中四国ラリー開幕戦FG-4で土居嘉嗣選手がドライバー転向初優勝!

レポート ラリー JAFWIM

2026年6月10日

2026シーズンのJAF中四国ラリー選手権が、5月23日に行われた『つるぎ山アルペンラリー2026』で開幕した。今季も中四国ラリーは全て四国地区での開催となる全3戦のシリーズとして行われ、路面も全戦グラベルとなる予定。2025シーズンは第2戦を受け持った“つるぎ”だが、今季は定位置である開幕第1戦に戻った。昨季の開幕を務めた『MACラリー』は、7月開催の第2戦『四国のてっぺんラリー』を挟んで最終第3戦として9月に行われる。

2026年JAF中四国ラリー選手権 第1戦
2026年JMRC中国・四国ラリーシリーズ第1戦
西日本グラベルラリーツアー2026第1戦
つるぎ山アルペンラリー2026

開催日:2026年5月23日
開催地:徳島県美馬市、つるぎ町周辺
主催:TSURUGI

 今季も、つるぎは名物ステージとして知られる『赤帽子』をサービス挟んで2往復する4SS、19.18kmで競われた。SSがラリースタートから至近ということもあり、リエゾンも含めたトータルは27.32kmとコンパクトなラリーとなった。

 1DAY方式を採り、参戦クルーは7時30分より1時間のレッキを行い、10時30分に1番ゼッケンがスタートするスケジュールが組まれた。昨季は、レッキでは降らなかった雨がスタート直前に降り出したため、路面に含まれた赤土が超スリッピーなグラベルへと急変して多くのクルーを戸惑わせた。

 残念ながら今季のつるぎも朝から終日、雨が降り続くコンディションとなった。しかし、赤土は取り除かれていたため昨季に比べれば走りやすかったと、常連クルーは口を揃えた。ただし、同じ道を往復で2本ずつ走るアイテナリーのため、路面状況の悪化は避けられず。今回のラリーでは3台が側溝にタイヤを落として脱出不能となり、リタイアとなってしまった。

2026年JAF中四国ラリー選手権は第1戦『つるぎ山アルペンラリー2026』で開幕を迎えた。徳島県美馬市の“標高1000mのアウトドアパラダイス”、中尾山高原にヘッドクォーターが設置された。
開幕戦は空の機嫌が悪く、雨が降り続けるあいにくのコンディション。HQ近くに設けられたサービスも、SSの路面に負けない悪路と化した。

FG-1クラス

 排気量2500ccを超える4WDで競うFG-1クラスは昨季、チャンピオンに輝いた阪本寧/吉田賢吾組が九州地区から参戦してきた他、常連陣もほとんどが姿を見せた。その中でも2023シーズンのドライバー王者、長江修平選手が久々に参戦して注目を集めた。

 長江選手は2024シーズン、中四国ラリーをシリーズ2位で終えた後に遠征したラリーで起こしたアクシデントの影響で、昨季は参戦できず。前の愛車から一部のパーツを流用するなどして、再び三菱・ランサーエボリューションXを制作して今回、久しぶりにラリー復帰を果たした。つるぎは長江選手が所属する徳島県のJAF加盟クラブ、ラリークラブつるぎ(TSURUGI)が主催のため、これまで主催側にまわることが多かった。だが、「今年はしっかりシリーズを追いたい」との長江選手の思いにクラブが応え、開幕戦から参戦を果たした。

 コ・ドライバーに5度の中四国ラリー王者の経験を持つ石川美代子選手を迎えた長江選手は、SS1“赤帽子DOWN1”から速さを見せる。下り主体のこのステージで、マクリン大地/大橋正典組を3.7秒差で下すベストタイムをマーク。得意とする上り主体のSS2“赤帽子UP1”では堀川竜二/池田茂組を9.7秒も突き放すベストを叩き出し、圧倒的なリードをつくってセクション1を折り返した。

 午後のセクション2では、SS1の再走となるSS3“赤帽子DOWN2”でマクリン/大橋組が長江/石川組を0.3秒差でを下してベストを奪うが、最後のSS4“赤帽子UP2”は長江/石川組がマクリン/大橋組に7.5秒の大差をつけるベストで締め括って優勝。25.1秒後方でマクリン/大橋組が2位、更に2.7秒遅れて堀川/池田組が3位で続いた。

