筑波サーキットライアル第4戦は最終戦を前に5クラスでチャンピオン確定!

レポート サーキットトライアル

2024年10月18日

7月27日、2024筑波チャレンジクラブマンレース第3戦の中で開催された2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権 第4戦は灼熱の一戦となった。筑波サーキットが発表した情報によると、この日の最高気温は38.2℃! そして路面温度は59.0℃まで上昇し、サーキットトライアル(サートラ)には非常に厳しいコンディションとなった。特にターボ車両にとっては水温のコントロールをはじめとした車両のクールダウンをいかに行うか、そして全ての参戦車両はタイヤマネジメントをいかに行うかで勝負が左右される一戦となった。

2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権 第4戦
(2024筑波チャレンジクラブマンレース第3戦 内)

開催日:2024年7月27日
開催地:筑波サーキット(茨城県下妻市)
主催:VICIC

 数年前はエントリー台数が減っていた筑波サートラだが、ここ数年で再び盛り上がりを見せている。2045mという距離と最長でバックストレートの437mという短さもあり、多彩な車種がエントリーしているのもこのシリーズの特徴だ。しかも、そんな短いコースにA組では25台が一斉にコースイン。1台ずつの車間は100mもない中でタイムアタックを行わなくてはならないのだ! そのため、筑波ではアタック中にヘッドライトを点灯することが通例となっている。後ろからライトを点灯する車両が近づいてきたときはラインを譲るなど、マナーも徹底されているのも特徴だ。

 CT1クラスでは、ここまで王座争いをリードしている日産GT-Rを駆る溝口敦子選手に、GDA型スバル・インプレッサWRX STIをドライブする澁澤栄一選手が挑む構図。ここまで辛くも逃げ切ってきた溝口選手は、前日から筑波入りしてクリアラップをとる練習をしてから今回の一戦に臨む入念さ。CT2クラスではマツダRX-7からシーズン中にポルシェ718ケイマンGT4に乗り換えた森田正穂選手と、同じ車両を操る松代耕二選手の一騎討ちだ。他にも、CT5クラスでは2024シーズンからフル参戦を始めた鯉渕慶比古選手とディフェンディングチャンピオンの石井均選手が熾烈な争いを繰り広げている。第4戦も各クラスで激しいタイムアタックが行われた。

CT1クラス

 CT1のランキングトップを走るのは、子育てママでもあるという溝口選手。ここまで3戦3勝と、負けなしの成績を収めている。しかし、2位を獲り続ける澁澤選手はこのサーキットを知り尽くした“筑波マイスター”のひとり。二人のタイム差は毎戦、極僅かだ。

 第4戦の第1ヒートはエントリー受付順で、A組はこのクラスの馬場元選手からコースインすることになった。先頭でコースインした方が、いきなりアタックに入れることから筑波でのタイムアタックでは圧倒的に有利だ。

 そして、A組の第1ヒートは8時からの15分間で始まった。コースイン時の外気温は27.9℃、路面温度は32.1℃だ。第2ヒートが10時から開始することを考えれば、このヒートのタイムで順位が決定してしまうことは多くのドライバーが想定済み。そのため、第1ヒートからシビアな“場所取り合戦”が始まっていく。

 そんな中、最初にターゲットタイムをマークしたのは澁澤選手。しかし、6周目に溝口選手が1分1秒293をマークしてターゲットタイムを塗り替える。澁澤選手も溝口選手とほぼ同時にアタックに入るが、自身が2周目に記録したタイムを僅かに塗り替えるが溝口選手には及ばない。AWDではタイヤへの負荷が大きく、後半にタイムを伸ばすドライバーはおらず、第1ヒートは溝口選手がトップで折り返した。

 タイムアップは厳しいと思われた第2ヒートは気温が31℃まで上がり、路面温度は42.8℃まで跳ね上がった。大方の予想通りタイヤが悲鳴をあげてしまい、全ドライバーがタイムダウン…。この結果、溝口選手が今季4勝目を勝ちとってチャンピオンを確定させた。

