JN1クラスの勝田範彦/木村裕介組が盤石の展開で今季2勝目獲得
2024年5月7日
第2戦の唐津から第4戦の丹後まで、大型連休を挟んで2週間おきに開催されるという過密スケジュールが組まれた今シーズンの全日本ラリー選手権。その第3戦「久万高原ラリー」が、4月26~28日に愛媛県久万高原町を舞台に開催された。
2024年JAF全日本ラリー選手権 第3戦「久万高原ラリー」
開催日:2024年4月26~28日
開催地:愛媛県久万高原町周辺
主催:MAC、ETOILE、D.C.R
久万高原ラリーの拠点となるハイラインドパークみかわには、オープンクラスを含めて47台が集結した。27日のレグ1にSS大谷(12.22km)とSS大川嶺(13.93km)を、サービスを挟んで2回ずつ走る4SSを設定。28日はそれぞれ逆方向に走行するSS大谷リバース(12.67km)とSS大川嶺リバース(13.73km)を、レグ1と同じく2回ずつ走行する計8SS(105.10km)が設定された。
標高1000m付近から山頂近くの1500m付近まで、ツイスティなターマック林道を尾根づたいに駆け上がり、さらに1000m付近まで急勾配の下り区間を走る大川嶺は、コロナ禍や台風の影響による土砂崩れの被害などがあり、SSで走行するのは2019年以来5年ぶりとなる。山頂付近は風光明媚なカルスト台地の一部が広がるフラットなコースで、このラリーが「天空のバトル」と呼ばれる所以でもある。
一方、標高700mから800m付近の沢沿いを駆け抜ける大谷は、高低差は少ないものの、深い森の中を走る区間が多い。苔が路面を覆う区間や、前走車のインカットによる泥や砂利が路面に散乱する区間もあり、過去にはクラッシュやコースアウトなどのアクシデントも多く、全日本の中では攻略が難しいステージのひとつだ。
天候は、レグ1が雨と深い霧が覆うウェット路面。レグ2は天候が回復したものの、最初のセクションはステージの一部にウェット路面が残るコンディションとなった。
JN1クラス
前戦の第2戦を制した新井大輝/松尾俊亮組(シュコダ・ファビアR5)が、クラッチのトラブルにより、SS1を約1km走行した時点でリタイアするというハプニングが起きたJN1クラス。勝田範彦/木村裕介組(トヨタ・GRヤリスラリー2)が、SS1で奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリスラリー2)に7.0秒差をつける快走を見せる。
その奴田原/東組がコースオフのためにレグ離脱したSS2では、田口勝彦/北川紗衣組(トヨタ・GRヤリスラリー2)に23.1秒差をつけるベストタイムを刻み、勝田/木村組がラリー序盤から2番手以降を大きく引き離す展開となった。
「実はレグ1の天候を読み違えてしまい、最初はドライタイヤしか用意していなかったんです。急遽、ウェットタイヤを間に合わせてくれたチームとダンロップに感謝です」という勝田選手は、その後も次々とSSベストを連取。2日目のオープニングとなるSS5は田口/北川組がベストタイムをたたき出すものの、勝田/木村組が8SS中7SSでベストタイムを奪う快走を見せ、2位に1分15秒4の大差で今季2勝目を飾った。
2位は「少しずつマシンにもタイヤにも全日本のステージに馴れてきました。淡々と走っています」という田口選手が獲得。レグ1から1秒を争う展開を見せていた3位争いは、「ウェット路面もドライ路面もタイヤ選択に苦戦しました」という福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアラリー2 EVO)が、レグ2で追い上げる新井敏弘/井上草汰組(スバル・WRX S4)を0.6秒差でかわし、表彰台の一角をつかんだ。
JN2クラス
JN2クラスは、「SS1は慎重になりすぎました」という三枝聖弥/船木一祥組(スバル・WRX STI)が、SS2から挽回。SS1でベストタイムを奪ったTOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup(TGR MCC)の大竹直生/草加浩平組(トヨタ・GRヤリス)をSS3で捕えてレグ1をトップで折り返すと、レグ2もレグポイントトップの3点を奪う走りを見せて優勝。第2戦に続き2連勝を飾った。
