筑波サートラ第2戦、CT1平川裕司GT-Rが“分切り”レコードで優勝!
2026年5月28日
毎シーズン、5月5日の祝日、こどもの日に東京都のJAF公認クラブ、ブレインズモータースポーツクラブ(B-Sports)が筑波サーキットのコース2000で主催する、モータースポーツの祭典“筑フェス”こと『筑波サーキット・カーフェスティバル』。前身の“オールドナウ・カーフェスティバル”から始まるその歴史は、40年を迎えることになった。記念すべき40周年の今回は入場無料ということもあり、多くの観客がグランドスタンドを賑わせた。その中で、2026年JAF筑波サーキットトライアル選手権の第2戦も開催された。
2026年JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第2戦
(筑波サーキット・カーフェスティバル2026内)
開催日:2026年5月5日
開催地:筑波サーキット コース2000(茨城県下妻市)
主催:B-Sports
筑フェスは筑波サートラの他にも、2026年JAF筑波・富士FJ1500/スーパーFJ選手権や2026年JAFツーリングカー地方選手権ロードスター・パーティレースIIIジャパンツアーシリーズの一戦などのレースも開催される。一方でトヨタ2000GT、“ハコスカ”や“ケンメリ”など新旧の日産・スカイラインGT-Rなどの国産メーカーの名車、はたまた新旧のフェラーリやロータスなどのスーパーカーも筑波を疾走する姿を見られる。更にステージでは宇宙刑事のショーや“マツカラ”ことマツダファン・パーティカラオケ、筑波サーキットクイーンによるお子様大抽選会なども実施し、老若男女問わず大盛りあがりのイベントとなった。
ゴールデンウィークの真っただ中の筑波に、CT1~CT7クラスに40選手が集った筑波サートラ第2戦。毎戦二組に分かれて競われるのだが、CT4クラスに第2戦最多の10選手が参戦したことから、CT1クラスを筆頭とする1組に組み込まれることが定番だったCT4が2組に、CT5クラスが1組に組み込まれた。
この組み分けにより、どちらの組もトップタイムとボトムタイムの差は約10秒。1周約1分の筑波に約20台の車両が走行することを考えると、トップの車両は計測1周目で最後尾に追いつく可能性が出てくると予想される。そのため、コースインした周の位置どりが非常に重要になってくると思われた。上位クラスのドライバーもパスされる下位クラスのドライバーも互いの動きを予測しながらの戦いになると、走行前から相談し合う姿がパドックで垣間見られた。
CT1クラス
CT1は排気量と駆動方式の制限なしでB車両が対象となる。4月22日に発行されたブルテン#1により、GT-RはCT1に振り分けられた。
日産GT-R勢とポルシェ718ケイマン勢がしのぎを削るこのクラスには、新旧JAFカップオールジャパンサーキットトライアルウィナーが顔を揃えた。開幕第1戦ではコースが混みあったにもかかわらず、GT-R勢の平川裕司選手が1分を切る好アタックを見せ、コースレコードを更新して制した。第2戦にはGT-R勢で2024シーズンのCT1王者、初代JAFカップCT1ウィナーの溝口敦子選手が挑み、二人による一騎討ちになると見られた。
だが、溝口選手のGT-Rにトラブルが発生して急遽、スペアカーのGT-Rで参戦を余儀なくされた。本番用より300馬力近く劣るとのことで逆境の中、“分切り”への挑戦に。路面温度の上昇による1本目勝負が予想され、緊張感が高まる中で始まった。
平川選手はピットレーンで先頭に並び、非常にゆっくりとコースイン、計測1周目に入るために最終コーナーを立ち上がっていく。しかし、すぐに最後尾のドライバーが視界に入ってしまうが、平川選手は臆せずアクセルを踏み込んだ。“もし追いついてしまったら、追いついてしまってから考えればいい!”とばかりの速度差で、前走車との距離を詰めていく。すると、いきなりレコードを0.715秒更新する59秒114を記録し、一気に後続を突き放した。
一方、溝口選手はコース上にバックマーカーが点在する状況でも、一瞬できたスペースを見逃さず、計測2周目にアタック。パワーが劣るGT-Rにも関わらず平川選手と0.803秒差ながら分切りに成功した。「急遽用意した代替マシンにもかかわらず、1分を切れたことはとても嬉しいです。自分の中での走り方を変えた部分もあり、しっかり結果を出せたと思います。第2ヒートはマツカラに参戦するので残念ながらパスします」と笑顔で振り返った。
