JN-5阪口知洋/野口智恵美組が久万高原ラリーで全日本初優勝!
2026年7月6日
全日本ラリー選手権 第4戦「久万高原ラリー」が、6月19~21日に愛媛県久万高原町周辺を舞台に開催された。開幕戦から4戦連続で開催されたターマックラウンドの締めくくりとなる今大会は、久万高原町郊外のハイランドパークみかわを拠点に、SS総距離110.22kmの8SSで争われた。すべてのステージが10kmを超えるロングSSで構成され、標高1,000~1,400m付近の山岳地帯を駆け抜けるハイスピードラリーだ。JN-5クラスでは日産・マーチニスモSを駆る阪口知洋/野口智恵美組が全日本初優勝を遂げた。
2026年JAF全日本ラリー選手権 第4戦「久万高原ラリー」
開催日:2026年6月19~21日
開催地:愛媛県久万高原町周辺
主催:MAC、ETOILE、DCR
天気予報ではレッキの19日午後から雨、レグ1が行われる20日も終日雨と見込まれていた今回の久万高原ラリー。しかし実際には、19日の夜から20日未明にかけてまとまった雨が降ったが、次第に小降りとなり20日の午前中は曇り空となった。
午前のセクション1では、深山幽谷たる山間部を走るSS大谷(13.51km)が、やや湿った状態のダンプ路面となり、尾根沿いを走るSS大川嶺(13.80km)は前半がダンプ、山頂付近からフィニッシュに向かう下り区間はドライという複雑な路面状況。
また午後からは雨が降り始め、全ステージがウェット路面へと変化。タイヤ選択が勝敗を左右する難しいラリーとなった。また、SS大谷は滑りやすい苔が多く、標高が高いSS大川嶺では部分的に霧が発生。梅雨時期の開催ということもあり、厳しいコンディションの中での戦いとなった。
JN-1クラス
JN-1クラスでは、シリーズランキング4番手の奴田原文雄選手(トヨタ・GRヤリスラリー2)が今大会を欠場。シリーズランキング2番手の新井大輝選手(トヨタ・GRヤリスラリー2)は、2024年のチャンピオン獲得時にコンビを組んでいた松尾俊亮選手とのペアでエントリーした。また、JN-2クラスにエントリーした石森聖生/北川紗衣組(プジョー・208ラリー4)は、参加台数が規定に満たずJN-2クラスが成立しなかったため、JN-1クラスで出走した。
天候が不安定な中で迎えたSS1では、ドライタイヤを選択した新井大輝/松尾組がベストタイムをマーク。同じくドライタイヤを履く鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)に15.2秒差をつけた。3番手には、ウェットタイヤの勝田範彦/保井隆宏組(トヨタ・GRヤリスラリー2)が入り、トップから19.4秒差につける。
続くSS2でも新井大輝/松尾組が2番手以下を10秒以上引き離すベストタイムを記録したものの、フィニッシュ直前のヘアピンで左フロントのホイールとタイヤ、ブレーキがハブベアリングごと脱落するアクシデントが発生。サービスまでの区間がハイランドパークみかわの敷地内だったため、何とかサービスへ戻って修復作業を実施する。
一度はサービスアウトしてTCへ向かった新井大輝/松尾組だったが完全な修復には至らず、競技を続けるのは危険な状態と判断して、この日のレグ離脱を決断した。新井大輝/松尾組の離脱により、SS2で勝田/保井組を9.6秒上回った鎌田/松本組が総合首位へ浮上。雨脚が強まったSS3では福永修/齊田美早子組(シュコダ・ファビアRSラリー2)がベストタイムを記録した。
一方、ウェットとドライのタイヤをクロス装着した勝田/保井組は、ドライタイヤで走る鎌田/松本組に7.1秒差をつける2番手タイムを記録。続くSS4では勝田/保井組が鎌田/松本組を10.5秒上回り、3.8秒のリードで逆転しレグ1を終えた。
レグ1とは逆方向に走るレグ2は朝から天候が回復し、路面は徐々にドライへ向かった。ドライタイヤのソフトコンパウンドを選択した勝田/保井組は、SS5で鎌田/松本組に14.3秒差をつけるベストタイムを記録。その後も着実にリードを広げ、最終的には41.9秒差で第3戦に続く今季2勝目を飾った。
優勝した勝田選手は「レグ1の午前中はタイヤ選択を少し外したかもしれませんが、その後はタイヤ選択がこれ以上ないくらいうまく決まりました。今回はタイヤ選択が勝敗を大きく左右したと思いますし、慎重に判断したことが勝利につながりました」と振り返った。
2位の鎌田選手は「今回はタイヤ選択がうまくいきませんでしたが、これまで苦手としていた久万高原で速さを見せられたことは収穫です。2位という結果を前向きに受け止めています」とコメント。3位の福永選手は「ベストタイムは記録できましたが、走りに波があったので、もっと安定させたかったです。今回はコ・ドライバーの体調が優れない中で最後まで頑張ってくれました」と語った。
JN-3クラス