 そんな溝口選手は、「1本目の方が気温も低かったので、タイムを出しにいこうとしてキチンと残せたのが良かったです。金曜日に練習に来て、あえて20台いる枠を走ってクリアのつくり方を練習してから本番に入れたのが良かったです。だから、今までの大会よりも随分周回数も減ってきましたね。自分が得意なのはS字からの第1ヘアピンなので、5㎝ずつでも奥にブレーキングを持っていけるよう頑張りました。ここでチャンピオンが決められたのはとても嬉しいです。とにかくいい結果を残せて満足しています」とチャンピオンを確定させた走りについて、満面の笑みで語ってくれた。

 一方、2位に甘んじた澁澤選手は「チューニングカーはどこかで無理していることもあり、“ここでいく!”って時にしっかりいけないとダメなんですよね。2000㏄ターボ車では、大排気量のマシンにはこの気温では敵わないです。2本目もタイムアタックを試みたんですが、タイムも伸びなかったので早々に切りあげました。今年はGT-Rの年でしたね」と悔しさを滲ませていた。

CT1クラスは2024シーズン開幕からの連勝を伸ばすべく、前日も筑波サーキットで走りこんだ溝口敦子選手(ママのおでかけGT-R)が総合トップも奪うタイムで開幕4連勝を飾り、チャンピオンも確定させた。
CT1の王座奪還を狙う、澁澤栄一選手(ゼロマックスGDAインプレッサ)は4戦連続の2位。今季も2023シーズンに続き、パワーで優るGT-Rの後塵を拝し続けている(左)。3位は第1ヒートでコースに一番乗りした馬場元選手(ALEX VAB弐号機)が佐藤周平選手(ALEX VAB)を僅差で下して3位を獲得した(右)。
表彰を受けたCT1のトップ3選手。左から優勝した溝口選手、2位の澁澤選手、3位の馬場選手。
2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT1クラスチャンピオン 溝口敦子選手
「今シーズンから筑波サーキットの選手権に参戦させてもらったんですが、常に自分との闘いでした。そして、子供たちがいる中での参戦なので、家族のスケジュールとの闘いでした(笑)。初参戦の年にチャンピオンが獲れて嬉しいです」

CT2クラス

 前述のとおり絶対王者として君臨する森田選手に挑む松代選手、718ケイマンGT4を駆る二人がしのぎを削るCT2。シリーズはここまで松代選手が開幕二連勝を挙げ、森田選手は新車両のデビューとなった第3戦で勝利を挙げている。

 この第4戦で松代選手が優勝すればチャンピオンを確定させられるが、森田選手がそれを許さなかった。第1ヒートではリアタイヤだけ新品タイヤに履き替えて挑んだ松代選手だったが、最初のアタックラップの最終コーナーでリアを大きくスライドさせてしまう。このミスによって大きく順位を後退させてしまった。

 一方、森田選手は2周目に1分1秒台のタイムを記録しこのクラスをリード。さらにタイムを上げようと息をひそめていた森田選手が動いたのは最終盤! コース上から徐々に車両がいなくなってきたところを狙ってアタックを開始させると、自身によるターゲットタイムを更に引き上げる1分1秒558をマークした。

 第2ヒートでは誰もタイムアップは叶わず、森田選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝を収めた。この結果、このクラスは森田選手が2勝、松代選手も2勝をゲット。更に互いに勝利を逃した2戦では2位を獲得しているので全くのタイポイントとなり、10月開催の最終戦に臨むこととなった。

 貴重な1勝を挙げた森田選手だが、「1本目の方がちゃんと走れましたね。まだポルシェに乗り慣れていない、といった感じです。前回の筑波から練習していないのも原因なんですが…。RX-7と比べて重いのと、ノーマルのサスペンションなんでどうしても動きが大きくなるんです。例えば1コーナーからS字、第1ヘアピンまでの間を(マツダ・)ロードスターのように丁寧に荷重移動をしながら滑らかに乗りたいのに… っていう感じですね」と、新たな相棒の扱いに課題も多いようだ。

 更に、「前回は新品タイヤ効果で松代選手に差をつけられたんですが、今回はタイヤの条件がほとんど同じで、ギリギリの勝利だったのでもう少し頑張らないといけないと思っています」と、チャンピオンを賭ける最終戦に目を向けていた。

 一方、2位に入った松代選手は「セッションの最後に抜けていく選手が多いと予想して、走りやすいタイミングを見つけてアタックしたのですが…。最後は雨乞いするしかありませんね。慣れた電子制御で森田さんを上回るしかないです(笑)」と、悔しそうに語った。

