19歳ラリースト米林慶晃選手が東北ダートを制圧!

レポート ダートトライアル

2026年6月4日

福島県二本松市のエビスサーキット新南コース(スライドパーク)で東北ダートトライアル選手権第2戦が開催された。実力者が揃うFRクラスでは、全日本ラリー選手権(JN-3)のサブカテゴリーであるMORIZO Challenge Cupに参戦中の米林慶晃選手が、東北地区の強豪勢を抑えて優勝を飾った。

2026年JAF東北ダートトライアル選手権 第2戦
2026年JMRC東北ダートトライアルシリーズ 第2戦
「SUPER DT in EBISU SEASON 4」

開催日:2026年5月17日
開催地:エビスサーキット 新南コース(スライドパーク)(福島県二本松市)
主催:Team-F

 東北ダートトライアル選手権 第2戦が5月17日、福島県二本松市で開催された。全7戦で争われる今シーズンの東北ダートトライアル選手権は、開幕戦に続き、第2戦もエビスサーキット新南コースが舞台となった。6月には同会場で全日本選手権の開催も予定されていることから、全日本ドライバーや関東地区の選手も参戦し、クローズドクラスも含め全63台が出走した。

大会当日、福島県内は30度近くまで気温が上昇。5月の東北地方とは思えない暑さの中での競技となったが、大きなトラブルもなく進行し、豪快な土煙を巻き上げながら熱戦が繰り広げられた。
パイロンセクションや島回り、バックストレートからの360度ターンなどが盛り込まれた。テクニカル区間とハイスピード区間がバランス良く組み合わされ、新南コースをフルに活用した攻略要素満載のレイアウトとなった。

FRクラス

 全ての後輪駆動(FR)の車両で争われるFRクラス。操る楽しさとドライバーのテクニックが問われるカテゴリーとなっている。

 ディフェンディングチャンピオンの坂井義浩選手をはじめ、昨年のシリーズ上位陣が顔を揃えたクラスだ。開幕戦は坂井選手が優勝し、加藤琢選手が2位、レディスドライバーのみっちー選手が3位に入るなど、実力者たちが上位を占める結果となった。

 迎えた第2戦、第1ヒートで1分52秒497のトップタイムをマークしたのは、全日本ラリー選手権のサブカテゴリー、MORIZO Challenge Cupに参戦している米林慶晃選手。2番手のみっちー選手を0.062秒上回り、突如現れた若きラリーストがダートトライアラーたちを脅かした。

 そして第2ヒート。第1ヒート5番手だった市川公司選手が米林選手のタイムを0.019秒更新し、ここから一気にタイム争いが激化する。みっちー選手が1分49秒954でトップタイムを更新すると、さらに加藤選手が1分49秒669をマークして暫定トップへ浮上。続く坂井選手はコース前半で土手にヒットした影響もあり、タイムは1分53秒台にとどまった。

 このまま加藤選手が逃げ切るかと思われたが、ラストゼッケンの米林選手が1分48秒967をたたき出す。加藤選手を0.702秒上回る圧巻のタイムで東北地区戦の強豪たちを退け、見事な初優勝を飾った。

「普段はエビスサーキットでアルバイトをしていますが、今回はバイト仲間であり、ラリー仲間でもある炭山速斗選手、高岡威選手と一緒に、エビスサーキットの車両で参戦する機会をいただきました」と語る米林選手は、昨年運転免許を取得したばかりの19歳。ダートトライアルは今回が初出場だという。

「これまでラリーで培ってきた経験や、エビスサーキットでのトレーニングが活かせたと思います。また、出走順にも助けられました。長丁場のラリーと違い、たった2本の走行でわずかなミスが順位に大きく影響する競技を経験できたことは、とても良い刺激になりました」と若きラリーストが第2戦FRクラスを制した。

 一方、2位となった加藤選手は「自分のドライビングスタイルを捨ててグリップ走行に徹しましたが、それでも負けてしまいました。機会があれば、次は切谷内で勝負したいですね」と悔しさをにじませながらも、完敗を認めていた。

FRクラス優勝は米林慶晃選手(エビスサーキット86)。
2位は加藤琢選手(GネモトFINEクラフトBRZ)、3位はみっちー選手(YH・KYB・オレンジGR86)。
FRクラス表彰の各選手。

2WD-1クラス

 排気量1500cc以下の全ての2輪駆動車両、もしくは排気量1600cc以下の2輪駆動のPN車両によるクラス。軽量FF車が中心で、若手や入門層にも人気が高い。

 第1ヒートでクラス唯一の1分50秒切りとなる1分49秒828をマークしてトップに立ったのは、シーズンをまたいで連勝を続ける全日本ドライバーの工藤清美選手。2番手には高田正栄選手、3番手には早坂多門選手が続いた。

 第2ヒートに入っても1分50秒を切る選手が現れないまま競技は進行するが、終盤に入って状況が一変する。第1ヒート4番手だった猪股将大選手が1分48秒925をマークしてトップに浮上すると、続く高田選手が1分47秒063でさらにタイムを更新。しかし最後に勝負を決めたのは、ラストゼッケンの工藤選手だった。1分45秒344という圧倒的なタイムをたたき出し、再逆転で優勝を決めた。

 工藤選手は「今回は全日本戦を見据えてスーパードライタイヤを試しましたが、少し厳しいですね。ターン立ち上がりで砂利が残っていると前に進まないので……。良い部分もありましたが、悩ましいところです」と語り、タイヤの印象を明かした。それでもベストタイムをマークし、貫禄の勝利を収めた。

