全日本ラリー北海道、JN-5松倉拓郎/山田真記子組が全SS制覇でタイトル確定!
2026年9月17日
全日本ラリー選手権 第6戦「RALLY HOKKAIDO」が、9月4~6日の日程で北海道帯広市を拠点に開催された。第5戦カムイから約2か月のインターバルを経て行われた今大会は、初日に足寄町と陸別町、2日目に池田町と音更町にスペシャルステージを設定。FIAインターナショナルラリーとXCRスプリントカップシリーズ第6戦も併催され、総勢80台がエントリーした。JN-5クラスでは松倉拓郎/山田真記子組が全SSを制覇し、パーフェクトウィンを達成。同時に2024年以来となるチャンピオンを奪還した。
2026年FIA International Rally
2026年JAF全日本ラリー選手権 第6戦
2026年XCRスプリントカップシリーズ 第6戦
「RALLY HOKKAIDO」
開催日:2026年9月4〜6日
開催地:北海道帯広市、音更町、池田町、足寄町、陸別町周辺
主催:AG.MSC北海道
総勢80台のエントリーのうち、2台が不出走の78台が参戦。4日夕方にJR帯広駅前でセレモニアルスタートが行われ、RALLY HOKKAIDOの幕が開けた。SS総距離は116.64km、計14SSが設定された。
レグ初日は、午前中にSS1 PAWSE KAMUY SHORT(9.47km)とSS2 RIKUBETSU LONG(4.63km)をSS3 YAM WAKKA(23.49km)を挟んで2回走行。陸別町の陸別サーキットに設けられた20分間のリモートサービスを経て、午後はSS6 YAM WAKKA、3回目のPAWSE KAMUY SHORTとRIKUBETSU LONGを走る計8SS、SS総距離89.28kmとなった。
最長ステージのYAM WAKKAは、3次元的なうねりのあるハイスピードコーナーが連続するが、路面の砂利は少なく、マッドな路面が踏み固められたようなステージだ。しかし、今年はレッキの日にまとまった雨が降ったことで、泥状のウェット路面が残るコンディションとなり、ここが大きな鬼門となった。
2日目のレグ2は、SS9のSSSIKEDA(0.50km)、SS10 TOKACHIGAWA(7.06km)、SS11 OTOFUKE REVERSE(6.12km)の3本を、北愛国のサービスを挟んでリピートする計6SS、SS総距離27.36km。新設されたTOKACHIGAWAはOTOFUKE REVERSEと同じく火山灰が堆積した路面で、轍ができやすく、どちらも短距離ながら最後まで気の抜けないステージとなった。
JN-1クラス
全日本ラリー選手権のJN-1クラスは、SS1で若手の大竹直生/橋本美咲組(トヨタ・GRヤリスラリー2)がベストタイムを奪う先制パンチを放ったものの、SS3でコースアウトを喫し、戦線を離脱。SS2でベストタイムを奪った新井大輝/立久井大輝組(トヨタ・GRヤリスラリー2)がトップに浮上。
そして新井大輝/立久井組は、SS3からSS8までレグ1のすべてのステージでベストタイムを記録。2番手の鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)に43.8秒差をつけて初日を終えた。
2日目は、2番手の鎌田/松本組がSS9からSS11までベストタイムを連取したものの、新井大輝/立久井組も好タイムを連発し、タイム差はわずかに縮まる。だが、新井大輝/立久井組はラリー終盤のSS13、SS14でベストタイムを連取。2番手の鎌田/松本組との差を45.7秒に広げ、第2戦佐賀以来となる今季3勝目を獲得した。
優勝した新井大輝選手は「今回はラリー全体を通して無理なく安全なペースをキープすることを目標に走りました。いつもより一段階下げたペースで運転しましたが、しっかり勝ち切れたことは大きかったです。ただ、クルマのポテンシャルを使い切れていないことが、今回もいくつか見つかりました。次戦はそこをしっかり詰めていきたいです」と課題を残しながらも、今回2位となった鎌田選手とのシリーズランキングのポイント差を1.8点に縮めた。