 復帰戦を勝利で終えた長江選手は、「ラリー勘はボチボチ戻ってきました(笑)。最初の2本はそんなに抑えなかったんで思った以上にマージンかつくれて、午後はペースを落としました。走行する度に掻き出された土が雨でヌルヌルになるので、そこをどう攻めるかの勝負だったと思いますが、グリップする所としない所の差が激しくて、見た目も裏切られたりするので難しかったです」と、難コンディションのラリーを振り返った。

 新たなエボXについては、「もう少しセットアップも必要だと感じました。ただ、その中でも上りは手応えがあってトラクションも良かったです」と、まだ開発途上でも手応えを掴んだようだ。

 一方、2位のマクリン選手は「ベストが獲れたのは良かったですけど、前半の2本が抑え過ぎましたね。イケると分かっているんだけど、去年の路面のイメージがどうしても残ってしまって踏めなかったです。でも、まぁ強力なライバルが戻ってきたので、次はいい勝負をしたいですね」と意欲を見せた。

 3位となった堀川選手は、「修平君がここの道を一番知っているのは間違いないけど(笑)、僕も(てっぺんラリーの)主催やってるから分かるけど、知ってる道をレーシングスピードで走るとなると、また色々違ってくるからね。まだ彼がリハビリ程度で走ってこの差だったら、ちょっと何とかしないとね」と昨季、勝利を収めている最終戦、MACラリーでのリベンジを誓った。

FG-1クラスは2025シーズンを欠場した長江修平選手(インディゴパワーBRIG・DL・ランサー)がホームラリーで復活。2017シーズンにもクルーを組んで戴冠を果たした石川美代子選手と再び組み、三菱・ランサーエボリューションXを駆って4本中3本のSSを制して優勝を果たした。
2024シーズンのFG-1王者、マクリン大地/大橋正典組(大阪冷研TOFインディゴPマクリンGRB)は2位止まりも、スバル・インプレッサWRX STIを操りSS3を制して長江/石川組に一矢報いた(左)。ランエボIXをドライブする堀川竜二/池田茂組(BRIGち~むみかん サンライズランサー)は、昨季の開幕第1戦を制したが、今季は3位となった(右)。
FG-1は左から、4位の阪本寧/吉田賢吾組(SRエナペタルBRIGランサーMSW)、2位のマクリン/大橋組、優勝した長江/石川組、3位の堀川/池田組、5位の八尋俊一/伊藤慶組(FT☆みかん☆MSW♩ランサーX)、6位の朴木博則/河合勇喜組(TOFランサー)が表彰された。

FG-2クラス

 1500ccを超える2WDおよび1501~2500ccの4WDが対象となるFG-2クラスは、昨季までダイハツ・ブーンX4を駆って三連覇してきた山口貴利/山田真記子組が今季は不参戦。しかし、FG-3クラスに関東地区からはるばる遠征し、DE型マツダ・デミオを操り二連覇中の藤田幸弘/藤田彩子組が、ディーゼルターボエンジン搭載のDJ5型デミオに乗り換えてFG-2に乗り込んできた。

 SS1でベストを獲ったのは、これまでも三菱・ミラージュを操り2WD勢トップクラスのスピードを見せてきた高田修/箕作裕子組。ブーンX4で戦う福本浩人/内藤通孝組に7.3秒差をつけるベストで上がって好スタートを切る。上りのSS2では4WDの強みを生かして挽回を狙った福本/内藤組だったが、車両トラブルで大きく遅れをとり、このSSも大差でベストを奪った高田/箕作組の独走を許した。

 午後のSS3ではZC33S型スズキ・スイフトスポーツを駆る松岡竜也/縄田幸裕組が高田/箕作組を1.6秒差で下して一矢報いるが、SS4では高田/箕作組が再びベストを奪い返してフィニッシュ。トヨタ86を操り、コンスタントに上位タイムを並べた牧瀬貫慈/藤井俊樹組に22秒差をつけて優勝を飾った。