CT2クラス王者、森田正穂選手(寝不足☆ましゅ~GT4)は全体でも2位に入る好タイムをマークして二連勝。最終第5戦に王座防衛を賭けて挑むことになった。
CT2で開幕二連勝を飾るも、森田選手の逆襲を受けている松代耕二選手(718CaymanGT4)は2戦連続の2位により、森田選手に獲得ポイントで並ばれた(左)。ポルシェ718ケイマンGT4を駆るトップ2には離されてしまったものの、佐藤雅士選手(ウィステリアER34)が3位を獲得した(右)。
CT2は王座を争う、優勝した森田選手(左)と2位の松代選手(右)が表彰を受けた。

CT3クラス

 日産・フェアレディZを乗り継いできた永藤光雄選手の単独参戦となってしまったCT3クラス。それでも永藤選手は渾身のアタックを決め上位クラスに食い込む走りを見せた。「1本目は珍しく朝一だったので路面が良かったですね。2本目はタイヤカスを拾わなくて良かった部分はあるんですが、暑さがたたってタイムは伸ばせませんでした。CT4クラスのトップの選手にくっついて、引っ張ってもらいながらアタックできたのは良かったです。今日の自分の走りは80点!」と笑顔で感想を語ってくれた。

CT3クラスは永藤光雄選手(ピカチュウZ)のみの参戦で不成立となってしまったが、永藤選手はCT2の3位相当のタイムを記録した。最終戦は逆転チャンピオンがかかる舞台となる。

CT4クラス

 激戦のCT4クラスは13台のエントリー! ここまで王座争いをリードしている宮崎邦紘選手が無傷の開幕三連勝で第4戦を迎えた。今回の一戦で上位を獲得すればチャンピオンが確定する。ランキング2番手の小林公教選手もこのまま独走を許したくはないはず。宮崎選手の勢いを止めるのは誰か、が注目された。

 そんなCT4の第1ヒート、まずは3周目に小林選手があと少しで1分4秒台というタイムでターゲットタイムをマークする。一方、宮崎選手はなかなかクリアラップがとれない。しかし、開始約9分で宮崎選手が1分4秒台に突入しトップタイムを更新! その後はこのタイムを塗り替える選手は現れず第1ヒートが終了する。

 そして第2ヒートは上位クラスと同様の流れ。自然吸気のエンジンとはいえ、この暑さではGR86といえどパワーダウンは必至…。誰も宮崎選手のタイムを超えるドライバーは現れず、開幕4連勝を達成してチャンピオン確定となった。

 宮崎選手は今回の一戦を振り返って、「今日、始めてGTウィングを導入したんですが、リアのグリップが上がったのは良かったんですがどうしても低速コーナーで曲がらなかったです。2本目、GTウィングを外していって動きは良かったんですが、この暑さではタイムが上がりませんでしたね…」と語った。2025シーズンに開催予定のJAFカップでの活躍への期待も高まるドライバーだ。

CT4クラスは宮崎邦紘選手(Tiレーシングお上品GR86)が両ヒートともクラス唯一となる1分4秒台を叩き出し、開幕4連勝を果たして一気にチャンピオンを確定させた。宮崎選手は富士スピードウェイを舞台とした富士86BRZチャレンジカップのJP-2Sクラスでも開幕二連勝を飾っている、レーシングドライバーだ。
トップ4を占めたGR86勢が1秒以内にひしめいたTC4は、小林公教選手(アンリミ湘工冷熱GR86)が優勝した宮崎選手と約0.2秒差で、第1戦以来の2位に入った(左)。3位は第2ヒートで走行しなかったOHSUMI TAKU選手(OSエナペタルIDI☆ZN8)が第1ヒートのタイムで獲得した。
CT4は上位6選手が表彰を受けた。左から優勝した宮崎選手、2位の小林選手、3位のOHSUMI選手、4位の市川忠康選手(サンライズDXLポンコGR86)、5位の高岩良行選手(DXLクレバー22Bスイフト、6位の大森圭選手(A`PEXi-DXL-BRZ)。
2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT4クラスチャンピオン 宮崎邦紘選手
「なんとか逃げ切れたので最終戦はお休みしたいと思います。今年JAF戦仕様に車高も上げて、排気系も交換したのでスペックダウンしてしまったんですが、それでも2月の時に(1分)2秒台を出したかったですね。来年はしばらく誰にも更新されないようなレコードタイムを記録できるように頑張りたいと思います」

