JAFカップサートラ元年の岡山国際で大記録爆誕!CT4松橋豊悦選手が4冠で完全制覇!!
2025年12月10日
JAFカップオールジャパンサーキットトライアルが筑波サーキットで初開催され、更なる盛りあがりの兆しも見えた2025シーズンの“サートラ”ことサーキットトライアル。三つのJAF地方選手権の一つ、岡山国際サーキットが舞台の2025年JAF岡山国際サーキットトライアル選手権は最終第4戦を迎え、31選手がエントリーした。今季初めてシリーズ成立となったCT6クラスには6選手が参戦し、最多のCT4クラスには10名のタイムアタッカーが岡山国際に集結、今季最後のアタック合戦が繰り広げられた。
2025 OKAYAMAチャレンジカップサーキットトライアルJAF地方選手権
岡山国際サーキットトライアル選手権Rd.4
(2025 OKAYAMAチャレンジカップレース第5戦 内)
開催日:2025年11月29日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:(株)岡山国際サーキット、AC
今回の一戦も第3戦までと同じく、2025 OKAYAMAチャレンジカップレース第5戦の中での開催となり、早朝から走行1回目のアタックとなった。朝霧に包まれたピットで公式車検が始まったが、路面は濡れて少々厳しいコンディション。しかし、氷点下に迫った気温は絶好のコンディション。1回目で勝負を賭けるか、それとも併催するレース車両が走行して、路面が良くなった走行2回目で勝負するか……。非常に悩ましい選択をドライバーたちは強いられた。
また、最終戦の注目ポイントはチャンピオン確定済のCT4以外、3クラスでの王座争いもあるが、CT4王者に確定した松橋豊悦選手による大記録への挑戦も、今回の一戦で決する。今季はJAFカップ初代ウィナーの一人となり、更に2025年JAF菅生サーキットトライアル選手権、2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権、そして岡山国際サートラと、全シリーズのCT4チャンピオンを確定済。4冠と全シリーズ全戦全勝、更に3サーキットのコースレコード更新の達成に注目が集まった。
「ここまで、岡山と(スポーツランド)SUGOでは天候やタイミングに恵まれず、納得いくアタックができていないんですよね。しばらくは誰にも破られないようなコースレコードを立てて、来年につなげたいです」と、松橋選手は更に一つ上の課題を自分に課す。大記録をともに築いてきたスズキ・スイフトスポーツを武器に、1分44秒台に突入できるのかもポイントとなった。
CT2クラス
CT2クラスはGRヤリスをドライブする福冨航平選手が2勝を挙げ、FK8型ホンダ・シビックタイプRを駆ってランキング2番手につける赤石憲俊選手を一歩リードして最終戦を迎えた。1回目の序盤からリーダータワーでクラストップをキープしたのは福冨選手。新旧シビック勢、赤石選手もFL5型を操る石田泰久選手もコンマ数秒差で福冨選手を追う。更に路面が徐々に乾いてきてグリップが出てきた後半、一気に仕掛けた福冨選手が最終アタックで1分45秒254をマークしてレコードを樹立。赤石選手も1分46秒台の壁に肉薄する走りを見せるが福冨選手に届かない。
そして勝負を決める2回目だったが、1回目から比べると10℃近く気温が上昇。ターボ車両にとって、この気温差はいかんともしがたいもの。しかし、それでも福冨選手は1分45秒862をマークして、2番手以下を大きく突き放すアタックを見せる。2回の走行を完全制覇しての勝利、そして初のチャンピオンを確定させた。
「タイヤが温まるのに時間がかかってしまって、インラップのリボルバーコーナーでもう少しでクラッシュパッドに突っ込みそうになりました。とにかくリアの温まりが悪かったですね。アタックラップでも最終コーナーで少しミスをしてしまったりしたんですが、それでも最後の周にクリアがとれて、それなりのタイムが出て良かったです」と、福冨選手は振り返った。
