関東初開催XCR第4戦で柳澤宏至/加勢直毅組がトライトンで勝利!

レポート ラリー

2026年8月26日

6月に秋田県で開催された2026年XCRスプリントカップシリーズ第3戦は、シリーズ初の北海道外開催として注目を集めた。これまでは道内で開催されるJAF全日本ラリー選手権やJAF北海道ラリー選手権に併催されるかたちで行われてきたが、第4戦は関東地区での初開催に加えてシリーズ創設以来、初めてとなる単独開催となった。最激戦区のXC-2クラスは三菱・トライトンを駆る柳澤宏至/加勢直毅組が制し、柳澤選手とトライトンはシリーズ初優勝を成し遂げた。

2026年XCRスプリントカップシリーズ 第4戦
ASAMA ATTACK

開催日:2026年8月1~2日
開催地:群馬県長野原町、嬬恋村周辺
主催:M.O.S.C.O.

 全7戦で争う今季のXCRは、8月1~2日に群馬県で開催された第4戦「ASAMA ATTACK」でシーズン折り返しを迎えた。舞台となったのは、近年は2月にウインターラリーが開催される群馬県嬬恋村を中心としたエリア。村内にある浅間サーキットをはじめ、浅間山麓に広がるエリアに設定された約180kmのルートを2日間にわたって走り、28台のエントラントが記念すべき一戦に挑んだ。

2022シーズンに発足して以来、XCRスプリントカップシリーズだけの単独開催は初となる記念すべきラリーとなった。ヘッドクォーターとサービスパークはANAホリデイ・インリゾート軽井沢に設置され、浅間山を背景にしたロケーションは「ASAMA ATTACK」ならではの雰囲気を醸していた。

XC-2クラス

 毎戦、総合優勝を争うXC-2クラスには9台がエントリー。2025シーズンもトライトンでスポット参戦した川畑真人選手が、コ・ドライバーの中田昌美選手と今季初参戦を果たしたほか、川畑選手と同じくドリフト界トップドライバーの一人、松山北斗選手がコ・ドラに羽琉選手を迎えてトヨタ・ランドクルーザー250でXCR初参戦。また、能戸知徳/Kazuhiro.Tanaka組がトヨタ・レクサスGX550を持ち込むなど、バラエティに富んだ車種構成も話題となった。

 浅間サーキットで行ったオープニングステージのSS1“Asama 1”では、第3戦から参戦した柳澤/加勢組がトライトンを駆って圧巻のタイムをマークした。わずか1.78kmのショートステージながら、チームメイトでトヨタ・ハイラックスをドライブする番場彬/藤田めぐみ組に2.3秒差をつけて首位に立つ。

 続くSS2“Kurumazaka 1”は、6.88kmをひたすら駆け上がるグラベルの林道ステージ。路面の一部には路肩が崩れている箇所があるものの、全体的にはフラットな良質ダートが続く。ここでベストタイムを奪ったのは、SS1でも軽快な走りを見せていた川畑/中田組だった。柳澤/加勢組に8.7秒差をつけるタイムで駆け抜けて、一気にトップを奪った。

 だが、好事魔多し。川畑/中田組は、浅間サーキットに戻ってきたSS3“Asama 2”で走行中のトライトンにトラブルが発生。SSを走り切ることができず、リタイアとなってしまう。

 これで柳澤/加勢組がトップに返り咲くが、SS2でセカンドベストタイムをマークしていたMana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組がハイラックスで、このSSでも柳澤/加勢組を上回るセカンドベストをマークしてトップに0.8秒差まで迫る。

 SS4“Asama 3”は、序盤でセッティングがかみ合わず失速していた番場/藤田組が連続ベストをマーク。柳澤/加勢組に5.4秒差まで迫る3番手、2番手のPornsiricherd/Klinchan組は1.7秒差でラリーを折り返す。

 最終日のレグ2は、Kurumazakaを挟んでAsamaを前日の逆走で2回走る合計3本のSSで競われた。SS5“Asama Reverse 1”では番場/藤田組がベストをマークし、Pornsiricherd/Klinchan組を抜いて2番手を奪取。続くSS6“Kurumazaka 2”では、Pornsiricherd/Klinchan組が今回のラリー初となるベストで番場/藤田組を捉え、柳澤/加勢組との差を2.2秒まで縮める。番場/藤田組もトップから3.3秒差につけ、三つ巴の展開で最終のSS7“Asama Reverse 2”を迎えた。

 番場/藤田組はSS7でもベストをマーク。Asamaで4本連続となるベストで締めくくったが、サードベストタイムで走り切った柳澤/加勢組にはわずか1.2秒届かなかった。だが、Pornsiricherd/Klinchan組を再び抜いてCUSCO Racing×K.Z.F serviceに1-2フィニッシュをもたらした。

 Pornsiricherd/Klinchan組はAsamaではペースを上げられなかったものの、これまで苦手としていた日本特有のテクニカルな林道ステージで速さを見せた。そのパフォーマンスは、今後の戦いを占ううえでも注目を集める結果となった。