「山口さんが参加されなかったのは寂しいですけど、おかげで今日は『一気に霧が晴れて視界良好!』という感じで走れました(笑)」と、高田選手は語った。続けて「SS1で勝ててペースが掴めたので、最後までそのペースを崩さないよう集中しました。苦手としていた上りでも珍しくタイムが出せたので、全般的にいい走りができたと思います」と、会心のラリーを振り返った。

 新車両の初戦を3位で終えた藤田組は、SS4で高田/箕作組に0.3秒差で喰らいつく2番手タイムでポテンシャルの片鱗を見せた。しかし、幸弘選手は「動き自体は悪くないけど難しいところもあって、もう少し乗りこなしたいですね。ただ86勢と勝負できることは分かったので、高田ミラージュに早く追いつきたいです」と、同じ関東遠征組に闘志を燃やしていた。

FG-2クラスでは三菱・ミラージュを操る高田修/箕作裕子組(RスポーツKYBミラージュ)が3SSを制する快走を見せ、一昨季の最終第3戦以来の優勝を果たした。
3位に入った昨季のつるぎ以来の中四国ラリー参戦となった、FG-2の牧瀬貫慈/藤井俊樹組(シロキヤ☆インディゴP☆DL☆TG86)はトヨタ86を駆って2位を得た(左)。ディーゼルターボエンジンを積むDJ5型マツダ・デミオに乗り換え転向してきたFG-3クラス王者の藤田幸弘/藤田彩子組(MスポーツYHデミオ)は、3位で新車デビュー戦を終えた(右)。
FG-2は左から、2位の牧瀬/藤井組、優勝した高田/箕作組、3位の藤田組、5位の八塚仁/佐川俊二組(モータースポーツワタナベMACミラージュ)、6位の福本浩人/内藤通孝組(BRIGエナペタルBRIDE☆FTブーン)が表彰を受けた。4位の近藤潔/河嶋康史組(NY/Gクロスエンジニアリング86)は欠席。

FG-3クラス

 チャンプの藤田組が抜けたFG-3は、1500cc以下の車両で争われる。一昨季と昨季は藤田組とデミオ使い同士の熾烈な王座争いを繰り広げてきた松原久/和田善明組が、今季の大本命だ。

「藤田君がいなくなったので正直、物足りなさもあったね」と明かした松原選手だったが、「気が緩んではいけないので、今日は最初から攻めるつもりだったんだ。SS1は最初、路面が滑って怖かったけど踏んでいったよ」と、果敢な走りを披露。ダイハツ・シャレードを駆る西高志/久保田毅組に5.3秒差のリードを築くと、続くSS2でも後続を5秒近く引き離してリードを広げる。

 しかし、セクション2最初のSS3では、昨秋からHT81S型スイフトからDE型デミオに乗り換えた、近畿地区勢の関根康生/走出芽美組が0.6秒差で松原/和田組を下してこの日初のベストを奪取。SS4では松原/和田組に0.5秒差のセカンドベストで駆け抜け、2位まで順位を上げてフィニッシュした。

「最初の2本は様子見で走ってクルマの感じが掴めたので、午後は気合入れて走ったよ。もっとイケたかな? という気もするけど、そうなると格段にリスクが上がるのでやめたんだ」と、関根選手は振り返った。続けて「今日は道が良かったこともあって、オフの間に詰めたセットを試せたよ。一年走らないと分からない部分もあると思うけど、セットが早く決まれば松原さんとも勝負できると思うね」と、新車も手応えが掴めてきた様子を見せた。

 一方、優勝した松原選手は、「ちょっとずつ勝てたのが優勝に繋がったね。でもSS3では負けてるし、前半のリードもキロ1秒程度しか、西選手のシャレードや関根選手のデミオを引き離せてないから、強力なライバルになるでしょうね。今年も最後まで気を抜けない一年になりそうだね」と、気合を入れ直していた。