一方、2位でランキングも2位に確定した赤石選手は、「ウデがあったらついていけるんですけど……(笑)。ヤリスはやっぱりコーナーが速いですね。第1セクターでもう大きく離されてしまいます。このシビックは水温が上がるのが早く、制御が入ってしまって2周連続走行ができないんです。クーリングラップも挟まないといけないんで、岡山だと(一回の走行で)2回しかアタックできない難しいところがあるんです。来年も参戦したいと思います」と、悔しそうに語った。
「参戦して10年は経ちませんが、初めてのチャンピオンで正直嬉しいです。GRヤリスになってAWDになり、安定感があってよく曲がるので走りやすくなりました(以前の愛車はZC6型スバルBRZ)。岡山国際サーキットの前半セクションはシビックの方に分があると思うんですが、後半テクニカルセクションでGRヤリスの曲がる特性が活かされた感じだと思っています。来年も、もちろん参戦するつもりです。今回みたいに多くの方に参加していただければ嬉しいですね。そのために仕事も頑張って稼ぎます!」
CT3クラス
CT3クラスは日産・フェアレディZを駆る中嶋努選手と、ホンダS2000を操る下坂和也選手が3ポイント差で王座を争う。前戦で車両入替のトラブルも影響して下坂選手が2位に留まり、逆転でのチャンピオン確定を期して最終決戦に臨んだ。
全クラスが一斉にコースインする岡山国際サートラ。このクラスもCT2と同様、1回目は朝露が路面を湿らせる中でスタートを切った。それでも下坂選手はCT3をリードする走りでタイムを削り始める。OKAチャレのN1ロードスターにも参戦する下坂選手にとって、岡山国際はホームコース。様々な路面状況を走ってきた経験から、確実にタイムを詰めてくる。1コーナーへの進入も、明らかに他車より奥まで車速をキャリーして進入。高いボトムスピードのままウイリアムズコーナー、モスエスへとアプローチしていく。
特筆だったのは、ダブルヘアピンと最終コーナーの処理。クリッピングポイントへのアプローチも立ち上がりを重視。今までのレコードを3秒近く更新する、1分44秒959を記録する。CT2と同じく、2回目はタイムアップならなかったものの、1分45秒台をマーク。2回目でタイムアップを果たして2位につけた中嶋選手に3秒以上の差をつける快走で優勝、逆転チャンピオンを確定させた。
「2本目も走っていて良かったと思ったんですが、思ったよりタイムが伸びなかったです。第1ヒートの方がストレートで伸びたってことですね。確かに朝は路面が冷えていて少し濡れてはいたんですが、ロードスターのN1に出ていてココを走り込んでいることもあって、他の選手よりはアタックできたんだと思います」と、下坂選手は勝因を分析した。
続けて「コースレコードは記録したものの、S2000仲間は非公式ながらもっといいタイムを出しています。CT1のポルシェ(寺本道雄選手)に負けたのが悔しいですね」と、勝っても自らの走りには満足していない様子の下坂選手。それでもチャンピオン確定には喜びを露わにした。
一方、中嶋選手は「今日は言い訳ができないくらい惨敗です。セットアップを変えたのが裏目になってしまいましたね。でも、下坂選手の走りは非常に刺激になりました」と、負けはしたものの前向きなコメントで最終戦を締めくくった。
「第3戦でロールバーの規定に引っかかってしまって、四国まで車両をとりに帰るというトラブルもありましたが、無事にチャンピオンを獲れて良かったです。来年はJAFカップにも是非チャレンジしたいと思います」
CT4クラス
前述のとおり、今回の一戦でCT4は最注目クラスとなった。優勝候補筆頭はもちろん、開幕三連勝中の松橋選手。だが、松橋選手は前日に開催された2025年JAFモータースポーツ表彰式にJAFカップウィナーとして出席したため、東京からの日帰り長距離移動で体調面に不安を抱える状況となった。
ランキング2番手争いは、GR86を駆る吉岡正人選手とスイフトを操る橋爪清史選手が白熱のバトルを繰り広げている。ここにSUGOや筑波サーキットを主戦場とするドライバーたちが遠征してきたことから、この2番手争いにも波乱が起こりそうな展開だ。
松橋選手は1回目早々からインラップ、そしてウォームラップを挟んでアタックに突入した。しかし、満足のいくタイムには届かない。全長3703mの岡山国際に30台の車両が同時にコースインしている過密な状況が、クリアラップの確保を困難にする。総合でも上位のタイムで走る松橋選手は、すぐに下位クラスのドライバーに追いついてしまう。
