納富瑠衣/藤澤卓弘組が九州ラリー開幕戦でRH-2デビューウィン!

レポート ラリー JAFWIM

2026年5月12日

2026年JAF九州ラリー選手権が4月18・19日に宮崎県で開催された第1戦、『ひむかラリー2026』で開幕した。今季の九州地区戦は10月24・25日に福岡県で行われる最終戦『ACK第64回KITラリー』まで、全6戦のシリーズが組まれる。福岡県、佐賀県、大分県と九州北部が主要な開催地を占めるが、今季も九州南部では唯一、ひむかラリーがシリーズに組み込まれた。

2026年JAF九州ラリー選手権 第1戦
2026年JMRC九州ラリー チャンピオンシリーズ第1戦
ひむかラリー2026

開催日:2026年4月18~19日
開催地:宮崎県高千穂町周辺
主催:R-10-N

 ひむかラリーは4季連続で高千穂町をホストタウンとしての開催。ただし、これまで四季見原キャンプ場に置かれていたサービスパークは、高千穂町の市街地にある天岩戸多目的広場に移されて隣接する民宿、神楽の館にヘッドクォーターが置かれた。今回のラリーは2025シーズンから4クルー増となる36クルーがエントリー、全6クラス揃って成立と、開幕戦から賑わいを見せた。

 四季見原キャンプ場は昨季までサービスパークが置かれた駐車場がギャラリーポイントとなり、午前中はラリー車がこのポイントをステージ後半で通過する4.69kmの『四季見原』をまず2回走行。午後は四季見原に途中から合流する『愛宕山』7.78kmを2回走行してフィニッシュ、という設定が採られた。標高1200mの四季見原まで一気に駆け上がるルートを2往復するため、リエゾン区間は96.01km。4本のSS合計の24.94kmを加えた総距離120.95kmのラリーが用意された。

 天候はラリーウィークの半ばまでは晴天の予報が出ていたが、一転。レッキが行われた18日は雨がパラつく程度だったが、19日は朝から雨が降り出して、一部では道路を横断する“川”も現れるなど、ウェットコンディションが続く一日となった。

あいにくの雨模様となってしまった2026シーズンの『ひむかラリー』だが、今季は拠点を一新。「天岩戸神話」が伝わる天岩戸神社近くにある天岩戸多目的広場がサービスパークを担い(上)、神話アグリロードを挟んで向かいの民宿、神楽の館にヘッドクォーターが置かれた(下)。

RH-1クラス

 排気量2500ccを超えるRJ・RF・RPN車両及び排気量区分なしのRRN車両が対象となるRH-1クラスでは、ディフェンディングチャンピオンのドライバー、津野裕宣選手が車両を変更した。2024年JAF全日本ラリー選手権 第3戦『久万高原ラリー』のJN2クラスで泉陽介/石田一輝組が3位に入った実績を持つ、九州の名門・徳尾ワークスカラーの三菱・ランサーエボリューションXを引っ提げて参戦。また、津野選手の最大のライバル、松尾薫選手もGRヤリスで登場。特に、長年に渡って九州を代表するインプレッサマイスターとして知られた松尾選手の車両変更は、大きな注目を集めた。

 しかし、「この週末に初めて乗ったので、今回が実質シェイクダウンです」と語る松尾/平原慎太郎組の車両に原因不明のジャダーが起きたこともあり、SS1では津野/梶山剛組に2.1秒の先行を許し、SS2でも6.7秒差とペースが上がらず、午前のセクション1でトップの津野/梶山組に8.8秒差の2番手で折り返す。

 それでも松尾/平原組はサービスを挟んだ後のSS3では津野/梶山組に0.8秒差で競り勝ち、GRヤリスでの初ベストタイムをマーク。しかし最終のSS4がキャンセルとなったため、ここで勝負は決着。津野/梶山組が注目の新車対決を制した。

 幸先良いスタートを切った津野選手は、「このクルマでウェットを走るのは初めてだったので、最初は様子を見たり、色々試しながら走りました。クルマはいい感じだったけど、自分がまだ乗りこなせていません。でも、ウェットを初めて走った割には勝てたので、結果オーライです(笑)。次はドライで松尾選手と勝負したいですね」と、安堵の表情を浮かべた。

