雨の筑波サートラ最終戦でCT1平川裕司GT-Rはじめ初チャンピオンが続々と確定!!

レポート サーキットトライアル

2025年11月6日

秋も深まってきた10月最後の週末に、筑波サーキットのコース2000を舞台に全4戦で王座が争われてきた2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権が、最終第4戦を迎えた。シリーズが成立している6クラス全てでチャンピオンが確定する最終決戦の筑波は、あいにくの雨。有終の美でシリーズを締めくくりたいドライバーたちは、ぐずつく空の様子を睨みながらのタイムアタックを余儀なくされた。

2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第4戦
(2025筑波チャレンジクラブマンレース第4戦 内)

開催日:2025年10月25日
開催地:筑波サーキット コース2000(茨城県下妻市)
主催:VICIC

 東京都心から約1時間半という近さにその名のとおり約2000mの全長と、“ちょうど良い”立地とコンパクトの筑波が舞台とあって、このシリーズはサートラことサーキットトライアル屈指の人気を誇る。今回の一戦も最終戦にも関わらず43選手が挑み、CT1~CT4クラスがA組に、CT5~CT7クラスがB組に分かれてアタックした。

 筑波サートラで最も重要なのはコース2000の理解もさることながら、一緒に走るドライバーたちとの“間”や“空気感”を読み合う力だと、多くのドライバーが口を揃える。一組に20台ほどが同時にコースインするため、単純計算で車間は約100m。クリアラップでアタックするのは至難の業だ。排気量も駆動方式も異なる車両が混走するため、難易度は更に高くなる。

 そのため、アタック中の車両はヘッドライトを点灯するなどのマナーが存在する。更に、上位クラスの車両は各走行の前半にアタックを終えることが多く、下位クラスの車両は走行開始直後は早々にレコードラインを譲るなど、お互いの気遣いが見られる。

 そして今夏にコース2000は第1ヘアピン進入から、ダンロップアーチを越えた80Rコーナーまでの路面を改修。二輪ではウェットコンディションでの排水性が大幅に向上したと好評だが、独特の“地元ライン”がある第1ヘアピン内側の段差とギャップは、四輪の“筑波スペシャリスト”たちにとってはタイム差を稼げる区間だっただけに、改修でそのアドバンテージが薄れたと嘆く声も聞かれる。

 今回の一戦を主催するのは、1回目のJAFカップオールジャパンサーキットトライアルも主催した東京都のJAF公認クラブ、ビクトリーサークルクラブ(VICIC)。2日間開催の2025筑波チャレンジクラブマンレース第4戦の初日、25日の土曜日に今回の一戦は設定されたが、1st Sessionの路面はダンプコンディション。そして2nd Session前には空が更に暗さを増していく。

 1st勝負か、それとも路面温度が上がるであろう2ndに賭けるか……。まだ誰ひとりチャンピオンが確定していない混戦の筑波サートラ、今季のチャンピオン確定は誰が成し遂げ、誰が2026シーズンのJAFカップ出場権を手にするのか? 雌雄を決する最終戦の幕が、A組とB組に分かれてあがった。

最終決戦の舞台、筑波サーキット コース2000は第1ヘアピン手前(左写真、路面の色が変わっている箇所から手前)から80Rコーナー(右写真、ダンロップアーチ奥のコーナー)までの舗装を改修した。その影響が走りにどう出るのかが戦前のドライバーたちにとって心配の種だったが、雨量によって変わる路面コンディションの攻略に手を焼くことになった。

CT1クラス

 CT1クラスは日産GT-R勢が席巻。GDA型スバル・インプレッサWRX STIを駆る筑波スペシャリストのひとり、澁澤栄一選手をもってしても太刀打ちできないシーズンが続く。前戦こそスポット参戦してきたGT-R勢の溝口敦子選手がディフェンディングチャンピオンの貫禄を見せて勝利を奪ったが、やはりGT-Rをドライブする平川裕司選手が開幕二連勝を果たし、ランキングトップを快走している。

