岡山国際サートラCT2下坂和也選手が開幕戦で松橋豊悦選手の連勝を止める!
2026年6月3日
岡山国際サーキットは2026シーズン、2月に2回目のJAFカップオールジャパンサーキットトライアルの舞台を担い、大いに沸いた。地元・岡山国際勢がスポーツランドSUGOと筑波サーキットからの遠征組を押しのける速さが光り、地元勢の活気もみなぎった。2026年JAF岡山国際サーキットトライアル選手権はJAFカップの余韻そのまま開幕を迎え、そこで活躍したタイムアタッカーの多くが参戦した。
2026 OKAYAMAチャレンジカップ サーキットトライアルJAF地方選手権
岡山国際サーキットトライアル選手権Rd.1
(2026 OKAYAMAチャレンジカップレース第2戦 内)
開催日:2026年5月16日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:(株)岡山国際サーキット、AC
岡山国際サートラは予想外の気温の中での開幕となった。天気予報では5月中旬とは思えない最高気温が発表され、全国各地で30℃超えの真夏日予想。事実、オートポリスが建つ大分県日田市では最高気温32.3℃を記録した。
天気予報を受けて、パドックでは“1本目勝負”でもちきりに。更に、2026 OKAYAMAチャレンジカップレース第2戦の中での開催とあって複数のフォーミュラカーシリーズが併催され、彼らが履くスリックタイヤによってレコードライン上にはラバーがのっていく。そのため、ラジアルタイヤを履くサートラ勢にとっては走行1回目が有利、という予想が大半を占めた。
走行1回目が開始される8時20分時点の外気温は23.3℃、路面温度は32.7℃。岡山国際のマーシャルカーに続いて各ドライバーがサイティングラップを行いピットロードに並んだ。1回目が定刻どおりスタートを切られ、この日最速のドライバーを決するタイムアタック合戦が幕を開けた。
CT2クラス
岡山国際サートラと2026年JAF菅生サーキットトライアル選手権、2026年JAF筑波サーキットトライアル選手権は共通のクラス区分を採用している。ただし、筑波サートラで第2戦を前に発行されたブルテン#1は、岡山国際とSUGOでは適用されていない。
CT2クラスでは、第1戦全体のトップタイムが競われた。GRヤリスやスバルの4WDターボ勢、ホンダ・シビックタイプRなどのスポーツカーがしのぎを削る。その中でも、GRヤリスを駆る二人による一騎討ちとなった。
その一人は、松橋豊悦選手。2025シーズンはスズキ・スイフトスポーツを武器にJAFカップでCT4クラスの初代ウィナーを獲得。更に3シリーズのCT4で王者になり『四冠』を達成。今季のJAFカップも制して連勝記録を伸ばしている。“Mr.サーキットトライアル”に相応しい大活躍を続ける松橋選手が、ついに新車・GRヤリスを引っ提げてCT2に転向してきた。
松橋選手を迎え撃つのは、地元勢の下坂和也選手。昨季はホンダS2000を駆ってCT3クラス王者を奪取すると、JAFカップではGRヤリスに乗り換えてCT2を制覇。今回の一戦もそのGRヤリスで挑む“岡山国際最速男”だ。松橋選手のGRヤリスは実走行が少なく、加えて岡山国際は初走行という状況。今回の一戦を前に更なる改良を施したそうだが、どこまで合わせ込めるかが勝負のポイントになると思われた。
1回目では下坂選手が、コースインと同時に猛ダッシュで1コーナーに飛び込んでいく。少しでも気温が低いうちにタイムを残す作戦だ。一方、その後ろからコースインした松橋選手は作戦変更を余儀なくされた。アタックラップに合わせるために暖気も最小限に抑えていた松橋選手は、下坂選手の後ろでGRヤリスのラインを学習してからアタックに入る作戦だったのだ。
してやったりの下坂選手はウォームアップを終えてアタックに突入すると、いきなり1分41秒69を記録して新コースレコードを樹立する。松橋選手も負けじと喰い下がるものの、全てのセクターでコンマ数秒遅れてしまい、0.924秒差で2番手に留まる。その後方ではGRヤリス勢の田中周文選手が3番手タイムをマークするも、すぐにシビックタイプRをドライブする赤石憲俊選手が塗り替えた。
下坂選手は早々にピットへ帰還し車両をクーリング、松橋選手はクリアラップを探すが見つけることができず、更なるタイム更新はならず。「シェイクダウンにしては、42秒6は悪くないタイムだと思っています。最終コーナーの立ち上がりが難しいです。とりあえず下坂選手についていこうと思ったんですが、やられちゃいましたね。まだ油温が全然低かったのでついていけませんでした……。まだまだ伸びしろは大きそうなので2本目頑張ります」と、松橋選手は語った。
一方、下坂選手は「JAFカップの時とほとんど変わらない仕様で持ってきたんですが、まずまずでした。特にアライメントをやったのが良かったかもしれません。2本目はブレーキが厳しそうです。様子を見て2周くらいで(ピットに)入るかもしれませんね」とコメントを残した。
松橋選手にとって逆転の望みを賭けたい2回目だが、それを打ち砕くように路面温度は50℃近くまで上昇。今度は猛ダッシュすることなく、通常どおりコースインする下坂選手に松橋選手が後に続く。下坂選手のラインをアタックラップの最中に学習しながら実践する松橋選手だが、ストレート前でのコーナーの立ち上がり、踏み始めで下坂選手が上なのか、それとも車両熟成の差なのか、コーナー進入ではついていけるものの、ストレートで離されてしまう。結果、2回目では二人ともタイムアップならず、下坂選手が開幕戦を制した。