2本目では予想どおり気温も上がり、タイムアップは厳しいと思われるコンディションとなった。しかし、そんな条件にもかかわらずタイムを上げてきたのは、GT-R勢の片桐和洋選手。2本目を走らなかった溝口選手のタイムをわずか0.008秒上回り、2番手を奪った。
2本目で更なるレコード更新はならずも、逃げ切って開幕二連勝の平川選手は「開幕戦では最終コーナーで前の車両に引っかかってしまったので、今回は随分ゆっくりとコースインしました。その結果もあってコースレコードが出せたと思っています」とコースインのスロー走行が作戦どおりだったことを明かした。
更に「マシンは全く一緒なんですが、今年から自分の走り方を変えたのが功を奏しました。後輪駆動車の練習をしていて、GT-Rらしいブレーキをしっかり踏んで、向きを変えてアクセルをガツンと踏んでいくスタイルではなく、ボトムスピードを重視するようにしたんです。それが結構うまくいきました。特に80R(コーナー)のあたりはそれを意識しましたね。58秒台も十分狙えると思っています」と、新たなドライビングスタイルに手応えも掴んだようだ。
CT2クラス
排気量と駆動方式の制限がなく、GT-R以外の国産B車両が対象のCT2クラスは、スバルと三菱のAWDが切磋琢磨する。GDA型スバル・インプレッサWRX STIがJAFカップ直前の専有走行でエンジンブローを起こして出られず、今季はGVB型スバルWRX STIでの参戦となっている、澁澤栄一選手が開幕戦を制した。澁澤選手に迫るのは、同じく新旧WRX STIに乗る馬場元選手や鈴木達朗選手たちだ。
1本目では、前を走るケイマン勢とともに流れにのった澁澤選手がクリアラップを獲ることに成功し、トップタイムをマークする。前日に雨が降ったこともあり、路面がキレイになってグリップは上々の中、計測4周目でしっかりとクリアを見つけた。
「久々だったので、まあまあの1本目でした。とても感覚がよかったので、一呼吸置いたら自己ベストを刻むことができました。ポルシェ軍団の人たちとも0.3秒差くらいにつけていたので、まずまずだったと思います」と、澁澤選手は1本目を振り返る。
2本目に入ってもこの体勢は変わらなかったが、1本目でクリアを見つけることができなかった馬場選手と鈴木選手がそれぞれベストタイムを更新し、澁澤選手に次ぐ好タイムをマークした。
優勝した澁澤選手は「今日の第1ヒートは太陽が出ているものの風が冷たく、タイムが出やすい状況だったのかもしれません。パワーもしっかり出ていましたし。2本目はタイヤの空気圧をちょっと調整していった感じです」と振り返った。
続けて「JAFカップでブローしてしまったマシンはまだ手をつけていないので、次戦もこのマシンでエントリーを予定しています。エンジン屋さんと相談して仕様を決めていかなきゃいけないですね」と、GDA型インプレッサの復活はまだ先のようだ。
CT3クラス
自然吸気エンジンを搭載する2WDの国産B車両で競われるCT3クラスでは、開幕戦を制した伊澤竜選手が不参戦となってしまった。王者不在の中、優勝候補は伊澤選手の友でありライバルでもある関根徹雄選手と、JAFカップ連覇中の秋本拓自選手だ。
勝負の1本目でまず仕掛けたのは、関根選手。計測2周目にCT2勢に割って入る1分2秒181を記録。続くラップで秋本選手も1分2秒台をマークするが関根選手には届かない。すると計測3周目に関根選手がレコードを更新する1分1秒937で秋本選手を突き放しにかかる。
このタイムには秋本選手もお手上げ状態。「関根選手はこのオフシーズン、本当によく走り込んでいましたよね。すごく乗りこなしてきたな、って感じです。第2ヒートは気温も上がってしまうので、このタイムを抜くのは無理でしょうね」と諦め顔を見せた。
1本目中盤を過ぎると、オフィシャルから「関根選手のボンネットから白煙」との報告があり、オレンジボールを提示された関根選手はピットイン。ラジエターからの水漏れが確認され、エンジンへのダメージを考慮した関根選手は1本目で終えることを決めた。
逆転の可能性を残した秋本選手だったが、本人も予想したとおり気温と路面温度が高くなってしまった2本目でコースレコードを更新することはできず、順位は2位のまま。関根選手が逃げ切りに成功し、参戦2季目にしてレコード更新とともにシリーズ初優勝を手にした。