 前日の夜から降り始めた雨は深夜に強まったが、日の出とともに一時的に止んで路面はダンプに変化。コースレコード更新は望みにくい状況で、最後まで番狂わせの予感が漂った。

 しかし、1stでその空気を一蹴したのが平川選手だ。計測1周目からアタックに入り、薄く濡れた路面を探りながらもいきなり1分4秒台を記録。一方、インプレッサの軽さと回頭性で勝負したい澁澤選手はやや慎重に入り、1分7秒台で計測1周目を終える。

 開始2分後、各ポストから降雨を報告する無線がコントロールタワーに届く。路面を一気に濡らすほどではないが各車のワイパーが動き始め、ダンロップアーチ脇のポストでオイルフラッグが提示された。ちょうど改修区間のダンロップコーナーから80Rにかけて白煙が上がり、トラブルを抱えた車両がコース脇に停まり計時は一時中断、オフィシャルがコース清掃を行う。オイルフラッグ提示前にコントロールラインを越えた順位は、トップが平川選手、GVB型インプレッサを操る鈴木達朗選手が2番手、澁澤選手は3番手につけた。

 長引く処理の間に雨は再び止み、状況が刻一刻と変化する中コースは再オープン。ダンロップコーナーから80Rのレコードライン上はオイルを処理したおがくずが残るため、ここをいかにクリアするかが焦点となった。「おがくずはマジで滑ります! だから、どう踏まずに横断するかがポイントでしたね」と、澁澤選手は振り返った。

 計測再開後も猛然とアクセルを踏む平川選手がCT1をリード。CT2クラスのポルシェ・718ケイマンGT4勢と総合トップタイムを競り合いながら、1分4秒台中盤までタイムを削る。これを鈴木選手と澁澤選手、更にVAB型スバルWRX STIを駆る佐藤周平選手も追う混戦となる。

 レコードライン上におがくずがあるとは思えない、トップタイム更新合戦が続き、終盤に各選手ラストアタック。路面が最も改善したタイミングで、平川選手がトップタイムを叩き出した。ひとり1分3秒台となる1分3秒203を記録し、粘りの走りで1分4秒175まで詰めた澁澤選手以下を突き放して、1stが終わった。

 翌日に本番を控えるスーパーFJやVITAのスポーツ走行によっておがくずは幾分解消した2ndだったが、再び雨が路面を濡らし始める。平川選手は一度アタックするもすぐにピットに戻り、路面改善を待つ作戦。開始5分が過ぎても1stのタイムを上回るドライバーは現れず、終了直前の総攻撃でも平川選手が1分4秒台、澁澤選手は1分6秒台と伸び切らない。

 そのまま2ndは幕を閉じて平川選手が優勝、澁澤選手は2位、3位に鈴木選手と、1stの順位から変わらず。勝利で初チャンピオンを確定させた平川選手は「今回はコースレコード狙いでしたが、天候がこうなってしまい残念です。火曜の練習で59秒3が出ていたのでイケると思っていたんですけど……。おがくずがある80RはGT-Rでもリアが出やすいセクションで、アタックは無理でしたね」と無念そうに語ったが、来季の参戦継続にも意欲を示した。

日産GT-Rを駆る平川裕司選手(幸せを呼ぶトリトンブルーGTR)が1st Session最後のアタックで出した総合トップタイムで優勝。4戦中3勝を挙げてシリーズを締めくくり、初チャンピオンも確定させた。
CT1でGDA型スバル・インプレッサWRX STIを操る澁澤栄一選手(ゼロマックスGDAインプレッサ)は平川GT-Rに1秒を切るまでの差に詰め寄るも、2位に留まった(左)。鈴木達朗選手(BANDE GANER GVB)はGVB型インプレッサをドライブして今季最高位の3位を得た(右)。
CT1は左から、2位の澁澤選手と優勝した平川選手、3位の鈴木選手のトップ3が表彰を受けた。
2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT1クラスチャンピオン 平川裕司選手
「非常に楽しめた一年でした。他のカテゴリーのようにギスギスした空気感がなく、和やかに楽しめるのもサーキットトライアルの良いところ。自分も成長できた年で、クルマのセットアップ能力や路面を読む力がついたと思います。本当は今回レコードを獲れたら、来年はケイマンGT4 RSでCT2に移ろうと思っていましたが、GT-Rでレコードを狙いにいくかCT2に移行するか迷っています。もちろんJAFカップには参戦予定です!」

