生誕100年を迎えた忠犬ハチ公の名がつくラリーで橋本奨/吉田知宏組が接戦を制す!

レポート ラリー JAFWIM

2023年7月4日

冬に東北・秋田の地で開幕した2023シーズンのJAF東日本ラリー選手権は、第4戦で再び秋田県に戻り、大館市周辺で「第41回どんぐりハチ公ラリー」が今季初のグラベルラリーとして6月24~25日に開催された。この一戦の後は、1月に予定されていた第1戦が8月に延期されて秋田県横手市周辺で開催されることが決まっており、残り2戦が秋に、ともに長野県を舞台とするラリーとして行われる予定だ。

2023年JAF東日本ラリー選手権 第5戦
JMRC東北ラリーシリーズ第4戦
第41回どんぐりハチ公ラリー

開催日:2023年6月24~25日
開催地:秋田県大館市周辺
主催:DSCC-A

 シリーズを折り返す今季4戦目の開催となった今回のラリーは、“忠犬ハチ公”の故郷である秋田県大館市を拠点として行われた。東京・渋谷駅のシンボルとして知られるハチ公像のモデルとなった秋田犬ハチは、今年で生誕100年を迎えるとあって、その名を冠するラリーも、メモリアルな一戦となった。

 ラリーは昨年も使用された1本の林道を使用。まずセクション1で3.504kmのSSを2本走行した後にサービスイン。セクション2は、セクション1のSSを逆走で、ほぼ同距離の3.604kmを再び2本走ってゴールという設定だ。SSの路面は基本的にはグラベルだが、途中に数カ所、舗装の区間がある。梅雨時ということもあって、ラリー当日は時に小降りになったものの、終日、雨が降り続く中でのバトルとなった。

“忠犬ハチ公”生誕100年を迎えたシーズンのこの一戦では、各クラスを制したクルーに生誕100年を記念した忠犬ハチ公のぬいぐるみも贈られた。また、大文字焼で知られる鳳凰山を背景に、秋田犬の子犬が佇む写真が載った盾が入賞した選手たちに贈られた(左)。あいにくの天候となってしまったが、サービスパークとなった大館市役所比内支所の駐車場には勝利を目指すクルーたちが集った。奥に建つ比内支所の建物にも、忠犬ハチ公生誕100年を記念するバナーがかかっている(右)。

BC-1クラス

 このラリー最多の13台がエントリーしたBC-1クラスはディフェンディングチャンピオン、関東勢の渡辺謙太郎/伊藤克己組の三菱・ランサーエボリューションIXが、SS1で東北勢の橋本奨/吉田知宏組のスバル・インプレッサWRX STIに3.4秒差をつけるベストタイムをマーク。再走のSS2ではタイムを落とすも、再び橋本組を0.8秒差で下してベストを連取。すでに今季2勝を挙げている好調ぶりをこの一戦でもアピールする。

 しかし逆走となったSS3では、橋本/吉田組がこのSSで3番手に終わった渡辺/伊藤組を1.5秒凌ぐベストタイムをマークして、その差を2.7秒まで詰めて反撃を開始。橋本/吉田組はSS3の再走となる最終のSS4でも自身のベストを3.6秒も削り取る渾身の連続ベストを叩き出し、土壇場で渡辺/伊藤組を0.7秒差で逆転して今季初優勝を飾った。「SS4をスタートする前は、正直、追いつけないな、と思ったけど、コ・ドラの吉田選手が、“あきらめんのか!”とハッパかけてくれたんで、一発に賭けました(笑)」という橋本選手。

 さらに「多分、コーナリングスピードはSS3とそんなには変わってない。ストレートからのブレーキング等でタイムを詰めた感じです。雨で危ないコンディションだったのでそれまでは抑え気味だったけど、攻めたら意外とグリップしてくれてブレーキロックも一度もなかった。結果的には“もっと行けたな”と思いながらSS4をゴールしました」と大接戦を振り返った。

