GRヤリス・ラリー2を投入した新井大輝/坂井理崇組が開幕戦の三河湾を制す
2026年3月6日
全日本ラリー選手権 第1戦「RALLY三河湾2026 Supported by AICELLO」が、愛知県蒲郡市のラグーナテンボス周辺のエリアを拠点に開催された。今シーズンの全日本ラリー選手権は、昨年までの8戦に福島伊達ラウンドが加わった全9戦で争われる。
2026年JAF全日本ラリー選手権 第1戦「RALLY三河湾2026 Supported by AICELLO」
開催日:2026年2月27日~3月1日
開催地:愛知県蒲郡市、岡崎市、西尾市、幸田町周辺
主催:モンテオートスポーツクラブ
今シーズンのシリーズはターマックラウンド7戦、グラベルラウンド2戦で構成され、シリーズの有効得点は昨年までと同じくベスト6戦。シリーズが8戦から9戦に増えたことで、チャンピオン争いにどう影響してくるか、クラス区分が改定された事も併せて注目のシーズンとなる。
3年目の開催となるRALLY三河湾は、今年も山間部に設定された高低差のあるワインディングロードや狭くてタイトターンが連続する林道コース、竹島埠頭を利用したフラットなコース、グラベル路面の特設コース、新たに西尾市の愛知こどもの国の公園管理道路を利用し、多くのギャラリーを収容することが可能なコースなど、多彩なステージが用意された。ラリー初日となる2月28日のレグ1は、午前中に「SS1 SSS KIZUNA1(0.60km)」、「SS2 Kaminogo Sakamoto1(6.88km)」、「SS3 Okazaki Tobone1(6.57km)」、「SS4 Kota Fukouzu Sport Park1(4.80km)」の4SSを走行。午後は「SS5 SSS Gamagori Takeshima1(0.87km)」に続き、SS2からSS4を再走し、最後に「Gamagori Takeshima2」で締めくくる9SS/38.84kmを走行。ラリー最終日の3月1日のレグ2は、新ステージの「Sanganesan Skyline(4.38km)」と「Aichi Kodomo no Kuni(2.38km)」、「Mikawawan Skyline(10.08km)」の3ステージをサービスを挟んでリピート。午前中のセクションの最後にレグ1も走行したギャラリーステージ「SSS KIZUNA(0.60km)」を走行する7SS/34.28km、2日間合わせて16SS/73.12kmが設定された。
JN-1クラス
JN-1クラスは、今シーズンに向けてシーズンオフ中にエンジン、ミッション、デフを新品にリフレッシュした鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)が、SS1で新たに安藤裕一選手をコ・ドライバーに迎えた新井敏弘選手(スバル・WRX S4)に0.2秒差のベストタイムをマーク。0.9秒差には、今シーズンからトヨタ・GRヤリス・ラリー2のステリングを握る昨年のモリゾウチャレンジカップの王者・大竹直生/橋本美咲組がつける。
本格的な林道ステージとなるSS2は、今シーズンからトヨタ・GRヤリス・ラリー2でシリーズを戦う新井大輝/坂井理崇組が、昨年のWRCラリージャパンでクラッシュした車体から新たな車体へ変更した勝田範彦/保井隆宏組(トヨタ・GRヤリス・ラリー2)に6.8秒差をつけるベストタイムをマークし、一気にトップへ駆け上がる。新井敏弘/安藤組は、フィニッシュ直前でエンジン不調となりリタイアとなった。
新井大輝/坂井組の勢いは、SS3以降も止まらない。SS3とSS4を連取した新井大輝/坂井組は、サービスを挟んだSS5からSS8までの4SSもベストタイムを連発。初日最終となるSS9は、福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアRSラリー2)が今回初のベストタイムを刻むが、初日のレグ1を終え、トップを快走する新井大輝/坂井組が、2番手の勝田/保井組に32.0秒、3番手の鎌田/松本組に59.0秒の大差をつけ折り返した。
2日目のレグ2に入っても新井大輝/坂井組の勢いは止まらず、SS12では鎌田/松本組に1.8秒差、SS13でも同じく鎌田/松本組に0.6秒差でベストタイムを譲るものの、その他の5SSはベストタイムを連発し、トップの座を脅かされることなくフィニッシュ。「まずはフィニッシュできたことにホッとしています。初めてのクルマ、初めてのコ・ドライバーでしたが、スタート前のテストランでクルマが乗りやすいことは分かっていましたし、ステージを走ってもその印象は変わりませんでした。GRヤリス・ラリー2の設計思想に感動しましたし、僕が頑張ったというよりも単純にクルマが速かったです」と、トヨタ・GRヤリス・ラリー2でのデビュー戦で2位以降を大きく引き離す勝利を獲得した。55.4秒差の2位となった勝田範彦選手は、「課題ばかりでした。特に高速セクションは課題ですね。次戦までしっかりと勉強してきます」と、1位とのタイム差に悔しい表情。1分以上の差で3位フィニッシュとなった鎌田選手は、「初日はタイヤの選択を失敗してクルマの挙動がトリッキーになりタイムが伸びなかったシーンもありましたが、2日目にタイヤを変えたらタイムが伸びたので、すごくポジティブなラリーになりました。クルマをリフレッシュした成果もあったので、最新のGRヤリス・ラリー2が相手ですが、次戦はもっとタイム差を縮めていきたいですね」と、手応えを感じるラリーとなった。