CT2クラス

 CT2で長年、チャンピオンとして君臨してきた森田正穂選手。しかし2024シーズン、松代耕二選手がポルシェ718ケイマンGT4を駆って台頭し、様相は一変した。今季は開幕2戦を松代選手が制し、崖っぷちの第3戦で森田選手が優勝と、一進一退の攻防が続く。

 1stは両雄のタイムメイクの差が如実に表れた。松代選手が計測2周目に1分5秒台を記録するも、森田選手との差は僅か0.019秒。更にオイルフラッグ提示直前の計測3周目には、森田選手がCT1の平川選手をも上回る1分4秒2で総合トップに立った。

 赤旗からの再開後は電子制御の恩恵で、滑る路面でもリアを沈ませて加速できる718ケイマンならではの戦いが繰り広げられた。松代選手は慎重に路面を把握し、森田選手はクーリングを挟み都度アタックしながら堅実に組み立てる。最後に勝負を分けたのは、タイヤマネジメントだったのかもしれない。最終局面で両雄がアタック、ここまでもアタックを重ねていた森田選手は1分3秒948だったのに対し、松代選手は1分3秒424を記録し1stを制した。

 2ndでは雨脚が強まったものの、最終コーナーは周回ごとにラインが乾き始めたが、タイムは伸びない。しかし、両雄は雨中でもアタックを止めなかった。2ndは森田選手が上回ったがベストタイムを更新できず、松代選手が逃げ切り優勝。JAFカップに続く、自身初のチャンピオンで今季2冠を確定させた。

 松代選手は「1本目で決まると思っていたので、2本目はリスクを負わず走りました。赤旗前に森田さんがトップだったので焦りましたが、オイル区間を臆せずいけたのがよかったです。下のクラスの方々が道を譲ってくれたのも、タイムに繋がりました」と、最終決戦での走りを振り返った。

CT2クラスは1stでのポルシェ718ケイマンGT4同士による熾烈なアタック合戦を制した、松代耕二選手(982CaymanGT4)が優勝で初のチャンピオンを確定させた。
2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT2クラスチャンピオン 松代耕二選手
「いつも少し届かず負けてばかりでしたが、初めてチャンピオンを獲れて正直嬉しいです。筑波の蘇武(喜和)選手のスクールにも参加し、良い指導を受けられたのも大きかったです。それと、森田(正穂)さんという良いライバルがいてこそ。来年もクラスが継続すれば参戦したいですね。岡山国際はとても面白いサーキットという印象で、もしJAFカップが岡山開催なら是非出たいです。」

CT3クラス

 Z33型日産・フェアレディZとホンダS2000を中心に争われているCT3クラス。開幕第1戦はディフェンディングチャンピオン秋本拓自選手が制し、第2戦からは伊澤竜選手が二連勝と、Z33勢が優勢だ。

 勢いにのっている伊澤選手は最終戦でも躍進した。1stの赤旗前までは秋本選手がトップ、伊澤選手は0.069秒の僅差で2番手につけた。両者とも十分なアタックをできていない状況で、ホンダS2000を駆る芳田悟選手も3番手だったが、やはりアタックできずにピットイン。

 再開後、先に飛び出したのは伊澤選手。ターゲットタイムを0.07秒上回り、更にタイムを削りに攻める。ここに芳田選手が食らいつき、計測6周目で2番手タイムをマーク。最終盤の総攻撃では伊澤選手がトップタイムを塗り替えて1stを終えた。2ndでは強まった雨で誰もベスト更新ならず、1stの順位が最終結果となった。