 一方の松尾選手は、「ジャダーは最後まで残ったので、それがなければもっと踏めたと思います。でも、クルマを乗りこなせている感ではまだ(スバル・)インプレッサの方が上なので、早くその領域にいきたいですね。GRヤリスは軽さがいいです。コーナーとコーナーの間の加速が違うって感じがします」と、次戦でのリベンジに向けて好感触を掴んでいた。

RH-1クラスで三菱・ランサーエボリューションXを駆る津野裕宣/梶山剛組(WM宮尾石油SPMランサー)とGRヤリスを操る松尾薫/平原慎太郎組(プロμトライムAZ☆GRヤリス)の新車対決は、セクション1を制した津野/梶原組に軍配が上がり、勝利を収めた。
RH-1の松尾/平原組は車両トラブルの影響でSS3のベストタイムでようやく本領発揮と出遅れ、新車デビューウィンはならず2位となった(左)。9クルーで争う今回のラリー最大の激戦区となったこのクラスで、阪本寧/阪本瞳子組(SRエナペタルBRIGランサー)はランエボIXをドライブしてSS2で2番手タイムを獲り、3位に入った(右)。
RH-1の表彰は写真上左から、2位の松尾/平原組、優勝した津野/梶山組、3位の阪本組、写真下左から、4位の神田和博/後藤義則組(城島高原ファイベックスランサー)、5位の廣川慎一/森下志朗組(トライアム・アズリードGRヤリス)、6位の前田耕造/前田雅子組(MKテック・ランサー)が受けた。

RH-2クラス

 1501~2500ccのRJ・RF・RPN車両が対象のRH-2クラスは昨季、黒原康仁選手とのデッドヒートを制してドライバーチャンピオンを獲得した前田宜重選手が姿を見せず、黒原/松葉謙介組スズキ・スイフトスポーツが俄然優位のラリーになるかと思われたが、意外な展開を見せる。SS1でベストを獲ったのは、黒原/松葉組が所属する大分県のJAF加盟クラブ、ラリークラブオオイタ(RC-大分)の後輩でもある、ZN8型GR86を駆る納富瑠衣/藤澤卓弘組。2022シーズンの最終第7戦から、ホンダCR-Zを操ってRH-6クラスでほぼ無敵の強さを誇ってきた納富選手のクラス転向も今回、大きな話題を呼んだ。

 しかし、SS2は黒原/松葉組が先輩の意地を見せて納富/藤澤組を2.5秒差で下して、2.1秒差まで詰めて折り返す。続くSS3で逆転を期した黒原/松葉組だったが、「レッキの時と路面の様子が変わっていたので、前半ちょっと抑え過ぎたかもしれない」と、このステージは納富/藤澤組に0.6秒遅れをとったため、逆転は果たせなかった。

 クラス転向、そしてGR86でのデビューウィンを飾った納富選手は、「セッティングは事前に出せていたので、今日は減衰を調整した程度。9割くらいの走りはできたと思います。届かない存在だと思っていた黒原さんと勝負できたことが嬉しかったです」と喜んだ。今季からシリーズ規定が変わり装着が認められた通称“Sタイヤ”をチョイスしたことも、「最初から熱が入ってくれるので、スタート後の1コーナーも2コーナーも怖くなかったですね」と、勝因の一つに挙げた。

「朝から路面が濡れていたので、縦溝がある方が強いと思って」と、スポーツラジアルタイヤを選択した黒原選手は、「最後の最後で逆転するつもりだったんですけど(笑)、SS1から“置きにいく走り”をしてはダメだということですね。タイヤの差は分からないけど、クルマの差はなかったと思います」と、接戦を振り返った。

ZN8型GR86に乗り換えてRH-6クラスから転向してきた、ドライバーの納富瑠衣選手(藤澤板金BRIDEYHGR86)はコ・ドライバーに藤澤卓弘選手を迎え、RH-2クラスデビューウィンを飾った。
スズキ・スイフトスポーツを駆る黒原康仁/松葉謙介組(itzz YH TCSRスイフト)はチームメイト対決に敗れてRH-2の2位になったものの、SS3を制してJAF全日本ラリー選手権参戦クルーの意地を見せた(左)。林大河/有川大輔組(TWRクスコG38DLWM86)、ZN6型トヨタ86をドライブする地区戦チャンピオン経験者同士のクルーは3位を獲得した(右)。
RH-2は4位までのクルーが表彰された。左から2位の黒原/松葉組、優勝した納富/藤澤組、3位コ・ドライバーの有川選手、4位の枝光展義/枝光裕子組(DLSPMNRMBRZ/TWR)。3位ドライバーの林選手は欠席。

