SUGOサートラ第2戦でCT2松橋豊悦選手がGRヤリス初優勝!

レポート サーキットトライアル

2026年7月6日

西から岡山国際サーキット、筑波サーキット、そしてスポーツランドSUGO、三つのJAF公認サーキットで開催されているJAFサーキットトライアル地方選手権。杜の都・仙台に近く、東北レース界を支えているSUGOは、最終コーナーから10%勾配を駆け上がるメインストレートと、高低差73mのアップダウンも特徴の一つ。国内最高峰レースも開催されるSUGOインターナショナルレーシングコースを舞台に全4戦で争う、2026年JAF菅生サーキットトライアル選手権は第2戦を迎えた。

2026年菅生サーキットトライアル選手権 第2戦
(2026 SUGOチャンピオンカップレースシリーズRd.3内)

開催日:2026年6月13日
開催地:SUGOインターナショナルレーシングコース(宮城県村田町)
主催:(株)菅生、SRSC

 SUGOは高い縁石とエスケープゾーンの狭さが圧迫感を与え、挑むドライバーに高いプレッシャーがかかるサーキット。そのプレッシャーはドライバーのチャレンジスピリットを刺激する、攻め甲斐があるサーキットとして人気を誇る。

 今回の一戦には21選手がエントリーした。開幕第1戦が15選手であったことを考えると、関東地区からもドライバーが集まったことが、エントリー数増加につながったといえよう。

 “サートラ”ことサーキットトライアルはCT1クラスからCT9クラスまで、排気量や駆動方式などで参戦できる車両が区分される。全9クラスのうち6クラスはB車両で争われ、改造範囲が広いことも特徴だ。

 今季はCT1とCT2クラスの車両区分が変更。CT2は国産メーカーの車両に絞られたため、国外メーカーの車両は全てCT1に参戦することになった。ただし、日産GT-Rのドライバーは2025シーズンまでと変わらずCT1で戦うなど、今後もクラス区分の微調整が行われる可能性も考えられる。

ホームストレートのダンロップアーチが新しくなったスポーツランドSUGOインターナショナルレーシングコースが舞台の、2026年JAF菅生サーキットトライアル選手権。第2戦を迎えた朝は青空が広がり、新緑にも囲まれた爽やかな環境で開催されると思われた。

 この日は太平洋側に陣取った梅雨前線が、全国的に時折雨を降らせる微妙な天候。更にSUGO周辺では午後、雷雨の予報も発せられていた。すると、第1ヒートが始まる30分ほど前から大きな雨粒が落ち始め、アッという間に路面はフルウェットに変貌。このままではタイムアタックもままならないと思われた。

 しかし、雨は次第に弱まり、それまで陽射しに熱せられた路面からは湯気が立ち上る。ピットロードへ車両を運ぶ頃には、路面はドライとウェットが混在するパッチ状態へと変化。難しいコンディションで第1ヒートのスタートを迎えた。

 第2ヒートには雷雨がSUGOを襲うことも予想されたため、第1ヒートに勝負を賭けておきたい。しかし、直前に予想外の降雨でドライバーは大いに振り回された。最初のアタックはウェットと予想してタイヤの空気圧を上げるドライバーがいれば、みるみる乾いていく路面を見て、第1ヒート後半に勝負を賭けて低めの空気圧でコースインするドライバーも見られた。

第1ヒートに向けてドライバーが出走準備を進める中、SUGOは雨に打たれた。第1ヒートでの好タイム奪取が危ぶまれたが雨脚は弱まり、青空も顔を出すほど回復した空の下、ドライバーはピットロードを離れた。

CT1クラス

 CT1は排気量と駆動方式の制限が無いB車両が対象。ただし、異なる型式のエンジンに乗せ換えた車両や、前述のとおり国外メーカーの車両は全て、CT1で戦うことになる。

 第1ヒートではまず、ポルシェ718ケイマンを駆る森田正穂選手が計測2周目にアタックし、ターゲットタイムとなる1分33秒015をマークする。しかし、その直後にGT-Rをドライブする芦名英樹選手が「路面は全然気になりませんでした。ドライと遜色ありませんでしたね」と、森田選手を0.243 秒上回ってトップを奪い獲る。

