PN4松村正吾選手が14年ぶり、BC1日部利晃選手が18年ぶりの勝利
2026年6月2日
5月16~17日に広島県広島市郊外のスポーツランドTAMADAで開催された全日本ジムカーナ選手権 第4戦「MAZDA SPIRIT RACING CUP IN TAMADA」。全8戦で組まれている今シーズンは、今回がシリーズの折り返し地点だ。シリーズの有効戦数は6戦。後半戦を有利に戦う上でも、この第4戦の勝敗がシリーズの重要な1戦となってくる。
2026年JAF全日本ジムカーナ選手権 第4戦「MAZDA SPIRIT RACING CUP IN TAMADA」
開催日:2026年5月16~17日
開催地:スポーツランドTAMADA(広島県広島市)
主催:SLT.C、TEAM INDY
全日本ジムカーナ選手権 第3戦は、BC3クラスの出走台数が選手権規定の5台に満たなかったためにクラス不成立となったが、今回は選手権クラスの11クラスがすべて成立。選手権外クラスとなるSLWクラスと箱Dクラスも併催され、全クラス合わせて160台がエントリーリストに名を連ねた。
大会に先立ち、5月4日には広島市内で恒例となった全日本ジムカーナ選手権参戦車両によるパレードランが行われ、大会をアピール。公開練習が行われた16日と決勝ヒートが行われた17日には多くの来場客が会場を訪れ、各ドライバーに熱い声援を送っていた。
また、会場内には飲食ブースのほか、大会協賛企業による出展ブース、子供たちが遊ぶことができるキッズスペースなど、ラリーパークならぬジムカーナパークを展開。第2ヒートは各クラスが終了するごとに上位入賞者3台を並べて暫定表彰式を行うなど、ギャラリー向けのイベントも豊富な内容となった。
決勝コースは、前日の公開練習のスタートとゴールを逆転させ、外周を半周してインフィールドに入るレイアウトを採用。180度ターンや270度のターンセクションがあるほか、観覧席C付近にはコーナー立ち上がりのアウト側にラインを規制するパイロンを設置。このアウト側に置かれたパイロンが効果的で、パイロンに触れるどころか、パイロンを豪快になぎ倒すほど全開で攻めるドライバーも少なくなかった。
決勝日の天候は晴れ。最高気温が30度、午後には路面温度が50度を超えるという、真夏のような暑さの中での戦いとなった。
PE1クラス
「前日の公開練習とスタートとゴールの位置が正反対になって、ビックリしました」というジムカーナ歴2年のレーシングドライバー野島俊哉選手(BMW・ミニJCW E)が、「公開練習ではトップに1秒近く離されていましたが、決勝はテクニカルなセクションが増えたので、逆転することができました」と第1ヒートのトップタイムをマーク。
路面温度が上がった第2ヒートは軒並みタイムダウンに終わり、第1ヒートのタイムで野島選手が今季4勝目を飾った。2位は「路面温度が高く、タイヤが最後の8の字まで持つかなと思ったんですけど、案の定アンダーを出してしまい、タイムが伸びませんでした……」という折茂紀彦選手(ホンダ・シビック)が獲得。
3位は「第1ヒートで勝負できるタイムが出せていることが分かったので、第2ヒートに勝負を賭けたんですけど、攻めすぎてしまいました」と、3か所のパイロンペナルティ、1か所の脱輪ペナルティを計上してしまった蛯原輝彦選手(日産・リーフ)が、第1ヒートのタイムで入賞した。
PE2クラス
山野哲也選手(アルピーヌ・A110R)が、2位以下を1秒以上引き離す走りを披露し、第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝を果たしたPE2クラス。「初めて逆回りするコーナーがあったり、走り甲斐のあるレイアウトでしたね。前半に中速コーナーが多く、後半はハイスピードとテクニカルといった構成だったので、後半にタイヤのピークが来るような攻め方で走りました」
「とくに最後のパイロンセクションは規制パイロンが憎いところにあって、本当はワンブレーキ、ワンアクセルで行きたいところをツーブレーキ、ツーアクセルにしなければならないといったように、コースをデザインした方の『そう簡単には攻略させないぞ』という意気込みを感じました。」と山野選手。今季3勝目を獲得した。
2位には、「タイヤの状態が厳しく、第1ヒートはライン取りにミスがあり、第2ヒートは攻めたのですが、路面温度的に厳しかったです」という大橋政哉選手(アルピーヌ・A110R)が入賞。3位には「まっすぐ行って帰ってくるというポルシェにとって有利なコースレイアウトだったと思います」という角岡隆志選手(ポルシェ・911GT3)が入賞した。
PNATクラス
金曜日の練習走行と土曜日の公開練習でトップタイムをマークしていた河本晃一選手(スバル・BRZ)が、決勝第1ヒートでもトップタイムを連発。第2ヒートに入っても河本選手のタイムを塗り替える選手が現れず、待望の今季初優勝を獲得した。
