若手台頭の四国ジムカーナPNは第4戦でベテラン徳永秀典選手が逆襲の二連勝!
2026年6月26日
太平洋高気圧に刺激された梅雨前線によって、四国地方や九州地方が雨に見舞われた6月7日。高知県では大雨警報や洪水警報が発表される地域もあった中、愛媛県久万高原町に建つハイランドパークみかわ ジムカーナコースで2026年JAF四国ジムカーナ選手権の第4戦が開催された。路面は終日ハードウェットとなったものの、みかわ特有の霧に悩まされることはなく、全7クラスに分かれて挑んだスラローマーが第2ヒートまで駆け抜けた。
2026年JAF四国ジムカーナ選手権 第4戦
2026年JMRC全国オールスター選抜ジムカーナ第4戦
エトワール スーパースラローム2026 INみかわ
開催日:2026年6月7日
開催地:ハイランドパークみかわ ジムカーナコース(愛媛県久万高原町)
主催:ETOILE
今季のJAF全日本ジムカーナ選手権を締めくくる、第8戦の開催も控えるみかわ。全体的に勾配がついていること、そして粒の粗い路面も相まって、ウェットになったとしてもドライに近いグリップ感があるそうだ。ベテランスラローマーほど口を揃えてウェットでのタイムダウンの少なさを、みかわの特徴として真っ先に挙げるほどだ。
全日本BC3クラスに参戦する一色健太郎選手は、「ここはコースの上から下まで全部傾斜がついています。この傾斜を使った走りがとても重要ですね。特に速度がのったときに挙動が大きくなるので、車両のアクションにドライバーがどうリアクションできるかが重要。小さく回そうとしたら、傾斜につられて前に蹴り出せないとか、逆から入るとリアがいきなり無くなったり……。傾斜の方向、アプローチの仕方で動きが変わることを計算して走れるかどうかが勝つためのポイントです」と、勾配の攻略をポイントに挙げた。
そして「みかわは今降ってる雨が止んできたとしても、たいしてタイムアップしないのも特徴。理屈を超えて、雨が降ってもたいしてタイムが落ちないんですよね。中途半端に乾いてたり、濡れてきたときが一番タイムが出なくて、ダートの上を走っているみたいなんです」とやはり、路面の変化にタイムが連動しにくいことも特徴として語った。
更に、一色選手は自身が設定した第4戦のレイアウトについて「過去、みかわで開催された全日本のコースを集めてつくりました。半分以上は2017年のコースで、いつものみかわはストップ&ゴーが多いんですが、今日は旋回した方がいいのか? それともサイドブレーキを引いた方がいいのか? 悩んでもらえるような設定にしました。勝負どころは“いかに最短距離を選択できるかどうか”ですかね。この会場は速度のせようと大きく回っても、タイムが出ないんです」と、レイアウト攻略のカギも語った。
R1クラス
R1クラスは排気量1150cc以下で後輪駆動、あるいは1500cc以下で前輪駆動及び4WDのB車両で競う。R1~R4に挑むB車両は、JMRC四国ジムカーナ部会が定めたタイヤを履くことができない。このクラスは近畿地区以西の各地区で設定されている、軽自動車中心のクラスの一つ。ホンダ・ビートを駆るディフェンディングチャンピオンの乃一智久選手が不在の中、開幕第1戦と第3戦を制した三井康司選手がダイハツ・コペンを操り、王座争いをリードしている。
今回の一戦でも、三井選手を中心に競われた。三井選手はコペンの重心の低さを生かした高い旋回速度でパイロンをクリアしていき、1分27秒104で第1ヒートのトップタイムをマーク。約2.5秒差の2番手には堤耕平選手が、ウェットにも関わらずL275型ダイハツ・ミラをインリフトさせるホットな走りで続いた。
第2ヒートでは堤選手も含めて各スラローマーがタイムアップを果たすもののトップタイムには届かず、クラスラストゼッケンの三井選手の今季3勝目が決まった。しかし、三井選手は手を緩めることなく、トップタイムを3.131秒更新してパーフェクトウィンを達成した。
