第3戦ラリー飛鳥で勝田範彦/保井隆宏組が今季2勝目!

レポート ラリー

2026年5月19日

全日本ラリー選手権 第3戦「YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良」が、5月8~10日にかけて開催され、勝田範彦/保井隆宏組が今季2勝目を挙げた。昨年、全日本ラリーとして32年ぶりに奈良県で復活開催された本大会は、今年も奈良県天理市の天理教北大路乗降場を拠点に実施。多くの観客を集めた名阪スポーツランドのギャラリーSSに加え、今年は天理ダム周辺を走行するステージにもギャラリーエリアが設けられるなど、新たな試みが盛り込まれた。

2026年 JAF 全日本ラリー選手権 第3戦「YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良」
開催日:2026年5月8~10日
開催地:奈良県天理市周辺
主催:SYMPHONY

 5月9日のレグ1は、SS1/4「Tenridam」(3.44km)、SS2/5「Takai Memorial」(7.58km)、SS3/6「Ryujinko」(7.44km)の3SSを各2回走行する計6SS(36.92km)で開催された。そしてレグ2はSS7/10「Soni Highland」(10.07km)、SS8/11「Mt.Chausu Long」(11.32km)、SS9/12「SSS Meihan」(0.74km)の計6SS(44.26km)で争われ、合計12SS総距離は81.18kmが設定された。

 天候はレグ1、レグ2ともに晴れ。レッキが行われた7日の午前中には短時間ながら激しい雨が降り、木々に覆われた山間部の日陰には一部でウェット路面が残ったものの、2日間を通しておおむねドライコンディションのもとで戦いが繰り広げられた。

 エントリー台数は、選手権クラス57台、オープンクラス5台、クラシッククラス6台の計68台。JN-2クラスには、相原泰祐/上原あずみ組(ダイハツ・コペン)と、今回がラリーデビューとなる2024年スーパー耐久ST3クラスチャンピオンの石森聖生/村山朋香組(プジョー・208ラリー4)の2台がエントリーした。しかし、クラス成立に必要な規定台数を満たさなかったため、両クルーともJN-1クラスへ編入されることとなった。

 またJN-1クラスには、新井敏弘/安藤裕一組がスバル・BRZを4WD化した「SUBARU Boxer Rally spec.Z」を実戦投入。さらにKIZUNA/洪銘蔚組がトヨタ・GRヤリスラリー2で全日本ラリーデビューを果たしている。

ラリー飛鳥には「道の駅なら歴史芸術文化村」や「KAWAKAMI GATEWAYヤマザキYショップ」をはじめとしたリエゾン観戦ポイントを設定。また、リエゾンの沿道には協賛各社が大会の幟旗を掲げてラリーを歓迎した。
今年は天理市の天理ダムにギャラリーステージが新設され、そのアクセスは天理駅からシャトルバスが往復した。集合時刻の駅前にはご覧の人だかりで、奈良交通の協力により路線バス6台が導入されて観客輸送にあたった。
近畿日本鉄道・天理駅(公文正広駅長)の協力により、駅前ではJMRC近畿ジムカーナ部会の有志がジムカーナ競技車両を展示。天理ダムにシャトルバスで向かう観客への案内や集合場所への誘導などにも尽力してくれた。
今年のラリー飛鳥において最南端に位置した川上村では、名湯・杉の湯の一角で車両展示や大会公式グッズの販売などが行われた。施設利用者にはダムの向かいを走る競技車両を施設内から観られるサービスも提供された。
桜井市役所では昨年に続いて正面駐車場にパッセージコントロール(PC)が設定された。県南部から長距離移動してきた選手の簡易休憩所も兼ねており、今年は晴天に恵まれて大勢のギャラリーが詰めかけて声援を送った。
ラリー飛鳥ではエリア内の奈良トヨペットにもリエゾン観戦ポイントが設定され、大淀町にある吉野店では今年も県南部からラリーを盛り上げるべくラリーパークを設定し、今年はチャウピーカートサーキットも開設した。
名阪スポーツランドCコースを使ったSS9/SS12は今年もギャラリーステージが設定された。会場では、天理ダムに続いて脇阪寿一氏/今井優杏氏による実況アナウンスが行われ、超満員の観客は大盛り上がりとなった。
天理サービスパークの隣にラリーパークが設置され、恒例のGAZOO Racingブースのほか全日本ダートトライアル選手会の有志による車両展示も行われた。また、今年は天理大学のメンバーがラリー運営に携わってくれた。
天理サービスパークと奈良トヨペット吉野店にJAFブースが出展されたラリー飛鳥。今年は初の試みとして、JAF関西本部・奈良支部のレッカー車がリカバリー車両として各ステージを走行し、競技車両などの救援にあたった。
レグ1前日の7日夕刻から天理市役所でセレモニアルスタートが開催され、事前にチケットが完売したSS4「Tenridam」や「SSS Meihan」のギャラリーエリアを含め、多くの観客が会場に足を運んだ。ラリー観戦者動員数は、競技期間の3日間で延べ6万5000人(主催者発表)に及んだ。

