四国ダートラ開幕戦SD2は元王者の梶田昌弘選手が貫録を見せて優勝!

レポート ダートトライアル

2025年4月8日

2025シーズンの開幕となるJAF四国ダートトライアル選手権の第1戦が3月30日、香川県さぬき市に建つ香川スポーツランドで開催された。今季も全5戦が組まれ、この第1戦から第4戦は香川スポーツランド、最終第5戦は広島県のテクニックステージタカタで開催される。スケジュールは2024シーズンと変わりないが、新たにRWDクラスが加わったことが大きな変更点となる。

2025年JAF四国ダートトライアル選手権 第1戦
2025年JMRC四国ダートトライアルシリーズ第1戦
2025年MACダートトライアル

開催日:2025年3月30日
開催地:香川スポーツランド(香川県さぬき市)
主催:MAC

 今回の一戦はもちろん、自らも地区戦やJAF全日本ダートトライアル選手権などに参戦しているJMRC四国ダートトライアル部会の萩原豪会長は、「四国地区戦に1台でも多く参加台数を増やしたい、ということからRWDクラスを設定しました。今回は不成立となってしまいましたが、クラスがあれば地元のみならず、近隣の地区からも参加が見込めるのではないかというのが狙いです」と語った。

 続けて、「今回の近畿地区戦との併催も今後、他地区の選手に香川スポーツランドを走ってもらうひとつのきっかけになればと思ってます」と、萩原部会長はダートラから四国モータースポーツの盛りあげに、様々な角度から取り組んでいる。昨季から始めたダートラ車両のレンタルも継続中だ。

JRMC四国ダートトライアル部会の萩原豪部会長は、JAF四国ダートトライアル選手権をとおして、四国モータースポーツを更に活気づけようと取り組んでいる。自身もダートラやラリーに参戦する“走る部会長”だ。

 萩原部会長の言葉にもあったように、2025年JAF近畿ダートトライアル選手権 第1戦との併催で開幕となった四国ダートラ。午前中は四国地区戦、午後から近畿地区戦というスケジュールで行われたが、四国戦には、近畿地区のドライバーたちが練習も兼ねて数多く参戦。当日は寒の戻りで朝から真冬の寒さとなったが、香川スポーツランド(香川SL)はいつも以上の賑わいを見せて熱戦が繰り広げられた。

午後からの2025年JAF近畿ダートトライアル選手権 第1戦を控えた近畿地区のドライバーたちも多数参戦し、パドックは賑やかになった。
レイアウトは香川スポーツランドの外周を目いっぱい使いながらも、シンプルな構成。香川SL初挑戦も多いであろう、近畿のドライバーたちへの配慮も感じられる。

PN+クラス

 2WDのPN車両及び2WDで排気量1500cc以下のSA・SAX車両・RJ含むラリー車両で争われるPN1+クラスは、ヒート1から僅差の戦いとなった。

 トップタイムをマークしたのは近畿勢の一角、原真司選手でタイムは1分34秒297。2番手には近畿勢ながらもディフェンディングチャンピオンの西岡章夫選手、そして3番手には、JAF中四国ラリー選手権のFG-3クラスにも挑む松原久選手と続いた。原選手から松原久選手までのタイム差は僅か0.074秒という接戦でヒート1を終えた。

 そしてヒート2で原選手は1分32秒983までトップタイムを更新するも束の間、次ゼッケンの松原久選手が1分31秒656を叩き出してトップに躍り出る。一気にハードルが上がり、西岡選手は2.6秒以上のタイムアップが必須となった。

 西岡選手は昨季の後半戦にAT車両も実戦投入したが、今回は午後からの近畿戦に備えMT車両で参戦する必勝態勢で臨んでいた。しかし、原選手のタイムは上まわるも、松原久選手には1.108秒及ばず2位に終わり、松原久選手が逆転勝利を収めた。

「2本目は、下段に行くコーナーで振られてしまい、立て直すのに時間を喰いました。それが悔やまれますね」と、3位となった原選手は走りを反省した。2位の西岡選手は「今回はタイヤを195から205に変えたのですが、シフトの位置が分からんし、クラッチから臭いは出るし(笑)」と、タイヤサイズの変更が仇となった様子だった。

 そして、「2本目はそこそこ踏んでいけました。1本目はシフトミスを4回もやっちゃって(苦笑)。路面的には1本目の方が走りやすかったな。四国のダートラは台数が少ないので、ラリーの練習も兼ねて出られるときは参加します」と、優勝した松原久選手。ラリードライバーが林道コースの香川SLを制した。

PN+クラスはマツダ・デミオを駆る松原久選手(インディゴ☆リズミックスデミオ)が優勝した。
PN+の2位と3位はZC33S型スズキ・スイフトスポーツ使いが占めた。2位は西岡章夫選手(TAKUMIスイフト、左)が、原真司選手(DL・雅テック・スイフト、右)が3位を獲得した。
PN+は左から2位の西岡選手、優勝した松原久選手、3位の原選手、4位の近藤大介選手(阪大DEデミオ)、5位の島田正樹選手(eX・S+・モチュールスイフト)、6位のチェルシー豊岡選手(タクミFKFデミオ)が表彰された。