「実は第3戦でも金、土曜日ともトップタイムでした。ところが決勝はコースコンディションが変わらなかったのに、5位までポジションを落としてしまったんです。クルマやタイヤに問題があったわけじゃなく、自分のメンタル面で負けてしまいましたね」
「何をやっていいのか迷宮に入ってしまいましたが、今回はその迷宮から脱出しようと落ち着いて第1ヒートを走ったことが良かったと思います。金、土、日曜日の3日間ともコースレイアウトが大きく違ったのも、新鮮で楽しかったです」と優勝の河本選手。
2位には「土曜日の公開練習から決勝コースが大きく変わって、臨機応変な対応力が必要だと感じました。第2ヒートの走りを第1ヒートから出すくらいの気持ちで行くべきでした」と反省する高江淳選手(BMW・ミニJCW)が入賞。「第1ヒートの序盤でミスしてしまったことが、最後まで響きました」という大川裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)が3位獲得で、シリーズランキングトップの座を死守。
PN1クラス
第1ヒートでは若手の岡直輝選手(トヨタ・ヤリス)がベストタイムを更新してくるものの、すぐさま2025年チャンピオンの朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)がベストタイムを更新。第2ヒートは各ドライバーがタイムダウンを喫する中、岡選手が自己タイムを更新してきたかに思えたが、パイロンのペナルティが計上され、タイムアップならず。
矢島融選手(トヨタ・ヤリス)も2本のパイロンペナルティでタイムダウンに終わった時点で朝山選手の優勝が確定したが、その朝山選手が第2ヒートでベストタイムを0.017秒更新し、貴重な今季2勝目を獲得した。
2位は「第1ヒートでギャラリー前の180度ターンとゴール手前の270度ターンで突っ込みすぎてしまい、ミスしてしまいました」という岡選手が獲得。3位には「第2ヒートは気温が高すぎて、エンジンパワーが落ちる感じがしました」という長畑年光選手(トヨタ・ヤリス)が入賞した。
PN2クラス
第1ヒートの後半セクションを「なんであんなに速く走れたのか、自分でも分かりません。第2ヒートでもう一回再現してやろうと思ったら、『カーン』ってパイロンが飛んで行きました(笑)」というほどの速さで駆け抜けた武内靖佳選手(マツダ・ロードスター)が、第1ヒートのタイムで逃げ切り、昨年の第8戦鈴鹿ラウンド以来、自身二度目となる全日本優勝を果たした。
2位には「気温と路面温度が高く、第1ヒート勝負になることは分かっていたけど、ライン取りが悪かったりアクセルを踏みすぎたりして、走りが乱れてしまいました」という古田公保選手(マツダ・ロードスター)が入賞。3位は「第1ヒートは攻めきれず、第2ヒートは必殺の5速に入れてしまいました」と反省する永川悠太選手(マツダ・ロードスター)が獲得した。
PN3クラス
今季2勝を挙げている川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)と今季1勝の藤井裕斗選手(マツダ・ロードスターRF)が、毎戦0.01秒を競う勝負が展開されているPN3クラスは、今回も両者が好勝負を繰り広げる様相となった。
第1ヒート、磯村良二選手(マツダ・ロードスターRF)がたたき出した1分09秒159のベストタイムを藤井選手が1.502秒更新してトップに立つと、クラス最終走者の川北選手が前半区間で藤井選手のタイムを0.029秒更新。その勢いは後半区間でも衰えず、最終的には0.049秒差の僅差でゴールラインを駆け抜け、今季3勝目を獲得した。
逆に僅差で2位となった藤井選手は「やはり前日から大きくレイアウトが変わり、元々攻略が難しいコースの中で合わせ込みがあと一歩だったと思います」と悔しい表情を見せた。3位には「タマダは初走行だったのですが、第1ヒートは少し攻めすぎてしまいましたね。第2ヒートも、ゴールを見失いかけて行きすぎてしまいました。路面のカントやグリップ感が掴みづらく、難しいコースでした」と反省する磯村良二選手が入賞した。
PN4クラス
地元出身の松村正吾選手(トヨタ・GR86)が1分09秒036のベストタイムをマークしてトップに立つ中、開幕戦と第3戦を制した野島孝宏選手(トヨタ・GR86)と第2戦を制したユウ選手(トヨタ・GR86)がベストタイムを更新してくるものの、両者ともパイロンタッチのペナルティが加算され、幻のベストタイムに終わる。
第2ヒートは「クルマの調子は悪くない。ロールの量も調整して、コースに合わせてきました」という野島選手が1分9秒台に突入してくるものの、松村選手が第1ヒートにマークしたベストタイムには0.103秒届かず。ユウ選手も「クルマのセットアップが外れていたという印象です」と言いながらも1分9秒台のタイムをマークするが、こちらも松村選手には0.165秒届かず。
