2年ぶり開催の神大ラリー。田中佑樹デミオが僅差のバトルを制して、福中喬祐カプチーノの連勝を阻止!
2024年9月25日

全6戦で開催されるJAF中部近畿ラリー選手権は、近畿地区での最終戦となる「第45回神大ラリー」が、9月14~15日にシリーズ第5戦として開催された。
2024年JAF中部・近畿ラリー選手権 第5戦
2024年JMRC近畿SSラリーシリーズ 第3戦
第45回神大ラリー
開催日:2024年9月14~15日
開催場所:兵庫県豊岡市、兵庫県香美町周辺
主催:Team Shindai
今年のラリーの拠点となったのは兵庫県豊岡市の神鍋高原で、奥神鍋体育館にHQが置かれ、同体育館前の駐車場がサービスパークとなった。2本設定されたSSはともにターマックで、Mikawa 13.04kmとOkuyama-Tokuse Rev 4.69kmを、サービスを挟んで1回ずつ走る。
Okuyama-Tokuseはここ数年、毎回使用されているステージだが、今年は逆走で2回走るという設定。注目は13kmのロングステージとなるMikawaだ。本来は、昨年予定されていた第44回神大ラリーで使用される予定だったが、台風の影響を受けて開催が中止となったため、今回初めて使われるステージとなった。
このMikawaは、稜線沿いを走る非常に見晴らしの良いステージで、道幅もある程度確保されている。アップダウンに富み、クレスト状の箇所もあるほか、一部うねりやギャップ、砂が出ている箇所もあるので、精度の高いペースノートが求められるステージだ。このMikawaについては、複数のドライバーが、「“3次元”の道が続くので、難しい」と評した。
この13kmのSSは、クルーはスタート後、約33kmのリエゾンを経てこのステージに辿り着き、ゴール後は約27kmを走ってOkuyama-Tokuse Revのスタートに着くというのが今回の設定。トータルで約90kmのラリールートを2回巡る長丁場のラリーとなったが、あるエントラントは、「ここは、しんだいラリーじゃなくて、しんどいラリーやから」と苦笑交じりに、その長さを受け入れていた。

DE-1クラス
DE-1クラスは伊藤淳郎/廣嶋真組がSS1 Mikawaで2番手の蒲生裕一/前田健吾組を17秒突き離すタイムをマークして好発進。SS2 Okuyama-Tokuse Revでは蒲生/前田組が4秒差で食らついたが、SS3 Mikawaでは伊藤/廣嶋組が再び大差のベストタイムをマークする。
雨が降り出したSS4 Okuyama-Tokuse Revは蒲生/前田組が一矢報いるベストタイムで上がるが、それまでのビハインドが大きく、結果的に伊藤/廣嶋組の独走を許す形に。「セットを変えてきたけど、なかなかいい方向にはいかなかった。でも勝てたので、まぁ良かったです」(伊藤選手)と振り返った伊藤/廣嶋組が今季3勝目をゲットした。



DE-2クラス
DE-2クラスはポイントリーダーの下口紘輝/小林一貴組が、SS1で、「路面がまだ濡れていたのでドライタイヤということもあって様子見してしまった」と言いつつも、大差のベストタイムを奪取。SS2でも後続をキロ2秒突き離すベストタイムで上がってリードを広げる。後半に入ってもドライとなったSS3で前走から20秒タイムを詰めて首位の座をキープ。最後は40秒近いマージンを作って逃げ切り、クラス優勝とともにオーバーオールウィンも成し遂げた。
「ギャップやうねりがあって上下方向の動きをケアしないといけなかったので、難しい道でしたけど、終わってみれば楽しく走れました(笑)。第3戦でも最初からリードできましたが、最後で抑えたら一気に迫られたので、今回はSS3までしっかり攻め切りました。SS3はリズムも作れて、いい感じで走れたと思います」と下口選手。
ロングSSゆえ、クルマ酔い対策が大変だったというコ・ドライバーの小林選手は、「総合でも1番目にスタートさせてもらえたので、特にセクション1で、まだ荒れる前のいい道を走れたのも大きかったと思います」と振り返った。
白熱した2位争いは、最終のSS4を総合ベストで走り切った大西史朗/杉本直美組が、今季は関東から遠征を続けている渡辺謙太郎/箕作裕子組を1.4秒振り切ってスズキ・スイフト同士のバトルを制したが、「タイヤ選択もセッティングも大外れでした」と大西選手。悔いの残る一戦となった。