2位の鎌田選手は「今日はレグポイント3点を狙って行ったんですが、2回目のIKEDAが不調で、センターデフがロックせずにレグポイントで負けてしまいました。それでもスピードがあったことは良かったです。大輝選手には離されてしまったのですが、今までよりは戦えましたし、安定したスピードだったことは評価しています。ターマックの方がクルマのデメリットが出てくるので、そこはチーム力で対応したいです」と、終盤戦のターマック2連戦に照準を向けたコメントを残した。
3位には、SS11でベストタイムを奪った奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリスラリー2)が入賞。奴田原選手は「なんとか追いつきたかったけど、追いつけませんでした。ドライビングが下手ってことで、まだまだ改善点があるということですね。セットアップは少しずつ調整しながらですが、悪くないと思っています。今のポジションは、こんなところだろうなって。前の若いふたりが速いので、なんとか伸びしろをみつけたいです……。ちょっと前まではポロポロとミスしてくれたんだけど、このふたりはミスしないから」と苦笑し、次の福島戦の打開に向けての模索をしていた。
JN-3クラス
JN-3クラスは、初日を終えた時点で徳尾慶太郎/石田一輝組(トヨタ・GRヤリス)と内藤学武/大高徹也組(トヨタ・GRヤリス)のタイム差が1.4秒という僅差の勝負となった。
2日目は、路面コンディションに合わせてウェットタイヤを選択した徳尾/石田組が、内藤/大高組との差を拡大。最終的には28.1秒差をつけ、全日本初優勝を飾った。
「フロントのみをウェットに交換する作戦もありましたが、タイヤ交換が疲れるので4本ともウェットで走ったことが、結果的に良かったと思います。昨年のラリー北海道から少しずつセッティングを変えてきたのですが、今回はそれがうまくハマった感じです」と、優勝の徳尾選手は勝因を語った。
2位の内藤/大高組は開幕戦以来となる表彰台を獲得。「前回のカムイで良いタイムが出ていながらもコースオフだったので、今回は優勝を狙えるかと思ったのですが、徳尾選手には全然勝てませんでした。でも、この順位でフィニッシュできたので、ひとまず良かったです」と、悔しさをにじませながらも安堵の表情を見せた。
3番手には初日終了時点で和氣嵩暁/高橋和多利組(三菱・ランサーエボリューションIX)がつけていたが、2日目オープニングのSSS IKEDAでミスコース。3分のペナルティタイムを受けたことで、4番手につけていた貝原聖也/西﨑佳代子組(トヨタ・GRヤリス)が3位に浮上。グラベルラリーでは初となる表彰台を獲得した。
TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup
JN-3クラスで展開されている、若手ドライバーや女性ドライバーを対象としたトヨタ・GRヤリスのワンメイク「モリゾウチャレンジカップ(MCC)」では、SS2でトップに浮上した三枝聖弥/木村裕介組が、その後も後続との差を広げながらラリーをリードした。
レグ2は「慎重になり、守り過ぎた」と語った三枝選手。一時は20秒以上あった2番手との差を最終的には3秒まで詰め寄られたものの、トップの座を守ってフィニッシュした。
MCCで初の優勝を飾った三枝選手は「何度も土手から落ちかけたりして、特にラリー北海道はリタイア続きでしたが、落ちない技術も少しは身につけることができ、やっと最後まで走り切ることができました」と完走した喜びを噛み締めた。
2位争いは、奥井優介/藤田めぐみ組と米林慶晃/菅野総一郎組の間で熾烈な展開となった。レグ2のSS13で米林/菅野組が0.5秒差で2番手を奪還したものの、最終SS14で奥井/藤田組が最後の賭けに出て全開アタック。米林/菅野組をトータルで9.5秒引き離し、2位を奪取するとともに、シリーズランキングトップの座を守った。