 柳澤選手は「開幕戦(第3戦)から足回りやブレーキバランスなど、できることはやってきましたが、まだ自分の思うような動きには持っていけてないので、まだまだやらなければいけないことは多いですね」と、トライトンで2戦目となったラリーを振り返った。

 続けて「ただ、結果的にはSS1でブッチギれたのが効いたと思うので、それは良かったと思います。Asamaの方が車種の差が出にくかったですよね。トライトンは走破性と走行安定性では有利なクルマだと思うので、コーナリング性能の方をさらに上げていきたいです」と、柳澤選手は今後に向けてさらなる戦闘力向上を見据えていた。

 一方、2位の番場選手は「昨日は試したことがないセットで走り出したらリアがナーバスになってしまって、特に林道では厳しかったです。元に戻したら良くなって、ちょっとずつタイムは詰められましたがあと一歩、届きませんでした。最後はMana(Pornsiricherd)選手を逆転できましたけど、今回の林道の速さを見ると『いよいよ本気を出してきたな』って感じですね。シリーズ的にも余裕ができたとは全然思っていません」と後半戦に向けて、改めて気を引き締めていた。

XC-2クラス優勝の柳澤宏至/加勢直毅組(CUSCO YH ジオランダートライトン)。
XC-2で2位の番場彬/藤田めぐみ組(CUSCO YH ジオランダーハイラックス)、3位のMana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組(FAST FORWARD HILUX)。
XC-2セレモニアルフィニッシュの各選手。

XC-2Sクラス

 SUVが対象となるXC-2Sクラスも、白熱したバトルが繰り広げられた。SS1では、第3戦で高桑春雄/安東貞敏組がドライブしたSK型スバル・フォレスターを駆る平塚忠博/鈴木マチオ組が、前戦でSL型フォレスターとクラスデビューウィンした藤野秀之/玉城詩菜組に1秒差をつけるベストをマーク。新旧フォレスター勢が1-2で好スタートを切ったが、SS2では車両制御の介入がペースアップを阻む場面もあり、ともに大きくタイムを落とした。

 このロングステージを制したのは、前戦から三菱・アウトランダーPHEVを投入した浅井明幸/古川和樹組だった。北島広実/島津雅彦組のマツダ・CX-60を4.3秒差で下して首位に立ったが、Asamaではペースを上げられず、レグ1はわずか0.6秒差で首位の座を明け渡した。

 レグ2に入ると北島/島津組がSS5でベストを獲り、浅井/古川組はSS6で再びベストを狙い逆転を目指す。しかし、北島/島津組もペースを上げ、浅井/古川組を5.8秒差で下す渾身のベストをマーク。最終のSS7も着実にリードを広げた北島/島津組がそのまま逃げ切り、参戦4戦目にしてシリーズ初優勝を達成した。

「二日間とも、1本目のAsamaでクルマの動きを試しながら走って、それを踏まえてKurumazakaにアタックした感じでした。総じてクルマのバランスの良さがタイムにつながったと思います」と北島選手は語った。

 続けて「制御については4戦目ということで体が慣れてきた感じはありますが、まだダートラで体に染みついたものがあるので(笑)、ロスしている部分もあります。前戦で転倒して時間のない中、周りの方々にご迷惑とご心配をおかけしてしまったので、結果という形で恩返しできて良かったです」と、北島選手は最後に胸をなでおろしていた。

 2位に終わった浅井選手は「足回りを大きく変更して路面追従性が上がったことと、タイヤサイズを大きくしたことが特に林道ではハマりました」とアウトランダーPHEVのポテンシャルの高さを印象づけた。一方で「Asamaはどうも苦手で、走りのリズムが掴めなくてどうすることもできませんでした」と、メインステージで苦戦した理由を語った。

XC-2Sクラス優勝の北島広実/島津雅彦組(スマッシュ DL・MAZ 市原北 CX-60)。
XC-2Sで2位の浅井明幸/古川和樹組(群馬三菱 YH アウトランダーPHEV)、3位の藤野秀之/玉城詩菜組(WISTERIA TY フォレスター)。
XC-2Sセレモニアルフィニッシュの各選手。

XC-3クラス

 XC-3クラスには今季最多となる7台がエントリー。SS1では第3戦の覇者、坂本誠/花田圭一組がスズキ・ジムニーシエラでベストを奪ったが、SS2では今季初参戦の奈良裕/KAWA組がジムニーで坂本/花田組を2.5秒上回り、トップに立った。しかし、Asamaでは坂本/花田組が速く、SS4で奈良/KAWA組を4.3秒差で下して逆転。3.8秒のアドバンテージを持ってトップでレグ1を終えた。