JN-1クラス

 JN-1クラスは、開幕2連勝中の新井大輝/坂井理崇組(トヨタ・GRヤリスラリー2)がレグ1で圧倒的な速さを披露した。SS1からレグ1最終ステージのSS6までベストタイムを記録し、2番手の勝田範彦/保井隆宏組(トヨタ・GRヤリスラリー2)に32.4秒、3番手の鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)に38.9秒差をつけた。

 しかし、この日の最終ステージ後に思わぬ展開を迎える。新井/坂井組がTC1のコントロールゾーン内でフロントダクトを外した行為について、大会審査委員会に「TC内で作業を行った」と判断され、3分のタイムペナルティが科されることとなった。これにより新井/坂井組は6番手へ後退。チームは「全日本シリーズ、そしてラリージャパンに向け、チーム全体の気をあらためて引き締めるため」として、翌日のレグ2をリタイアする決断を下した。

 新井/坂井組の脱落により、首位に立った勝田/保井組と2番手の鎌田/松本組との差は6.5秒、鎌田/松本組と3番手の奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリスラリー2)との差は8.1秒、さらに奴田原/東組と4番手の福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアRSラリー2)との差は11.2秒という接戦のままレグ2がスタートした。

 続くレグ2ではSS7からSS10まで勝田/保井組が4連続ベストタイムをマーク。SS11、SS12では鎌田/松本組がベストを奪い返したものの、最終的には18.0秒差までリードを広げた勝田/保井組が今季2勝目を挙げた。

 優勝した勝田選手は「まだ理想どおりではないものの、しっかり逃げ切れました。これからも自分の理想の形に近づけるよう取り組みます」とコメント。

 2位の鎌田選手は「安定した走りができましたし、全体的なレベルアップも感じられて、良いラリーになりました」と振り返った。また「前の2台には届きませんでしたが、安定して走れたと思います」と語った奴田原選手が3位表彰台を獲得した。

JN-1クラス優勝の勝田範彦/保井隆宏組(GR YARIS Rally2)。
2位は鎌田卓麻/松本優一組(Castrol TEIN DL FABIA)、3位は奴田原文雄/東駿吾組(ADVAN KTMS GRヤリスRally2)。
JN-1クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

JN-3クラス

 JN-3クラスは、SS1、SS2を制したモリゾウチャレンジカップ(MCC)参戦勢の奥井優介/藤田めぐみ組(トヨタ・GRヤリス)が、まずは勢いを見せたが、民家の脇やダム湖畔を駆け抜けるSS3で山田啓介/藤井俊樹組(トヨタ・GRヤリス)が奥井/藤田組に5.6秒差をつけてベストタイムをマークし、首位へ浮上。その後、SS5では小泉敏志/加勢直毅組(トヨタ・GRヤリス)がベストを奪ったものの、SS4とSS6の3SSを制した山田/藤井組が、2番手の奥井/藤田組に14.8秒差を築いて初日を終えた。

 2日目に入っても山田/藤井組の勢いは衰えず、6SS中5SSでベストタイムを記録。最終的には2位の奥井/藤田組に1分以上の差をつけてフィニッシュした。山田/藤井組は「ラリー前半はさまざまなセッティングを試し、マシンだけでなく自分たちのペースも徐々に上がっていきました。勝利を意識してしっかりタイムを出しました」とコメントし、第2戦に続く2連勝を達成した。

 2位の奥井/藤田組は「初日にある程度リードを築けたことが大きかったです。2日目は初日のマージンを使いながら、しっかりペースをコントロールすることを意識しました」と振り返った。また、初日は思うようにペースをつかめなかったものの、2日目に好タイムを連発した米林慶晃/菅野総一郎組(トヨタ・GRヤリス)が3位入賞を果たした。

 また、若手ドライバーや女性ドライバーを対象に、JN-3クラス内で争われているトヨタ・GRヤリスのワンメイクカテゴリー「TGR MCC」では、奥井/藤田組が今季2勝目を獲得。2位には米林/菅野組、3位にはSS10とSS11でベストタイムを記録し、米林/菅野組を追い上げた長尾綱也/尼子祥一組(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。

JN-3クラス優勝の山田啓介/藤井俊樹組(FIT-EASYソミック石川DLGRヤリス)。
2位は奥井優介/藤田めぐみ組(CUSCO GRG水戸けやき台 DL WMヤリス)、3位は米林慶晃/菅野総一郎組(KTMS NRS GRヤリス)。
JN-3クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup

