東北ジムカーナ第6戦のPN2で御年72歳の飯塚信男選手が復帰後初優勝!

レポート ジムカーナ

2024年9月19日

全7戦で争われる2024年JAF東北ジムカーナ選手権。秋田県の新協和カートランド、福島県のエビスサーキット西コース、宮城県のスポーツランドSUGO国際西コースで繰り広げられてきた本シリーズも残り2戦となった。青森県のモーターランドSPでの最終戦を前に、シリーズ終盤の王座争いが繰り広げられたのは、JAF全日本ジムカーナ選手権も開催されている東北モータースポーツの聖地・スポーツランドSUGOだ。

2024年JAF東北ジムカーナ選手権 第6戦
2024年JMRC東北ジムカーナシリーズ第8戦
2024年JMRC全国オールスター選抜 第6戦
ENDLESS CUPジムカーナ

開催日:2024年9月8日
開催地:スポーツランドSUGO国際西コース(宮城県村田町)
主催:SRSC

 7戦中3戦が開催されるこのコースは、東北地区でチャンピオンを獲得するには必ず通らなくてはいけない。カートコース独特のバンクとカント、そして雨水対策として盛り上がっているコースとコースをつなぐ渡りの攻略などなど……、長年走り込まれたこのコースは“SUGO西スペシャリスト”が多く存在する。

 そんなSUGO西で開催される第6戦のレイアウト制作を担当したのは、主催したJAF公認クラブ、菅生レーシングスポーツクラブ(SRSC)の大谷保志代表。「去年から今年にかけて一貫してショートカット部分の開口部を広げてみたり、全面舗装を変えてみたり、全日本選手も気持ちよく走ってもらえるコースをずっと考えているんです」と、語る。

 レイアウトについては、「それを地方選手権にフィードバックした感じです。カートコース独特のカントのついた路面をつなぐ渡りで、最初オーバー、そのあとアンダーになるので次につなげる難しさを攻略して欲しいですね」と述べた。参戦したドライバーからは「1回目の渡りの進入の仕方は数年ぶりだね」、「最後の左右に振り分けられた360°ターンの勾配差は考えさせられる」という声もあがった。

 前日の夜から朝まで降り続いた雨の心配が残る中、慣熟歩行が始まった今回の一戦。慣熟歩行中も微量ながら時折路面を濡らす雨が落ちる。ただし、天気は回復方向で前半出走クラスは完全ウェットでの走行となるが、後半に進むほど路面はどんどん乾いていくと予想された。

2024年JAF東北ジムカーナ選手権 第6戦の舞台は東北モータースポーツの中心地、スポーツランドSUGOの国際西コース。路面が改修されてジムカーナにも使いやすくなった。
今回の一戦を主催したJAF公認クラブ、菅生レーシングスポーツクラブ(SRSC)の代表で、組織委員長と競技長を兼任した大谷保志氏が考え抜いて制作したレイアウトは、難易度高めの設定だ。

2024年JAF東北ジムカーナ選手権 第6戦

PN1クラス

 父の田澤徳也選手とともZC32S型スズキ・スイフトスポーツを駆って戦う田澤拓実選手はJMRC東北ジムカーナシリーズを戦っていたが、今季は満を持してPN1クラスに挑戦。このクラスは新協和で開催された第3戦と第4戦で成立しているが、拓実選手は2戦とも制してランキング首位を独走中だ。ここSUGO西で3勝目を挙げれば、地区戦ステップアップ初年度にチャンピオンを確定することになる。

 そんなPN1の第1ヒートは完全ウェットでのアタック。唐突にグリップを失うフロントタイヤの操舵に苦労する拓実選手だったが、アンダーを出しながらもアタックを続け、トップで折り返すことに成功する。

 しかし、雲間から太陽が顔を出すと路面はどんどんと乾いていき、第2ヒートを前にした慣熟歩行ではウォーターパッチが僅かに残るものの、ドライ路面となった。ファーストゼッケンの徳也選手がいきなり拓実選手のトップタイムを塗り替える。完全に第1ヒートのタイムはご破算になった中、続く藤澤満選手が徳也選手のタイムをさら更新。

