全日本ジムカーナ選手権が開幕! 激戦のPN5クラスは奥井優介選手が逆転優勝
2026年3月18日
全日本ジムカーナ選手権の2026シーズンがいよいよ開幕。その第1戦「GYMKHANA IN TSUKUBA」が、3月7~8日に茨城県下妻市郊外の筑波サーキットコース1000で開催された。今シーズンの全日本ジムカーナ選手権は、昨年と同様に北から南まで全国8か所のJAF公認ジムカーナコースを転戦し、各クラスのシリーズ順位を競う。
2026年JAF全日本ジムカーナ選手権 第1戦「GYMKHANA IN TSUKUBA」
開催日:2026年3月7~8日
開催地:筑波サーキットコース1000(茨城県下妻市)
主催:T-SPIRIT
2026年はクラス区分の規定が変わり、これまでPE1~BC3クラスまで全9クラスに分かれていたが、今シーズンは昨年のPE1クラスが駆動方式により細分化され、FFやFRを対象とするPE1クラスと、4WDやMRを対象とするPE2クラスに分離。さらに2輪駆動でATやCVTなど自動変速機つきのP・AE車両を対象とした昨年のPE2クラスは、対象車両がPN車両となり、クラス名もPNATクラスとなった。
さらに、昨年まで4クラスに分かれていたPNクラスは、昨年のPN3クラスが2000㏄を境にPN3クラスとPN4クラスに分離。昨年のPN4クラスはPN5クラスへとクラス名称を変え、4クラスから5クラスへと拡大した。そのため、今シーズンは9クラスから11クラスに増え、シリーズが戦われることになる。
開幕戦となる筑波サーキットコース1000のパドックには、併設されたスーパーライトウェイト(SLW)クラスと箱Dクラスを合わせて155台が集まった。全日本選手権、地方選手権の実績を考慮し、13台の不受理が出るほどの人気ぶりだ。
決勝ヒートが行われた8日は朝から雲ひとつない快晴に恵まれたが、強い寒気が上空を覆ったことで朝の最低気温が5度を下回り、最高気温も約10度と肌寒い1日となった。それでも強い直射日光により路面温度の上昇が期待されたが、第2ヒートのPN5クラスが走行するころには路面温度が20度を超えたものの、日が傾くにつれて再び路面温度が下がるコンディションとなった。
PE1クラス
新生PE1クラスには、現行型のホンダ・シビックタイプRや電気自動車のBMW・ミニクーパー、日産・リーフ、そしてハイブリッド車のトヨタ・プリウスなど、多種多様な車種がエントリー。そんな中、昨年は山野哲也選手とのダブルエントリーで活躍した野島俊哉選手(BMW・ミニジョンクーパーワークスE)がベストタイムをマークする。
第2ヒートは、クラス先頭走者の下原幸登選手(ホンダ・シビックタイプR)が、野島選手が第1ヒートでマークしたタイムに0.121秒差まで迫るものの、わずかに届かず。そのまま野島選手が逃げ切るかと思われたが、下原選手とダブルエントリーの折茂紀彦選手(ホンダ・シビックタイプR)がベストタイムを更新。
クラス最終走者の野島選手が再逆転を狙ったが、「180度ターン後の右コーナーでオーバーステアが出てしまいました……」と、第1ヒートの自己タイムは更新したものの、折茂選手のタイムには0.167秒届かず。「シリーズを追うか否かは現時点で決めていませんが、とりあえず第2戦の新潟には出場します」という折茂選手が、18年ぶりとなる全日本優勝を果たした。2位に野島選手、3位に下原選手がそれぞれ入賞した。
PE2クラス
アルピーヌ・A110R、ポルシェ・911GT3、アウディ・TT RSなど、高性能な輸入車が主力となる新生PE2クラスは、昨年のランキング2位の大橋政哉選手(アルピーヌ・A110R)が第1ヒートのベストタイムを奪い、第2ヒートもタイムを上げてくるもののパイロンペルティでタイム5秒が加算され、ベストタイム更新ならず。
トップの座を死守していた大橋選手だったが、クラス最終走者の前年度チャンピオン山野哲也選手(アルピーヌ・A110R)が、「今回から新しい銘柄のタイヤを装着しているんですが、第2ヒートはタイヤの特性をもう少し理解しようと思って、タイヤの横方向を使う攻めた走りでアタックしました」とコーナリングスピードを稼ぐ走りでベストタイムを更新。第2ヒートの逆転劇で開幕戦優勝を果たした。
「パイロンペナルティは残念ですけど、昨年の筑波では1秒近く離されていたので、セットアップ的には良い方向に向かっていると思います」という大橋選手が2位。「今シーズンから装着するタイヤのメーカーを変えたんですが、表彰台を獲得することができ、良い結果を得られたと思います」という飯野弘之選手(アルピーヌ・A110R)が3位に入賞した。