「アップダウンがあって楽しい道。どちらかといえばセクション2の方向の方が好き」という橋本選手は、このラリー二連覇を達成。今季の事実上の開幕戦となった1月のスノーラリーの第2戦では、奇しくもこの一戦と同じ0.7秒差で渡辺/伊藤組に敗れて2位に甘んじただけに、吉田選手とともに見事リベンジを果たした。

 渡辺/伊藤組と同じ関東勢の村里尚太郎/御纒喜美子組はSS2以降ではトップ2台と互角のスピードを見せたが、SS1の遅れが響いて3位にとどまった。

2023シーズン開幕となった第2戦で、接戦の末にBC-1クラス2位となって以来の参戦となった、橋本奨(左)/吉田知宏(右)組(たばしね雪山俱楽部ハザードGRB号)。橋本選手が「どちらかといえば好き」と言うSS3・4で猛追を見せて逆転優勝を果たし、ランキングでも橋本選手が3番手、吉田選手は2番手に上げた。
SS1と2を連取し、第4戦に続きBC-1二連勝を狙った渡辺謙太郎/伊藤克己組(dirtroadランサー)だったが、SS3と4での橋本/吉田組の反撃に屈して2位。それでも渡辺選手はランキングトップを守り、伊藤選手は吉田選手と同点でランキング2番手につけた(左)。SS3では渡辺/伊藤組を上回り、橋本/吉田組に0.4秒差に迫る2番手タイムをマークした村里尚太郎/御纏喜美子組(メープルDXL・ADVANランサーエボ7)が、今季最上位の3位を獲得。村里選手はランキング2番手、御纏選手はランキングトップを守った(左)。
BC-1の上位6クルー。左から2位の渡辺/伊藤組、優勝した橋本/吉田組、3位の村里/御纏組、4位の菊池恒博/熊谷悠希組(アヤベMOTUL EBインプレッサ)、5位の甲谷直樹/中澤直人組(ワコーズチノネスポーツランサー)、6位の熊坂敏彦/熊坂時男組(ヤマヤオート・スノコ・ランサー)。

BC-2クラス

 BC-2クラスは昨季もこのラリーを制している青森の吉田健人/林浩次組の三菱・ミラージュが、SS1で総合でも4番手となるクラスベストタイムを奪取し、好スタートを切る。吉田組は続くSS2では、総合でこそ6番手タイムに順位を落とすも再びクラスベストを奪い、2番手につけた関東勢の木下聡/佐瀬拓野組ミラージュに6.9秒差をつけてラリーを折り返した。

 だがSS3では、「選択したドライ用のラリータイヤが、後半のコンディションに合ってきた」という木下/佐瀬組が、吉田/林組を3.2秒も突き離す総合4番手のクラスベストをマーク。最終SSに大逆転の望みを繋げた木下/佐瀬組は再びクラスベストをもぎ取るが、吉田組も1.8秒差で食らいついてフィニッシュ。1.9秒差で木下/佐瀬組を抑え切った吉田/林組がハチ公ラリー二連覇を達成した。

「木下選手が速かったので、最終SSはギリギリでした。何とか勝ててよかった」という吉田選手は、「去年勝った時の乗れていた感覚がSS1から取り戻せたので最初から踏んでいけたし、4WD勢が走った後のワダチも、そういう所の走りが得意な自分には味方してくれましたね。タイヤも迷ったけど、去年のコンディションに似た感じになりそうだったので、同じレインタイヤを選択したのも良かったと思います」と、昨季の経験を生かせたことを勝因に挙げた。

 かつてこのシリーズでAE111型トヨタ・カローラレビンを駆り、アグレッシブな走りを見せていた木下選手は、ブランクを経て昨季から復活。「ようやく勘が戻ってきた。でも2秒差は悔しい。もっと何かできたのでは、と反省しきりです(笑)。次もまたグラベルのラリーに出て、勝ちを狙っていきたいですね」と、今後の巻き返しを誓っていた。