 最終ゼッケンの拓実選手にとっては非常にプレッシャーがかかる状況だったが、このプレッシャーを跳ね返す走りを見せて再逆転に成功。見事今季3勝目を挙げて初のチャンピオンが確定した。

「そもそも2本目がないと思っていたので、最初から踏んでいきました。でも、2本目でタイムが更新されたので結構危なかったんですが、なんとかなったので良かったです。1本目にミスをしてしまった部分を挽回できてタイムを上げられました。最終戦も勝って全勝を目指したいですね」と拓実選手は、ステップアップ1年目にしてのチャンピオン確定に、満面の笑みで答えた。

親子でPN1クラスに挑む息子・田澤拓実選手(ブレスト・匠・スイフト)は路面が良くなった第2ヒートのタイムで優勝。ここまで成立した3戦全てを制して、初のチャンピオン確定を地区戦デビューイヤーで達成した。
PN1は参戦した3選手が表彰台に登壇した。左から2位の藤澤満選手(プライズ ノート)、優勝してチャンピオンを確定させた拓実選手、3位は拓実選手の父・田澤徳也選手(ブレスト・スイフト)。
2024年JAF東北ジムカーナ選手権PN1クラスチャンピオン 田澤拓実選手
父とは免許を取得してからずっとダブルエントリーしてきました。昨年まではJMRCシリーズに参戦していたんですが、同じような車両でどのくらいタイムが出るのかを試したくてステップアップしました。1年目からチャンピオンを獲れたのはとっても嬉しいです。最初は台数も少ないので差がつくのかと思っていたのですが、きちんと戦えたことがまず嬉しかったです。来年も東北にいられるなら、連覇を目指して頑張りたいと思います。

PN2クラス

 2023シーズンまでホンダ・シビック タイプRでSATW-2クラスを席捲していた関勝哉選手が、マツダ・ロードスターで転向してきて盛り上がりを見せるPN2クラス。ベテランから中堅、若手が入り乱れての大混戦となっている。

 ここまで王座争いを牽引しているのはやっぱり関選手で、2勝を挙げてランキング首位を走っている。関選手を追いかけるのが、未勝利ながら2位を3度獲得している小室拓也選手。そして、1勝ずつ分け合っている岩屋武選手と近藤英明選手が続く展開。このクラスではタイヤがほぼブリヂストンワンメイク状態と、全国的に見ても非常に珍しい状況でもある。

 そんなPN2もウェット路面で第1ヒートが始まった。まずトップタイムをマークしたのは近藤選手で、続く小室選手はこのタイムには届かない。そして、関選手は中間タイムで近藤選手を約0.5秒上回って帰ってくるも、まさかのパイロンペナルティで沈んでしまう。

 しかし、勝負はドライ路面となった第2ヒート。ファーストゼッケンの米田茂選手が1分12秒529でターゲットタイムを大きく更新し、勝負は完全にリセットされた。更に、御年72歳の元全日本ドライバー、飯塚信男選手がトップタイムを0.757秒更新、1分11秒台に突入した。

 続く小室選手も懸命にこのタイムを追いかけるが、0.141秒及ばず2番手に留まり、第1ヒートでペナルティに泣いた関選手がスタート。中間で飯塚選手を1秒近く引き離す好走で戻ってくるが、後半セクションに入りまたもやパイロンを動かしてしまった。生タイムでは断トツのタイムをマークしたものの、脱輪のペナルティも加わり10秒が加算されることに。

 この結果、PN2を制したのは久々の勝利となった飯塚選手。約20年ぶりの地区戦優勝に「1本目のウェットは探りながら走った感じです。2本目は勝ち負けに関係なく、自分が納得できる走りをしたんですが、満足いく走りができて良かったですね。ターンはまだまだ抑えてスッと前に出すような走りができていなかった感じで、あとコンマ5秒は上げたかったです」と走りを振り返った。