FG-3は中四国ラリーで8度、ドライバー王者に輝いた松原久選手と、そのうち4度、ともにチャンピオンとなったコ・ドライバーの和田善明選手のクルー(インディゴパワー☆BRIG☆DL☆デミオ)がDJL型デミオを駆って貫録勝ちを収めた。
新車・DE型デミオでの初中四国ラリーに挑んだFG-3の関根康生/走出芽美組(テイクグッド デミオ)は、尻上がりに調子を上げて2位に飛び込んだ(左)。ダイハツ・シャレードを操り九州地区から参戦を続ける西高志/久保田毅組(ADVAN福福Reシャレード)は2番手でセクション1を折り返したが、3位に終わった(右)。
FG-3は5位までのクルーが表彰された。左から2位の関根/走出組、優勝した松原/和田組、3位の西/久保田組、4位の日高重貴/藤岡恵子組(ナイトグリーン・アトリエ921・ヴィッツ)、5位の唐釜真一郎/正谷肇也組(エムスポーツBRIGヤリス)。

FG-4クラス、オープンAクラス

 1500cc以下のRPN車両および排気量区分なしのAE車両が対象となるFG-4クラスは、ディフェンディングチャピオンの出納美朝/松浦俊朗組がSS1をベストで上がるが、土居嘉嗣/中村育代組がまったくの同タイムで並んで接戦に持ち込む。SS2は出納/松浦組が11.3秒差で土居/中村組を下して逃げ切りに入ったかと思われた。

 しかし、SS3では前走のSS1から8.2秒タイムを詰めた土居/中村組が、9.6秒差で出納/松浦組をかわして1.7秒差に追い詰めて最終のSS4へ。ここでも7.9秒、前走からタイムアップを果たした土居/中村組が、圧巻のベストを叩き出して一気に逆転に成功。最終的に出納/松浦組を7.9秒差で下して優勝を決めた。

 コ・ドラを10季務めた後に4季前、ドライバーに転向した土居選手は今回がドライバーとしての初優勝。「SS1から攻めていったんですが、ミスばっかりだったのでダメだったなと思ったらベストが獲れたので、今日はイケるかもと思いました(笑)。下りの方が走りやすかったですね」とラリーを振り返ったが、一番の勝因は練習を積んだことと明かした。

「今までダートは本番しか走らなかったんですけど、地元に三好グラベルパークができたのでダートの走りを相当練習したんです。そのおかげでダートの走り方が何となく分かってきました(笑)。去年は3タテ喰らった出納さんに勝てたので、今年は頑張っていきたいと思います」と笑顔を見せた。3位には女性ドライバーの古本舞桜選手が、永淵直大選手とクルーを組んで入賞した。

 なお、シリーズ対象外だが1500cc以下の車両で挑めるオープンAクラスは1クルーのみの参戦だったが、2026年JAF全日本ラリー選手権JN5クラスで速さを見せている阪口知洋/野口智恵美組が無事に完走を果たしている。

FG-4クラスでは、13型トヨタ・ヴィッツを駆った土居嘉嗣/中村育代組(ビーサイドオート&どろやヴィッツ)がセクション2で巻き返して逆転優勝。土居選手は徳島県三好市に今春オープンしたダートトライアルコース、三好グラベルパークでの練習の成果と明かし、新コース誕生の好影響がダートラ以外のカテゴリーにも表れた。
トヨタ・ヤリスを操りセクション1をリードした、FG-4二連覇を狙う出納美朝/松浦俊朗組(エムスポーツSHAF銀玉鉄砲YHヤリス)だったが、土居/中村組の追撃に敵わず2位となった(左)。古本舞桜/永淵直大組(KIZMTEC♥デミオ)はDJL型デミオをドライブしてSS4では2番手タイムをマークして3位に入った(右)。
FG-4は左から、4位のチャモロ/石井雅行組(菓舗ふくおかインディゴPレンタルフィット)、2位の出納/松浦組、優勝した土居/中村組、3位の古本/永淵組、5位コ・ドラの大谷美紀夫選手(パピモータース・KYB・DL・ヤリス)、6位の佐藤由香/大西直彦組(DCR♡ヴィッツ)が表彰を受けた。5位ドライバーの加藤克也選手は欠席。
OP-Aクラスには、JAF全日本ラリー選手権JN5クラスで活躍する阪口知洋/野口智恵美組(Dicastal☆FORVIA☆VITZ)が日産・マーチニスモSから9型ヴィッツに乗り換えて参戦、全てのSSを駆け抜けた。

PHOTO/田代康[Kou TASHIRO] REPORT/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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