝負で見事、逆転優勝を果たした。
SATW-2の5連覇確定を賭けてホンダS2000をドライブした阿部崇治選手(GメカS2000 GT)だったが第2ヒートで巻口選手と明暗を分け、2位に終わった(左)。ZN6型トヨタ86を操る佐藤拓也選手(SKIP!86)は第2ヒートでタイムアップを果たすも順位は変わらず3位となった(右)。
SATW-2は左から、4位の畑本匠選手(BGつながるITDXLGR86)、2位の阿部選手、優勝した巻口選手、3位の佐藤選手、5位の清水直人選手(☆Gメカ。GR86☆)、6位の笹島綾人選手(BGつながるITコサ犬GR86)が表彰された。

SATW-4クラス

 SATW-4クラスはランキング2番手の渡辺弘選手が不参戦。同トップを走る中村武留選手がSUGO西での開幕戦も制していることから、優勝の最有力候補とみられた。下馬評どおり中村選手が第1ヒートのトップタイムをマークし、JMRC東北ジムカーナシリーズの5クラスが主戦場の村上哲選手が2番手につけた。

 勝負の第2ヒートで、クラス一番ゼッケンの村上選手は中間タイムで約0.1秒削り取る。第1ヒートでミスしたターンセクションも見事にこなし、トップタイムを1秒近く更新することに成功する。このタイムを聞いてスタートした中村選手は、中間タイムで1秒以上突き放したが、攻め過ぎたあまり限界を超えてしまい、痛恨のペナルティを犯す。

 中村選手が第1ヒートのタイムで2位となり、村上選手はジャイアントキリングを成し遂げて優勝した。「1本目は気合で走りました!ターンはちょっと失敗してしまいましたけど(笑)、とにかく踏んでいったのが良かったですね。2本目はショートカットで一番長いところまで踏むように行ったのも良かったかもしれません。地区戦は3年ぶりの参戦で初めて勝ちました! とにかく嬉しいですね」と地区戦初優勝を喜んだ。

SATW-4クラスの村上哲選手(マキシマBMKお漏会ランサー)は三菱・ランサーエボリューションXを駆って逆転で地区戦初優勝を飾った。
SATW-4は左から、2位の中村武留選手(BODY・JACK和光ランサー)と優勝した村上選手、3位の佐柄英人選手(DLレイズマルイCLヤリス)、参戦した3選手が表彰台に立った。

BSC2クラス

 元全日本チャンピオンや現役全日本スラローマーもしのぎを削るBSC2クラス。ランキングトップは1999年の全日本A-1クラス王者の菊池光悦選手が立ち、現役全日本勢の合田尚司選手たちが追いかけている。

 ダブルエントリーする菊池選手は一番ゼッケンでスタートを切ったが、精細さを欠いた。車両の挙動が怪しくなる場面もあり本来の走りではなく、タイムも1分34秒台で4番手と遅れてしまう。一方、第1ヒートからずば抜けて1分31秒台を記録したのは、2022シーズンの東北SAC2クラス王者の全日本スラローマー、飯野哲平選手だった。

 第2ヒートに入っても菊池選手は復調ならず、Wペナルティで順位は変わらず。そして、飯野選手はトップタイムを更新するベストアタックを見せ、1分30秒227をマーク。ベテランの宍戸政宏選手も、合田選手もトップタイムを上回ることはできず、飯野選手が全クラストップタイムで優勝した。

「SUGOは地元ということで、しっかり勝ち切ることができて良かったです。自分の自信にもつながりました。1本目は昨日のセットのまま走ったんですが、2本目で車高と減衰を少し変えてリアを落ち着かせたのが良かったですね。トラクションをしっかりかけて走れました。でも、秋田の最終戦は(全日本第7戦)みかわの翌週なんで出るかはちょっと悩み中です。来年もこのマシンで全日本に出場しようと考えています」と、2026シーズンの活動にも意欲的なコメントを発した。

BSC2クラスはマツダRX-7をドライブする飯野哲平選手(DLミカサ貿易レプソルRX-7)が2位以下を3秒以上離して圧勝した。
BSC2表彰台の両脇はホンダ勢が占めた。合田尚司選手(YH@シビックATS速歩BPF)がシビックを操り2位(左)、インテグラを駆る宍戸政宏選手(BSササキSPMインテグラAz)が3位を獲得した(右)。
BSC2は左から、2位の合田選手と優勝した飯野選手、3位の宍戸選手のトップ3が表彰台に登壇した。

2025年JMRC東北ジムカーナシリーズ第8戦

2クラス

 今回の一戦は東北シリーズの第8戦も併催されて、排気量1000cc以上の前輪駆動が対象の2クラスが成立した。東北シリーズは地区戦が開催される3コースに加えて、青森県の岩木山スキー場駐車場とモーターランドSPも舞台となり、全10戦で争われている。開幕戦が全クラス不成立だったこともあり、SUGO西での開催は今季初。新路面での本番は誰しも初体験となった。

 第1ヒートは木村文哉選手がトップに立った一方、ランキングトップを走る冨松元選手はWパイロンペナルティで下位に沈んでしまう。第2ヒートではこの流れが大きく変わり、大川舜平選手がトップタイムを塗り替えると、タイムアップ合戦が勃発。しかし、1分40秒台で争う中で冨松選手がひとり1分36秒台を叩き出して終止符を打ち、今季5勝目を手にした。

「1本目はパイロンを2回もひっかけてしまったんですが、2本目はキチンと走れたのが良かったです。路面の温度が高いので無理にハンドルを切るようなことをしなかったのも良かったですね。3年前から走り始めて、徐々にいろいろな知り合いができて楽しく走っています」と、冨松選手は笑顔で語った。

東北地区戦への登竜門、2025年JMRC東北ジムカーナシリーズの第8戦は2クラスを開催。第1ヒートのダブルパイロンペナルティで後がなくなった、スイフトを駆る冨松元選手(通園スイフト白)だったが見事な挽回で制した。
冨松選手と同じく第1ヒートはWペナルティに泣いた大川舜平選手(BMKsport98ミラージュ)は三菱・ミラージュを武器に挽回、2クラスの2位を掴み獲った(左)。軽自動車のダイハツ・コペンで奮闘する木村文哉選手(DsportHWコペンADMS)が3位に入った(右)。
2クラスは左から2位の大川選手、優勝した冨松選手、3位の木村選手のトップ3が表彰台に立った。
表彰式では全クラストップタイムを残した飯野選手と、遠来賞の中村選手にエンドレス賞が送られた。

フォト/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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