「コースレコードが出るとは思っていませんでした。本当は伊澤選手がいるときに勝ちたかったですが、レコードを記録できたので満足しています。走り込んだ結果かもしれませんね。いつもなら1コーナーとかも踏み過ぎて外にいっちゃうのをしっかり我慢できたりとか……。ただ、そのせいもあってかガスケットが破損したようで、クーラントが漏れてきてしまいました。とにかくレコードを更新できたことは本当に嬉しいです」と、喜んだ。
CT4クラス
排気量2400cc以下で2WDの国産B車両で競うCT4は前述のとおり、2組に振り分けられた。“サートラ不敗神話”を今なお継続する、松橋豊悦選手は今回の一戦ももちろん参戦。現在、GRヤリスを製作中とのことでシリーズのどこかでCT2に転向する可能性もあるが、第2戦はこれまでどおりZC33S型スズキ・スイフトスポーツでの参戦となった。
組み分けを特に警戒していた松橋選手は走行前に予告していたとおり、1本目はダンロップコーナー手前までスロー走行でウェービング。タイヤを温めながら、後続のライバルをしっかり従えてタイムアタックに入る作戦をとった。
しかし、計測1周目でアタックに成功したのは松橋選手の直後を走っていた市川忠康選手。早々に1分4秒台を叩き出し、トップタイムを記録する。しかし、翌周で松橋選手が一気に1分3秒146までターゲットタイムを押し上げる。自身が持つコースレコードまで0.2秒差の好タイムだ。このまま誰も1分3秒台を記録することはできなかったが、中盤に酒井利恭選手が1分4秒台の好タイムを記録し2番手に飛び込んだ。
そして、2本目でも松橋選手が躍動した。同じくゆったりとコースインし、計測2周目にアタック。レコードに更に迫る1分3秒041で自らトップタイムを更新し、後続をさらに突き放す。負けじと酒井選手も1分3秒台に突入したが、松橋選手には届かず。各選手がクリアを探しながらアタックを続けるも、周回を重ねても見つけることができないまま2本目が終了。松橋選手は無敗記録を更に更新する、今季の筑波2勝目をマークした。
松橋選手は「思ったよりもCT6クラスの選手のラップタイムが良く、アタックをしっかりできました。ウェイティング中に『クーラントの臭いがする』とオフィシャルの方が話しているのが耳に入ってしまい余計な心配をしてしまったことと、そんな話を聞いた後に路面に水っぽいのが見えたのもあって、ちょっと躊躇してしまいましたね」と、まずは反省。
続けて「この季節に3秒台を出せたのはとてもよかったです。80R手前までは自己ベストに対してマイナスだったんですが、ベスト更新はできませんでした。2本目はコンディションが良くなかったにも関わらずタイムが伸びました。だったら1本目でもっとタイムを刻めただろうな、と反省しています。タイヤを変更して(ZC33S型スイフトが)全く別物になってしまったので、勘のとり直しが必要ですね」と、松橋選手は自身の走りを分析した。
CT5クラス
1600cc以下で2WDの国産B車両が対象のCT5では、開幕戦を制したディフェンディングチャンピオン、山田修宇選手が併催したパーティレースIII東日本シリーズ第1戦のNDクラブマンクラスに参戦して不在。久しぶりに転勤先の北海道から筑波に帰ってきた大輪清選手が、“鬼の居ぬ間”に躍動した。
開幕戦までの2組であれば最速で走るCT5のドライバーだが、1組に入った第2戦はCT1はじめ、トップスピードで勝るドライバーを先に行かせながらのアタック。いつもとは勝手が違う走りを要求された。
1本目の序盤は上位クラスの様子を伺いながらのアタックかと思われたが、間隙をぬってアタックに入ったのは日産・ノートニスモSを駆る福島達也選手だった。計測2周目でアタックに成功し、1分8秒862のターゲットタイムをマークする。このタイムを追いかけ、各ドライバーもここからアタック合戦を開始した。
山田康祐選手が三菱・ミラージュアスティを操ってトップタイムに肉薄するが、0.009秒差で福島選手がトップを死守。しかし、計測4周目にトヨタ・カローラレビンをドライブする柴田尚選手が、ターゲットタイム更新に成功する。
このまま1本目は柴田選手、福島選手、山田康祐選手の順で終了するかに思われた矢先、残り5分を切ったところで大輪選手がZC32S型スイフトを駆って一気にジャンプアップ、1分8秒782を叩き出して0.066秒差でターゲットタイムを塗り替えた。2本目に入っても各ドライバータイムアップは叶わず、1本目の結果で勝負は決まった。
