全日本ジムカーナ最終戦PE2クラスで髙屋隆一BRZが悲願の初チャンピオン確定!

レポート ジムカーナ

2024年9月18日

全日本ジムカーナ選手権 第10戦「スーパースラローム IN 久万高原」が、9月7~8日に愛媛県の久万高原町にあるハイランドパークみかわ ジムカーナコースで開催された。シリーズの最終戦となるこの第10戦は、全クラス合わせて90台のエントリーを集めたが、当初は5台がエントリーしていたPE1クラスに1台の欠場が出たため、選手権規定によりクラス不成立となった。

2024年JAF全日本ジムカーナ選手権 第10戦「スーパースラローム IN 久万高原」
開催日:2024年9月7~8日
開催地:ハイランドパークみかわ ジムカーナコース(愛媛県久万高原町)
主催:ETOILE

 第10戦の舞台であるハイランドパークみかわ ジムカーナコースは、標高約1000mの山岳地帯に位置するため、突然の降雨や深い霧に覆われることが多い。しかし、今大会では朝から晴れ渡り、最高気温が30度を超えるコンディションに。路面温度も午後には50度に達する真夏を思わせる天候の中、各クラスとも第2ヒートまで目が離せない激戦が繰り広げられた。

ついに最終戦ということもあり、チャンピオンが確定していないクラスを中心に会場内は緊張感が漂っていた。
第2ヒート終了後、全日本ジムカーナ選手会によるトップドライバーとの同乗走行やパレードランが行われた。
コースは、PEクラス用とそれ以外のクラス用に2パターンのレイアウトを設定。ゴール間際のセクションで、PEクラスは2本のパイロンをオーバル状に、それ以外のクラスは8の字ターンとなり、その他は共通したレイアウトとなる。

PE2クラス

 チャンピオン争いが最終戦までもつれ込んだPE2クラスは、クラス先頭走者の髙屋隆一選手(スバル・BRZ)がトップタイムをマーク。第9戦を終えてシリーズランキングトップに立つ下村渉選手(トヨタ・GR86)は、「会場の標高が高いせいか、いつものエンジンフィーリングと異なり、クルマをうまく操ることができませんでした」と、髙屋選手とチームを組む河本晃一選手(マツダ・ロードスターRF)に続く3番手で第1ヒートを終える。

 第2ヒートでも髙屋選手がベストタイムを更新してくる中、下村選手はタイムアップしてくるが逆転は果たせず。「金曜日の練習走行の時点から調子が良く、そのリズムをキープすることができました」という髙屋選手が今季4勝目を挙げ、有効得点で今回3位に終わった下村選手を逆転し、自身初となる全日本チャンピオンを確定させた。

PE2クラス優勝は髙屋隆一選手(BSぢっぷすNT☆CP2BRZ)。
両ヒートともにトップタイムで勝利した髙屋選手。河本晃一選手とガッチリ握手。
2位は河本選手(CP2.BSロードスターRF)、3位は下村渉選手(DLαACWPリジットGR86)。
PE2クラスの表彰式。左から4位の有田光徳選手、2位の河本選手、1位の髙屋選手、3位の下村選手、5位の吉川萌衣選手。チャンピオンボードを持つのは髙屋選手とダブルエントリーの東美里選手。
PE2クラスで悲願の全日本初チャンピオンを確定させた髙屋選手。

PN1クラス

 PE2クラスと同じくチャンピオン争いが最終戦までもつれ込んだPN1クラス。朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)と斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)の一騎打ちとなり、朝山選手が第1ヒートのトップタイムを奪う一方で、斉藤選手は3カ所でパイロンペナルティを加算し、クラス11番手。

 第2ヒートでも斉藤選手はパイロンペナルティが加算され、両ヒートのベストタイムを奪った朝山選手が、昨年に続きPN1クラスチャンピオンを確定させた。2位は2005年以来19年ぶりに全日本選手権に出場し、これまでに3回の全日本チャンピオンを獲得しているベテランの矢島融選手(トヨタ・ヤリス)が獲得。3位には、「久々のパイロンコースをノーミスで攻めることができました」という阪本芳司選手(トヨタ・ヤリス)が入賞した。

PN1クラス優勝は朝山崇選手(DLETP・BPFヤリスITO)。
2位に1秒以上の差をつけて勝利した朝山選手。パルクフェルメでは思わず笑みがこぼれる。
2位は矢島融選手(DLSPMATSヤリスITO)、3位は阪本芳司(エリアスポーツヤリス71RS)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の長畑年光選手、2位の矢島選手、1位の朝山選手、3位の阪本選手、5位の井上賢二選手、6位の中根卓也選手。
2年連続7回目の全日本チャンピオンを確定させたPN1クラスの朝山選手。

BC3クラス

 最終戦までチャンピオン争いが持ち越しとなったBC3クラスは、シリーズランキングトップの菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が、第1ヒートで2番手以下を1秒以上引き離し、ライバル勢を圧倒。さらに第2ヒートでもベストタイムを更新する圧巻の走りで、3年連続通算18回目となる全日本チャンピオン獲得を確定させた。

 2位には、「後半セクションだけで1秒近く離されました。1秒差は大きすぎ。来年に向けてしっかり対策していきます。それにしても、今回の菱井選手は想定外の速さでした」という大橋渡選手(スバル・インプレッサ)が入賞。そして「ハイランドパークみかわはホームコースなので好きなんですけど、GRヤリスの速さにまだ自分が対応し切れていない」という一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が3位を獲得した。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコGRヤリス)。
菱井選手は、ライバルから「想定外の速さ」と評される走りを見せて勝利し、両手を上げて喜びを表現した。
2位は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)、3位は一色健太郎選手(ATSWmDLRSKヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の堀隆成選手、2位の大橋選手、1位の菱井選手、3位の一色選手、5位の尾崎誠治選手。
BC3クラスで3年連続17回目の全日本チャンピオンを確定させた菱井選手は、2位の大橋選手と互いの健闘を称えあっていた。