 飯塚選手は更に「復帰しはじめて3年なんですが、復帰後地区戦では初優勝ですね。最終戦はいいとこ2位かな?」と、喜びを露わにした。一方、6位でチャンピオンをこの一戦で確定することができなかった関選手は、「まだこのマシン1年目だし、20年間ずっとFFだったし…… まだまだですね。最終戦をちゃんと走れれば大丈夫だと自分に言い聞かせます」と、コメントを残した。また、王座を争う小室選手は関選手に「次もパイロンタッチお願いします!」と、プレッシャーをかけていた。

PN2クラスは第1ヒートで3番手につけた飯塚信男選手(みちのく・Rロードスター)が第2ヒートで5秒以上タイムアップして逆転優勝。大ベテランは久々に勝利の美酒に酔いしれた。
PN2の小室拓也選手(QM熊洗GRIPロードスター)は第2ヒートで大きくタイムアップして1分11秒台に入れるが、第1ヒートと順位は変わらず2位となった(左)。クラスファーストゼッケンを務めた米田茂選手(マキシマFCロードスター)は、路面が好転した第2ヒートの果敢な走りで3位を獲得した(右)。
PN2は左から、2位の小室選手と優勝した飯塚選手、3位の米田選手が表彰台に上がった。

PN3クラス

 第6戦で最多エントリーを集めたのが、PN3クラス。エビス西での開幕第1戦は一挙に押しかけてきた関東地区勢に上位を奪われてしまったが、そこから巻き返した熊谷駿選手と巻口洋平選手が互いに2勝ずつ分け合いながら王座を争ってきた。

 しかし、巻口選手は全日本第10戦に挑むためこの一戦を欠場。今回の一戦で熊谷駿選手が勝利を飾れば最終戦を待たずにチャンピオンが確定する構図だ。一方、JAFカップ出場を目指す石井和則選手が関東から参戦。最終セクションのフルターンで地元勢を引き離せるかにも注目が集まった。

 PN3は前の2クラスとは異なり、ダンプコンディションでの第1ヒートとなった。前に走ったクラスのおかげで路面に熱が入り、所々ドライ路面が顔を出し始めたのだ。そのためランキング上位勢が待つ後半ゼッケンが確実に有利な展開となり、関東勢の佐々木聖選手がマークしたターゲットタイムも後半ゼッケン組に次々と塗り替えられていく。

 面白いようにタイムが更新されていく中、最終ゼッケンの熊谷駿選手が直前にマークした畠山佳選手のタイムを1秒以上更新する脅威のタイムを記録する。このタイムは第2ヒートに入ってもなかなか更新されない。そんな均衡を打ち破ったのが佐々木選手。完全ドライ路面となったコースで一気にタイムを1分9秒台に繰り上げた。

 同じく関東勢の石井選手は約0.4秒、佐々木選手のタイムを上回ることはできない。そしてこのタイムはラス前まで、誰も更新することができなかった。佐々木選手の表彰台が確定する中、トップタイムを更新したのはやはり畠山選手だった。「リアタイヤの溝があまりなくてリアの安定感があまりありませんでした……」と悔いた畠山選手だったが、約0.15秒差でターゲットタイムを塗り替えた。

 しかし、この接戦を完全に上回ったのは熊谷駿選手! またしても1秒以上畠山選手を引き離すビックゲインで今季3勝目を獲得した。そんな熊谷駿選手は「1本目でもトップタイムは出せていたんですが、仕切り直しになってしまって緊張しました。2本目の勝負どころは、中抜けして逆走してくるところもクルマのパワーを活かして速度をのせられるか、というところだったと思います。オーバー傾向の車両ですが、そこを踏んでこれたので勝てたんだと思います」と勝因を語るとともに、最終戦を前にチャンピオンを確定させて安堵の表情を見せた。