それでもリーダータワーの上位に常に自らのゼッケン“17”を誇示する松橋選手。路面状況が良くなったラスト5分を切って仕切り直して再度アタックモードに突入、1分45秒816でレコードを更新したが、目標とする1分44秒台には遠く及ばない。「細かいミスはあったんですが、コーナーへの回頭性が今一つでした」と、松橋選手はこの走りを分析した。
2回目に入っても大勢は変わらず、常に松橋選手がトップをキープ。2023シーズンに2勝を挙げた和泉邦昭選手がGR86を武器に、以前のレコードを越える好走で2番手に飛び込んだ。ランキング2番手を争う二人の対決は、橋爪選手が吉岡選手との争いを0.765秒差で制して3位に入り、終止符をうった。
目標としていたパーフェクトな4冠を見事、達成した松橋選手は「昨日、JAF表彰式を終えてから新幹線に乗ってバタバタとしてしまいましたが、無事勝てて良かったです。第1ヒートは路面がベストじゃない、スティント最後になるほど路面ができあがっていく、でもクリアラップがとれない、というジレンマがありましたね。(2026シーズンの)JAFカップで良いリアタイヤをつくるために、新品のタイヤを投入したんですが、それがちょっとアタマの入りをモタつかせた感じです」と、決勝タイムをマークした1回目の走りを振り返った。
更に「第2ヒートでコンマ2秒しか落ちていないことを考えると、第1ヒートでもっとタイム出せたはずです。(1分)44秒台は来年に狙いたいと思います。また、コースレコードを更に更新できそうなタイミングで来年も参戦したいと思います」と、続けた松橋選手。来季のスケジュールは未定だそうだが、JAFカップ二連覇への意欲も見せた。
「JAFカップをはじめ、JAF公認の全てのシリーズでチャンピオン獲得、全戦優勝、全てのコースでコースレコード更新という目標を達成できたのは本当に良かったです。とりあえずこれで一区切りできました。来年のJAFカップも獲ってV2を手にしたいと思います!」
CT5クラス
前日のスポーツ走行でエンジントラブルに見舞われてしまった、土居清明選手が参戦できずに幕を開けたCT5クラスの最終戦。第2戦、第3戦と二連勝で、王座争いをリードしている土居選手の不参戦で俄然有利になったのは、開幕第1戦ウィナーで御年70歳のアタッカー山下猛選手だ。
ランキングでは10ポイント差でトップに立っていた山下選手が、土居清明選手の不参戦によってチャンピオンが確定して、1回目をスタートすることになった。山下選手としては、最後に勝ってチャンピオン確定を祝いたい。だが関東地区から湯崎伸選手が、山下選手と同じ日産・ノートを駆る“ノート軍団”を率いて遠征してきた。2022・2023シーズンに岡山国際サートラを連覇している山下選手とノート軍団の対決に、注目が集まった。
1回目では多くのノート使い共通の悩みとなっている、リアタイヤのウォームアップ問題が発生。低すぎる路面温度が仇となってしまい、1コーナーからブレーキングでふらつき、Wヘアピンでカウンターを当てるドライバーも続出。ロングホイールベースが特徴だが、いきなりドライバーを裏切るようにグリップを失うリアタイヤからの僅かな情報を察知しながら、ノート使いたちは慎重に走り出した。
15分間の1回目も後半になると徐々にタイヤが温まってきたか、続々とアタックモードへと入っていく。その中でも今回、ワンサイズ細いタイヤを持ち込んだ山下選手は面圧を高く保ててタイヤの温まりが早かったのか、CT5で一人1分57秒台を記録する。2番手の湯崎選手は伸び悩み、1分58秒台に留まった。
路面温度の低さから、CT5は2回目勝負になるかと思われた。しかし山下選手はタイヤ選択からか、好条件になったにも関わらずタイムを伸ばすことができない。湯崎選手がどこまで山下選手のタイムに迫れるか注目が集まったが、ベストは1分57秒719と、0.651秒山下選手には届かず。山下選手は今季2勝目を挙げるとともに、3度目のチャンピオンを確定させた。
