全日本ジムカーナ「天空決戦」で4クラスのチャンピオンが確定!

レポート ジムカーナ

2025年9月19日

全日本ジムカーナ選手権 第7戦「スーパースラローム IN 久万高原」が、9月13~14日に愛媛県上浮穴郡久万高原町郊外の「ハイランドパークみかわ ジムカーナコース」で開催された。全8戦が組まれている今シーズンの全日本ジムカーナ選手権は、この第7戦を含め残り2戦となり、競技結果によっては多くのクラスでシリーズチャンピオンが確定する。

2025年JAF全日本ジムカーナ選手権 第7戦「スーパースラローム IN 久万高原」
開催日:2025年9月13~14日
開催地:ハイランドパーク みかわ ジムカーナコース
主催:ETOILE

 今大会のエントリーは、選手権規定に参加台数が満たなかったためにPE1クラスが不成立となったが、残る8クラスはシリーズランキング上位陣が顔を揃え、第2ヒート終盤まで0.01秒を削る熱い戦いが繰り広げられた。

 決勝コースは、25本のパイロンが設置されたフルパイロンコース。天候は、時々晴れ間が見えるものの終日曇り空。全国各地で最高気温が30度を超える厳しい残暑となる中、標高約1100mに位置するハイランドパークみかわは最高気温が30度以下にとどまり、各クラスで第2ヒートにタイムアップを果たすドライバーも多かった。

今季シリーズが大詰めということもあり、完熟歩行ではいつも以上に入念にチェックするエントラントが多かった。
今回も全日本ジムカーナ選手会による子ども向けパレードランが実施された。
設定はフルパイロンコース。PE2クラス(図下)は、後半セクションの360度ターンがカットされている。所狭しと置かれたパイロンセクションに泣かされる選手も多く、特に第1ヒートは総勢90台中39台のドライバーがパイロンペナルティやミスコースに泣く結果となった。

PE2クラス

 PE2クラスは、第1ヒートで逆転チャンピオンを狙う髙屋隆一選手(スバル・BRZ)がベストタイムをマークするが、第1ヒートはパイロンペナルティに終わり幻のベストタイムとなった河本晃一選手(マツダ・ロードスターRF)が第2ヒートでクラス唯一となる1分17秒台のタイムをたたき出し逆転。「昨日の公開練習はマシントラブルにより走ることができませんでしたが、いろいろな方の協力により車両を修復して走ることができました」と河本選手。今季5勝目を挙げ、最終戦を待たずしてシリーズチャンピオンを確定させた。

 2位には第1ヒートトップの高屋選手、3位には第6戦で優勝した高江淳選手(BMW・ミニ・クーパーS)がそれぞれ入賞した。

PE2クラス優勝は河本晃一選手(CP2.BSロードスターRF)。
「ダブルエントリーの土田美夢選手も5位に入賞することができて、最高の週末となりました」と勝利の喜びをかみしめる河本選手。
2位は髙屋隆一選手(BSぢっぷすNT☆CP2BRZ)、3位は高江淳選手(DL☆REOひかりBPFミニ)。
PE2クラスの表彰式。左から4位の西村修一選手、2位の髙屋選手、1位の河本選手、3位の高江選手、5位の土田選手。
2番手以下を圧倒するポイントを獲得し、最終戦を待たずに全日本チャンピオンを確定させた河本選手。

PN2クラス

 PN2クラスは、シリーズランキングトップの藤井裕斗選手(マツダ・ロードスター)が、第1ヒートで1分19秒292秒のベストタイムをマーク。シリーズランキング2番手の古田公保選手(マツダ・ロードスター)が0.314秒差で追いかけるが、第2ヒートは痛恨のミスコースでベストタイム更新ならず。第1ヒートのタイムで逃げ切った藤井選手が今季4勝目を挙げた。「第1ヒートは新品タイヤの良いところをフルに使おうと集中して走りました」と藤井選手。全日本1年目にしてチャンピオンを確定させた。

 2位には第1ヒートのタイムで古田選手が入賞。「公開練習の結果から決勝は思い切ってセットを変えてみたんですが、結果的に合わなかった」という小林規敏選手(マツダ・ロードスター)が3位となった。