JN-3クラスでは、第2戦、第3戦を連勝している山田啓介/藤井俊樹組(トヨタ・GRヤリス)が序盤から圧倒した。SS1から2番手に大差をつけて後続を引き離すと、路面状況が変化しても速さは衰えず、レグ1終了時点で2番手に1分35秒差を築く。レグ1に続き、レグ2でも全SSでベストタイムを記録し、最終的に2分55秒2の大差で今季3勝目を挙げた。
山田選手は「第1戦では悔しい結果でしたが、その後もチームがテストを重ね、良いセットアップを見つけることができました。また、ラリージャパンで0カーを担当した時にWRCドライバーのペースやライン取りを見て、『これは自分自身も変わらなければ』とペースノートの精度や作り方を見直しました。今回の結果と今後にもつながるラリーになりましたね」と話した。
終盤まで続いた2位争いは、レグ1終了時点で最上佳樹/小藤桂一組(トヨタ・GRヤリス)が2番手につけていた。しかし、ドライ路面となったレグ2で貝原聖也/西﨑佳代子組(トヨタ・GRヤリス)と大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリス)が追い上げる。SS5で最上/小藤組を逆転した貝原/西﨑組が今季初表彰台となる2位を獲得し、SS7で最上/小藤組をかわした大倉/豊田組が3位に入った。
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup
全日本選手権ではJN-3クラスに編入されており、世界で活躍できる日本人若手ドライバーの発掘・育成を目的にTOYOTA GAZOO Racingが展開するモリゾウチャレンジカップ(MCC)は、SS1で最上佳樹/小藤桂一組(トヨタ・GRヤリス)がベストタイムを記録したものの、フライングによる10秒のペナルティを受けたため、7.4秒差の2番手タイムだった米林慶晃/菅野総一郎組(トヨタ・GRヤリス)が首位に立つ。しかしSS2では最上/小藤組が逆転。その後も各選手がベストタイムを分け合う展開となったが、最上/小藤組が米林/菅野組に42.8秒差をつけて今季初優勝を果たす。2位は米林/菅野組、3位はMCCランキング首位の奥井優介/藤田めぐみ組(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。
JN-4クラス
JN-4クラスは、SS1を山本悠太/葛山順平組(トヨタ・GR86)、SS2を曽根崇仁/小川由起組(トヨタ・GR86)、SS3を上原淳/漆戸あゆみ組(スバル・BRZ)が制す接戦となった。レグ1終了時点では山本/葛山組が曽根/小川組に10.1秒差をつけて首位に立った。
レグ2では「路面とタイヤがレグ1よりも合っていました」という山口清司/丸山晃助組(トヨタ・GR86)がSS6でベストを取り首位へ浮上。しかし最終SSでは山本/葛山組が逆転し、山口/丸山組を0.7秒差でかわして今季2勝目を挙げた。山本選手は「レグ2はオーバーヒート気味になる場面もありましたが、最後に逆転できて良かったです」とコメント。2位は山口選手、3位は「レグ2ではベストタイムを記録できず悔しいです」と振り返った曽根選手が入賞した。
JN-5クラス
JN-5クラスは、シリーズランキング首位の松倉拓郎選手が今大会を欠場。その中で、今季3戦連続2位だった阪口知洋/野口智恵美組(日産・マーチニスモS)が8SS中6SSでベストタイムを記録し、全日本初優勝を飾った。
阪口選手は「SS6でミッショントラブルが発生した時は『ここで終わった』と思いましたが、最後まで走り切ることができました。まだ松倉選手との差は大きく課題も多いですが、次戦のラリー北海道までに万全の状態で臨みたいと思います」と喜びを語った。2位には40.3秒差で有川大輔/梶山剛組(トヨタ・ヤリス)、3位には炭山裕也選手を父に持ち、全日本デビュー戦となった20歳の炭山速斗/山本祐也組(トヨタ・ヤリス)が入賞した。
JN-Xクラス
JN-Xクラスでは、全日本全勝中の天野智之/井上裕紀子組が現行型トヨタ・RAV4 PHEVを投入。「新しいクルマなので、シフトパドルの操作などまだ慣れていない部分がありますが、少しずつ慣れていきたいです。トラクション性能は以前のモデルよりかなり良くなったと感じています」とコメントしながらも、全SSでベストタイムを記録し、現行型RAV4でのデビュー戦を優勝で飾った。2位は清水和夫/黒木美珠組(トヨタ・ヤリスHEV)、3位はレグ2で中西昌人/山村浩三組(ホンダ・CR-Z)を逆転した大塚祐樹/HANA組(トヨタ・ヤリスHEV)が入り、全日本初表彰台を獲得した。
PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO]、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、中島正義[Tadayoshi NAKAJIMA] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