 今季3勝目を挙げて、サートラ初参戦にして初チャンピオンを確定させた伊澤選手は「第1ヒートは、後半のドライアップでタイムが出しやすかったです。第2ヒートはウェットかダンプか悩み、タイヤ内圧を上げるべきところをそのまま行ってしまい失敗でした。オイルラインは“できるだけ長くのらない”と決め、垂直にまたぐことを徹底して、みんながつくった滑らないラインをトレースしました。JAFカップにも出たいですね」と語った。

CT3クラスはZ33型日産・フェアレディZ勢の一角、伊澤竜選手(嘉寿Racing☆Z33)が今季3勝目。サーキットトライアルデビューイヤーでチャンピオンを確定させる速さを見せた。
CT2はトップ2が表彰された。左から優勝した伊澤選手と2位の秋本拓自選手(ガレージ4413☆72☆Z33)。
2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT3クラスチャンピオン 伊澤竜選手
「秋本さんに誘われ今年から参戦、気づいたらチャンピオンでした。第2戦からタイヤを変えて自分らしい走りができるようになり、タイヤ選択の重要性を知った一年です。筑波はダンロップ(コーナー)から80Rの全開率と、第2ヘアピン立ち上がりから最終コーナーのアプローチがカギ。ココが上達すればまだ伸びます。来年はSUGOと岡山にも参戦して、全制覇を狙いたいです!」

CT4クラス

 今季のCT4クラスはJAFカップ初代ウィナーのひとりで、3つのJAFサーキットトライアル地方選手権全制覇に挑む松橋豊悦選手の走りが焦点となっている。すでに2025年JAF菅生サーキットトライアル選手権と2025年JAF岡山国際サーキットトライアル選手権でチャンピオンを確定させており、この最終戦で筑波サートラ王者を確定させればJAFカップを含めて4冠も確定。今回の一戦を制し、11月末に控えた岡山国際サートラの最終第4戦も勝てば全戦全勝、更に3サーキット全てのコースレコード更新と、完璧な偉業を達成する可能性もある。

 松橋選手は1stでの路面がダンプのため、車両とタイヤをマネジメントして後半アタックの構えだった。しかし、「赤旗回避のために序盤に“とりあえずのタイム”を残しておかないと不安」と予想したのが的中、赤旗中断の影響を最小限に抑えて僅差でトップに立つ。

 再開後も慎重にタイムを刻み路面の回復を待った松橋選手は、最終盤の総攻撃で貫禄の1分7秒472でトップタイムを更新。0.104秒差で市川忠康選手が2番手、更に0.219秒差で小林公教選手が3番手に躍り出た。路面状況から前輪駆動のZC33S型スズキ・スイフトスポーツ勢が有利かと思われたが、GR86勢が松橋選手に続いた。

 2ndでは松橋選手がトップタイムから約0.5秒落ちの好タイムを出すが、他クラスと同じく誰もベストは更新できず。松橋選手は開幕4連勝、そして第1戦で更新した1分3秒153のレコードを引っ提げ、初の筑波チャンピオンを確定させた。

「最終戦は“守り”に入ってしまったのが悔しいです。優勝せずとも入賞でいい状況で、攻めてタイムを出すのではなく“置きにいって”しまいました。ウェットとオイルで、おがくずがレコードライン上にあったので、ダンロップ(コーナー)は殺してアウト・イン・インで入り、おがくずをまたぎましたが、それでも(車両は)暴れました。岡山の最終戦も頑張ります」と、松橋選手にとって悔いが残る最終戦となったことを明かした。

