JAFカップサートラは岡山国際のレコード続々更新!
2026年3月5日
“サートラ”ことサーキットトライアルの日本一ドライバーを争う『JAFカップオールジャパンサーキットトライアル』が2月21・22日に岡山国際サーキットで開催された。栄光のJAFカップをかけて、2025年3月に筑波サーキット コース2000を舞台に初開催された“JAFカップサートラ”。2回目となる今回は、岡山国際に会場を移した。JAF地方選手権がかかるスポーツランドSUGOと筑波、そして岡山国際を舞台とした、昨季の3シリーズで上位に入賞したドライバーを中心に44選手が参戦。2026シーズンの車両規則で定められたCT1~CT6の6クラスによって争われた。
JAFカップオールジャパンサーキットトライアル
(2026 OKAYAMAチャレンジカップレース第1戦 内)
開催日:2026年2月21~22日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:(株)岡山国際サーキット、AC
競技は他のレースシリーズも開催された、2026 OKAYAMAチャレンジカップレース第1戦の中で行われた。21日には、参加確認受付や事前車検の他に専有走行枠も設けられた。CT1~CT4クラスが1組目、CT5クラスから不成立となってしまったCT7クラスまでが2組目と、翌日の本番と同じ組み分けで各組15分間の走行が2回と、これも本番と同じ条件で行われた。
専有走行後の夕刻からは昨季OKAチャレのランキング認定証授与式が行われた。式典が終わると、翌日のJAFカップサートラ本番に挑むドライバーも交えての前夜祭も催され、年に一度の一戦に華を添えた。
22日の天候は朝から快晴で路面はドライ、絶好のタイムアタック日和となったが、懸念されたのは気温。奇しくも昨季のJAFカップも、筑波が季節外れの陽気となりドライバーを悩ませたが、今回も日中は4月並に気温が上がる予報が出ていた。Session1が午前9時、Session2は午前11時スタートのタイムスケジュールでは、気温が低いであろうSession1勝負になることは想像に難くない。僅かなチャンスを逃さずベストタイムを刻むのは、まさにサートラならではの醍醐味だ。
はるばる東北地区と関東地区から遠征してきたSUGO勢と筑波勢、彼らを地元・岡山国際勢が迎え撃つ。果たして誰がJAFカップを掲げるのか、6クラスでアツいタイムアタック合戦が繰り広げられた。
CT1クラス
排気量と駆動の制限なし、B車両が対象のCT1クラスでは全クラストップタイムも競われた。今季から外国産車両もこのクラスで競うことになり、ポルシェ718ケイマンGT4を操る松代耕二選手と森田正穂選手もCT1でのエントリーとなった。松代選手はJAFカップCT2クラス初代ウィナーとなり、2025年JAF筑波サーキットトライアル選手権でも念願のCT2クラス王者を獲得、そして森田選手は幾度も筑波CT2王者に輝き、松代選手と名勝負を繰り広げており、二人とも実力あるドライバーだ。
しかし、JAFカップ連覇を狙いたい松代選手は「R35GT-Rと同じクラスだとパワー差も歴然ですし、岡山国際を走るのも3年振りなので、色々と厳しいですね」と、苦笑いしながら予想を語った。筑波でのリベンジを果たしたい森田選手も、「ここ(岡山国際)は2本のストレートも含めてパワーコースでもあるので、R35GT-R相手だと厳しいと思います」と語り、勝利は厳しい状況のようだ。
二人が挙げたR35型日産GT-Rを駆るのが、昨季はサートラ初挑戦ながら筑波のCT1クラスで3勝を挙げてチャンピオンを獲得した、平川裕司選手。「今回はクルマのアドバンテージもあるので、もちろん優勝を狙います。やはり勝負は、気温が上がらない1本目になると思いますので、そこで1分38秒台を出すことが目標ですね」と意気込む。
平川選手はその言葉どおり、Session1最初のアタックで1分38秒642のトップタイムをマーク。1分40秒873で2番手に森田選手、3番手に1分41秒229で松代選手が続いた。
トップで折り返した平川選手は、「2周目以降はクリア(ラップ)がとれず厳しかったのですが、とりあえず目標を達成できてよかったです。2本目はタイムアップが望めないと思いますが、トライはします」と、まずは一安心した様子だった。しかし、条件が厳しくなった中で挑んだSession2のタイムは、自身の予想に反して0.315秒タイムアップを果たしてコースレコードを更新し、平川選手が勝利を決めた。
