FIAガールズ・オン・トラックが東京で開催。次世代を担う女性たちがモータースポーツの扉を開く
2026年8月10日
FIA(国際自動車連盟)が推進する女性向けモータースポーツ支援プログラム「FIAガールズ・オン・トラック」が、7月24日に東京ビッグサイトで開催された。今年も多彩な体験プログラムが用意され、参加した女性たちは新たな発見を得るとともにモータースポーツでの未来を思い描いた。
FIA Girls on Track presented by Hankook
(FIAフォーミュラE世界選手権 2026 TDK 東京 E-Prix内)
開催日:2026年7月24日
開催地:東京ビッグサイト(東京都江東区)
主催:Formula E Operations
FIAフォーミュラE世界選手権 2026 TDK 東京E-Prixの開催に合わせて実施されるFIAガールズ・オン・トラック。これはモータースポーツの仕事に関心のある12~18歳の女性を対象としたFIAが推進するプログラムで、日本での開催は2023/2024シーズンから数えて3回目となる。昨年に実施されたプログラムの反響を受け、募集人数を120名に拡大。今年は118名の応募があり、最終的に78名が参加した。
FIAウィメン・イン・モータースポーツ・コミッションが中心となって展開するFIAガールズ・オン・トラックは、女性がモータースポーツ業界で活躍する可能性を広げることを目的とした国際的な取り組みだ。フォーミュラEの会場でもプログラムは実施され、参加費は無料。通常では立ち入ることが難しいパドックやバックヤードの見学など、モータースポーツをより身近に感じられる特別な体験ができる。
そしてプログラムの最大の意義は、モータースポーツを“観る”だけではなく、将来の仕事やキャリアの選択肢として捉えるきっかけを提供する点。参加者は、女性ドライバーのキャリア形成、エンジニア業務、運営スタッフの役割、チームマネジメント実務、グローバルなコミュニケーションスキルの重要性などについて直接学ぶことができるのだ。
ソーシャルインパクトコーディネーター/タマラ・ラモス氏
「昨年とコンセプトは一緒です。若い女性に参加を促し、モータースポーツの世界を見てもらって、ひらめきや刺激を与えることが目標ですね」と語るのは、FIAガールズ・オン・トラックで企画・運営・調整の役職を担うタマラ・ラモス氏。多様な文化や専門知識が交わるモータースポーツの世界に魅力を感じている、業界歴2年の女性だ。
日本におけるFIAガールズ・オン・トラックの印象について尋ねると「他国よりも応募や参加率が高いですね」と感嘆の表情を見せる。その熱意に応えるため、今回は日本ならではの工夫を凝らしたそうだ。「各レースで実施しているFIAガールズ・オン・トラックとの差別化を図り、日本向けにプログラムを最適化しました。東京で参加してもらった方に意味があったと感じてもらえるプログラムです」と語る。
一方で、今年は昨年のシティサーキット東京ベイで行われたセッションがなくなっているが、「時間を効率的に使う意味でもひとつの会場で実施し、参加者になるべく多くのプログラムを体験してもらうという狙いがあります」と説明。東京ビッグサイトのフォーミュラE ファンビレッジ内に設けられたガールズ・オン・トラックのブースを拠点とし、イベント関連のコンテンツを多数用意していた。
最後に、将来モータースポーツ業界を目指す女性たちに向けて「自分の快適な環境から一歩踏み出し、新しい人と出会い、業界について学べる場所へ積極的に足を運んでほしいです」と呼びかけ、無料の研修やキャリアセミナー、ワークショップ、ネットワーキングイベントなどへの参加を推奨。実際に業界で働く人との交流やSNSを通じた情報収集も、キャリア形成に役立つと強調した。
「現場で働く人から一日の仕事の流れや働き方を聞くことで、業界への理解が深まり、自分が何を準備すべきかが見えてくると思います」と言い、「まずは行動すること。新しい出会いや経験が、将来への大きな一歩につながります」とメッセージを送る。「モータースポーツのフィールドでドライバーになったり働いたりという道を広げてもらえればうれしいですね」と言葉を締めた。