PN3は熊谷駿選手(クイック・DL・GR86)が初の地区戦チャンピオン確定のプレッシャーがかかる中、両ヒートともに後続を1秒以上突き放すタイムを叩き出す強さを見せて、チャンピオンも確定させた。
第2ヒートは駆動輪のリアタイヤに不安を抱えながらもターゲットタイムを更新したPN2の畠山佳選手(QM71RSスイフト)だったが、熊谷駿選手に逆転を喫して2位となった(左)。3位は関東地区から遠征組の一角、佐々木聖選手(EBRmiigoGR86犬)が一時はトップに立つ好走を見せて3位に入った(右)。
PN3の表彰は左から、2位の畠山選手、優勝した熊谷駿選手、3位の佐々木選手、4位の石井和則選手(261エリアμゼクラ124DL)、5位の池沢広行選手(BGつながるITDXL86DL)、6位の鈴木昭仁選手(クイック☆グリップMINIAT)が受けた。
2024年JAF東北ジムカーナ選手権PN3クラスチャンピオン 熊谷駿選手
去年は借り物のロードスターで出場していたんですが、今年から自分の86に乗り換えて戦える体制になったと思います。今年は全日本選手権にも参戦し、関東選手権にもお邪魔していろいろ教えてもらい経験もできたのが大きかったです。始めてのチャンピオンなのでとてもうれしいです。来年もシリーズチャンピオンを目指しつつ、新潟で開催されるとウワサのJAFカップを目指して走りたいですね。

SATW-2クラス

 SATW-2クラスでは、ホンダS2000を駆る阿部崇治選手が5戦全勝で、すでにチャンピオンを確定させている。しかし、阿部選手の脅威となっているのが豊本将希選手だ。B車両規定のZC33S型スイフトも活躍する全日本BC1クラスではワンサイズ上のタイヤを装着できるが、SA車両既定のこのクラスではサイズ制限が厳しい。そのため、阿部選手との差を埋めるためのあと一歩に苦しんでいるのが現状だ。

 そんな豊本選手が第1ヒートからその実力をいかんなく発揮する。ダンプコンディションで前輪駆動が有利とはいえ、ここまで全勝の阿部選手を約0.1秒抑えてのトップタイムで折り返す。しかし、第2ヒートに入ると他クラスと同様に、このタイムは早々に更新されてしまった。

 ランキング3番手の佐藤拓也選手がトップタイムを更新すると、豊本選手がこのタイムをさらに0.054秒上回る。そして最終ゼッケンの阿部選手は、ドライになったSUGO西で無双状態の走りを見せつけた。一気に2番手以下を突き放す速さで外周をまわると、ターンセクションでもワンランク上の走りを見せつける。絶対に連勝記録に傷はつけさせない、と言わんばかりの走りで阿部選手は豊本選手を1秒7以上引き離す圧倒的なタイムでフィニッシュし、今季無傷の6連勝を果たした。

「このシバタイヤになってからウェットでちゃんと走るのが初めてで、探りながら走っていたのであまりタイムは出ませんでした。でも、2本目はドライになってくれたので勝手知ったるSUGOできちんとタイムを出せました。2本目のフルターンで少し回し損ねてしまったのが悔やまれますね」と、阿部選手は圧巻の走りを見せてもなお、反省点を挙げた。

SATW-2クラスは5連勝中の絶対王者・阿部崇治選手(GメカS2000 GT)がまさかの第1ヒート2番手。しかし、路面がドライになった第2ヒートでブッちぎりのタイムをマークして6連勝を果たした。
急成長中の若手、豊本将希選手(SKIP!FORTECスイフト)はSATW-2の第1ヒートで阿部選手を約0.1秒上回るトップタイムをマークして下剋上が期待されたが、2位となった(左)。佐藤拓也選手(SKIP!86)は第1ヒートでのパイロンペナルティから第2ヒートで挽回を見せて、3位を奪った(右)。
SATW-2は左から、2位の豊本選手、優勝した阿部選手、3位の佐藤拓也選手、4位の清水直人選手(Gメカ☆S-Base☆GR86)、5位の久連山義人選手(ナカノMoty’s S2000)、6位の藤原雄司選手(QuickオートマミニGRIP)が表彰された。
2024年JAF東北ジムカーナ選手権SATW-2クラスチャンピオン 阿部崇治選手
今シーズンを振り返ると6連勝でここまできていますが、内容的には決して楽だったわけじゃなかったです。豊本選手の成長も著しく、非常に厳しい戦いもありました。シーズン後半になったこの大会でキャリパートラブルが発覚してくれたのが救いでしたね。来シーズンも現状維持の予定ですが、しっかり走って楽しみたいと思います。