「1本目はちょっとミスが多くアクセルをしっかり踏めなかったんですが、2本目はしっかり修正することができました。全体的なスピードと、ターンセクションは良かったと思います。この調子で残りの試合もいきたいですね」と話す三井選手の初地区戦チャンピオンへの視界は、この一勝で大きく開けた。
R2クラス
1500ccを超える前輪駆動のB車両で競うR2クラスも、三連覇中だった土居清明選手がサーキットトライアルに軸足を移して王者不在。昨季シリーズ2位の西尾吏巧選手が開幕三連勝で王座争いをリードするが、今回は雨中の一戦。西尾選手を追う道下貴広選手とジュウガワ貴行選手にとっては、流れを変える好機としたいところだ。
しかし、第1ヒートではジュウガワ選手が1分23秒台、道下選手にいたっては1分34秒台とタイムが伸びず低迷。一方、西尾選手は1分18秒44と上位クラスを上回る、驚異的なタイムでフィニッシュ。これにはアナウンスを担当した元全日本スラローマー、八塚勝博氏も驚きを隠せない。
第2ヒートに入ってジュウガワ選手はベストタイムを更新するが、西尾選手には届かず。道下選手はミスコースを犯し、西尾選手の逃げ切りが決まった。しかし、ウィニングランで西尾選手はペースアップして1.526秒タイムアップ。ウェットにも関わらず四駆ターボ勢がひしめくR4クラスでも2位に相当する驚愕のタイムで開幕4連勝を飾った。
チャンピオン確定に王手をかけた西尾選手は「昨日、前日練習を走っていたので、昨日と同じセクションはイメージどおり走れました。ただ、1本目で左ターンを回せなかったので、2本目はリア(タイヤ)の空気圧を調整して改善できました。立ち上がり重視のラインが成功したんですかね。8月の大会には土居(清明)さんが戻ってくるかもしれないそうなので、しっかり準備して迎えたいと思っています」と、第2ヒートでの快走を分析した。
R3クラス
R3クラスは1150ccを超える後輪駆動のB車両で競っている。今季は土居明生選手が開幕戦と第3戦を制して王座争いをリードしているが、今回の一戦は欠場。昨季の王者、山﨑聡一選手も不在となり、“鬼の居ぬ間”に王座争いの主導権を引き寄せたいところ。ケータハム・スーパー7を駆ってシリーズ2番手につける下川和大選手と、ホンダNSXをドライブするシリーズ3番手、2024シーズン王者の高芝大輔選手、ホンダS2000を操るシリーズ4番手、武田弘己選手による三つ巴となった。
パワーを伝えにくい低グリップのみかわの路面とNSXの相性は悪い。そして、スーパー7は軽量すぎるあまりタイヤを路面に押し付ける力が足りず、十分なトラクションが得られない。一色選手も語った“最短距離”が攻略法のレイアウトは、コーナリングスピードを上げてタイムを稼ぐスーパー7との相性も悪い。
それらの条件やドライビングテクニックも重なり、S2000を駆る武田選手が躍進。ヘビーウェットで滑る路面の中、最短距離でセクションをつないで確実に前へ前へと車両を進めると、第1ヒートでは2番手の下川選手に1秒727差をつける1分21秒326をマークする。第2ヒートで武田選手は更に、0.414秒トップタイムを自ら更新する圧倒的な速さで優勝をさらった。
「今日は路面温度も16℃、後輪駆動で太いタイヤを履いているので面圧もかからず難しいと思っていたんですが、空気圧をバンバン上げていったのでなんとかなった感じです。1本目はターンセクションでいき過ぎたところがあったので、第2ヒートは連続してターンするセクションを、キチンと回し切って立ち上がることを意識したのが良かったのかもしれません」と、武田選手は勝因を分析した。
更に「路面が2カ所違うところがあるんですが、そこでリアが暴れる選手が多いと思うんです。ちゃんと走り慣れてないと難しいですよね。残りの大会も走るからには勝つつもりでいきます!」と、武田選手は喜ぶとともに、土居明生選手も戻ってくるであろう第4戦以降に向けて、兜の緒を締め直した。
R4クラス