 坂本/花田組の速さは逆走となったレグ2に入っても衰えず、SS5では大差をつけてベストをマークした。KurumazakaのSS6では前日同様、奈良/KAWA組が4.7秒差で坂本/花田組を抑えたがAsamaでのタイムロスを埋めるには至らず、坂本/花田組がトータル7.6秒差で逃げ切った。

「AsamaもKurumazakaも両方ともいけるセットにはしてもらっているんですが、林道のKurumazakaは秋田の時よりも厳しかったですね」と振り返った坂本選手は、「その分、Asamaは勝負がかかっていたので、踏めるところは床が抜けてもいいくらいの気持ちで踏み切りました(笑)。やっぱりショートコースの方が普段やっているジムニーのレースに似ているので、しっかり集中できましたね。これからも奈良選手とガチガチの勝負になると思うので頑張ります」と、今後の戦いに向けて意気込みを語った。

 その奈良選手は「林道ではしっかりラリーできましたけど(笑)、Asamaではコースに対するクルマのレスポンスが今一つでした。ただ、クルマは以前より決まってきているので、次はしっかりコースに合わせ込んだセッティングを見つけて、勝ちを狙っていきたいですね」とリベンジを誓った。

XC-3クラス優勝の坂本誠/花田圭一組(TY HB-1 ジムニーシエラ)。
XC-3で2位の奈良裕/KAWA組(TRiBAL ジムニー YOKOHAMA)、3位の炭山速斗/坂井理祟組(KZF×C TY Moty's Jimny)。
XC-3セレモニアルフィニッシュの各選手。

XC-1クラス

 開幕以降、惣田政樹/猿川仁組の三菱・デリカD:5のみの単独エントリーが続いていたXC-1クラスだが、昨季のラリー北海道にアウトランダーPHEVでXC-2にスポット参戦した長谷川智秀/厚地保幸組がデリカD:5を持ち込み、デリカ対決が実現した。

 SS1では、エンジンに不調を抱えながらも惣田/猿川組が0.8秒差で首位スタートを切った。SS2は、長谷川/厚地組も1.7秒差で惣田/猿川組に食らいつく展開となった。しかし、惣田/猿川組がSS3、SS4のAsamaでペースを上げたのに対し、長谷川/厚地組はSS1のタイムを上回ることができず、レグ1は惣田/猿川組が10.9秒までリードを広げて折り返した。

 惣田/猿川組はレグ2最初のAsama逆走となるSS5も制し、逃げ切りを図る。一方、前日はシェイクダウン同然だった長谷川/厚地組は、デリカD:5の感触を掴んだことでSS6では5.7秒差で惣田/猿川組を下し、初のベストを奪取。続くSS7でも連続ベストをマークしたが8.5秒及ばず、惣田/猿川組に開幕第1戦から続くトップフィニッシュを許す結果となった。

XC-1クラス優勝の惣田政樹/猿川仁組(ジオランダー・ブラV・SF・デリカ D5)。
XC-1のセレモニアルフィニッシュ、左から2位の⾧谷川智秀/厚地保幸組(ハセプロトーヨー&フレックスデリカD5)、1位の惣田/猿川組。

XC-3Sクラス

 XC-3Sクラスは開幕戦以来となる2台の出走となり、一騎討ちを展開した。2連勝中の大塚祐樹/HANA組のトヨタ・ライズに対し、Yuuki Sato/Miyabi Sato組は三菱・パジェロミニで挑戦。異色の組み合わせに周囲の注目を集めたが、大塚/HANA組はKurumazakaで大量リードを築き、レグ1から独走状態に持ち込んだ。

 Yuuki Sato/Miyabi Sato組はSS4で0.1秒差まで迫るなどAsamaでは速さを見せたが、Kurumazakaでのタイムロスが響いて大塚/HANA組の背後に迫ることはできず、全SSを制した大塚/HANA組が快勝を果たした。

XC-3Sクラス優勝の大塚祐樹/HANA組(トゥーザコアメープル SFGEO ライズ)。
XC-3Sのセレモニアルフィニッシュ、左から2位のYuuki sato/Miyabi Sato組(伊豆佐藤建築 PJ mini KIX)、1位の大塚/HANA組。

CLOSEDクラス

 今回のラリーで新たに設定されたCLOSEDクラスは、日曜日のみの1DAY開催となり、Asama Reverse2本で勝敗が競われた。アメ車から軽自動車まで4台がすべて異なる車種によるバトルを制したのは、ジープ・ラングラーを駆る河野一哉/渡辺尚文組。2SSともベストを獲り、初開催のCLOSEDでトップに立った。

CLOSEDクラスを制した河野一哉/渡辺尚文組(サノサカ ラングラー)。
CLOSED2位の三角武史/小林日出一組(CANUS Let`go 4WD シエラ)、3位の植木涼太/芳沢直樹組(ジオランダーUeryo・SF パジェロミニ)。
CLOSEDセレモニアルフィニッシュの各選手。

PHOTO/田代康[Kou TASHIRO]、斉藤武浩[Takehiro SAITOU] REPORT/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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