SATW-4クラス

 東北を代表する4WD使い、佐柄英人選手を中心に争われているSATW-4クラス。しかし、佐柄選手は第2戦でのエンジントラブルにより、本番車両を失ってしまって手負いの状態。それでも3勝を挙げて王座争いをリードしているのは流石だ。

 第6戦も熊谷香選手とダブルエントリーとなった佐柄選手だが、第1ヒートはそつのない走りで2番手以下に1.8秒以上の差をつけるトップタイムをマークする。しかし、前述のとおり今回の一戦は2本目勝負の路面状況。

 まずは小野敦史選手がトップタイムを塗り替え、佐柄選手のスタートを待つことに。ターゲットタイムは1分8秒854。佐柄選手は最初のターンを軽やかにクリアして、中間で小野選手を約0.8秒引き離して帰ってくる。だが、最終フルターンセクション後のフィニッシュ直前でまさかのミス! それでも1分8秒918を記録するが、小野選手には0.064秒届かず2位に終わった。

 しかし、佐柄選手はチャンピオンを確定し、小野選手は今季初優勝を挙げた。「1本目は苦手なサイドターンが上手くできなくてタイムを落としてしまいましたが、2本目はしっかり回し込めました。マシンのいい部分をしっかり引き出せたのが良かったです。あとは佐柄選手がミスしてくれたのが大きかったですね」と、小野選手は殊勝なコメントを発した。

第1ヒートはSATW-4クラス2番手で折り返した小野敦史選手(Sマジック黒ヤリス)は、第2ヒートの後半セクションで見事な走りを披露して5秒以上タイムアップを果たし、逆転で今季初優勝を果たした。
SATW-4は参戦した3選手が表彰台に上がった。左から2位でチャンピオンを確定させた佐柄英人選手(DLレイズマルイCLランサー)、優勝した小野選手、3位の熊谷香選手(DXL☆マルイCLランサー)。
2024年JAF東北ジムカーナ選手権SATW-4クラスチャンピオン 佐柄英人選手
今年は2戦目に本番車をエンジンブローさせてしまい、そこから修理に出しているのですがなかなか時間がかかってしまい、ここまで練習用のマシンで戦うことになりました。来年はしっかりマシンを直してまた仕切り直ししたいと思います。

BSC-2クラス

 BSC-2クラスは、全日本でもその名を知られるベテラン勢がしのぎを削っている。王座争いをリードしているのはかつて、ホンダ・シティを駆って全日本A1クラスでその名を馳せた菊池功悦選手だ。ランキング2番手につけるホンダ・インテグラ タイプRを操る宍戸政宏選手は、関東に単身赴任しながらの参戦による練習不足からか、今季は未勝利でここまできている。菊池選手以外に勝利は飯野哲平選手と合田尚司選手、小武拓矢選手と全日本ドライバーたちが挙げている。

 強者揃いのこのクラスで初手をとったのは、宍戸選手。まだ、ウォーターパッチが残るコースを攻略し切った。2番手には日産180SXをドライブする菊池選手が約1秒差で追いかける展開だ。

 そして、BSC-2ももちろん2本目勝負!ファーストゼッケンの引地雄一選手からいきなり1分9秒台に入れ、ターゲットタイムを一気に2秒以上塗り替えてリセットされた。ここまで表彰台を獲得するも勝利には届いていない田中心選手が更に約0.2秒トップタイムを押し上げると、ラス前宍戸選手がアタックに入る。

 細かいミスはあったものの、ターンセクションもそつなく回し切った宍戸選手は1分8秒台に突入! そして、最終ゼッケン菊池選手がスタート。しかし、菊池選手はインフィールドに入る手前でリアタイヤをブレイクさせてしまう。姿勢を乱したまま渡りに進入して暴れる車両を押さえつけるも、リズムが大きく乱れた。そして、最後のターンセクションのパイロンをリアタイヤで弾いて万事休す。宍戸選手が今季初優勝を手にした。