1500ccを超える4WDのB車両か、4WDのPN車両で競うR4クラスでは中部地区の杉本季優選手が第2戦を制したが、残る2戦を竹下俊博選手が制して王座争いを牽引する。ディフェンディングチャンピオンの山下和実選手は中国地区に移り、竹下選手を筆頭に三好範学選手や佐藤忍選手、昨季シリーズ上位勢が王座を争っている。
第1ヒートでは、瀧本恭之選手がマークした1分19秒817を誰も超えられないまま、ラストの竹下選手がスタート。中間タイムですでに1秒45も差をつけ、更に1秒808まで差を広げてトップで折り返した。
第2ヒートでは雨が少し弱まり、瀧本選手をはじめベストを更新するスラローマーは現れるが、トップタイムは更新されずに竹下選手の勝利が決まった。しかし、竹下選手はウィニングランで1分16秒064の総合トップタイムをマーク。「ここまでは勝っても満足いく顔してなかった竹下選手も、今日の走りには満足しているんじゃないですかね。一人だけフロントのトラクションをかけるのが抜群に上手かったよね」と、八塚氏が絶賛する走りを披露した。
竹下選手もまずまずの走りと納得の様子で、「1本目はとりあえず絶対にミスをしないように走って、2本目は『ちょっといってやろう』っていったのが良かったですね。今日のコースの勝負どころは、やっぱり“パイロンでタイヤを前に転がすか”だったと思います。これで3勝目! もちろん残りも全部勝ちます!! 佐藤選手にもしっかり勝ち切らないといかんでしょうしね(笑)」と、自らも及第点をつけた走りに喜びを見せた。
PNクラス
PNクラスは2WDのPN車両で競う。PNとR4に参戦するPN車両は、当該年の全日本ジムカーナ/ダートトライアル統一規則の第2章、第2条2)に定められたタイヤと、JMRC四国が定めた一部のタイヤも装着できる。
各地の地区戦でも若いチカラが台頭してきているが、四国地区戦の最激戦クラスでも今季は世代交代の兆しが見えている。開幕二連勝を飾ったのは、中国地区から帰省してきた若きスラローマー、星川栞人選手。このクラスは徳永秀典選手と天満清選手、全日本でも頂点を極めたベテランがしのぎを削っているが、彼らを抑えて星川選手がシリーズ首位に立つ。第3戦は徳永選手が優勝、天満選手は2位で星川選手を3位に抑えて今回の一戦を迎えた。
第1ヒートでは、ダブルエントリーのためにトップバッターとなった天満選手が、ターゲットタイムとなる1分20秒674を記録する。このタイムが更新されないままラスト3に入り、若手の一人で天満選手とマツダ・ロードスターRFをシェアする岡村優亜選手が、0.162秒トップタイムを更新する。
そして、徳永選手は確実なトラクションでスタートを切ると、果敢にコーナーへ進入していく。このヘビーウェットではあまりにもリスキーと思われるその速度、フロントブレーキをロックさせてグリップも怪しい中、それでもしっかりスバルBRZを回頭させて最短距離を描く。フィニッシュラインを切ると、岡村選手に1.5秒以上も差をつけてトップタイムを更新。ラストの星川選手はパイロンペナルティを犯し、第2ヒートに勝負を賭ける。
天満選手は第2ヒートのスタートを切ると、絶妙な距離感でパイロンへの寄せも素晴らしく、トップタイム更新の期待が高まったが、徳永選手には1秒以上およばず2番手。自身のタイムを更新されないまま、スタートが近づいた徳永選手は「失うものは何もないです! このままのタイムでは抜かれてしまうかもしれませんからいきますよ!!」と意気込み、軽くホイールスピンさせながらスタートを切った。
いきなり最初のパイロンから、アクセルを踏み過ぎてリアがスライド。それでも徳永選手は臆することなく車両を前へと運ぶ。ブレーキングも鬼気迫る迫力を見せて中間ですでに約0.5秒、トップタイムを上回った。最後のテクニカルセクションもサイドターンとグリップ走行を絶妙に組み合わせ、車両の最小回転半径でパイロンとパイロンをつないでフィニッシュ! トップタイムを1秒061更新する、1分17秒775を叩き出した。
プレッシャーがかかる星川選手だが、破綻しながらもアクセルを開けた徳永選手とは真逆の、冷静に抑制を効かせた走りを披露する。徳永選手を超えるタイムを予感させるスムーズさだったが、1分19秒672で及ばず2位に終わった。