JN-3クラス
JN-3クラスは、SS2でトップに立った小泉敏志/加勢直毅組(トヨタ・GRヤリス)に内藤学武/大高徹也組(トヨタ・GRヤリス)が食らい付いていく展開に。初日のSS9を終え、2番手の内藤/大高組に8.9秒差のトップで折り返した小泉/加勢組は、最終SSを前にしたSS15で内藤/大高組に0.6秒差まで迫られるものの、最終SSとなるSS16では内藤/大高組を3.4秒引き離し、結果的にはSS2以降一度もトップの座を譲らずフィニッシュ。「木曜日のテスト走行でエンジンが壊れてしまい、急遽京都の工場に戻ってエンジンを積み替えてきました。これまで勝てそうで勝てないラリーが続いたので、最高の気分です。ラリー中はコ・ドライバーの加勢さんに任せて、僕はタイムを見ずに自分のやることに集中しました。内藤選手や他のライバル選手を意識することはなかったです」と、優勝の喜びをコメントする小泉選手。昨シーズンは届きそうで手にすることができなかった全日本初優勝をついに獲得した。
2位に「悔しいです。2日間通して自分の中ではミスを抑えて走ったのですが、最後のSSが午前中とほぼ同じタイムで伸ばすことができませんでした。次戦は同じことを繰り返さないよう頑張ります」と悔しい表情を見せる内藤選手が入賞。3位には、「ひとつでも順位を上げようと頑張ったんだけど、後ろからの追い上げをかわすのに精一杯。若者たちが速いので、おじさんは大変です(苦笑)。次の佐賀までに、今回ネガティブだったところを解消すれば、もっといい勝負ができるはず」という大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリスDAT)が入賞した。
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup
JN-3クラスの中で展開されている若手や女性ドライバーを対象とするMORIZO Challenge Cup(MCC)は、SS1から最上佳樹/小藤桂一組と奥井優介/藤田めぐみ組が0.1秒を争う好勝負を展開。SS6では最上/小藤組が奥井/藤田組を12.5秒引き離すトップに立つが、その後奥井/藤田組が追い上げ、初日最終となるSS9を終えた時点では、最上/小藤組と奥井/藤田組とのタイム差が3.2秒差まで縮まる。さらに、レグ2オープニングとなるSS10では奥井/藤田組が最上/小藤組に0.9秒差まで迫るが、SS11では最上/小藤組が踏ん張りその差を1.3秒に拡大。だが、SS12で奥井/藤田組が最上/小藤組と捉え3.2秒差のトップに浮上してくる。だが、最上/小藤組も諦めない。SS13、14,15で奥井/藤田組とのタイム差を詰め、最終SSを前にふたたび0.1秒差のトップに返り咲く。迎えた最終SS、ステージベストはハイスピードSSで好タイムをマークしていた米林慶晃/菅野総一郎組(トヨタ・GRヤリス)が奪うものの、奥井/藤田組が最上/小藤組に0.8秒差をつける二番時計でフィニッシュ。0.1秒を競う息をのむ逆転に次ぐ逆転劇となったMCC開幕戦は、最終SSで再逆転を果たした奥井/藤田組が、0.7秒差でMCC初優勝を飾る結果となった。
「雪の氷上で低ミューの路面の練習をしたおかげで、昨日のSS2みたいなドロドロの滑りやすいところのコントロールや、ブレーキングを抑えるところは抑える、アクセル踏むとか、そういうメリハリをつけた走りがMCCトレーニングで結構身につきました。最終SSはさすがに緊張しました。同じジムカーナ出身の最上選手とこんな争いになると思わなかったんで、うれしいです。本当、トレーニングのおかげです」とMCC初優勝を喜ぶ奥井選手。敗れた最上選手も、「0.7秒差ですか……。最後までギリギリの戦いで勝てなかったのは悔しいですけど、2日間本当に楽しくラリーできて、今後につながるいい大会だったと思っています。次戦に向けて、今回うまくいったところはそのままで、去年使った道も何本かあると思うのでしっかり復習して、またスタートからトップタイムを出して、今度こそ勝てるように頑張っていきたいと思います」と前向きなコメントを残した。3位には、2日目に追い上げる米林/菅野組を振り切った長尾綱也選手/尼子祥一組(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。
JN-4クラス