当日の集合場所には東京ビッグサイト東1~3ホールのファンビレッジ内にあるガールズ・オン・トラックブース前が指定され、14時の受付時間になると多くの参加者が集まった。まず参加者にはキャップやタンブラーなどの記念品が入ったトートバッグがプレゼントされ、配布されたTシャツに着替えて準備を行う。受付の段階で6グループに分けられ、グループごとに行動する形式で一日をスタートした。
14時30分からはファンビレッジ内のステージエリアでウェルカム&キャリアトークを見学。KYOJO CUPに参戦する松井沙麗選手とジョアンヌ・チコンテ選手のほか、司会を務めた関谷桃子氏、東京都職員で働く女性応援担当部長の金子しのぶ氏が登壇してトークを繰り広げた。さらに東京都前副知事で、東京都女性活躍推進監の松本明子氏も参加者へ向けてメッセージを送り、女性がさまざまな分野へ挑戦することの重要性を語った。
続くワークショップでは、参加者がグループごとにファンビレッジ内の複数の体験プログラムを巡回。EカートブースでトムスがプロデュースするEVレーシングカートを体験したほか、ゲーミングアリーナブースのFly Saudia Gaming Zoneでレーシングシミュレーターにも挑戦した。また、フォーミュラEのオフィシャルタイヤサプライヤーであるハンコックブースでは、タイヤメーカーがモータースポーツを支える役割について学ぶ。
そしてガールズ・オン・トラックブースでは、東京都の環境施策を紹介するTOKYO GX ACTIONコーナー、交通安全への理解を深めるROAD SAFETYコーナー、ものづくりや工学分野への関心を高めるSTEM Racingコーナーなどのプログラムが用意され、エネルギーや脱炭素といった身近なテーマから、モータースポーツを支えるさまざまな分野まで理解を深めていた。
本来であれば16時10分からピットレーンウォークとガレージツアーが予定されていたが、コースへの移動中に発生した落雷予報の影響により、参加者は屋内へ避難して天候の回復を待った。だが避難指示はしばらく解除されなかったため、安全上の理由から急きょ中止に。その後はワークショップの続きを行う形でプログラムが進められた。
17時20分からの休憩時間には軽食が提供される。通常メニューに加えて野菜中心やグルテンフリーのメニューも用意され、多様な参加者への配慮がなされていた。
夜になると、ナイトレース開催ならではの体験が参加者を待っていた。19時からは観戦スタンドでフォーミュラEのフリー走行(FP1)を見学。世界最高峰の電動フォーミュラカーが市街地コースを駆け抜ける迫力を間近で体感した。さらに20時からは希望者を対象にトラックウォークを実施。ピットレーンや実際のレースコースを歩きながら大会の舞台裏を見学し、レース運営の現場をより深く知る機会となった。
イベントは21時30分に終了。今回の参加者にはFIAフォーミュラE世界選手権 2026 TDK 東京E-Prix観戦のチケットも提供され、希望者は25日と26日に個別で観戦を行っていた。参加者たちはFIAガールズ・オン・トラックを通じて、モータースポーツの魅力だけでなく業界を支えるさまざまな仕事への理解も深めていた。将来のキャリアについて考えるきっかけを得るとともに、それぞれが新たな可能性に触れる一日となったようだ。
フラワーリース贈呈に参加
ガールズ・オン・トラックの体験プログラム実施中に募集の告知があり、希望者の中から抽選でフォーミュラEの表彰式関連プログラムに参加することが可能となった。WEBサイトからの申し込みで、当選者はドライバーへのフラワーリース授与を担当することに。各日4人がプレゼンターとして登壇し、大会運営の最前線に触れる特別な経験を得た。
PHOTO/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