「1本目は路面が濡れていたのでソフト(タイヤ)で行ったんですが、あまり良いフィーリングではありませんでしたが、FFということもあり有利だったんだと思います。2本目は1本目よりも良かったです。特にターンセクションでは良い走りができましたね。SUGOはいつも似ているレイアウトで走っているので、慣れたSUGOで勝てたのは良かったです」とこの一戦を振り返った宍戸選手。更に「最終戦は出場できない可能性が強いんですが、来季は来季でしっかり予定を立てていかなくてはいけないと思っています」と、すでに目線は新シーズンへと向いていた。

4戦中3戦で表彰台に上がり、BSC-2クラスでランキング2番手につけている宍戸政宏選手(BSササキSPMインテグラAz)が今季初優勝を挙げ、5位に終わったランキング首位、菊池功悦選手(DLマキシマAZUR180sx)との差を大きく詰めた。
第1ヒートはBSC-2の4番手に留まった田中心選手(サイドウェイズDLフジミRX7)は第2ヒートで7秒以上もタイムアップに成功し、2位を奪った(左)。クラスファーストゼッケンを背負った引地雄一選手(SKIP-EK9KAI)は第2ヒート早々にトップタイムを更新したが、田中選手には0.204秒及ばず、3位となった(右)。
BSC-2は左から、2位の田中選手と優勝した宍戸選手、3位の引地選手のトップ3が表彰台に立った。

2024 JMRC東北ジムカーナシリーズ

2クラス

 排気量1000cc以上で前輪駆動のB車両で争われる、2024年JMRC東北ジムカーナシリーズの2クラス。両ヒートともにトップタイムを記録した工藤利康選手が制した。「ちょっとウェットだったので1本目では決まらないなぁ…… と思いながら走っていました。2本目には周りの人からアドバイスをもらい、おかげで良いタイムが残せました。特に中間までにいいタイムが出せて良かった感じでした。最終戦も一生懸命走るだけです」と、語った。

2クラスでは工藤利康選手(B・Jプロμ工藤スイフト)が第1ヒートでトップに立つと、第2ヒートでは3秒以上タイムアップする走りを見せて、トップの座を譲らない完勝を果たした。
第1ヒートでは2クラスの最後尾に沈んだ吉田友明選手(プライズインテグラ)は第2ヒートで13秒以上タイム更新の大躍進を見せて、2位にジャンプアップした(左)。このクラスでは唯一の軽自動車、ダイハツ・コペンで挑んだ木村文哉選手(DsportHWコペンADMS)は2番手で折り返したが、吉田選手に追い越されて3位となった(右)。
2クラスはトップ3、左から2位の吉田選手、優勝した工藤選手、3位の木村選手が表彰された。

6クラス

 クローズドとなる6クラスは一騎討ちとなり、佐藤浩一選手がGRヤリスを操ってしっかりと走り切り、トップタイムを記録した。走行後、佐藤浩一選手は「1本目は雨で全然ダメだったんですが、2本目晴れてくれて良かったです。ほぼほぼノーマルなので今日の走りで満足です」と、この日の走りをまとめた。

一騎討ちとなった6クラスはGRヤリスを駆る佐藤浩一選手(ゴリラで修復へっぽこヤリス)がトヨタ・ヴィッツを操る芦名裕太選手(ナカノヴィッツNCP131)を圧倒するトップタイムを残した。
6クラスは左から2位の芦名選手とトップの佐藤浩一選手、挑んだ両人が表彰台に登壇した。

 今回の一戦を終えて大谷代表は、「SUGOは東北を代表するコースなので、ハイスピードなコースを今回も満喫してもらえたのではないかと思います。昨年に比べて地方選手権も台数が若干の右肩上がりできているのは嬉しいですね。来年に向けてもSUGO中心になると思うので東北を盛り上げて、全日本にチャレンジしてくれる選手が増えてくれたら嬉しいと思います」と、東北ジムカーナがより一層盛り上がることを願っていた。

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