ZC33S型スズキ・スイフトスポーツを駆ってCT4クラスを戦う松橋豊悦選手(N-TEC EDスイフト)は1stの最終アタックでトップタイムをマークして優勝。チャンピオンも確定させた。
CT4の2位と3位は、松橋選手に1秒を切るまでに迫ったGR86勢が占めた。市川忠康選手(サンライズDXLポンコGR86)が2位に(左)、小林公教選手(湘工冷熱P.MU GR86)が3位(右)に、1st最終周で飛び込んだ。
CT4の表彰は左から、6位の酒井利恭選手(RG-O ENKEI GR86)、2位の市川選手、優勝した松橋選手、3位の小林選手、4位の梅野健太選手(スイフトスポーツR/T)、5位の大橋悠貴選手(AXエーゼットBRZ)。
2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT4クラスチャンピオン 松橋豊悦選手
「3サーキットでタイトルを狙い、筑波とSUGOでチャンピオンを獲得しました。SUGO最終戦のセミウェットでレコードを更新できたのは思い出深いです。来年はGRヤリスの開発を進めつつ、スイフトで筑波を追い、SUGOは(1分)34秒台に伸ばしたいですね。岡山も満足いくコンディションで走れておらず、しばらく破られないレコードを樹立したいです。今年はシリーズを諦めかけることも起きましたが、愛息が喜ぶトロフィーを持ち帰るために後半は挑み続けました。まずは全勝で3冠、来年はJAFカップ連覇を目指したいです!」

CT5クラス

 往年のグラスルーツレースを支えた名車たちも駆け抜けるマニア垂涎のCT5クラスは、昨季から参戦を始めたZC31S型スイフトを操る山田修宇選手が牽引する。山田修宇選手は開幕三連勝を果たしているが、ディフェンディングチャンピオンでEK4型ホンダ・シビックを駆る鯉渕慶比古選手もまた3戦連続の2位で追随し、王座争いは最終戦決戦となった。

 A組で施されたオイル処理のおがくずを確認したB組のドライバーたちは、従来のラインどりでいかに影響を最小化するか検討してコースイン。計測1周目から臆せず行くドライバー、まず様子を見るドライバーとアプローチは様々。A組が終盤でトップタイムを更新していることを踏まえ、まずは“1本残し”の後に様子を見る作戦が主流となり、開始3分で一旦のアタックを終えるドライバーが多かった。

 K11改型日産・マーチからAE111型トヨタ・カローラレビンに乗り換えた柴田尚選手が、計測3周目に1分13秒台でターゲットタイムを設定。鯉渕選手が続き、更に山田修宇選手が追うが、鯉渕選手にトラブル発生。マフラーからの白煙でオレンジボールが提示され、ピットでオフィシャルのチェックを受けてコースに復帰することができたが、貴重な時間を失う。

 計測4周目で山田修宇選手が1分9秒台でトップタイムを更新。山田修宇選手は以後も周回ごとにトップタイムを更新する盤石の走りで、計測6周目に1分7秒909をマークして一歩抜け出す。激しかったのは2番手争い。日産・ノートニスモSを駆る福島達也選手が2番手タイムを記録すると、柴田選手やNA改型マツダ・ロードスターが武器の鈴木雄真選手が塗り替え、更に鯉渕選手、CJ型三菱・ミラージュアスティをドライブする山田康祐選手も加わり5選手による混戦となった。1stでは柴田選手が2番手を獲り、鯉渕選手、鈴木選手、山田康祐選手、福島選手の順で、1秒以内にひしめいた。

 雨の2ndではやはり、誰もベストは更新できず、1stでの圧倒的なタイムで山田修宇選手が4連勝。2位は柴田選手、鯉渕選手は2ndでエンジントラブルに見舞われたが、3位でランキング2位が確定した。

 優勝で初チャンピオンを確定させた山田修宇選手は、「雨の筑波をまともに走るのは初めてで、内圧や減衰は探り探りでしたが、最後になんとかまとめられました。筑波は“ミドル目で入り、奥で一気に向きを変えて、トラクションをかけつつタイヤを転がす”走りが相性いいようです」と明かした。