 一方、開幕第1戦で総合トップを獲った、GT-R勢の相澤真選手はウェット路面を嫌って第1ヒートはコースインせず。芦名選手と森田選手は一旦ピットに帰るとタイヤの空気圧を調整して再びアタック。しかし、最初にマークしたベストタイムを更新することはできず、芦名選手がトップで折り返した。

 第2ヒートを前にSUGOの空気は変わって体感でも気温が下がり、風向きも変わる。遠くでは雷も鳴り響き、またもや走行直前に雨が降りそうな予感が漂う。しかし、空は粘り強く雨を落とさず、第2ヒートはなんとかドライでスタートを切った。

 第1ヒートのタイム順でコースインするため、芦名選手が先頭でゆっくりコースへ入っていき、まだタイムを残していない相澤選手は最後尾につけた。インラップを終えた芦名選手がいきなりアタックモードに入ると、相澤選手が遠くに見える。芦名選手がバックミラーに映ったか、相澤選手も猛然と加速。やはり計測1周目でいきなりアタックモードに入った。

 芦名選手はターゲットタイムを自ら更新して、1分31秒508を記録。相澤選手はセクター1こそ森田選手にも僅かに届かなかったが、セクター2で一気にタイムを取り返し、さらにセクター3ではダメ押しの区間最速をマーク。その結果、相澤選手は芦名選手を0.687秒引き離す1分30秒台に突入。森田選手もダブルアタックで追撃するもの、芦名選手には0.122秒及ばず、GT-R勢に割って入れず3位に終わった。

 優勝した相澤選手は、「アタックラップはちょっと前のクルマに追いついてしまったので、もう少しイケたかもしれませんね。今回は(タイヤをブリヂストン)RE-71RZではなく、ユーズドの(RE-71)RSを使いました。一発タイムならRSの方がいい感じがします。ガツーンとイケる分、コッチの方がタイムは出る気がしますね」と、タイヤ選びがカギだったことを明かした。

 続けて、「SUGOは3コーナーとSP(コーナー)のイン・アウトがタイムを出すポイントですね。残り2戦、芦名選手が参戦するなら一緒について出たいと思っています。JAFカップをSUGOでやってくれるなら、関東勢に負けないように東北の意地を見せたいですね」と、地元の心意気を示した。

CT1クラスは日産GT-Rを駆る相澤真選手(ロードアンドスカイGT-R)が二戦連続の総合トップタイムで優勝を果たした。
CT1は左から、2位で弟子の芦名英樹選手(ロードアンドスカイ万歳!35R)と師匠で優勝した相澤選手、GT-R師弟コンビが表彰台に立った。

CT2クラス

 排気量と駆動方式の制限が無い国内メーカーのB車両が対象のCT2クラスは、四駆ターボ勢がしのぎを削る。GT-RはCT1になるため、GRヤリスなどが対象となる。

 2025シーズンはスズキ・スイフトスポーツを駆り、CT4クラスで数々の記録を打ち立てた松橋豊悦選手がGRヤリスでエントリー。5月に開催された2026年JAF岡山国際サーキットトライアル選手権 第2戦に続いて新車両での2戦目だ。今回の一戦は三菱・ランサーエボリューション勢の髙岩良行選手と澤田石哲選手との三つ巴となった。

 第1ヒートでの松橋選手は直前にタイヤの空気圧を落とすなど、いつものルーティンワークができないままコースインすることになった。計測1周目は路面状態を探りながら1分39秒台で帰ってくると、翌周はセクター1でCT1勢に約0.3秒差まで詰めてアタックイン! セクター3では総合トップタイムを記録していた、森田選手のセクタータイムを上回るタイムを記録して1分34秒088をマーク。追従する髙岩選手は2番手につけたが、大きく水を開けられた。

「コースインするまでにドタバタしてしまって、落ち着いてアタックに入れませんでした。キチンと走れれば32秒台も見えただけに悔しいですね。今日は気圧がすごく低くて、クルマに補正がかかっちゃってる感じです。2本目は雨予報なんで……」と、松橋選手はトップタイムでも納得いかない走りだったようだ。

 第2ヒートを迎えて今にも雨が降り出しそうな空模様だが、路面はしっかりドライ。ドライバーたちは一目散にコースインしていくと、髙岩選手がいきなりベストを大きく更新し、松橋選手を猛追する。松橋選手も負けじと計測2周目にトップタイムから0.1秒落ちのタイムを残してクールダウン。しかし、松橋選手は3周後にパドックへGRヤリスを戻してアタック終了。髙岩選手も一度ピットに戻り、再度アタックに向かうがベスト更新ならないまま第2ヒートが終了した。