3位となった米林/菅野組は「まだまだグラベルラリーは奥が深く、ドラテクには伸びしろがあると感じました。もっと腕を磨かないと。昨年はあんなにうれしかった3位なのに、今年は悔しい3位になりました。次戦のターマックから気持ちを切り替えて頑張ります」と、リベンジを誓った。
JN-4クラス
JN-4クラスは、前戦のカムイでトップを快走しながらも、前走車を追い抜く際に路肩にスタックして大きく順位を落とした山本悠太/竹原静香組(トヨタ・GR86)が、SS1から快走を見せた。路面がぬかるむSS3 YAM WAKKAではトップから約30秒遅れ、3番手まで順位を落としたものの、その後は順調にベストタイムを連発。SS6で加納武彦/萱原直子組(スバル・BRZ)をかわしてトップに再浮上すると、その後も2番手以下との差を広げ、今季3勝目を獲得した。
山本選手は「路面が濡れている早いタイミングの出走順というハンデもありましたが、路面コンディションが回復してからなんとか挽回できたので良かったです。内心ヒヤヒヤしつつ、昨年のタイム差を考えれば、あまり無理する必要もなかったので、冷静に走れたと思います」と振り返り、シリーズランキングトップの座も奪い返した。
2位は加納/萱原組が獲得し、「今年はスイフト勢もいる中で、ほとんどのステージで上位タイムを出すことができたので、充実感があります。ただ、PAWSE KAMUYは振り切れたと思うくらい攻めることができたのですが、それでもトップと10秒近い差があったのが反省点です。力の差があるのは否めませんが、なにが違うのか、諦めずにトライしていきたいです」とコメントした。
3位は、レグ1のセクション1で出遅れ、レグ2もエンジン不調に悩まされた曽根崇仁/小川由起組(トヨタ・GR86)が、粘り強い走りで表彰台の一角を手にした。
JN-5クラス
JN-5クラスは、チャンピオンに王手をかけていた松倉拓郎/山田真記子組(トヨタ・ヤリス)が、2日間を通して全SSでベストタイムを奪う快挙を達成。パーフェクトウィンで優勝を手にし、全日本チャンピオンを確定させた。
松倉選手は「最終日は無理をせず、気を抜いても危ないので、ある程度のペースで走りました。セーフティリードを築きながら、フルポイント、全ポイント制覇を達成することができました」と喜びのコメント。出場した5戦すべてで優勝し、レグ別得点でもフルポイントを獲得して2年ぶりとなるチャンピオンの座を奪還した。
2位には、ベテランの三苫和義/梶山剛組(ホンダ・フィット)が入った。三苫選手は「クルマがすごく乗りやすくなりました。フロントのストロークを伸ばしたので、轍などでも無理せずに走ることができました。昨年とは全然違う動きで、走りやすかったです。良いラリーになりました」と笑顔を見せた。
3位は、TGR WRCチャレンジプログラムのセレクションに選考された経緯を持つ若手の高岡威/佐々木裕一組(トヨタ・ヤリス)が獲得し、「初グラベルラリーということで、経験を積みたくてだいぶ抑えましたが、思ったよりもタイムが出せました。フィンランドのトレーニングで得た経験が、すごく活かされていると思います」と手応えを語った。
今シーズンはやれることをすべてやることができて、結果的に言うことなしの展開になりました。クルマのダメージもなく、順調にシーズンを進めることができました。チャンピオンが確定したのですが、第8戦のハイランドマスターズは勝ったことがないので、忘れ物を獲りにいくつもりです。
JN-Xクラス
JN-Xクラスは、天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・RAV4 PHEV)がSS1から一度もトップの座を譲らず快走。
「我慢のラリーでした。やっぱりカムイの時に徐々にペースを上げていったら破綻してしまったので。今回はかなり手前からブレーキングして、破綻させないように戦いました。特にロングステージのYAM WAKKAは、昨年のアクアと比べてもかなり遅くなってしまいました。このクルマはフラットな路面は得意でトップスピードはすごく速いですが、道が荒れた箇所は苦手で、いろいろとうまく制御できないところが課題ですね」と、第5戦カムイから投入したグラベル仕様のRAV4 PHEVで今季5勝目を挙げ、シリーズチャンピオン獲得に王手をかけた。