トヨタ・GR86/スバル・BRZのFR勢とスズキ・スイフトスポーツのFF勢の戦いとなった新生JN-4クラスは、SS2でスイフトスポーツの須藤浩志/新井正和組が昨年のJN-3チャンピオンの山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)を2.1秒差に抑えトップに立つが、SS4で山本/立久井組と2.0Lの旧型スバル・BRZを駆る鈴木尚/島津雅彦組が逆転し、両者とも同秒トップに立つ。続く特設ステージのSS5では山本/立久井組がベストタイムでフィニッシュするものの、パイロンペナルティで5秒が加算され、このSSを山本/立久井組に1.5秒差の4番手でフィニッシュした鈴木/島津組が、山本/立久井組に3.5秒差の単独トップに立つ。その後、鈴木/島津組がSS6とSS7を連取して山本/立久井組との差を7.2秒差まで拡大するが、SS8で山本/立久井組が逆転に成功。初日の最終SSとなるSS9も制し、鈴木/島津組に0.6秒差のトップで初日を折り返した。
ラリー2日目のレグ2に入ると、山本/立久井組が一気にスパート。初日をトップから22.1秒差の3番手で折り返した2.0Lのスバル・BRZを駆る渡部弘樹/横山健太郎組がSS10とSS11でベストタイムを重ね上位2台とのタイム差を縮めてくる中、山本/立久井組も2番手の鈴木/島津組とのタイム差を徐々に拡大。最終的にはタイム差を7.8秒差に広げ、開幕戦優勝とともにRALLY三河湾3連覇を飾った。
「初開催から3連覇を飾ることができましたが、新ステージもありこのラリーの難しさをあらためて感じました。予想どおり、それぞれのクルマの得意不得意が出たラリーだったと思います。初日の前半戦のままだったら、負けていた気がします。第2戦に向けて、しっかりクルマをアップデートしたいです」と勝って兜の緒を締める山本選手。その山本/立久井組の逆転を許した鈴木選手は、「2位ですが、めでたくないですねぇ。悔しいです。朝イチの冷えた路面でのセットが出ていなかったのが敗因です。次戦に向けて改善します」という反省のコメントを残した。また3位には、ラリー2日目にレグ得点トップとなる3点を獲得した渡部/横山組が入賞した。
JN-5クラス
JN-5クラスは、SS1&2を制した松倉拓郎/山田真記子組(トヨタ・ヤリス)が、SS3でベストタイムをマークした阪口知洋/野口智恵美組(日産・マーチNISMO S)とSS4でベストタイムをマークした伊豆野康平/簑島琴美組(トヨタ・ヤリス)と1秒を争う好勝負を展開するが、SS6で2番手以降との差を一気に拡大。ラリー初日を終え、2番手の阪口/野口組とのタイム差を40.5秒差に拡大した。ラリー2日目は、今シーズンからドライバーとして全日本ラリーに挑む昨年のチャンピオン・コ・ドライバー有川大輔/梶山剛組(トヨタ・ヤリス)や、今シーズンはKYOJYO CUPに挑むRINA ITO/松浦俊朗組(マツダ・デミオ)、オサムファクトリーの若手育成プログラムで全日本ラリーに挑む北井悠樹/西村正義組(トヨタ・ヤリス)がそれぞれ今シーズン初のベストタイムをマークする中、松倉/山田組も着々と2番手以降とのタイム差を拡大。「正直、準備も含めて課題が残るラリーとなりましたが、それでも苦しみ耐え忍んでしっかりタイムを出すことができました。結果としては100点満点のラリーでした」という松倉/山田組が優勝。「松倉選手とのタイム差をもっと縮めないといけませんが、最低限の仕事はできたと思います」という阪口/野口組が2位。「レギュラーメンバーと戦えたので、また機会があれば走りたいですね」と、これまで海外ラリーを中心に腕を鍛えてきた伊豆野選手とクルーが3位に入賞した。
JN-Xクラス
JN-Xクラスは、パイロンペナルティが加算されたSS1と、2日目に同ステージを走るSS13以外、残る14SSでベストタイムを重ねた天野智之/井上裕紀子組が、2位以下に5分以上の大差をつける圧倒的強さと速さで優勝。「SS1は凄く滑る路面で、さらっといけると思っていた区間でパイロンタッチしてしまったみたいです。セッティングを間違えて、高速ステージではリヤが跳ねてしまって危なくて攻めきれないシーンもありましたが、ラリー終盤に向けてちょっと走りやすくして確実にフィニッシュしました。ハイスピードステージが多く、このクルマのパワーに助けられた気がします。次の佐賀や第3戦の飛鳥は昨年ヤリスに詰められているので、もう少し乗りやすくしたいですね」と、優勝の天野選手。2位には、「今シーズンから新しいコンビで挑みます。ペースノートなどコンビネーションは問題ありません。早着のペナルティがあったのですが、何とか取り返すことができました」と、ラリー2日目のSS14で中西昌人/山村浩三組(ホンダ・CR-Z)を捉えた清水和夫/黒木美珠組(トヨタ・ヤリス)が2位に入賞。「清水選手に逆転されるのは分かっていたので、予定どおりの3位です。クルマ的には2日目のハイスピードステージが厳しかったですね。最初のループは踏んだけど、最後のループは完走ペースでした。次のラリーまで、同じ車種だけどフレッシュなクルマに変える予定です」という中西/山村組が入賞した。
PHOTO/CINQ、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、大野洋介[Yousuke OHNO]、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、中島正義[Tadayoshi NAKAJIMA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