「去年からロードスターに乗り替えて、ダンロップのβ11を使ったんですが、今年からタイヤを信じて飛び込むようになったらタイムが出るようになりました」と、星川選手は今季好調のきっかけを語ると、「今日の1本目は路面の感触を確かめつつ、ギア比を悩みながら走ってしまったのもあり、思うようなタイムが刻めませんでした。2本目は修正ができたんですが、それでも徳永選手のタイムには及びませんでした」と、2位となった走りを反省した。
一方、二連勝でシリーズ首位に立った徳永選手は「昨日はグリップ良かったんで、同じようにいったら飛んでいきましたね(笑)。1本目は昨日の感覚でいって失敗したんですが、ジュウガワ選手に褒められたんで2本目もいったんですが、なんとかまとめられて良かったです」と振り返った。
続けて若手の台頭について、「去年から速かった星川選手にしても岡村優亜選手にしても若い子たちが出てきてくれて、僕も60歳になってこんな若い子たちと遊べて本当に幸せです」と、徳永選手は笑顔を見せた。
星川選手は「気合で勝ちます!」と、百戦錬磨のベテラン勢を超えた先のチャンピオン確定に向けて鼻息は荒く、世代交代も巡る王座争いに目が離せそうにない。
BSC1クラス、CLクラス
BSC1クラスは2WDで当該年のJAF国内競技車両規則の第3編スピード車両規定、第7章スピードB車両規定に適合したタイヤを履く、B・SC・AE車両が対象となる。
全日本でも活躍するスラローマーがしのぎを削る中で、ディフェンディングチャンピオンの田中康一選手がZC33S型スズキ・スイフトスポーツを駆って、開幕三連勝で王座争いをリード。昨季もホンダ・インテグラを武器に田中選手と王座を争った窪田竜三選手、そしてPNでのロードスターからホンダCR-Xに乗り換えて、昨季最終第7戦から転向してきた金森峰史選手たちが追う。田中選手は今回の一戦で4連勝を飾って二連覇にリーチをかけたいところだ。
しかし、そうは問屋が卸さないと、第1ヒートから金森選手が1分16秒542を記録する。パイロンコースを得意とする窪田選手だが1分18秒台と、金森選手には届かない。ラストの田中選手は苦手なテクニカルセクションで苦戦するも1分17秒台に留まるが、金森選手を逃がしてしまう。
金森選手は第2ヒートでミスコースを犯してしまうが、窪田選手はタイムダウン、田中選手はWパイロンペナルティに沈み、第1ヒートの順位から変わらず金森選手が転向後初優勝を遂げた。
「元々CR-Xに乗っていたんで、ロードスターからの乗り替えにはあまり抵抗はないんです。僕の走りよりも、今年はPNクラスで若手が台頭してきてくれているのが本当に嬉しいんです! こういう空気がきてくれると、四国ももっと盛りあがっていくんじゃないでしょうか」と、金森選手は四国ジムカーナ界で起きている世代交代に心躍らせている。
クローズドのCLクラスは、L700型ミラを駆る三井健司選手とホンダS660を操る山口寿選手、軽自動車乗りによる一騎討ちとなった。両スラローマー第2ヒートではタイムアップを果たせず、第1ヒートで3秒以上の差をつけた三井選手がトップとなった。
第4戦を主催した愛媛県のJAF加盟クラブ、チーム.エトワール(ETOILE)の松本英夫代表は今回の一戦を終えて「雨の中、無事に競技会を終えることができて、それだけで十分です。オフィシャルのみんなにも、エントラントのみなさんにも感謝です。年寄りばっかりですがダートラ場(三好グラベルパーク)もできたことですし、しっかりと続けていければいいなぁ、と思っています」とのこと。これからもみかわから、四国のパイロンジムカーナを発信していきたい、と語った。
PHOTO/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] REPORT/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