 GRヤリスでの初優勝を果たした松橋選手は、「第2ヒートはタイムを狙っていったんですが、やっぱり補正が入ってしまっているのか、決まったと思ってもタイムは全然出ていませんでした。最高速もそんなに変わっている気はしないんですけどね……」と、アタックを止めた原因を明かしてくれた後、コースレコード更新への意欲も見せた。

GRヤリス投入2戦目で初勝利を挙げたCT2クラスの松橋豊悦選手(N-TEC ED GRヤリス)。この一勝でGRヤリスに本格的に乗り換えるか、注目が集まる。

CT4クラス

 排気量2400cc以下の2WDで国内メーカーのB車両が対象のCT4クラスは、新旧トヨタ86/スバルBRZによる戦いとなった。第1ヒートは各選手、計測2周目からアタックに突入すると小沼信次選手や千葉保明選手がタイムを刻む。様子を伺っていた林憲孝選手がアタックを始めたのは、開始から5分ほどしてからだった。

 小沼選手がトップに立っていたが、関東勢の林幸夫選手が計測3周目にトップタイムを塗り替える。しかし林幸夫選手はその翌周、青白い煙がZD8型BRZのエンジンルームから噴き出し、オレンジボールが提示された。エンジンパーツ破損のトラブルで、コース上にはオイルも飛散した。

 開幕戦ウィナーの林憲孝選手は林幸夫選手のアクシデントにも動じず、1分39秒511でトップタイムを塗り替えた。小沼選手は幾度もアタックを敢行するが林幸夫選手のタイムに届かず、3番手で第1ヒートを終えた。

 林幸夫選手が不出走となった第2ヒートでは、序盤勝負とふんだ各ドライバーは計測1周目からタイミングを計り、早々にアタックへ入った。その中で更にタイムを更新したのは、トップの林憲孝選手。開幕戦で記録したベストを上回るタイムを記録し、トップの座を固めた。2番手を巡る争いでは小沼選手と大橋悠貴選手がタイムアップを果たすが、林幸夫選手を上回れず小沼選手が3位、大橋選手は4位で第2ヒートが終わった。

「去年から本格的に参戦してきて、今年は2連勝で幸先良いスタートが切れているので満足しています。栃木在住なんですが、走っていて面白いSUGOに専念しています」と優勝した林憲孝選手は語ると続けて、「今日1本目はドライアップしていく中で始まってしまったので最初、(タイヤの)空気圧を320キロまで入れちゃって、慌てて戻って下げました。その作業でバタバタしてしまい、思ったようなタイムが出せなかったんです。2本目は落ち着いてコースインできたので、キチンと走ることができて良かったです。次は酷暑の中のタイムアタックになると思うんですが、三連勝目指して頑張りたいと思います」と意気込んだ。

松橋選手が抜けたCT4クラスは、ZD8型スバルBRZを駆る林憲孝選手(栃の木BRZ2号)が2番手以下に1.5秒以上の差をつけて開幕二連勝、ランキングトップを堅守した。
CT4は新旧BRZ勢が4位までを占めた。ZD8型をドライブする林幸夫選手(映像研びーあーるぜっとZD8)はエンジントラブルで第2ヒート出走は叶わなかったものの2位を守り(左)、小沼信次選手(Fukura-BRZ ZC6)はZC6型を操って精力的にアタックしたが、3位となった(右)。
CT4はトップ2が表彰台に上がった。左から2位の林幸夫選手と優勝した林憲孝選手。

CT5クラス

 1600cc以下の2WDで国内メーカーのB車両で競うCT5クラスは、開幕戦が不成立となってしまった。しかし、今回の一戦はバラエティ豊かな車種に乗る3選手が集まり成立となった。レースにも参戦していたNA型マツダ・ロードスターを駆る佐藤覚選手に、三菱・ミラージュアスティをドライブする山田康祐選手と、日産・ノートニスモSを操る福島達也選手の関東勢が挑んだ。

 第1ヒートは佐藤選手が計測1周目から1分45秒台を記録し、続く計測2周目にターゲットタイムとなる1分44秒239を記録する。このタイムに迫りたい山田選手と福島選手だが、山田選手はインラップですぐにピットへ戻ってしまった。佐藤選手と入れ替わるようにコースインした山田選手は連続アタックに突入。しかし、自慢のMIVECパワーも佐藤選手の軽快なコーナーワークには届かない。