PNATクラス
クラス区分の車両規定が昨年のP・AE車両からPN車両になったことで、機械式LSDの装着など戦闘力が上がった車種が多いPNATクラス。昨年のPN3クラスから今季はPNATクラスに移ってきた黒水泰峻選手が2番手以降を1秒以上引き離し、第1ヒートのトップタイムを奪う。
第2ヒートは、第1ヒート2番手の大川裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)がミスコースでタイムを上げることができない中、黒水選手がベストタイムを0.419秒更新。一方、第1ヒートでは2本のパイロンペナルティで下位に沈んだ河本晃一選手(スバル・BRZ)もタイムを上げてくるが、黒水選手のタイムには0.088秒届かず。河本選手とダブルエントリーの髙屋隆一選手(スバル・BRZ)も黒水選手のタイムに迫る走りを見せるが、ベストタイムには0.255秒届かない。
「第2ヒートは第1ヒートよりもグリップしたので、怖くないコーナーが多かったです。すべてのコーナーを攻めて走ることができました」という黒川選手が全日本初優勝を飾った。「第2ヒートは前半ミスしたんだけど中間ベスト。後半の細かいターンは黒川選手が速かったですね。まぁ、仕方ないです」という河本選手が2位。「後半、アクセルで向きを変えようと攻めたんですけど、ちょっと踏みすぎましたね」と反省する髙屋選手が3位に入賞した。
チャレンジプログラム for 2ペダル始動
2025年に続き、次世代ドライバー発掘を目的とした育成プログラム「チャレンジプログラム for 2ペダル(CP2)」が、全日本ジムカーナ選手権PNATクラスに参戦。現役のマスタードライバーと、若手のルーキードライバーでダブルエントリーし、全8戦中5戦以上を戦っていくこととなる。今回、その構成された3チームのお披露目が行われた。
Team ACCELはスバル・BRZ ATを駆り、マスタードライバーが河本晃一選手、ルーキードライバーが西廣優見選手。Team BOOSTはトヨタ・86を駆り、マスタードライバーが髙屋隆一選手、ルーキードライバーが吉永ありさ選手。Team CRESTはマツダ・ロードスターRF ATを駆り、マスタードライバーが黒水泰峻選手、ルーキードライバーが小村颯紀選手という布陣だ。
2ペダルジムカーナの普及に努めるとともに、モータースポーツの魅力をより多くのファンに広めていき、未来のジムカーナを切り拓いていくCP2の今後の活動に注目したい。またこれからジムカーナデビューする3名のルーキードライバーの奮闘ぶりや成長の軌跡にも要チェック。
PN1クラス
PN1クラスは、前年度チャンピオンの朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)が第1ヒートで1分18秒026のタイムでトップに立ち、ベテランの矢島融選手(トヨタ・ヤリス)、前日の公開練習でも好調だった若手の岡直輝選手(トヨタ・ヤリス)、金澤和幸選手(トヨタ・ヤリス)の3台が、1分18秒台の僅差で朝山選手に続く。
第2ヒートは、第1ヒート3番手の岡選手が「路面温度が上がって前半からタイムが出ることが分かってたんですけど、ちょっと気持ちの方が勝ってしまって、パイロンをクルマに挟み込んでしまいました」とリタイアを喫する。第1ヒート4番手の金澤選手もミスコースに終わってしまう。
「路面温度が低く、フロントが引っ張らなくてリアが流されてしまう状況が続いたんですけど、第2ヒートはリアのグリップが少し上がった感じはしました」という矢島選手がベストタイムを更新。クラス最終走者の朝山選手は、タイムアップを果たすものの矢島選手のタイムには0.081秒届かず。矢島選手が第2ヒートの逆転で今季初優勝を飾った。
2位の朝山選手は、「金曜日にミッションが壊れ、土曜日の公開練習はデフが壊れてしまって、今日は急遽ジムカーナ仕様ではないLSDを組んで走りました。第1ヒートトップは相手がミスをしただけ。苦しい状況の中で、最後の360度ターンは失敗しましたけど、それでもこの順位は良しとします」と納得の表情。3位には第1ヒートのタイムで岡選手が入賞した。
PN2クラス
前年度チャンピオンの藤井裕斗選手がPN3クラスに移り、チャンピオン不在となったPN2クラス。昨年のシーズン途中にPN1クラスからPN2クラスに移ってきた福田大輔選手(マツダ・ロードスター)が第1ヒートのベストタイムをマーク。古田公保選手(マツダ・ロードスター)が福田選手のタイムを約1秒上回ってゴールするものの、パイロンペナルティで5秒が加算されて幻のベストタイムに。