森田選手も0.006秒タイムアップを果たすも、やはり平川選手には及ばず2位は変わらず。松代選手はタイムダウンとなったものの、Session1のタイムを守り切って3位で終えた。
優勝した平川選手は「2本目もパワーダウンは感じませんでした。ただ、何カ所か細かいミスをしてしまったので、それがなければ1分37秒台に入ってたと思います。ちょっと悔しいですね」と、当初の目標は達成したものの、Session2の走りには悔いが残ったようだ。
続けて「岡山国際サーキットは、特にダブルヘアピンでタイムを落とさないことが重要だと感じました。登り勾配で、想像以上にスピードが落ちてしまいました」と岡山国際の印象を述べ、「今回JAFカップに参戦したのは、筑波でチャンピオンを獲れたので、今度は日本一をGT-Rで獲りたいと思って。国際格式のサーキットでJAFカップという事で、気持ちも違いました。素晴らしい大会なのでプロモーションをもっと行えば、更に華やかになるのではないかと思います」と、感想を語った。
2位の森田選手は「タイム的に目標には及ばずといったところでしたが、楽しく走れました。2本目の走りが1本目にできていたら、という悔いはありますが……。前夜祭で盛りあがったのは良かったですね」と語り、3位の松代選手は、「(岡山国際は)久しぶりとはいえ、もう少しイケると思ったのですが、ダメダメでしたね。小さなコーナーで森田選手に離されてしまったので、車載カメラを見直して反省です。前夜祭はとても良かったです」と、それぞれの思いを語った。
CT2クラス
排気量と駆動の制限が無く国産のB車両で争われるCT2は昨季の岡山国際上位勢と、昨季の筑波ではCT1で戦った元チャンピオン、澁澤栄一選手との対決が注目された。しかし、澁澤選手の車両は専有走行でエンジントラブルが発生、22日は参戦が叶わなくなってしまった。
その状況の中、Session1で早々に1分44秒034のトップタイムを刻んできたのは、ホンダS2000を駆って2025年JAF岡山国際サーキットトライアル選手権CT3クラス王者を獲った、下坂和也選手。今回のJAFカップにはGRヤリスを投入し、CT2に転向してきた。
下坂選手は更に、次のアタックで1分43秒087までトップタイムを更新する。2番手にはホンダ・シビック タイプRをドライブする赤石憲俊選手が1分46秒209でつけていたが、計測時間も残り僅かとなったところで、昨季の岡山国際CT2クラス王者でGRヤリス勢の福冨航平選手が1分45秒082を刻んで2番手に割って入ったところで、Session1が終了した。
トップに立った下坂選手は、「1分42秒台に入れたかったですね。新品タイヤを入れたので一発イケると思ったのですが、気負い過ぎたのかな……」と、タイム的には不満が残った様子を見せた。
Session2は気温も上昇し、タイムアップには厳しい条件となったが、下坂選手は1分42秒885でレコードを更新。下坂選手を追う福冨選手と赤石選手はともにタイムダウンに終わり、下坂選手がCT2を制する結果となった。
「1本目走行後、車高がちょっと低かったようで、2本目はタイヤのエアもかなり高くしたのですが、それが良かったのかな。ただ、次の周回ではズルズルだったので、その1本だけでしたね」と、僅かなチャンスを逃さずタイムアップを果たした下坂選手は、OKAチャレのN1ロードスターでも活躍するレーシングドライバーでもある。
続けて「岡山国際は、コース後半にかけての3セク(セクター3)が上手い人が速いと思いますね」とコースを分析すると、「JAFカップは格式が高そうなので頑張ってみよう! ということで参戦しました。関東からもたくさんドライバーが来て、いつもと違う顔ぶれで刺激的でした」と、コメントを残した。
CT3クラス
排気量無制限、自然吸気エンジンを積む2WDの国産B車両で争われるCT3クラスは、地元勢の中嶋努選手と昨季のJAFカップウィナーで筑波勢の秋本拓自選手、新旧日産・フェアレディZによる戦いとなった。