TGR MCCは左から2位の米林慶晃/菅野総一郎組、1位の奥井優介/藤田めぐみ組、3位の長尾綱也/尼子祥一組。右側写真はMCC最優秀女性ドライバーの平川真子選手。

JN-4クラス

 JN-4クラスは、開幕戦を制した山本悠太選手(トヨタ・GR86)がSS1、SS2を制して首位を快走したものの、SS3前のTC3Aで6分遅着し、1分のタイムペナルティを受けて8番手まで順位を落とす。この後退により、SS3終了時点で加納武彦/萱原直子組(スバル・BRZ)が首位へ浮上。しかしSS4終了時には、山口清司/澤田耕一組(トヨタ・GR86)がトップを奪い、そのまま首位を守って初日を折り返した。

 ラリー2日目のレグ2では、SS8で第2戦優勝の上原淳/漆戸あゆみ組(スバル・BRZ)がこのラリー初となるベストタイムを記録し、首位に浮上。その後も山口/澤田組と激しいトップ争いを展開した。上原選手は「初日と違い、2日目は負ける気がしませんでした。山口選手にはこれまで5連勝していますから、今夜は悔しくて眠れないんじゃないですかね(笑)」と笑顔を見せ、2.7秒差で逃げ切った上原/漆戸組が第2戦に続く2連勝を飾った。

 2位となった山口/澤田組の山口選手は「上原選手はこれまでリタイアが多かった印象ですが、今回はしっかり完走されましたね(笑)」とユーモアで返した。また「初日でもっと攻めるべきでした」とも振り返った。3位には、1分のタイムペナルティを跳ね返し、最終的には2位と1.9秒差まで迫った山本悠太/島根剛組が入賞した。

JN-4クラス優勝の上原淳/漆戸あゆみ組(埼玉スバル・DLKYB・シャフトBRZ)。
2位は山口清司/澤田耕一組(エナペタルADVAN久與GR86)、3位は山本悠太/島根剛組(Sammy愛知トヨタKoneルブロスYHGR86)。
JN-4クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

JN-5クラス

 JN-5クラスは、昨年の飛鳥戦で後続に1分以上の差を築きながらも、ラリー2日目の特設ステージ「SSS Meihan」で転倒に見舞われ、無念のリタイアを喫した松倉拓郎/山田真記子組(トヨタ・ヤリス)が、今戦では「SSS Meihan」を除く全SSでベストタイムをマーク。開幕3連勝を飾るとともに、昨年の雪辱を果たした。

 松倉選手は「昨年はあのリタイアによってシリーズの流れを崩してしまい、結果的にチャンピオンを逃してしまいました。林道SSはトリッキーで簡単ではありませんが、今回はかなり慎重に走って全体的にうまくまとめることができました」と振り返った。

 2位の阪口知洋/野口智恵美組(日産・マーチ)は「さまざまなことを試しながら走りましたが、第2戦以上に松倉選手との差が広がってしまったのは大きな反省点です」とコメント。3位には、昨年のチャンピオンクルーからコンビを変更した有川大輔/河本拓哉組(トヨタ・ヤリス)が入った。

JN-5クラス優勝の松倉拓郎/山田真記子組(DL☆Gセキネン鹿ソニックLOVCAヤリス)。
2位は阪口知洋/野口智恵美組(Dicastal FORVIA日産学園DLマーチ)、3位は有川大輔/河本拓哉組(CUSCO WM DL TWR OTSヤリス)。
JN-5クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

JN-Xクラス

 JN-Xクラスは、SS3を除く11SSでベストタイムを記録した天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・RAV4 PHEV)が、2位以下に2分以上の大差をつける独走で開幕3連勝を達成。天野選手は「このクルマで走るのは今回が最後。次戦は新型RAV4で参戦する予定です」とコメントした。

 2位には、SS3でベストタイムをマークした清水和夫/黒木美珠組(トヨタ・ヤリスHEV)が入賞。「久万高原に向けて足回りの課題が見えたので、アップデートして挑みます。どうにかして天野選手との差を縮めたいですね」と次戦を見据えた。3位には「充電モードのままSSを走ったり、グレーチングでパンクしかけたりとミスもありましたが、なんとか3位を守ることができました」と振り返った中西昌人/山村浩三組(ホンダ・CR-Z)が入賞した。

JN-Xクラス優勝の天野智之/井上裕紀子組(TRT DL RAV4 PHEV)。
2位は清水和夫/黒木美珠組(TCS YARIS HEV)、3位は中西昌人/山村浩三組(YH・WM・OR・マクゼス・CR-Z)。
JN-Xクラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

PHOTO/CINQ、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、中島正義[Tadayoshi NAKAJIMA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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