PN2クラス

 マツダ・ロードスターのワンメイク状態となっているPN2クラスは、前戦でチャンピオンを確定したSHUN選手が体調を崩して欠場する中、第1ヒートのタイムで逃げ切った小林規敏選手が今季2勝目を獲得。2位は、「第1ヒートの精度をもっと上げることが課題」という小野圭一選手が獲得、3位には「第2ヒートでもう少しタイムを上げたかったけど、最終戦で表彰台に登ることができたのは良かったと思います」という古田公保選手が入賞した。

PN2クラス優勝は小林規敏選手(BS☆XPL☆EXロ-ドスター)。
小林選手が第1ヒートでマークした1分18秒039で逃げ切って勝利を飾った。スナガワと合わせて今季2勝目だ。
2位は小野圭一選手(DLクスコWm軽市ロードスター)、3位は古田公保選手(DL505XPLロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の箕輪雄介選手、2位の小野選手、1位の小林選手、3位の古田選手、5位の中田匠選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、第1ヒート2番手のユウ選手(マツダ・ロードスターRF)が、第2ヒートで一気に約1秒ものタイムアップを果たし、逆転優勝を飾った。第1ヒートはパイロンペナルティが加算されて9番手に終わった大多和健人選手(マツダ・ロードスターRF)が第2ヒートで2番手に浮上するが、再車検の結果、2024年国内競技車両規則スピードPN車両規定第8条8.1.1.6(タイヤおよびホイールは、フェンダーからはみ出していないこと)に違反し、失格の判定に。野島孝宏選手(マツダ・ロードスターRF)が2位に、川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)が3位に入賞した。

PN3クラス優勝はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)。
力強くこぶしを握り締め、勝利の雄たけびを上げるユウ選手。最終戦を優勝で締めくくった。
2位は野島孝宏選手(DLルブWMロードスター犬レイ)、3位は川北忠選手(ORC AD DLロードスター)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の久保真吾選手、2位の野島選手、1位のユウ選手、3位の川北選手、5位の大坪伸貴選手、6位の内田敦選手。

PN4クラス

 PN4クラスは、すでにタイトルを確定させている奥井優介選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今シーズンの連勝記録を8に更新。2位には、「ここ数戦、なかなか良いセッティングを出すことができなかったけど、最終戦は来季に向けてまずまずのセッティングを出すことができたと思います。来年は“ヤツ”(奥井選手)をやっつけなきゃね(笑)」という松本敏選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が入賞。3位は、逆転を狙った第2ヒートでパイロンペナルティを計上した津川信次選手が、第1ヒートのタイムで獲得した。

PN4クラス優勝は奥井優介選手(DLATSRSK茨トヨヤリス犬)。
すでにチャンピオンを確定させている奥井選手が有終の美を飾る。ライバルや関係者から勝利の祝福の嵐となった。
2位は松本敏選手(ADVICS☆TJ☆DLヤリス)、3位は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位のいながわひろゆき選手、2位の松本選手、1位の奥井選手、3位の津川選手、5位の島田直樹選手。

BC1クラス

 BC1クラスは、「ターンセクションが多く、CR-Xに向いているコースだと思いました」という神里義嗣選手(ホンダ・CR-X)が、第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝。2位は今シーズン全日本ラリー選手権のJN2クラスに組み込まれたモリゾウチャレンジカップに出場する最上佳樹選手(ホンダ・インテグラ)。昨年の第9戦鈴鹿以来、約1年ぶりに全日本ジムカーナへ参戦した最上選手は第1ヒートをパイロンペナルティで11番手に終わるものの、第2ヒートの逆転で入賞を果たした。3位には、「1か所だけ合わないところがあって、最後まで攻略し切れませんでした」と、前戦でチャンピオンを確定させている西井将宏選手(ホンダ・インテグラ)が入賞した。

BC1クラス優勝は神里義嗣選手(DLMotys渦RACCR-X)。
神里選手は、第1ヒートのタイムで逃げ切り勝利。その勝因はマシンとコースの相性だと分析した。
2位は最上佳樹選手(FEジールMARTSインテグラ)、3位は西井将宏選手(アイスペックインテグラDL)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の橋本克紀選手、2位の最上選手、1位の神里選手、3位の西井選手、5位の東毅選手、6位の石澤一哉選手。

BC2クラス

 すでに今シーズンのチャンピオンを確定させているBC2クラスの若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が、両ヒートを制する走りで今シーズン6勝目を獲得。3台のマツダ・RX-7による戦いとなった2番手争いは、第2ヒートで追い上げた藤井雅裕選手が2位に入賞した。第1ヒートはパイロンペナルティに終わった野本栄次選手が第2ヒートの走りで3位に、第1ヒート2番手の飯野哲平選手が4位となった。

BC2クラス優勝は若林拳人選手(BS若自速心コ犬ZRエキシージ)。
すでに今シーズンのチャンピオンを確定させた若林選手だが、6勝目を挙げてチャンピオン確定に華を添えた。
2位は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)、3位は野本栄次選手(BS速心エナペタルジアロRX7)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の飯野哲平選手、2位の藤井選手、1位の若林選手、3位の野本選手。

フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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