第2ヒートは、第1ヒートトップの福田選手がわずかにタイムダウンする中、2022年チャンピオンの小林規敏選手(マツダ・ロードスター)が、福田選手がマークした第1ヒートのタイムに迫ってくるものの、0.112秒届かず。このまま福田選手が逃げ切るかと思われたが、第1ヒートは悔しい結果に終わった古田選手が福田選手のタイムを0.019秒更新。最後の逆転劇で古田選手が開幕戦を制した。
「路面温度が上がった第2ヒートは、前後バランスが狂っちゃってタイムアップできなかったのが敗因ですね。全体的にクルマがオーバーステアで、セッティングをミスった感じです」という福田選手が2位、「2か所の360度ターンで失敗してしまいました。第2ヒートのタイヤのフィーリングが良かったので、ドライバーが調子に乗ってしまいましたね」と反省する小林選手が3位に入賞した。
PN3クラス
事実上のマツダ・ロードスターRFのワンメイク状態となった新生PN3クラスは、前年度チャンピオンの川北忠選手が第1ヒートをミスコースで終え、昨年のPN2クラスを制した藤井裕斗選手がクラス唯一となる1分15秒台のタイムでトップに立つ。第2ヒートに入ると藤井選手がさらにタイムを縮めてゴールするものの、痛恨のパイロンペナルティでベストタイム更新ならず。
藤井選手が第1ヒートのタイムでトップを死守したままクラス最終走者を迎え、「第1ヒートはなんの迷いもなくミスコースしました。慣熟歩行でイメージしていたよりも、実際に走ってみたら難しいなぁと思って(笑)。今年は藤井選手との戦いにはなると予想していましたが、勝つことができて良かったです」と川北選手がベストタイムを更新。第2ヒートの逆転劇で今季初優勝を飾った。
2位の藤井選手は、「パイロンタッチは攻めた結果でもあるのですが、最後にちょっとだけ欲が出てしまいました。課題がはっきり分かったので、そこをもっと練習すればもう一段階タイムを上げられると思うので、第2戦に向けて頑張ります」と前向きな表情。3位には、「これまで6位以内の入賞経験はあったんですけど、表彰台は初めてです」という安藤祐貴選手が入賞した。
PN4クラス
2400㏄のエンジンを搭載するトヨタ・GR86とスバル・BRZの戦いとなったPN4クラス。誰が主導権を握るのか注目が集まる中、「昨年の10月に発売された最新のGR86に乗り換えました」という野島孝宏選手が、第1ヒートではクラス唯一となる1分15秒台のタイムでトップに立つ。
第2ヒートは、この1分15秒の壁がなかなか破られない展開が続き、第1ヒート3番手の西野洋平選手(トヨタ・GR86)が1分15秒台にタイムを乗せてくるものの、野島選手には0.013秒届かない。その野島選手は、さらに第2ヒートでもベストタイムを更新。第1ヒートはパイロンペナルティに終わったユウ選手(トヨタ・GR86)が、第2ヒートでは1分15秒台にタイムを上げ、西野選手をかわすものの野島選手には届かず。
「クルマのコントロール性が良く、アクセルに対してクルマがリニアに動くので、クルマとタイヤの一番おいしいところを使えました。昨年の開幕戦も勝ったんですけど、今年の開幕戦の方が気持ち良く勝てました」という野島選手が、昨年に続き開幕戦2連覇を果たした。
「タイヤが良くなって、安心してコーナーに飛び込めるようになったのは間違いないんですけど、ターンの完成度が低いのが敗因だったと思います」というユウ選手が2位、「最後に勝ったのが2022年。そろそろ勝ちたいですね……」という西野選手が3位に入った。
PN5クラス
昨年のBC3クラスで熾烈なタイトル争いを展開した菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)と奥井優介選手(トヨタ・GRヤリス)が加わってきたPN5クラス。1分12秒台の攻防戦となった第1ヒートは、前年度のPN4クラスチャンピオンの津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が、BC3クラスチャンピオンの菱井選手を0.661秒抑えてトップに立つ。
今シーズンから第2世代のトヨタ・GRヤリスに乗り換えた第1ヒート3番手の若林隼人選手が、第2ヒートで1分11秒台に引き上げるベストタイムを叩き出してトップに浮上。だが、第1ヒートは1分12秒台のタイムをマークするものの、パイロンペナルティで下位に沈んでいた奥井選手がベストタイムを0.093秒更新してくる。