Session1の序盤でトップタイムを刻んだのが、Z34型を駆る中嶋選手。タイムは1分46秒703だ。一方、Z33型をドライブする秋本選手は計測時間が残り2分を切っても1分48秒台と、中嶋選手から大きく遅れをとってしまう。このままSession1終了かと思われたが、秋本選手は土壇場で1分46秒308を叩き出し、トップタイムを塗り替えた。
「実は、岡山国際サーキットを走るのはこの第1ヒートが初めてなんです。コースが全然分からなかったので怖かったですね。少し慣れてきた頃、上手くクリアもとれたので、ようやく普通に走れました。2本目はコース慣れした分、タイムは上がるかもしれません」と、秋本選手は更なるタイムアップを期した。
Session2で何とか逆転したい中嶋選手だったが「クルマの異常を感じた」とのことで、途中でアタックを断念することに。秋本選手はトップタイムを更新できずに終了となってしまったが、逃げ切りで優勝を果たした。
「2本目はタイヤもタレたのと、自走で家まで帰らなければならないので、その辺を考えちゃいました。それでも一周上手くまとめれば何とかなるかなと思ったのですが、タイムアップまでには至りませんでした……」と、秋本選手は無念そうにSession2を振り返った。
続けて「どこのサーキットでもキッチリ走れる経験を積みたかったので、今回遠征でJAFカップに参戦しました。筑波と比べると、岡山はブレーキが難しいと感じました。4速や5速といった高速域からのブレーキングは筑波ではほとんどないので、そういったところが勉強になりました」と、感想を語った秋本選手は岡山国際初走行ながらJAFカップ二連覇を達成した。
CT4クラス
排気量2400cc以下、2WDの国産B車両で争われるCT4クラス。注目はやはり、筑波での昨季のJAFカップを制し、そのシーズンはSUGOと筑波、岡山国際、全シリーズのCT4クラスを全勝でチャンピオンに輝き“4冠”の大記録を達成した、スズキ・スイフトスポーツを駆る松橋豊悦選手の走りだ。
「個人的に大きなサーキットが合ってるので、岡山国際は筑波サーキットよりも好きなコースです。ただ、ここはGR86とBRZが速いので油断はできないですね。また、今回(ブリヂストン)ポテンザRE71RZを投入したのですが、まだこのタイヤのセットが出てないので吉と出るか凶と出るか、といったところです」と、松橋選手はSession1を前に語った。
Session1ではGR86勢の大住拓選手が、2回目のアタックで1分46秒893のトップタイムを出した。松橋選手は1分47秒台で2番手につけるも、次の周回も同じく1分47秒台とタイムを上げられず。しかし、残り5分を切ったところで松橋選手は1分46秒275を叩き出し、トップタイムを塗り替える。大住選手も1分46秒552までタイムを詰めたが、松橋選手がトップで折り返した。
「序盤は中々クリアラップがとれず、更にRE71RZが食い過ぎちゃって、Wヘアピンでイン側が横転レベルで浮いて危なかったです。なので、2本目はタイムを上げたいのですが、横転するかもしれないという感覚が染みついちゃったので……」と、トップタイムを出した松橋選手だったが、上手く噛み合っていない様子を見せた。
一方、Session1終盤でトップを奪われてしまった大住選手は、「練習不足ですね。全般的にイマイチだったのですが、(差は)0.3秒もないので何とかしたいです。2本目は条件的には厳しくなりますが、落ち着いてタイムを稼ぎたいと思います」と、逆転のチャンスを伺う。
Session2も中盤に差しかかった頃、大住選手はこのSessionクラス最速の1分47秒592を出すが、やはりベストタイムには1秒以上及ばない。また、松橋選手は1分46秒333とベストに近いタイムを刻むも、やはりタイムアップは果たせず計測終了。松橋選手がSession1のタイムで逃げ切って勝利を掴んだ。
松橋選手は「タイムアップはできなかったのですが、いつも2本目のタイムは0.5秒から場合によっては1秒くらい落ちるのですが、今回は0.1秒しか変わらなかったので、RE71RZに慣れてなかった1本目は本来もっとタイムが出せていたのかもしれません。タイヤに合わせたセットが出せれば、更にタイムは詰まるはずですが、こればかりはやってみないとわかりませんね」と、振り返った。
