新ステージでの九州ラリー第4戦RH-1は前田耕造/前田雅子組が三連勝!
2026年8月14日
全6戦で競われる2026年JAF九州ラリー選手権は、シリーズ後半戦に突入。第4戦『グラベルマインドラリー2026』が7月18・19日に開催された。8月末に開催された2025シーズンは酷暑対策の一環としてワンデー開催となったグラベルマインドラリーだが、今季は2日間の日程に戻して土曜日の18日にレッキ、翌朝から競技に臨むというスタイルが採られた。
2026年JAF九州ラリー選手権 第4戦
2026年JMRC九州ラリー チャンピオンシリーズ第4戦
グラベルマインドラリー2026
開催日:2026年7月18~19日
開催地:佐賀県多久市周辺
主催:GRAVEL
4月に佐賀県多久市を拠点として、2026年JAF全日本ラリー選手権 第2戦『SAGA RALLY NATIONAL CHAMPIONSHIP 2026 SUPPORTED BY BLUE BATTERY caos』を主催した福岡県のJAF加盟クラブ、グラベルモータースポーツクラブ(GRAVEL)は、今回のラリーも多久市に拠点を置いての開催。ヘッドクォーターとサービスパークが置かれた北多久公民館には、36台のラリー車が集った。
ラリーの構成も一新、二つの新ステージが用意された。3.84kmの『MANDARIN』は2車線幅のターマックを駆け抜けるステージで、RH-1クラスなど総合トップも争う車両のアベレージスピードは90km/hに迫る超高速のステージ。加えてクレスト状のハイスピードコーナーも待ち構え、難易度が高い。
もう一方、『AMANOGAWA(5.44km)』はMANDARINとは対称的に中低速のコーナーが続くテクニカルなステージで、その一部はSAGA RALLYでも使用されている。コース中盤に通年“川”となっている区間があり道の全面が水で覆われ、しかも相応の距離があるために各クルーのタイヤ選択にも微妙な影響を与えることとなった。
ラリーはセクション1でMANDALINからAMANOGAWAの順で1回走行。サーピスを挟んだセクション2ではMANDARINからAMANOGAWA、そしてMANDALINと駆け抜けてフィニッシュする設定。MANDALINの総走行距離は11.52km、AMANOGAWAは10.88kmとほぼ同等の距離となった。
RH-1クラス
RH-1では、開幕第1戦をディフェンディングチャンピオンの津野裕宣選手と、コ・ドライバー梶山剛選手のクルーが順当勝ちを収めた。しかし、第2戦では前田耕造/前田雅子組が優勝。第3戦では津野/梶山組が駆動系トラプルでリタイアに追い込まれる中で前田耕造/前田雅子組が二連勝、ポイントリーダーに立っている。
前田耕造/前田雅子組が駆る三菱・ランサーエボリューションXだが、実は昨季まで津野選手が乗っていたチャンピオンカー。今季から徳尾ワークスカラーのエボXに乗り換えた津野選手は、図らずも自分が操っていた車両が最大のライバルとして立ちはだかる、興味深い構図となっている。
今回のラリー最多となる9クルーがエントリーした中、SS1“MANDALIN 1”を制したのは前田耕造/前田雅子組で、津野/梶山組は7秒差の5番手に留まり、出遅れてしまう。前田耕造/前田雅子組はSS2 “AMANOGAWA 1”も、ペースを上げてきた津野/梶山組を1秒6差で振り切って連続ベストタイムを奪い、セクション1を完全制圧する。
津野/梶山組はSS3“MANDALIN 2”で前田耕造/前田雅子組を0.5秒差で下し、今回のラリー初のベストをマーク。SS4“AMNOGAWA 2”でも5秒4差で再び前田耕造/前田雅子組を下す連続ベストであがった。トップとの差を2秒7まで詰めて最終のSS5“MANDALIN 3”で逆転優勝を狙ったが、ここは前田耕造/前田雅子組が0.9秒上回ってトップを守り、トータル3秒6差で津野/梶山組の追撃を振り切った。
「MANDALINの方が走りのリズムがとりやすかったですね。楽しく走れました」とは前田耕造選手。続けて「コ・ドライバーがタイミング良くリーディングしてくれたので、迷わず踏んでいけました。ただ2本目のAMANOGAWAでは集中力が途切れてしまって、ジャンクションを逆に行きかけたんです。挽回しないといけないと思ったんで、川も全開でいったのが結果的には最小限のタイムロスに抑えられたと思います」と、激戦を振り返った。
一方、前田耕造選手に3タテを許すかたちとなった津野選手は、「SS1はまだ路温が低かったこともあって、クルマがちょっと挙動を乱したところがあったんです。様子見はしてないですけど、うまく走り切れんかった。ああいう道が広いところの動きが今後は課題ですね」と、次戦以降のリベンジを誓った。