4位の大坪伸貴選手(スバル・BRZ)が0.204秒差、5位の鈴木勇一郎選手(トヨタ・GR86)が0.138秒差という僅差の勝負を、「タマダは慣れ親しんだコースで、全日本では14年前にTSタカタサーキットで勝ったことがあるのですが、タマダは全日本に出場するようになって18年目でやっと勝つことができました」という松村選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、自身二度目となる全日本優勝を果たした。
PN5クラス
第1ヒートで出走16台中半数の8台がパイロンの餌食になるという荒れた展開となり、2025年チャンピオンの菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)と開幕戦優勝の奥井優介選手(トヨタ・GRヤリス)に至っては、両ヒートでパイロンペナルティが加算されてしまう荒れた展開に。
こうした中、津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が両ヒートでベストタイムを奪う完璧な走りでライバル勢を圧倒。2位以下を1秒以上引き離し、今季3勝目を飾った。
「今回は忙しすぎたけど、それは言い訳。師匠(津川)が勝ってくれるのはうれしいし、その師匠の次に入れたので、今回は良しとします。もちろん、反省点もありますけどね」という松本敏選手(トヨタ・GRヤリス)が2位、3位には「第1ヒートはアンダーがひどかった」という若林隼人選手(トヨタ・GRヤリス)が、路面温度が上がった第2ヒートのタイムで3位に滑り込んだ。
BC1クラス
1992年から全日本に参戦し、ジムカーナ活動を休止する2011年までに全日本で12勝、JAFカップで2勝を挙げているベテランの日部利晃選手(ホンダ・シビック)が、2023年に復帰。その日部選手が第1ヒートでトップに立つ。
第1ヒート0.616秒差の2番手からタイムを詰めてきた石澤一哉選手(ホンダ・インテグラ)は、日部選手が第1ヒートでマークしたタイムには0.52秒届かず。「まだ完全復活したという感じではないのですが、今回勝てたのでもうちょっと頑張ります(笑)」という日部選手が、2008年以来18年ぶりの全日本優勝を果たした。
「第2ヒートは攻め切れたと思うのですが、そういった走りを第1ヒートからやらないとダメですね。第1ヒートは気持ちが先行してしまいました」という石澤選手が2位、3位には「スイフトスポーツはタイヤに熱が入るのが遅い特性があるので、今回はその特性が活きたと思う」という小武拓矢選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
BC2クラス
第2戦から2連勝の若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が第1ヒートのトップタイムをたたき出すものの、パイロンペナルティが加算され、幻のベストタイムに。第1ヒートは毎戦、若林選手と激戦を展開する広瀬献選手(ホンダ・S2000)が制した。
路面温度が上がった第2ヒート、タイヤサイズの関係でハードコンパウンドのタイヤを装着する広瀬選手は、川村徹選手とのダブルエントリーで参戦しているが、今回の路面温度が高いコンディションに対してもベストタイムをさらに更新。シリーズでは若林選手に並ぶ今季2勝目を獲得した。
「今日は出せるものを出して、細かいところを拾っていきましたが、(広瀬選手のタイムは)それでも届かないタイムでした。逆に、今回は想像以上に戦えました」という若林選手が2位。3位には「第3戦ではトップ2の尻尾が見えた気がしたのに、今回は遠くに行ってしまった印象です。セットを外したわけじゃないんですけどね」と悔しい表情を見せる小林キュウテン選手(トヨタ・MR-S)が入賞した。
BC3クラス
「開幕戦でクルマの調子が悪く、クルマの仕様と自分のドライビングを大幅に変更しました」という一色健太郎選手が、第1ヒートのベストタイムをマークする。だが、第2ヒートは「第1ヒートでブレーキを踏み外して、パイロンの餌食になりました。壁に当たらなくて良かったです」という大橋渡選手(スバル・インプレッサ)がベストタイムを更新。不成立となった第3戦を除き、大橋選手が負け知らずの今季3勝目を飾った。
2位には「まだまだ自分の引き出しが足りない」という一色選手が入賞。そして「第1ヒートは3か所でパイロンに触ってしまい、第2ヒートはもう少し踏めた気はするけど、逆にタイヤなりに落ち着いて走ったのが功を奏したと思います」という藤間駿選手(トヨタ・GRヤリス)が3位表彰台をつかんだ。
SLWクラス、箱Dクラス
併催クラスのSLWクラスは、両ヒートでコンスタントに1分8秒台のタイムを刻んだ斎藤達也選手(ケータハム・スーパー7)が優勝。箱Dクラスは、谷森雅彦選手(日産・サニー)や川脇一晃選手(日産・サニー)という元全日本ジムカーナチャンピオンたちを抑え込んだ大井貴之選手(トヨタ・カローラレビン)が優勝した。
フォト/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