優勝した大輪選手は「今年初めてのスポーツ走行だったので、ブレーキングとか全然思い出せなくて、走っているうちに感覚が戻ってきた感じでした。やっぱり第1ヒートはコースがキレイで走りやすかったですね。インフィールドがもう少し速く走れたらいいなぁ、と思います」と、1本目での走りを振り返った。
なお、山田修宇選手はパーティレースIII東日本 第1戦のND-Cで2位を獲得。筑波サートラ出身ドライバーが、レースでも好成績を収めた。
CT6クラス、CT7クラス
1500cc以下の国産B車両で競うCT6では、ディフェンディングチャンピオン安本悠人選手が開幕戦を制しながらも今回の一戦を欠場。スズキ・カプチーノを駆る大ベテランの吉崎久善選手と、PN車両のマツダ・ロードスターでCT6に挑む2022・23シーズンのCT7王者、日向孝之選手の一騎討ちになると予想された。
1本目で最初に好タイムを記録したのは吉崎選手で、計測2周目に早速1分8秒台をマーク。一方、日向選手はクリアを見つけるのに苦労したのか、タイムが伸び悩む。そんな中、二人の間に割って入ったのは、ロードスターをドライブする戸田和宏選手。日向選手を僅差で抑えて2番手に飛び込んでくる。CT4のドライバーがアタックを諦め、続々とピットへ戻ってくるとコースには徐々にスペースが生まれ始める。すると、吉崎選手はファイナルラップでトップタイムを自ら更新する、1分8秒422を記録して後続をさらに突き放す。
納得がいくアタックができなかった日向選手は、2本目での巻き返しを誓う。一方、トップで折り返した吉崎選手は気温上昇とともにターボによる過給がかかりにくくなり、パワーダウン必至とあってタイムメイクに積極的ではない様子を見せる。
日向選手は早速、計測2周目で渾身のアタックに突入。鬼気迫るその圧に、吉崎選手は道を譲った。日向選手はベストを0.4秒以上更新したが、吉崎選手には0.916秒届かず2位止まり。2番手で折り返した戸田選手は2本目も果敢に攻めるが、ベスト更新はできず3位に終わった。
優勝した吉崎選手は「午前と午後は随分路面が変わっちゃった感じですね。まぁ、狙いどおりではあるんですが(笑)。今回は安本選手が参加しなかったこともあり、優勝できたと思っています。いつも自分のベストと向き合って走るようにしているので、今日の走りは満足です」と、2023シーズンの筑フェス以来となる筑波での勝利に笑顔を見せた。
1500ccで2WD、2012年1月1日以降にFIA/JAF公認発行またはJAF登録されたカタログモデルのPN車両が対象のCT7は不成立となってしまったが、ロードスターを駆る高力良朋選手とZC83S型スイフトを操る梅田敏選手の一騎討ち。お互い1本目終盤でベストを記録したが、CT6勢にも喰い込むタイムを出した高力選手に軍配があがった。
主催したB-Sportsの三城伸之氏は「今回は第2戦を担当させていただきました。ゴールデンウィークの最中に、40台のエントラントの皆さんにご参加いただいたことに感謝しています。今大会は筑波サーキット・カーフェスティバルとして40周年の記念大会ということもあり、ご来場していただいたお客様にサーキットトライアルという競技を知ってもらえれば嬉しいなと思っていました」と、今回の一戦を総括した。
続けて「この競技もSUGOさん、岡山さんと全国的に展開していって徐々に認知度も上がっていると思います。JAFカップも開催でき、もっと盛りあがってくれば全日本選手権に発展していくこともできるかもしれません。ですが、まずは各地でのローカル戦をしっかりやっていき、オートポリスさんや(モビリティリゾート)もてぎさん、富士(スピードウェイ)さん、鈴鹿(サーキット)さんといったサーキットでも開催されるといいですね。確実に一歩一歩、ちゃんと歩みを進めていけているのではないかと思っています」と、サートラの展望も語った。
PHOTO/桑原太郎[Taro KUWAHARA]、鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] REPORT/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