RH-2クラス
RH-2クラスは8クルーによるバトルとなった。開幕戦で新車・ZN8型GR86のデビューウィンを飾った納富瑠衣/藤澤卓弘組がSS1でベストを獲るが、SS2ではZC33S型スズキ・スイフトスポーツを駆る黒原康仁/松葉謙介組がベストを奪取。するとSS3は納富/藤澤組がベストを獲り返し、大分県のJAF加盟クラブ、ラリークラブオオイタ(RC-大分)のクラブ員同士によるシーソーゲームとなる。
明暗を分けたのが、両クルーまったくの同タイムに並んでスタートしたSS4。「リズムを掴めたので、ゴールした瞬間にタイムアップを確信できました」と、振り返った納富/藤澤組が、4秒1差で黒原/松葉組を下すベストをマーク。勢いにのる納富/藤澤組は、最終SSも0.3秒差で黒原/松葉組を抑えて3連続ベストで締め括り、今季2勝目を手にした。
通称“Sタイヤ”のソフトコンパウンドを選択した納富選手は、「スタート直後からグリップがあるのでタイムを稼げました」と勝因を分析。続けて「ただ、タイヤが最後まで持つか不安でしたが、減りをコントロールする走り方はできたと思います。AMANOGAWAの川でタイヤが冷えた部分もあったと思うので、ラッキーでした(笑)」と振り返った。
前戦まで二連勝中だった林大河/有川大輔組は、SS1で大きく遅れたことが最後まで響いて3位に終わったが、シリーズでは4ポイント差で首位を維持した。
RH-3クラス
コンパクトハッチバックカーがしのぎを削り合うRH-3クラスは三浦勇二/三浦勇輝組がSS1でベストを奪った。三浦勇二選手がオートポリスで二輪のレースに参戦した経験を持つクルーはSS3、SS5と高速ステージのMANDARINをすべてベストであがってリードを広げ、ラリーの主導権を握った。
SS4こそ今季2勝と波にのる近藤員章選手と、コ・ドラ川野想一朗選手のクルーにベストを譲った。しかし、AMANOGAWA一本目のSS2は「川の水が出て路面が荒れる前に、しっかり攻めようと思いました」と三浦勇二/三浦勇輝組がベストを奪取。全5本中4本でベストを獲る盤石の走りで、前戦から二連勝を果たした。近藤/川野組が3位に留まったため、王座争いでは三浦勇二選手は近藤選手と同ポイントながらドライバー首位に、三浦勇輝選手はコ・ドラ単独首位に立った。
RH-4クラス
今季もRH-4クラスで3戦3勝と圧巻の走りを見せている、泉勇希/WATAKEN組が第4戦でも速さを見せて全SSを制覇して連勝を伸ばした。
「AMANOGAWAのような、(ホンダ・)フィットが苦手とするステージでもタイムを出せるようにセッティングと走り方を詰めてきたので、今日はその成果を出せました。去年、雨のラリーを多く体験したので川の部分も問題なかったです」と泉選手が語るように、RH-3を上まわる走りを見せて成長を伺わせた。
RH-5クラス
RH-5クラスも参戦クルーすべての車種が異なる、バラエティに富んだバトルとなった。その中で、AT搭載のZN6型トヨタ86を駆る山田益丈/山田芽生組がウェットタイヤを選択したことが当たり、川があるAMANOGAWAの2SSで大量リードを築くことに成功する。
MANDALINでは、フォルクスワーゲン・ポロを武器に開幕戦を制した福﨑真吾選手と、コ・ドラ年見憲人選手のクルーが山田組に迫るスピードを見せる。しかし、AMANOGAWAの遅れが響いて2位に留まり、山田組が第2戦からの連勝を3に伸ばした。
RH-6クラス
今季から地区戦に参戦を開始した新人ながら、第2戦からRH-6クラスで二連勝中のドライバー、崎野怜選手とコ・ドラ出雲正郎選手のクルーがSS1から快走を見せて、終わってみれば5連続ベストをマーク。2位以下に30秒の大差をつけて圧勝した。
RC-大分のチームメイト、納富選手からこのクラスを引継ぐかたちで挑む崎野選手は社会人3年生。学生時代に2度ほどラリーの経験があるが、過去2年間は活動休止していたため、「学生の頃の実戦経験が、ようやくよみがえってきました」とのことだ。
続けて「最初の2本は走りがグチャグチャなところがありましたが、SS3からは丁寧にクルマを動かすことができたと思います。MANDALINはめちゃくちゃ怖かったけど、頑張って踏みました」と、ラリーを振り返った。将来はグラベルラリーにも挑みたいそうだが、まずはターマックラリー中心の九州地区戦でウデを磨きたいとのこと。今後の成長が楽しみなドライバーだ。
PHOTO/田代康[Kou TASHIRO] REPORT/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