CT5クラスは開幕第1戦から第3戦まで、ZC31S型スイフトを駆り三連勝で速さを見せてきた山田修宇選手(Dixcelモンスタースイフト)が2位以下に2秒以上の差をつけて優勝し、初チャンピオンも確定させた。
CT5の2位と3位はチャンピオン経験者が占めた。K11改型日産・マーチを武器に2021シーズンはB1クラス、2022シーズンにCT5と連覇し、今季はAE111型トヨタ・カローラレビンに乗り換えた柴田尚選手(GTR専門店ベストRレビン)が2位(左)、3位はディフェンディングチャンピオンでEK4型ホンダ・シビックを操る鯉渕慶比古選手(TECmscテンロクシビック)が獲得した(右)。
CT5は4位までのドライバーが表彰された。左から3位の鯉渕選手、優勝した山田修宇選手、3位の柴田選手、4位の鈴木雄真選手(すずおNAロードスター)。
2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT5クラスチャンピオン 山田修宇選手
「以前はミニサーキット中心で、筑波のような比較的大きいコースやハイグリップタイヤの扱いに慣れていなかったのですが、引き出しを広げられた一年でした。カントの活用や、最終コーナーは走るたび学びが多いですね。来年もサーキットトライアルに出場し、ロードスターのパーティレースにも参戦したいです。」

CT6クラス、CT7クラス

 CT6クラスはND型ロードスターとトヨタ・ヤリスが主要車種。安本悠人選手がND型ロードスターを駆って開幕三連勝で王座争いをリードしている。スズキ・カプチーノで存在感を放つ吉崎久善選手と、ND型ロードスター勢の日向孝之選手が追っている。

 最終戦でも安本選手が抜け出した。1stではCT5でも2番手に入る1分9秒022を叩き出し、2番手の日向選手以下に1.5秒以上の差をつけて折り返す。他のクラスと同じく1stのタイムで決着し、安本選手が開幕4連勝で2023シーズン以来のチャンピオンを確定させた。

「セット的にはもう少しイケた気がします。自己ベストは無理でもクルマは壊さず、でも攻めないと勝てない……。タイミングを探っていたら、最後のアタックになってしまいました。赤旗中断で守りに入り、減衰を緩めたのは後悔ですね。JAFカップは仕事次第ですが、できれば参戦したいです。」と安本選手は満点チャンピオン確定でも、その走りには満足していない様子だった。

 T.Sakamoto選手とYOSHIMOTO KOURIKI選手、PN車両のND型ロードスター使いによる一騎討ちとなったCT7クラスは不成立となってしまったが、昨季王者のSakamoto選手がトップタイムをマークした。

CT6クラスでも、ND型マツダ・ロードスターを駆る安本悠人選手(ザーレンプロμ’sRND5RC)が1stで圧倒的なタイムをマークして開幕4連勝を果たし、チャンピオンを確定させた。
CT6は2位を日向孝之選手(シリウスPNロードスター)が(左)、3位は松本貴之選手(ROMEO WAXロードスター)が獲得し(右)、トップ3をND型ロードスター使いが占めた。
CT6は上位4選手が表彰を受けた。左から3位の松本選手、優勝した安本選手、2位の日向選手、4位の吉崎久善選手(DXLカプチーノ参号機)。
2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT6クラスチャンピオン 安本悠人選手
「今年は実走の時間が十分とれず、シミュレーター練習とセットアップ検討が中心でした。ミューズアールさんに仕上げてもらったマシンが良く、パワー向上に合わせてセットも詰められた結果です。来年もこのロードスターで参戦し、クルマに見合うドライビングを磨きたいです」
不成立となってしまったCT7クラスだが、トップタイムはND型ロードスターを駆るT.Sakamoto選手(プロフィット●ロードスター)が記録した。

 最終戦を終え、VICICの今宮眞代表は「今年はサーキットトライアルのJAFカップから始まり、色々あった年でした。格式あるJAFカップを主催できたのは思い出です。その影響もあり、筑波の参加台数も増えたと思います。筑波でのサーキットトライアルはきちんと定着していますが、新しいエントラントがもう少し増えると良いですね。クラス分けなど、より参戦しやすい工夫も必要です。岡山さん、SUGOさんとも連携しながら、今後もしっかり運営していきたいです」と語った。

今回の一戦を主催し、3月に開催した2025年JAFカップオールジャパンサーキットトライアルやFIAフォーミュラE世界選手権の一戦、東京E-Prixも主催する東京都のJAF公認クラブ、ビクトリーサークルクラブ(VICIC)の今宮眞代表が、今季を振り返るとともに、サートラの今後の展望も語った。

フォト/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、髙橋学[Manabu TAKAHASHI] レポート/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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