PN2クラス優勝は藤井裕斗選手(BSコサWmEBRロードスター)
ライバルの猛追を振り切って優勝し、今季4勝目を挙げた藤井選手。
2位は古田公保選手(DL505XPLロードスター)、3位は小林規敏選手(BS☆SSS☆EXロ-ドスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の志賀野浩選手、2位の古田選手、1位の藤井選手、3位の小林選手、5位の渡邉將選手、6位の永川悠太選手。
藤井選手は全日本挑戦1年目でシリーズチャンピオンを確定させた。

PN4クラス

 PN4クラスは、シリーズチャンピオンに王手をかけている津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が、両ヒートでクラス唯一となる1分17秒台のタイムをマーク。「全体的に難易度が高いコースをうまく走り切れたと思います」と津川選手。4年ぶり通算11回目のシリーズチャンピオンを確定させた。

 2位には、第1ヒートのパイロンペナルティを第2ヒートでリカバリーした松本敏選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞。同じく第1ヒートでパイロンペナルティが加算され、第2ヒートで挽回した堀隆成選手(トヨタ・GRヤリス)が3位だった。

PN4クラス優勝は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)
「もっと攻めてやろうとちょっと気合いが入りすぎた部分もあった」としながらも、うまくまとめて勝利した津川選手。
2位は松本敏選手(ADVICS☆TJ☆DLヤリス)、3位は堀隆成選手(DL・EX・堀自ヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の若林隼人選手、2位の松本選手、1位の津川選手、3位の堀選手、5位の佃真治選手。
今季5勝をマークし、通算11回目のシリーズチャンピオンを確定させた津川選手。

BC3クラス

 BC3クラスは、シリーズチャンピオンに王手をかけている菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が、「第1ヒートは路面温度が低かったんだけど、手応えはあった」とベストタイムをマーク。さらなるタイムアップを狙った第2ヒートは「ちょっと攻めすぎた。たぶん、パイロンの縁に触ってしまったと思う」と幻のタイムに終わったが、第1ヒートのタイムで逃げ切り今季4勝目を獲得。シリーズポイントで菱井選手を追いかける奥井優介選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が両ヒートともパイロンペナルティで下位に沈んだため、最終戦を待たずして菱井選手が4年連続、通算18回目のシリーズチャンピオンを確定させた。

 2位には第2ヒートで0.027秒差に迫った大橋渡選手(スバル・インプレッサWRX)が、3位には第1ヒートでのミスコースをリカバリーした一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)がそれぞれ入賞した。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコGRヤリス)。
第1ヒートのタイムで逃げ切り今季4勝目を獲得した菱井選手。
2位は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)、3位は一色健太郎選手(ATS速心WmDLRSKヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の岡本尚史選手、2位の大橋選手、1位の菱井選手、3位の一色選手。
菱井選手が最終戦を待たずに4年連続となるシリーズチャンピオンを確定させた。

PN1クラス

 PN1クラスは、シリーズランキングトップの朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)が第1ヒートのトップタイムをマークするものの、第2ヒートは岡直輝選手(トヨタ・ヤリス)が第1ヒートで朝山選手がマークしたベストタイムを0.04秒更新し、トップに立つ。クラス最終走者の朝山選手は、「あのタイムを聞いて、俄然やる気がでました」とベストタイムを1分21秒台まで引き上げ再逆転。今季2勝目を挙げ、シリーズチャンピオン確定に王手をかけた。

 2位には、第1ヒートで喫した4本のパイロンペナルティを第2ヒートでリカバリーした岡選手が入賞。シリーズポイント3点差で朝山選手を追いかける斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)は、第2ヒートのパイロンペナルティに泣き3位に終わり、シリーズポイントの差を縮めることはできなかった。