CT5クラス

 CT5以降はB組での走行となった。A組から20分遅れてコースインすることから、路面状況はA組よりも難しくなる。そんなCT5で気を吐いたのは、ランキングトップに立つEK4型ホンダ・シビックを駆る鯉渕慶比古選手だった。第1戦こそスズキ・スイフトスポーツを操る石井均選手に僅差で敗れたものの、第2・3戦を連勝し、第4戦はチャンピオン確定を賭けた一戦だ。

 石井選手がタイムメイクに苦しむ中、早々にタイムを出してきたのは鯉渕選手。そして、NA型マツダ・ロードスターをドライブする斉木雅昭選手が二人の争いに割って入る。しかし、クリアラップを虎視眈々と狙っていた鯉渕選手は、4周目で1分7秒台に突入するターゲットタイムをマークした。

 最後までクリアの確保に苦しんでいた石井選手は、終了間際に1分8秒332をマークして2番手まで順位を上げるも鯉渕選手のタイムには届かない。もちろん第2ヒートはA組と同じくタイムアップが厳しい状況。この結果、鯉渕選手は逃げ切ることに成功し、初参戦のシーズンながらチャンピオンを確定させた。

「やっとリアが落ち着いてきてシビックらしい走りができるようになってきました。2本目の方が再現性の高い走りができたんですが、1本目の条件が良かったのでタイムアップはできませんでした。1本目のアタックラップのときに、ダンロップ(コーナー)でちょっと引っかかってしまったんですが、それでもきちんと踏んでいけたのでタイムが出たんだと思います。嬉しいです」と、鯉渕選手は翌日に控えるTTC1600に参戦する兄・貴比古選手へのエールとなる勝利を挙げた!

 一方、2位となった石井選手は「いやぁ、この気温ならこのタイムが限界ですね。タイヤもずっと走り続けることはできませんし…。とにかく相手が速すぎましたね」と厳しい表情で分析していた。

CT5クラスの鯉渕慶比古選手(TECmscテンロクシビック)は、兄の貴比古選手がEK9型ながら同じホンダ・シビックを駆ってレースのTTC1600に参戦、兄弟で筑波に挑んでいる。今回の一戦は第1ヒートでクラス唯一の1分7秒台を叩き出し、三連勝でチャンピオンを確定させた。
第1戦でCT5を制した石井均選手(小富士スイフト@DXL)は3戦連続の2位を獲得。第2戦以降は鯉渕選手の後を追う展開となり王座防衛は果たせず、ランキング2位が確定した(左)。第1ヒート序盤から気を吐いた斉木雅昭選手(ラブカエンドレスロードスター)が、今季最上位の3位獲得を果たした(右)。
CT5は左から、優勝した鯉渕選手、2位の石井選手、3位の斉木選手、4位の大輪清選手(DXLきいろいスイフト)が表彰を受けた。
2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT5クラスチャンピオン 鯉渕慶比古選手
「初めてJAF戦に出て、みなさんレベルの高い中でチャンピオンが獲れたのはとても嬉しいですね。クルマはもっと速く走れると思うので、来年は自分ももっと速くなって戦いたいです」

CT6クラス

 CT6クラスはRWDのND型ロードスターとFWDのコンパクトカー勢の対決が見もの!しかし、このクラスもCT5と同様、堀知海選手が第1戦こそ安本悠人選手に敗れるも二連勝で今回の一戦に乗りこんできている。

 ND型ロードスター使いたちが占めるランキング上位陣に割って入っているのがRWDの軽自動車、スズキ・カプチーノを駆る吉崎久善選手だ。ひとり異質とも思えるライン取りで走る吉崎選手はまさに職人という言葉がピッタリ! 熟成された車両を筑波マイスターの卓越したテクニックで操り、ND型ロードスター勢に食らいついている。

 第1ヒートは、開1戦ウィナーの安本選手がCT5の上位勢にも勝るターゲットタイムを記録して始まった。序盤から周回を重ねるごとにリーディングボードが入れ替わっていくが、4周目に堀選手がCT5のトップタイムを上回る驚異の1分7秒735をマーク!このタイムにはほぼ全てのドライバーがお手上げ状態になってしまった。