2022シーズンもこのラリーを制したBC-2クラスの吉田健人/林浩次組(BMKミラージュ)は、この一戦が今季シリーズ初参戦ながらもBC-1の上位と遜色のない、総合5位に入る速さを見せて優勝を飾った。
昨季の第5戦以来のシリーズ参戦となったBC-2の木下聡/佐瀬拓野組(project blue BRIGタクミ ミラージュ)。SS3と4で光る速さを見せて吉田/林組を追い詰めるもあと一歩届かず、2位に留まった(左)。青森・弘前で数多くの競技車両を手掛ける、ボデーメイクコダテ(BMK)を営む小舘久選手と、伴英憲選手のクルー(トーコーΩBMKミラージュ)はSS3で吉田/林組と同タイムの2番手タイムもマークして、3位に入った(右)。このクラスのトップ3は三菱・ミラージュが占め、健在ぶりを見せつけた。
BC-2の上位6クルー。左から2位の木下/佐瀬組、優勝した吉田/林組、3位の小舘/伴組、4位の佐々木松紀/遠藤誠組(ふうりん510ミラージュ)、5位の沼尾秀公/沼尾千恵美組(アトリエ510ふうりんトーコーΩスイフト)、6位の秋元星大/三上知彦組(BMKスポーツ シビック)。

BC-3クラス・B4クラス(JMRC東北ラリーシリーズ)

 BC-3クラスは、今季すでに2戦2勝とディフェンディングチャンピオンの貫録を見せている細谷裕一/蔭山恵組のNCP13型トヨタ・ヴィッツが、SS1でクラスベストを奪取。「様子見の部分もあったけど、想定したタイムが出せなかったのでSS2からはプッシュしました」と、その後もペースを緩めることなく、クラスベストを連取した。

「セクション2も下りの舗装区間が意外と滑らなかったので攻められた。ダートはワダチにタイヤを入れてあまり無理はしなかったので、今回は舗装で稼げたと思います」と、終わってみれば全SSでクラスベストをマークする快走で、早くもシーズン3勝目を獲得した。

 今季序盤のスノーラリーで3位に入った、いりえもん選手は長曽航太選手と組んで三菱・コルトで参戦。SS3で細谷組に食らいつくタイムをマークするも、背後に迫ることはできず、2位でフィニッシュ。3番手にはNCP91型ヴィッツを駆る若手の武藤亘輝/水永啓太組が入ったこのクラスは、関東勢が表彰台を独占する結果となった。

 BC-4クラスは、参加が2台にとどまったため、東日本ラリーでは残念ながらクラス不成立。JMRC東北ラリーシリーズB4クラスのバトルが展開されたが、今季もNCP131型ヴィッツのCVT車両をドライブする室田仁/鎌田雅樹組が、西村章/藤田美登里組のスズキ・アルトを抑えて優勝を飾った。

 東日本ラリーの次戦は延期された第1戦「横手ラリー2023」。スノーからターマックに、そして青森県から第5戦と同じ秋田県に舞台を移して、8月19~20日に開催される。

BC-3クラスは第3戦から参戦した昨季のチャンピオン、細谷裕一/蔭山恵組(メープルYHDXL毒苺ヴィッツ)が破竹の三連勝。4つのSS全てを制する速さで、王者の貫禄を見せた。
今季開幕の第2戦以来の参戦となったBC-3のいりえもん選手と、長曽航太選手のクルー(ドラグーンちょうそのコルト)は4SSともに細谷/蔭山組を追うクラス2番手タイムを並べて2位を獲得(左)。武藤亘輝/水永啓太組(dirtroadヴィッツ)は今季シリーズ初参戦の一戦で3位に入った(右)。
BC-3に参戦した4クルー。左から2位のいりえもん/長曽組、優勝した細谷/蔭山組、3位の武藤/水永組、4位の石倉英昭/小原大組(GARAGE Aヴィヴィオ)。
2台による一騎討ちとなり、併催するJMRC東北ラリーシリーズB4クラスとして競われたこのクラスでは、室田仁/鎌田雅樹組(DUCちのねSPルート6 BRIG Vitz)が制して二連勝を飾った。

フォト/田代康、佐久間健 レポート/田代康、JAFスポーツ編集部

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