SD1クラス

 SD1クラスは2WDまたは1600cc以下で4WDのSA・SAX・SC・D車両で争われ、このクラスの昨季と2023シーズンチャンピオンによる優勝争いとなった。

 ヒート1をトップで折り返したのは、フィニッシュ手前でドライブシャフトを破損しながらも1分30秒235を刻んだチャモロ選手。この選手の正体は、今季からライセンスネームを愛猫の名に改名した昨季王者の萩原部会長だ。2番手には一昨季王者の谷芳紀選手がつけたが、差は3秒以上と大きく溝を開けられた状況だった。

 しかし、ヒート2で谷芳紀選手は4秒近いタイムアップで1分29秒424を刻み逆転。チャモロ選手は谷芳紀選手のタイムを聞かずにスタート。1分29秒337と谷芳紀選手ほど大きなタイムアップではなかったが0.087秒上回り、再逆転で優勝を決めた。

 辛くも優勝のチャモロ選手は「ドライブシャフトの修復で第2ヒート前の慣熟歩行が出来なかったので、路面のギャップの深さや場所がわからない状態で走ったから、ちょっと苦戦しました。なんとかギリギリ逃げ切れたって感じですね」と、厳しい状況での勝利に安堵した様子だった。

 一方、僅差で敗れた谷芳紀選手は「今年からクロスミッションを入れたのですが、ギヤチェンジの回数が増えたことでシフトミスしてしまいました。クロスミッションを全く活かしきれませんでしたね。次戦以降、最大限活用したいと思います」と苦笑いで敗因を語った。

SD1クラスはチャモロ選手(菓舗ふくおかDLフジイスイフト)がスズキ・スイフトスポーツを駆って優勝した。
SD1の谷芳紀選手(CMSCホワイツアスティRX)が三菱・ミラージュアスティを操って2位を獲得(左)。3位にはホンダ・シビックをドライブする前博人選手(ダッシュ‘大阪☆シビックSiR)が入った(右)。
SD1は出走した3選手が表彰された。左から2位の谷芳紀選手と優勝したチャモロ選手、3位の前選手。

SD2クラス

 1600ccを超える4WDのSA・SAX・SC・D車両で争われるSD2クラスには近畿勢のエントリーも多く、12選手による戦いとなった。

 ヒート1で1分22秒66のトップタイムをマークしたのは、地元・四国のディフェンディングチャンピオン谷正史選手。2番手は同じく四国のベテランで、昨季はタカタでの最終第5戦のみ参戦した梶田昌弘選手。エンジンに不調を抱えながらも0.323秒遅れでつけた。

 トップで折り返した谷正史選手だったが、「こっちは足回りを一新してきたのに、梶田選手があの状態でも0.3秒しか差がないってことは、2本目はヤバいね」とヒート2での梶田選手を警戒している様子で、予断を許さない状況だ。

 案の定、梶田選手はヒート2で2秒002タイムアップを果たしてトップに躍り出た。これで谷正史選手は1.679秒以上のタイムアップが必須となった。中間計測地点を梶田選手とほぼ同タイムで通過したが、後半区間で伸び悩んで痛恨のタイムダウンを喫して勝負あり。

「1本目よりは良かったと思うんだけど、タイムが出ないってことは走り方がダメなんだろう。アシに関しては、良いところもあったけど、これからだね」と谷正史選手は悔しそうに振り返った。

 優勝した梶田選手は「ここ(香川SL)を走るのは2年振りだし、谷(正史)君には敵わんかなと思ったけど良かった。エンジンはプラグを換えたら良くなったと思うんだけど…… よく分からない(苦笑)。今年はシリーズ通して出る予定です」と、幸先良い今季初戦となった。

SD1クラスの優勝は、三菱・ランサーエボリューションⅦを駆る梶田昌弘選手(SACランサー)が飾った。
ランエボIXをドライブするSD2の谷正史選手(フジイ自動車KYBおいだランサー)は2位入賞(左)。岩見文輝選手(IRW岩見自動車ランサーSAC)がランエボ4を操って3位に入った(右)。
SD2は左から、2位の谷正史選手、優勝した梶田選手、3位の岩見選手、4位の丸本光選手(チェリッシュYHインプレッサ)、5位の石田隆三選手(ランサー)、6位の松原宏選手(CMSC香房風雅WCランサー)が表彰された。

オープンクラス

 オープンクラスは、近畿からGRヤリスを駆る上土井康朗選手とスイフトを操る眞砂徳亮選手が参戦。両選手とも、ヒート2でタイムアップを果たして完走した。

オープンクラスにはGRヤリスをドライブする上土井康朗選手(YHヤリスptt、左)とスイフトを駆る眞砂徳亮選手(ファイナリストM5スイフトDL、右)が参戦し、両ヒートとも走り切った。
表彰式終了後には、じゃんけん大会も催された。

フォト/遠藤樹弥、友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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