2位は、ロングステージのSS3で天野選手に12.9秒差をつけるベストタイムを奪った海老原孝敬/蔭山恵組(ホンダ・CR-Z)が獲得。3位には、前戦のカムイを制した清水和夫/黒木美珠組(トヨタ・ヤリスHEV)が入った。
オープンクラス
オープンクラスには、今年のラリージャパンでも活躍した相原泰祐/上原あずみ組(ダイハツ・コペン)が出場。最終走車となったため荒れた路面を走ることとなったが、見事に完走を果たした。
相原選手は「コペンでのラストランでしたが、コペンの良さ、低重心、低慣性、4輪の接地感、コーナリングの気持ち良さを体感できました。ただ、轍に合わないとか、そのあたりの課題はありますので、今後のダイハツ車の開発にボディ剛性など情報共有できたらと思います。午前中の低μ路では総合順位も良かったですし、低慣性ということでスライドコントロールが容易なんです。今後も、モータースポーツでの良いクルマ作りを続けていきたいと思っています」と語った。今回の走行結果から多くの参考データを得ることができ、充実した参戦となったようだ。
国際クラス
国際格式のインターナショナルは、2023~2025年まで3連覇を果たしている吉谷久俊/高田新二組(三菱・ランサーエボリューションIX)が、SS1からSS6までベストタイムを重ね、2番手の高橋冬彦/中村光雄組(スバル・インプレッサWRX STI)に3分以上のタイム差をつけてトップを快走。しかし、SS7の走行中に突然ボンネットが開き、フロントガラスを破損。独走態勢を築いていたものの、惜しくも戦列を離れることとなった。
吉谷/高田組の脱落によりトップは高橋/中村組に交代したが、初日の最終SSとなるSS8を終えた時点で、2番手の伊藤暁/藪本啓介組(三菱・ランサーエボリューションX)との差はわずか12.5秒。2日目はこの2組がベストタイムを奪い合い、SS13終了時点では両者の差が0.2秒という緊迫した展開となる。しかし、最終ステージのSS14を逃げ切った高橋/中村組が、ラリー北海道初優勝を飾った。
待望のラリー北海道初優勝を手にした高橋選手は「一度は手にしたかった優勝ですが、いざ現実になると気持ちの整理が追いつかず、まだ実感できません。本当は2002年のAPRCラリー北海道で引退するつもりだったのですが、そこで『こんなに楽しいならば』と感じ、今に至っています。今はアジパシではなくなりましたけど、続けてきて良かったです」と、表彰式で達成感あふれる笑顔を見せた。
XCRスプリントカップシリーズ 第6戦 XC-1クラス/XC-2クラス/XC-2Sクラス/XC-3クラス/XC-3Sクラス
併催されたXCRスプリントシリーズ第6戦では、XC-1クラスで能戸知徳/田中一弘組(トヨタ・レクサスGX550h)が、喜多見孝弘/浦雅史組(トヨタ・ランドクルーザー300)を29.7秒引き離して優勝した。
XC-2クラスは、SS12まで番場彬/宮本大輝組(トヨタ・ハイラックス)と川畑真人/中田昌美組(三菱・トライトン)が、SSごとに順位を入れ替える緊迫した勝負を展開。しかし、SS13で川畑選手が転倒し、番場/宮本組が今季4勝目を挙げるとともに、5年連続となるシリーズチャンピオンを確定した。
XC-2Sクラスは寺川和紘/石川美代子組(マツダ・CX-60)が、2位を2分以上引き離す走りで優勝。XC-3クラスは坂本誠/花田圭一組(スズキ・ジムニーシエラ)が奈良裕/佐竹尚子組(スズキ・ジムニー)を14秒引き離して優勝した。XC-3Sクラスは、大塚祐樹/HANA組(トヨタ・ライズ)が安定した走りで完走し、今季5勝目を飾った。
5年連続となるシリーズチャンピオンを確定した番場/宮本組。
PHOTO/CINQ、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、中島正義[Tadayoshi NAKAJIMA]、成田颯一[Souichi NARITA] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