RA-3クラス

 RH-3クラスは1500cc以下のRJ・RF車両が対象となる。昨季のチャンピオンドライバー、有川大輔選手はRH-2でコ・ドライバーとして今回のラリーに参戦。有川選手と王座を争った三苫和義選手は欠場となったため、本命なきバトルが予想された。昨季をシリーズ3位で終えたドライバー、三浦勇二選手がコ・ドラの三浦勇輝選手と組み、北垣恵一/河本拓哉組を0.3秒差で下してSS1のベストを奪う。

 しかしSS2では、「SS1は雨脚が強くなったので様子見したところがありました」と振り返った近藤員章/川野想一朗組が、北垣/河本組を5.5秒差で下すベストをマークして一気にトップに立つ。2年前のこのラリーではクルーを組んで(トライバー北垣選手、コ・ドラ近藤選手)優勝した両者のバトルはSS3にもつれたが、ここでも近藤/川野組は9.7秒差で北垣/河本組を下すスーパーベストをマーク。13.2秒の大差を築いて優勝した。

 30歳の近藤選手は今回の一勝がドライバーとして地区戦初優勝。「SS1がトップから2秒差だったので、“今日は戦える!”と思いました。SS2でペースを上げたらキロ1秒勝てたので、その勢いのまま最後まで走り切ったんです。予報が変わったので、金曜の内にウェットセットに変えたのが良かったと思います。今年はチャンピオンを狙っていけるんだな、とちょっと自信がつきました」と笑顔を見せた。

RH-3クラスはマツダ・デミオを駆る近藤員章/河野惣一朗組(TWR FIGMARTにちりんデミオ)がSS2で逆転、SS3も制して逃げ切り優勝を果たした。
131型トヨタ・ヴィッツを操り、RH-3で3SSとも2番手タイムをマークした北垣恵一/河本拓哉組(TWRヴィッツ)が2位に入った(左)。SS1をベストで発進した、デミオをドライブする三浦勇二/三浦勇輝組(KOMレーシングデミオ大分高校)は残る2SSではベストを獲れず、3位に終わった(右)。
RH-3はトップ3クルーが表彰を受けた。左から2位ドライバーの北垣選手、優勝した近藤/河野組、3位の三浦組。2位コ・ドライバーの河本選手は欠席。

RH-4クラス

 1500cc以下の2WDの中でも、改造範囲が狭いRPN車両が対象となるRH-4クラスは昨季、6戦全勝で満点チャンピオンを獲った泉勇希/WATAKEN組が今季も残留。車両もホンダ・フィットRSのままだが、泉選手が『CUSCO & WinmaX & DUNLOP Bライセンス競技 若手育成支援プログラム』のサポートを受けることになり、参戦体制が充実された。

 結果は今回のラリーも泉/WATAKEN組が2位以下に50秒近い大差をつけて、全SSベストであがる快走を見せた。しかし、目標としていたRH-3のベストにはSS1こそ凌いだものの、SS2とSS3では及ばず、トータルでもRH-3を制した近藤/川野組には0.3秒届かなかった。泉選手は、「SS3の前半が川も出てたりしていたので、ちょっと置きにいく走りをしてしまいました。今から考えると、もっとハングリーに走ってもよかったと思います」と、へビーウェットでの走りが今後の課題と振り返った。

RH-4クラスはホンダ・フィットRSで挑んでRH-3勢とも争うタイムを連発した昨季の王者、泉勇希/WATAKEN組(クスコWMDL KOCフィット)が圧勝、連勝を7に伸ばした。
RH-2の上清瑞穂/内藤通孝組(レッドバロン荒木自動車ヤリス)はトヨタ・ヤリスを駆って3SSとも2番手タイムで2位を獲得(左)。91型ヴィッツを操る廣瀬友久/小原ひろみ組(K&K13大川ボディヴィッツ)も3番手タイム三連発で3位フィニッシュを果たした(右)。
CT4は参戦した4クルーが表彰された。左から2位の上清/内藤組、優勝した泉/WATAKEN組、3位の廣瀬/小原組、4位の西田侑弘/冨安純組(チャレンジマーチnismo-V)。