更に「今回、JAFカップ二連覇がかかっているということでエントリーしました。もちろん楽に勝てるとは思ってませんが、今回は特に自分自身に余裕がなかったです。とりあえず勝ててホッとしたというのが、正直な感想です」と、語る松橋選手の愛車のダッシュボードには、愛息の写真が飾られている。「息子も喜んでくれると思います。JAFカップを届けることができて良かったです」と、最後は笑顔を見せた。
CT5クラス
CT5は排気量1600cc以下、2WDの国産B車両で争われる。昨季の岡山国際CT5クラスチャンピオン、山下猛選手が専有走行で日産・ノートe-POWERにトラブルが発生し、参戦できなくなる波乱が起きた。
地元王者不在となったが、Session1で1分49秒774のトップタイムをマークしたのは、JAF四国ジムカーナ選手権R2クラスを三連覇中の土居清明選手。2024シーズンからサートラにも挑戦し、スラローマーらしくホンダ・シティを駆っていきなり岡山国際CT5のチャンピオンを獲得。昨季はやはりホンダ車のCR-Xに乗り換えて参戦を継続。全戦出場は叶わなかったがシリーズ2位を獲得し、JAFカップに挑んだ。
「タイム的にはもう少し出さないとね。全体的に突っ込み過ぎ。運転がしょぼい(笑)」と、トップを獲った土居選手だが、内容はパッとしない様子。「2本目はタイムアップ厳しそうだから、練習のつもりで走ろうと思います」と、Session2を迎えた。
その言葉のとおり土居選手は1分50秒187と、トップタイムには0.413秒及ばなかったが、Session2のタイムでも2位の太田高之選手のベストに6秒以上の差をつけて、CT5を制した。「タイムは上がらなかったけど、セクターではベストの区間もあったので、やはり運転かな(笑)。極端に悪いという訳でもなかったし」と、土居選手は振り返った。
「今回は、岡山国際という近いところでJAFカップを開催してくれたので出場しました。JAFカップというタイトルはそれなりの価値はあると思っているので、そういった大会で優勝できたのはありがたいことだと思います」と語った土居選手は続けて、「排気量の小さいクルマは2コーナーやアトウッド、最終コーナーで如何にスピードを殺さずに走れるか。ボトムスピードを意識した走り方でタイムが変わってくるね」と、岡山国際の攻略法を明かした。
CT6クラス、CT7クラス
排気量1500cc以下の国産B車両で争われるCT6クラスは、昨季の岡山国際CT6クラス王者でマツダ・ロードスターを駆る石川仁士選手が、スズキ・カプチーノを操る2025年JAF菅生サーキットトライアル選手権CT6クラス王者、吉崎久善選手を抑えてJAFカップを獲得した。
石川選手は「過去にジムカーナでチャンピオンを獲って、岡山のN1ロードスターレースでもチャンピオンを獲った後、しばらく休んでたのですが、同じチームの土居さんに誘われて去年からサーキットトライアルに参戦しました」と、モータースポーツ復帰組だ。
「NDロードスターはまだ探ってるところもありますが、周りの方々に助けてもらいながら何とかやってるという感じです」と、石川選手は過去の競技経験を生かしてサートラ初年度でチャンピオンとなり、更にJAFカップも制した。続けて「ストレートにつながるところはキッチリ踏んで車速が伸びるように、小さなコーナーはジムカーナあがりなので得意なのですが(笑)、距離を短くとってタイムを稼ぐようにしています」と、サーキットを攻めるポイントを語った。
CT7は2選手のみの参戦で不成立となってしまったが、初代JAFカップCT7ウィナーのT.Sakamoto選手がロードスターで参戦。ホンダ・フィットを操る國行弥一郎選手との一騎討ちを制した。
Sakamoto選手は「不成立は分かってたのですが、昨年のJAFカップウィナーが参加しないのはどうなんだ、という声が方々からあったので参加しました(笑)」と、参戦した経緯を明かした。
岡山国際は初走行だったそうだが「事前にシュミレーターで走って、そのタイムが出せればいいかなと思ってたのですが、それ以上に良いタイムが出せました。パワーがないクルマで、しかもアップダウンもあるので、如何にボトムを落とさないかを意識して走ったのが良かったと思います。2本目はタイムを捨てて、幌を開けてオープンで楽しみました(笑)」と、Sakamoto選手は岡山国際を満喫できたようだ。
フォト/大野洋介[Yosuke OHNO]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