「タイヤ選択を間違って、細いタイヤを持ってきてしまって(笑)。1本目は結局、路面が冷えすぎていてタイヤが温まるのに時間がかかってしまいました。FFなのに、なんでこんなに角度ついて曲がってるんだろう?ってくらいリアが出てしまいましたね。特に2(ウイリアムズ)コーナーで顕著でした。2本目の方がコンディションは良かったと思うんですが、クリアがとれませんでしたね。でも、冥途の土産で勝てて良かったです(笑)」と、山下選手は1回目で出した決勝タイムは誤ったタイヤ選択の賜物だったことを明かした。
そして、ノート軍団を引き連れて2位に入った湯崎選手は「リアタイヤが全くこないまま15分間が終わってしまいました。ウェービングするのも怖いくらいで……。2本目の方が、他のクラスが走ってくれたおかげで路面も随分良くなってくれたんでタイムは上がったんですが、難しいですね。今日は優勝した山下選手がセッティングを外しているにも関わらず、届かなかったんで反省ですね」と振り返った。
「とにかく今年の岡山は天気悪い日が多かったですね。でも、最終戦で気持ちよく走れたのはとても良かったです。コースレコードは土居(清明)さんにとても敵わないので、来年も自己ベストを目指して頑張りたいです。今年もJAFカップに出させてもらえて、来年も是非参戦したいですね」
CT6クラス、CT1クラス、CT7クラス
岡山国際サートラは2024シーズンから、高知県のJAF準加盟クラブ、スペック ディ レーシング(SPEC-D)勢の活躍がシリーズを更に盛りあげている。今回の一戦のCT6クラスでは、SPEC-D勢を率いる土居清明選手を師と仰ぐ石川仁士選手が圧倒的な速さを見せた。
石川選手は1回目からレコードを1秒以上更新する、1分52秒583をマークしてトップに立つ。N1ロードスターへの参戦経験も持ち、岡山国際に対する習熟度の差が如実に出た様子だ。2回目では更なるレコード更新はならなかったものの、2位以下に圧倒的なタイム差をつけて今季3勝目をマーク、チャンピオンを確定させた。
「完全に1本目勝負でしたね。2本目は(タイヤの)空気圧を高めの2.5キロまで上げて行ったんです。ただ、それがダメでしたね。やっぱり空気圧は低めの方が、サーキットトライアルでは正解だと思います。両極端のことをやってみたかったんで(笑)」と、初チャンピオンが確定した最終戦を振り返った。
続けて「やっとロードスターが分かってきた感じです。タイヤサイズなど違いはありますが、プロが乗って(1分)49秒台が出ているので、僕もそこを目指して頑張りたいと思います」と、石川選手は更なるレコード更新に向けて、目を向けていた。
CT1クラスはポルシェ・ケイマンGT4でエントリーした寺本選手、CT7クラスはトヨタ・ヤリスを駆るSPEC-D勢の筧隆浩選手による孤軍奮闘となったが、両選手ともレコードを更新。寺本選手は総合トップとなる1分43秒678をマークした。
「パーティレース仕様のロードスターが参戦してくれることはあるんですが、タイヤサイズも規定も大きく違うので、来年は是非B車両規定のロードスターにも参戦してもらって一緒に走りたいですね。土居清明師匠にもエンジンを直してもらって、来年も一緒に参戦したいと思います。もちろんJAFカップにも参戦したいと思います」
岡山国際サートラは最終戦にして、今季最多の参戦ドライバーを集めた。岡山県のJAF公認クラブで岡山国際サートラを主催するアイダクラブ(AC)の土井誠代表は、「1年間おつかれさまでした。今年一番の天気で走れて良かったと思っています。サーキットトライアルは全日本選手権としては開催されていませんが、エントラントの皆さんが盛りあげていってもらえれば、このカテゴリーも全日本選手権が開催されるかもしれません。みんなで育てていければいいですね」と、最終戦をまとめるとともに、これからのサートラの展望についても語った。
2026シーズンもスタート早々に2回目のJAFカップが控える見込み。今季を戦い抜いて更に実力をつけた各シリーズのトップランカーたちを初代ウィナーたちが迎え撃ち、どのようなアタック合戦が繰り広げられるのか今から楽しみだ。
フォト/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