DE-5クラス
参加16台と最多エントリーを数えたDE-5クラスは、トップ4台が10秒差以内にひしめく接戦となった。一番の注目は、今季ラリーに出る度に順位を上げ、前戦丹後半島ラリーで遂に優勝を飾った福中喬祐/中島秀一朗組で、ラリーではまず見かけないスズキ・カプチーノを駆る。
しかしSS1は、「路面が濡れていてトラクションがいまひとつだった」と3番手でゴール。このSSのベストはチームメイトでもある田中佑樹/大和洋輝組のマツダ・デミオで、福中/中島組を6秒差で下すと、SS2も4.6秒差で下すベストタイムをマーク。その差を10.6秒に広げて、トップでサービスに戻ってきた。
だがセクション2に入ると、完全ドライとなったSS3で福中/中島組が反撃を開始。田中/大和組を10秒以上も引き離して、この日初のベストタイムをマーク。一気に田中/大和組を抜き去って1.7秒のリードで最終のSS4を迎えた。しかし、ここでまた福中/中島組にとっては無情の雨が降り出すことに。田中/大和組は福中/中島組に5.5秒差をつけるセカンドベストをマークして再逆転。トータル3.8秒差で優勝を飾った。
「SS1でスピンしてしまって、その後も、“あのスピンがなければ”とメンタル的に引きずってしまいましたけど、最後は雨に助けられましたね」と田中選手。ラリー歴3年で待望の地区戦初優勝を飾った26歳は、「今年はノートを改善していて、クレストのような先を見通しにくい所でも速度を調整できるようになりました。ただコ・ドライバーからは(コーナーの)出口が遅いと今日も言われたので、まだまだ要修業です」とラリーを振り返った。
一方、連勝を逃した福中選手は、「ドライのままだったら勝てる自信がありましたが、ウェットのラリーではカプチーノの動きをまだ掴み切れてない所があるので、逆転されちゃいましたね」と悔しい一戦となった。
ホンダ・フィット2台による3位争いも白熱したが、最終SSで総合でも2番手となるクラスベストを叩き出した中井育真/岡田誠組が、0.7秒差で杉本延重/後藤祥之組を振り切った。ただし中井選手も、「SS1が遅すぎた。最初、フロントのグリップがあまりなかったので、様子見してしまいました」と、トップ2のバトルに絡めなかったことを悔やんでいた。



DE-6クラス
DE-6クラスは、松原周勢/HARU組がSS1で2番手以下を40秒以上も引き離すタイムで上がってラリーの主導権を握ると、SS3まで連続ベストをマーク。「難しい道でしたが、全体的にはうまくまとめられました」(松原選手)と、ライバルを最後まで寄せつけず、快勝した。
「最後までウェットセッティングのままで走りましたが、道が荒れてきても余裕を持って対応できるタイヤを選択したので、問題なかったです」と松原選手。「ただ(雨が降った)SS4は、置きに行く走りをしてしまって抑え過ぎました」と、SS完全制覇を逃したことには苦笑いを見せていた。



チャレンジクラス
チャレンジクラスはトヨタ・トレノで参戦した安井忠史/小林高広組がSS1、SS2を連取してトップで折り返したが、セクション2に入ると、上林勇/森博則組のトヨタ・86が、SS3でSS1から50秒近くもタイムアップを果たして一気に逆転に成功。
「セクション1はブレーキにあたりがついていなかったのでペースを上げられなかったけど、後半のセクションはフィーリングが合ってきました。距離が長いので最初は心配でしたが、何とか最後まで大丈夫でした(笑)」と、SS4も連取してリードを拡大。そのまま逃げ切って今季初優勝を飾った。



フォト/田代康 レポート/田代康、JAFスポーツ編集部
RECOMMENDED > おすすめ記事

全日本ラリー第2戦で勝田範彦/保井隆宏組が刷新されたステージを快走!
2025年4月18日

2025年1月から設置されたJAFの新たな専門部会「競技運転者(ドライバーズ)部会」の第1回会議が開催
2025年3月21日

2年目のラリー三河湾はコンビ復活の勝田範彦/保井隆宏組が連覇!
2025年3月7日

マツダ車ユーザーの栄誉を称えるMAZDA SPIRIT RACING モータースポーツ表彰式が挙行
2025年3月5日