2位にはレグ1を3番手で折り返した小泉敏志/村山朋香組(トヨタ・GRヤリス)が、ドライ路面のレグ2でTGR MCCの山田啓介/藤井俊樹組(トヨタ・GRヤリス)を捕えて2位でフィニッシュ。自身初となる全日本の表彰台を獲得した。そしてレグ1を4番手で折り返した泉陽介/石田一輝組(三菱・ランサーエボリューションX)も、ドライ路面のレグ2で3位に浮上し、こちらも自身初となる全日本表彰台を獲得した。
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup
JN3クラス
SS1でトップに立った山口清司/丸山晃助組(トヨタ・GR86)が、その後一度もトップの座を譲ることなくフィニッシュしたJN3クラス。「松山市で生まれ育ったので、久万高原ラリーは故郷で開催する好きなラリーのひとつです。これまでも4勝しているので、相性が良いラリーだと思います。今回は、霧や雨のステージで経験値の差が出たのかもしれませんね」という山口選手が、2019年の第4戦久万高原ラリー以来、5年ぶりとなる全日本優勝を果たした。
レグ1を終えて2.4秒差という僅差の戦いとなった2位争いは、最終SSで激しく追い上げる長﨑雅志/大矢啓太組(トヨタ・GR86)をわずか0.1秒差でかわした曽根崇仁/竹原静香組(トヨタ・GR86)が獲得した。
JN4クラス
スズキ・スイフトスポーツのワンメイク状態となっているJN4クラスは、第2戦唐津をスキップした昨年のクラスチャンピオン・内藤学武/大高徹也組が、SS2とSS4でベストタイムをマークし、クラストップでレグ1を折り返した。ドライ路面のレグ2もSS5からSS7まで連取し、今季初優勝を獲得。
2位は「レグ2最初のループをウェットタイヤで行ったのが失敗。予想より乾いていましたね」という高橋悟志/箕作裕子組が獲得。3位には「今回はセッティングというよりも、ドライバーの技量で負けた気がしています。上位ふたりと戦うことで、自分の技術も磨いていけるよう、これからも頑張ります」という西川真太郎/本橋貴司組が入賞した。
JN5クラス
JN5クラスは、大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリスRS)がSS1でベストタイム、第2戦を制した河本拓哉/有川大輔組(マツダ・デミオ15MB)がSS2でベストタイムをそれぞれ奪う拮抗した勝負を見せたが、濃霧に覆われたSS4で大倉/豊田組が河本/有川組を33.9秒引き離すベストタイムをマーク。
レグ2は、大川嶺リバース2本を大倉/豊田組、大谷リバース2本を河本/有川組がそれぞれ制し、SS4のマージンを活かした大倉/豊田組が今季初優勝を飾った。2位は河本/有川組で、3位は今シーズンからトヨタ・ヤリスで全日本ラリーを転戦する嶋村徳之/佐々木裕一組が、全日本初表彰台を獲得した。
JN6クラス
「クルマの仕上がり的にはまだまだ。とくに上りのSSが、7km付近を越えるとてきめんに遅い」と言いながらも連勝を重ねているJN6クラスの天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・アクアGRスポーツ)が、すべてのSSでベストタイムをマークする盤石の展開で今季3連勝。アクアGRスポーツでの連勝記録を10に伸ばした。
「今回は霧や雨、ドライ路面でも泥や砂利など天候や路面コンディションが悪く、ライバルたちよりも自分との戦いでした」という清水和夫/山本磨美組(トヨタ・ヤリス)が2位入賞。3位には、ホンダ・CR-Zに乗り換えた中西昌人/山村浩三組が獲得した。
フォト/CINQ、中島正義、山口貴利 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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