 堀選手はこの一発のタイムで第4戦の勝利を掴んだ。「今日に合わせてしっかりと準備してきたことが、実を結んで良かったです。1本目はちゃんと車速も乗って良い走りができました。2本目は暑さからかグリップも落ちてしまい、曲がらないコーナーもあって厳しかったですね。1本目のアタックラップはダンロップから80Rでアクセルをほぼ抜かず、良いアタックができたと思っています」と、堀選手は今季がシリーズ初参戦にも関わらず確定できたチャンピオンにご満悦の様子だった。

第2・3戦を続けて制し、王座に手をかけて今回の一戦に臨んだCT6クラスの堀知海選手(OKAYUロードスターND)。第1ヒートでB組全体のトップタイムをマークする好走を見せて大一番を制し、チャンピオンを確定させた。
CT6の安本悠人選手(ザーレンpro・μロードスター)は3位以下を1秒以上離すベストタイムを第1ヒートでマークするも、堀選手の速さには及ばず、3戦連続の2位獲得となった(左)。第2戦以来の参戦となった日向孝之選手(シリウスPNロードスター)は今季初のトップ3となる、3位に入った(右)。
CT6のトップ3、左から優勝した堀選手、2位の安本選手、3位の日向選手が表彰された。
2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT6クラスチャンピオン 堀知海選手
「今年初めての参加だったんですが、全ての大会がドライだったことにとても助けられました。正直、雨の走行経験が圧倒的に少ないので、雨が降ったら… というのが心配でした。最終戦はまだどうなるか分かりませんが、最後もしっかり走って終わりたいと思います」

CT7クラス

 昨季チャンピオンの日向孝之選手がCT6に転向したこともあり、参戦台数が少なくなってしまったCT7クラス。台数が減ったとはいえ、その面子は非常に濃いドライバーばかり! 筑波をホームコースにしている彼らの争いは、意外にも早々に決着がついてしまった。

 第2ヒートでの気温上昇を見越して、一発勝負と割り切ったT.Sakamoto選手が2周目に2番手を2秒近く引き離すベストタイムをマークする。当然のことながらこのタイムを抜けるドライバーは現れず、Sakamoto選手がそのまま勝利を収めた。

 走行後、Sakamoto選手は「久しぶりにアライメントを変えてきました。キャスターを寝かせたことで曲がりやすくなったのは予想どおりだったんですが、めちゃくちゃオーバー(ステア)になってしまって、2周目以降はスピンしまくってしまいました。最終戦は新品タイヤを用意して、昨年の最終戦で日向さんに塗り替えられたコースレコードをもう一度塗り替えしたいと思います」と、今季最後の戦いに向けた意気込みも語ってくれた。

CT7クラスはT.Sakamoto選手(QUARTZ ROADSTER)がコースイン早々にマークした、1分12秒593のトップタイムを破る者は本人含めて現れず、Sakamoto選手は第2戦以来の勝利を挙げてチャンピオンを確定させた。
CT7は優勝したSakamoto選手が表彰を受けた。
2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権CT7クラスチャンピオン T.Sakamoto選手
「チャンピオンといっても、僕が速くなったというよりも日向選手がCT7を卒業して獲れたというのが正直な感想です。ノーマル車両ではこのタイムが限界だと思うのですが…。最終戦に向けて、全油脂類交換してまたアタックしたいと思います」

CT8クラス

 ハイブリットカーや電気自動車で争われるCT8クラスは、日産・ノートe-POWERで参戦する遠藤幸和選手ひとりの参戦となり不成立に。しかし、遠藤選手はコースレコードを塗り替える好走を見せた。「このクルマはバッテリー容量が全てなので、一瞬のアタックが全てなんです。大好きなサーキットなのでレコードタイムを更新できたのは本当に嬉しいです!」と、喜びを露わにした。

 次戦、最終第5戦は約3カ月後の10月26日に開催される。CT2とCT3は王座争いが最終決着、他クラスは来季のJAFカップに向けてポイントを稼ぐためにも、最終戦も熱いアタック合戦となりそうだ。

CT8クラスは第3戦時点でシリーズが不成立となってしまったが、第4戦も遠藤幸和選手(遠藤工務店ノートe-Power)が参戦、コースレコードを更新する健闘を見せた。

フォト/大野洋介 レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部

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