PN1クラス優勝は朝山崇選手(DLETP速BPFヤリスITO)
「このコースは僕の地元でもあるので、負けたくなかった」と再逆転で勝利した朝山選手。
2位は岡直輝選手(M-I☆SUAC☆DLヤリス)、3位は斉藤邦夫選手(ネッツ群馬ジースパイス ヤリス)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の中根卓也選手、2位の岡選手、1位の朝山選手、3位の斉藤選手、5位の長畑年光選手、6位の阪本芳司選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、第1ヒートでパイロンペナルティに沈んだ川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)が第2ヒートで逆転優勝し、今季3勝目を獲得。シリーズランキングトップのユウ選手(トヨタ・GR86)とのポイント差を3点に縮めた。

 2位には、「川北選手とはタイム差がありましたが、自分の中ではやり切ることができたと思います」という安仲慶祐選手(マツダ・ロードスターRF)が、両ヒートで2番手タイムをたたき出し、自信初となる表彰台をつかんだ。3位には、第1ヒートトップの野島孝宏選手(トヨタ・GR86)が入賞した。ランキング首位のユウ選手は今回、第1ヒートはミスコース、第2ヒートはパイロンペナルティで、痛恨のノーポイントに終わっている。

PN3クラス優勝は川北忠選手(ORC DL ロードスター)
第1ヒートでのペナルティを第2ヒートで挽回、優勝し今季3勝目となった川北選手。
2位は安仲慶祐選手(モティーズDLプロードスターμ)、3位は野島孝宏選手(DLルブテックレイズGR86)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の久保真吾選手、2位の安仲選手、1位の川北選手、3位の野島選手、5位の遠藤貴郁選手、6位の大坪伸貴選手。

BC1クラス

 第6戦を終えてチャンピオン候補が8名という大混戦となっているBC1クラスは、シリーズランキング3番手につける西井将宏選手(ホンダ・インテグラ・タイプR)が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今季2勝目を獲得するとともにシリーズランキングトップに浮上。

 2位には、第1ヒートのパイロンペナルティを第2ヒートでリカバリーした神里義嗣選手(ホンダ・CR-X)、3位に山越義昌選手(ホンダ・シビック)が入賞した。チャンピオン候補は西井選手、神里選手、今回4位に終わった伊藤眞央選手(ホンダ・インテグラ・タイプR)、5位の石澤一哉選手(ホンダ・インテグラ・タイプR)の4人に絞られることとなった。

BC1クラス優勝は西井将宏選手(アイスペックS+インテグラDL)
今季2勝目を挙げ、混戦のシリーズランキングでトップに躍り出た西井選手。
2位は神里義嗣選手(DLMotys渦RACCR-X)、3位は山越義昌選手(BS茨中摩櫂セラ渦シビック)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の伊藤眞央選手、2位の神里選手、1位の西井選手、3位の山越選手、5位の石澤一哉選手、6位のケイヤ選手。

BC2クラス

 広瀬献選手(ホンダ・S2000)と若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が3勝ずつで迎えたBC2クラス。どちらが4勝目を手にするかが注目となった一戦は、第1ヒートからソフトコンパウンドを選んだ若林選手が、第2ヒート勝負と読みハードコンパウンドを選択した広瀬選手に2.262秒差をつける1分15秒066のベストタイムをマーク。第2ヒートは広瀬選手が若林選手と同じく1分15秒台にタイムを乗せてくるものの、若林選手が第1ヒートでマークしたタイムに0.364秒届かず。一方の若林選手は第2ヒートで、1分14秒台に突入。若林選手が両ヒートを制して今季4勝目を獲得した。

 最終戦で逆転チャンピオンの可能性を残す広瀬選手が2位に、「第1ヒートは路面コンディションが分からなかった部分があったのですが、第2ヒートでうまく修正できたと思います」という藤井雅裕選手(マツダ・RX-7)が3位にそれぞれ入賞した。

BC2クラス優勝は若林拳人選手(BS若自速心コ犬ZRエキシージ)。
今季4勝目となった若林選手が、シリーズチャンピオンに王手をかけた。
2位は広瀬献選手(WMマロヤBS林歯科セラS二千)、3位は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の梅村伸一郎選手、2位の広瀬選手、1位の若林選手、3位の藤井選手、5位の中田博信選手、6位の渡辺公選手。

PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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