 第2ヒートに入ってもこの構図は変わらず、山田選手はベストを更新するものの佐藤選手には届かず2位止まりで、佐藤選手に軍配が上がった。「1本目は雨セットで行こうと思ったんですが、急遽晴れセットに変更してコースインしました。空気圧がメインで、コースインしたら全然ドライで水たまりもなくって。まぁ、こんな感じかなってタイムで」と、佐藤選手は第1ヒートを振り返った。

 続けて「2本目の方がしっかり走れましたね。本当はシビック(で自分)が持ってるコースレコードを狙いに来たんですが、もうちょっといかなきゃいけませんね。ロードスターレースやってる感じでは、狙えるところにはいると思っているんですけど。次戦は仕事の都合で出れないんですが、最終戦で勝負ですかね」と、レコードを破るための条件を整えて再アタックを誓った。

CT5クラスには、NA型マツダ・ロードスターでの豊富なレース経験を持つ佐藤覚選手(アクロスNA6)がコースレコードを狙い参戦。レコード更新は果たせなかったが、速さを存分に見せて優勝した。

CT6クラス

 1500cc以下で国内メーカーのB車両が対象のCT6クラスでは、JAF筑波サーキットトライアル選手権のCT6でもライバルの二人による一騎討ちとなった。

 第1ヒートでは計測2周目でトップに立った、SUGOサートラ開幕戦を制した吉崎久善選手を、前々週の筑波サートラ第3戦はクラッチトラブルで4位だった、熊本壮一郎選手が連続アタックで追う。しかし、SUGOを隅々まで知る“レジェンド”吉崎選手の背中はなかなか見えてこない中、熊本選手にはまた、クラッチに不安な症状が出始めた。投入した強化クラッチとミッションの相性の問題なのか、原因不明の症状に不安がよぎるまま、第1ヒートが終わった。

 第2ヒートでは、吉崎選手が計測1周目からいきなり1分45秒262をマークし、トップタイムを1秒近く押し上げる。熊本選手も懸命にアタックを繰り返すが追いつけず2位止まり、吉崎選手が開幕二連勝で、二連覇確定を大きく引き寄せた。

 第2ヒート終了とともに大粒の雨が降り始め、走り終えた車両は車検場前で車両保管。雷鳴とともに降る雨の中、ずぶ濡れでピットに戻ってきた吉崎選手は「今日は雨が振るとか、散々な一日になってしまいました。位置どりのタイミングがすごく悪くて、最初にアタックした周が一番良くて、オイルにのったりしちゃって1本目はとにかくダメでした」と、納得いく第1ヒートではなかったことを明かした。

 続けて「2本目はベストベストできてたんですが、クーリングに入ってる車両に引っかかっちゃって、ベストは出し切れませんでした。それでも45秒は出ているので良しとします。開幕戦も勝っているので、クルマを壊さず筑波とダブルチャンピオン狙っていきます!」と二冠確定を見据えた意気込みを見せた。

CT6クラスでは、スズキ・カプチーノをドライブする吉崎久善選手(DXLカプチーノ参号機)が両ヒートとも開始早々にトップタイムをマークする完勝で、2026年JAF筑波サーキットトライアル選手権も合わせた連勝を4に伸ばした。
CT6でトヨタ・ヤリスを操り、両ヒートをとおして猛追を見せた熊本壮一郎選手(GRシュポルト千葉EDヤリス)だったが、クラッチに不安を抱えては吉崎選手に敵わず、2位に甘んじた(左)。ND型ロードスターを駆る伊藤匠寿選手(ナローテックロードスター)は第2ヒートで1秒近くタイムアップしたがトップ2には及ばず、3位となった(右)。
CT6はトップ2が表彰台に登壇した。左から、2位の熊本選手と優勝した吉崎選手。

 走行中は雨が持ちこたえた今回の一戦を終え、今季のSUGOサートラも残り2戦となった。SUGOは競技性と安全性、そして公平性をしっかり担保した運営をこれからも続けたい、とのことだ。「関東の方々も遠征していただいて、30台近いエントリーを集められたのは良かったと思っていますが、もっと多くの方に参加して欲しいですね」と、競技役員の一人は第2戦を締めくくった。

PHOTO/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] REPORT/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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