「松橋選手との距離をつくろうと思ったんですが、今回はダメでしたね(笑)。後ろからブレーキングで詰めてくるのがプレッシャーでした。2本目はブレーキも探り探りだったので、ベストとはいかなかったんですが……。とりあえずJAFカップのレコードタイムを抜けたのがよかったです。6月の第2戦はちょっと(参戦が)微妙なんですが、これからも頑張ります」と、下坂選手は2回目を振り返った。
CT3クラス
JAFカップでは日産・フェアレディZの不調で涙を飲んだCT3の中嶋努選手。Zが復活して迎えた開幕戦ではCT5クラスが不成立のため、JAFカップCT5ウィナーの土居清明選手もこのクラスで戦うことに。パワーで劣る前輪駆動のホンダCR-Xで、ZやレクサスIS Fなど大排気量後輪駆動勢といかに戦うかにも注目が集まった。
1回目の初手からタイムを出しにいったのは中嶋選手。計測1周目に1分46秒台を記録すると2週連続アタックを敢行、更にトップタイムを押し上げることに成功した。一方、2番手につけたのは、IS Fを操る船本正選手。ハイパワーながら重量のある車両で、各コーナーを限界まで攻めたてた。土居選手はJAFカップで記録した、CT5のレコードを0.614秒上回る1分49秒167をマークして船本選手に続く3番手につけた。中嶋選手は最終アタックとなった7周目に、1分45秒547でトップタイムを更新して折り返す。
2回目は前述のとおり、路面温度は50℃に迫る勢い。気象庁からも美作市の最高気温が30.2℃まで上がったことが発表され、この状況ではベストタイムを上回ることは厳しいと、多くのドライバーが諦めの表情を見せる中、中嶋選手は早々にピットへ戻った。そんな中、2回目のCT3トップタイムを刻んだのは土居選手で、1回目で出したベストに0.186秒まで迫った。
優勝した中嶋選手は、「2本目はコースインした瞬間に路面がヌタヌタで、すぐにピットへ戻ってきました。1本目は冬場に出るようなタイムが記録できたので満足しています。JAFカップで発生した燃料系のトラブルも解消してしっかり走れました」と開幕戦を振り返った。
更に岡山国際の攻略について、「慣れもあるんですが、それ以上にクルマでその慣れをいかに消していくかが重要だと思っています。自分が気に入らないコーナーや進入の姿勢とか、そこをクルマのセットで修正していく。そういったアプローチがこのサーキットを上手に攻略する方法だと思っています。今シーズンは念願のチャンピオン目指して頑張ります」と語った中嶋選手は、王座確定に向けて好調な滑り出しとなった。
CT4クラス
CT4ではGR86を駆ってJAFカップを制した、RG-Oことレーシングガレージ大住を営む大住拓選手は開幕戦を欠場。代わってチームメイトの北村学士選手がGR86を操り大活躍した。1回目の計測1周目からアタックに入った北村選手は1分47秒05、上位クラスに割り込むタイムをマークする。
スズキ・スイフトスポーツをドライブする橋爪清史選手は北村選手の独走を許すまいと、計測3周目に0.326秒差に迫る奮闘を見せる。二人のタイムにライバルは及ばず1回目は終了。2回目は他クラスと同様、気温上昇も影響して上位陣の順位は動かず終了となった。
優勝した北村選手は「RG-Oさんのセットアップから競技の流れに至るまでの指導もあって、今回も心強く参戦できました。今日は新品タイヤを投入して自己ベストは更新できたんですが、ブレーキングも余ってしまった感じで、タイヤを使い余してしまった感じです」と走りを振り返った。
続けて「第1ヒートは路面もキレイでタイムも出やすい条件が揃っていましたね。午後は気温も上がってしまって、ちょっとタイムアップには厳しい条件でした。今年はチャンピオンを狙います!」と、路面についても語り、今季への意気込みも見せた。
CT6クラス、CT7クラス
CT6クラスはマツダ・デミオ勢の山村純一選手と小川勝英選手と、日産・マーチニスモSを駆る應治明彦選手が競った。1回目では、計測1周目からデミオ勢がアタック。山村選手が2分0秒08を記録して先手を取る。計測5周目に小川選手も2分0秒666まで詰め寄るが、山村選手には届かない。
一気にギアを上げた山村選手は小川選手を突き放し、1分台に突入。デミオ対決はここで終止符が打たれることになった。山村選手はファイナルラップでダメ押しの1分58秒109をマークして1回目をトップで折り返し、そのまま開幕戦を制してみせた。
「第1ヒートはちょっと調子が悪くって、JAFカップ同様にイマイチでした。お昼からの第2ヒートは気温が高くなってしまって、一生懸命走ったんですが厳しかったですね。今振り返ると、第1ヒートの方が路面もキレイで走りやすかったと思います」と、山村選手は本調子ではなかったことを明かした。
続けて、「1コーナーから3コーナーも、クリップ(クリッピングポイント)にはしっかりつけれていたのが良かったのかもしれませんね。加えて減衰を柔らかくしたのも効いたのかもしれません。これからも、ちょっとずつ合わせ込んで走っていければいいな、と思っています」と勝因を分析した。
CT7クラスはトヨタ・ヤリスで挑んだ筧隆浩選手一人のエントリーで、残念ながら不成立。しかし、筧選手は2回目でレコードを大きく更新する見事な走りを披露した。
PHOTO/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] REPORT/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