一方、第1ヒート2番手の菱井選手はタイムダウンに終わり、第1ヒートトップの津川選手も後半ひとつめの360度ターンで「進入でちょっとオーバースピードになって、そこでリズムを崩してしまった」とタイムダウンするとともに、パイロンペナルティによるタイムも計上して3位にポジションダウン。
前週の全日本ラリー選手権ではJN-3クラスで展開されているモリゾウチャレンジカップで初優勝を飾った奥井選手が、全日本ジムカーナ選手権でもベテラン勢を抑え開幕戦優勝を果たした。2位はクラスの中ではまだまだ若手の若林選手が津川選手と菱井選手を抑えて入賞し、若手とベテランの世代対決第1ラウンドは、若手勢ふたりがベテラン勢ふたりを抑える結果となった。
BC1クラス
総勢21台が出走したBC1クラスは、昨年のJAFカップを制した近藤岳士選手(ホンダ・CR-X)が第1ヒートのトップに立ち、清水翔太選手(ホンダ・インテグラタイプR)が0.07秒差の2番手につける。第2ヒートに入ると、第1ヒートトップの近藤選手がさらにベストタイムを0.67秒引き上げてくる中、第1ヒートはスピン&脱輪に終わった石澤一哉選手(ホンダ・インテグラタイプR)がベストタイムを更新し、トップに躍り出る。
「第1ヒートでミスしてしまったので、第2ヒートは必死で走りました。自分のすべてを出し切れたと思います」と石澤選手は語るも、「今年のコースレイアウトは、自分の得意なセクションが少なかった……」と不安顔。そして迎えたクラス最終走者の西井将宏選手(ホンダ・インテグラタイプR)は、第1ヒートでは最速タイムを叩き出していたが、パイロンペナルティのため幻のベストタイムに。
第2ヒートにかける西井選手は、石澤選手のタイムを0.305秒上回るタイムでゴール。「昨年の開幕戦は石澤選手にボロ負けして8位だったので、リベンジができたと思います(笑)」と、開幕戦優勝を果たした。2位に石澤選手、3位には「正直勝ちたかったですね。今年は5戦程度に出場する予定です」という近藤選手が入賞した。
BC2クラス
BC2クラスは、第1ヒートで1分12秒423のタイムを叩き出しながらもパイロンペナルティで中団に沈んだ広瀬献選手(ホンダ・S2000)が、第2ヒートでベストタイムを更新して文句なしのトップに立つ。一方、第1ヒートのベストタイムをマークした若林拳人選手(ロータス・エキシージ)は、第2ヒートでベストタイムを更新した広瀬選手のタイムをさらに上回ってゴールするものの、今度は若林選手がパイロンペナルティを受けて幻のベストタイムに。
「今年からSC車両の規定が変わって、車重が90㎏増えたのでスーパーチャージャーを装着してきたんです。クルマの仕様が大きく変わった中、開幕戦を獲れて良かったです」という広瀬選手が、第2ヒートの逆転で開幕戦優勝を果たした。
「悔しい結果ではあるけど、今日のコースレイアウトでこれだけ詰めることができたというのは、うれしい点でもあります」という若林選手が2位。3位には、「上の2台(広瀬選手、若林選手)がバカッ速いんだけど、少しは尻尾が見えてきたかな」という小林キュウテン選手(トヨタ・MR-S)が、前走車のアクシデントのため第2ヒートが再出走となったものの、最後まで集中を切らさずに走り切って入賞した。
BC3クラス
昨年のチャンピオン菱井選手と、最後までチャンピオンの座を戦った若手の奥井選手がPN5クラスに移ったBC3クラスは、「今年のクルマは基本的に変わっていないけど、規則が変わったので昨年より90㎏くらい軽くなっています。本当はもうちょっと軽くできそうなんですけど、バランスを考えてほどほどにしています」という大橋渡選手(スバル・インプレッサ)が両ヒートでコンスタントに1分10秒台のタイムを叩き出し優勝。
2位には、金曜日の練習走行でクラッチトラブルが発生し、決勝日もそのトラブルを抱えたままの走行となった一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が、「決勝を走ることができただけでも良かった」と入賞し、「菱井選手と奥井選手が抜けた中で、自分ももっと上の順位を狙えるようになっていけるよう頑張ります」という大澤勝紀選手(三菱・ランサーエボリューションX)が3位に入賞した。
SLWクラス、箱Dクラス
併催されたスーパーライトウェイト(SLW)クラスは、両ヒートでベストタイムを刻んだ斎藤達也選手(スーパー7)が優勝。箱Dクラスは、D1GPで活躍する日比野哲也選手(トヨタ・カローラレビン)が、ジムカーナ初挑戦ながらも第2ヒート逆転劇で優勝を飾った。
フォト/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