RH-5クラス

 RH-5クラスは1500ccを超えるオートマチックやCVT、いわゆるAT搭載、または1500cc以下の後輪駆動あるいは4WDでAT搭載のRJ・RF・RPN車両、またはRH-6に含まれないAE車両が対象となる。JAF九州ジムカーナ選手権のATクラスにフォルクスワーゲン・ポロGTIで参戦するドライバー、福崎慎吾選手が山下直樹選手をコ・ドライバーに迎えて参戦。全SSでベストを奪う走りで開幕戦を制した。

「ジムカーナ用の足まわりのままで走ったけど、違和感はなかったです。ラリーは去年までランサーでスポットで出てましたが、アクセルベタ踏み人間にはハイパワー車はダメだと痛感したので(笑)、このクルマがちょうどいいのかもしれませんね」と、福崎選手は語った。EP71型トヨタ・スターレットを駆っていた時以来、実に42年ぶりと明かしたラリーでの金メダル獲得に、笑顔が絶えなかった。

 なお昨季のシリーズ終盤からAT仕様のZN6型トヨタ86で挑み、ぶっちぎりの二連勝を決めた山田益丈選手はコ・ドラの山田芽生選手と参戦。日産・リーフを駆る昨季のドライバーチャンピオン、常慶明秀選手とコ・ドライバー越智翔優選手のクルーからの追撃はかわしたものの2位に終わり、初黒星を喫した。

RH-5クラスはフォルクスワーゲン・ポロGTIを駆りスラローマーとしても活躍するドライバー、福崎慎吾選手(スクーデリア☆POLO)とコ・ドラの山下直樹選手が3SS全てトップを奪取、福崎選手は久々のラリー優勝を果たした。
昨季終盤にAT仕様のZN6型86をドライブして鮮烈なRH-5デビューを果たしたドライバー、山田益丈選手(DL安川AD・TW親子AT86)はコ・ドラの山田芽生選手と挑み、三連勝ならずも2位を得た(左)。昨季ドライバー王者の常慶明秀選手(日産福岡・アルテック・リーフ)は新たに越智翔優選手をコ・ドライバーに迎えて、日産・リーフを操り3位に入った(右)。
RH-5も参戦した4クルーが表彰を受けた。左から2位の山田組、優勝した福崎/山下組、3位の常慶/越智組、4位の岩本裕輝/濱地幸那組(TWR-KITATスイフト)。

RH-6クラス

 RH-6は1586cc以下でATを搭載する前輪駆動のRJ・RF・RPN車両、及び1800cc以下でAT搭載のAE車両が対象で、ハイブリッドとプラグインハイブリッド車はAEに限られる。全日本ドライバーの中西昌人選手は今季、CR-Zからフィットに車両をチェンジ。全日本はCR-Zで継続して参戦するが、地区戦はこのフィットで参戦する予定だそうだ。

「フィットは2年前にもハイブリッドモデルを乗ったけど、7速ATが使い切れなかったんだ。今回はCVTなので、その不安はないと思うよ」とラリー前に語った中西選手。「選択したタイヤのサイズが大きすぎて、上り区間がキツかった」と反省するも、全SSベストを奪取。コ・ドラの吉浦アクアネッタ茉凛選手とともに新車両でのデビューウィンを飾った。

RH-6クラスのドライバー、中西昌人選手(オープンロード・マクゼスフィット)はCVT仕様のフィットを投入。コ・ドライバーの吉浦アクアネッタ茉凛選手とともに3SSとも制する圧勝で、新車デビューを果たした。
RH-6の2位は今村淳一/楪裕一組(TOP GEAR AQUA)が(左)、3位は小松元司/藤岡恵子組(TWRアクア)が(右)、トヨタ・アクア勢が獲得した。
RH-6は左から、2位の今村/楪組、優勝した中西/吉浦組、3位の小松/藤岡組、4位の白𡈽辰美/菅原悠真組(WM宮尾石油SPMスイフト)のトップ4が表彰された。

PHOTO/田代康[Kou TASHIRO] REPORT/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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