 また、多くのドライバーが右回りを選択した最終セクションの360度ターンでは、工藤選手は左回りを選択。

「左回りの方が少し距離を短くできますし、ターン進入時の姿勢も真っすぐになるので、その方が走りやすかったです。今回は普段あまり履かないタイヤを使ったので、うまく合わせ切れない部分もありましたが、実際に試してみないと分かりませんからね」と、競技を振り返った。

2WD-1クラス優勝の工藤清美選手(工藤ホンダDLワコーズフィット)。
2位の高田正栄選手(工藤ホンダDL八幡平Pフィット)、3位の猪股将大選手(工藤ホンダDLフォルテックFit)。
2WD-1クラス表彰の各選手。

2WD-2クラス

 排気量1500ccを超える2輪駆動車両によるクラス。ハイパワーFF車を中心に、速度域の高い迫力ある走りが特徴である。

 この2WD-2クラスでは、4月の全日本選手権丸和ラウンドで全日本初優勝を飾った平川慶一選手が、第1ヒートで1分46秒270をマークしトップに立った。2番手には0.659秒差で佐藤卓也選手が続き、全日本ドライバー勢が上位を占めた。

 迎えた第2ヒート。いりえもん選手が第1ヒートのトップタイムを更新する1分45秒台を記録すると、そこからタイムアップ合戦へ突入。続く越川善正選手が1分44秒874、中山祐太郎選手もそのタイムを0.05秒上回る。さらに佐藤選手が1分43秒960をマークし、残るはラスト3台となった。

 その中でまず稲葉幸嗣選手が1分43秒457をたたき出しトップへ浮上。続く平川選手は再逆転を狙ったものの、稲葉選手に0.28秒届かず暫定2番手。そしてラストゼッケンの小舘優貴選手が勝負を決めた。第1ヒートは4番手とやや出遅れていたが、第2ヒートで1分43秒202をマーク。稲葉選手を0.255秒上回り、逆転優勝を飾った。

「この車は、将来的に全日本のD1クラスへ参戦したいという思いでつくり始めましたが、まだノーマルに近い状態です」と語った小舘選手。

「今回はギヤ比が合わず苦労しました。2速だと吹け切ってしまうので、2本目は高めのギヤを使いましたが、今度はトルクが足りなくて。そのあたりは今後改善していきたいですね。NAエンジンで速さを追求したいですが、そのうちターボ化するかもしれません(笑)。楽しみながらクルマを作っていきたいと思います」と、今後の目標も語ってくれた。

2WD-2クラス優勝は小舘優貴選手(BMKsportミラージュD)。
2位は稲葉幸嗣選手(メープルHKサービススイフト)、3位は平川慶一選手(メープルクスコWMDLスイフト)。
2WD-2クラスの表彰式。左から4位の佐藤卓也選手、2位の稲葉選手、1位の小舘選手、3位の平川選手、5位の中山祐太郎選手。

4WD-1クラス

 排気量2800cc以下の4輪駆動車両によるクラス。過給機つきの場合は1.7を乗じた値で排気量が区分され、比較的ライトな4WDマシンが中心となる。

 ディフェンディングチャンピオンの菊池恒博選手が、第1ヒートから1分38秒552をマークしてトップに立った。2番手には川崎修也選手、3番手には齊藤春生選手が続く。第2ヒートでは、第1ヒートで出遅れていた飯島充選手が1分38秒401までタイムを縮めてトップタイムを更新。さらに川崎選手が1分37秒台へ突入し、勝負は完全に第2ヒートへ持ち込まれた。

 しかし最後に決着をつけたのは、ラストゼッケンの菊池選手。1分35秒768という圧巻のタイムでライバルたちを1.4秒以上引き離して大勝した。

「丁寧な走りを意識して、かなり練習を積んできました。その成果もあって、2本目は無理をせず、1本目の失敗をしっかり修正できました。確実にタイムアップできている感触はありましたが、勝てているかどうかは不安でした」と語った菊池選手。結果は圧勝で、開幕戦に続く2連勝を達成した。

4WD-1クラス優勝の菊池恒博選手(アヤベMOTUL遠藤鈑金DLヤリス)。
2位の川崎修也選手(YHΩK-ONEBRファインヤリス)、3位の飯島充選手(HKサービス児玉興産ヤリス)。
4WD-1クラス表彰の各選手。

4WD-2クラス

 排気量2800ccを超える4輪駆動車両によるクラス。ハイパワーターボ車が中心で、東北ダートラでもトップクラスのスピードを誇るカテゴリーとなっている。

 16台が参戦した4WD-2クラスでは、今シーズンからD2車両のフォード・フィエスタを投入した大西康弘選手が、第1ヒートで1分35秒145をマークしてトップに立った。開幕戦ウィナーの砂子澤明選手が2番手につける。

 第2ヒートでも大西選手のタイムはなかなか破られなかったが、均衡を崩したのはベテランドライバーの藤田哲也選手。1分34秒770でトップタイムを更新する。さらに四戸岳也選手が1分32秒895をたたき出し、暫定トップへ浮上した。

 終盤には砂子澤選手も藤田選手のタイムを上回る1分33秒279を記録したものの、四戸選手には届かず暫定2番手。そしてラストゼッケンの大西選手が1分32秒122をマーク。四戸選手を0.773秒上回るタイムで再逆転し、優勝を決めた。

「フィエスタは、まだ前オーナーの田口勝彦選手の仕様のままなんです」と語る大西選手。

「4WD-2クラスには4強がいますからね(笑)。今シーズン3戦を終えて5~6番手あたりで、何とかその後ろにはついていけていますが、さらに上を目指すには、自分に合わせたセッティングが必要です。まずはエンジン特性と足回りですね。現状では高回転域のピークパワーが強すぎて空転しやすいので、もう少しマイルドになれば安定してタイムを出せると思います」と、ニューマシンの課題を語りつつも、地区戦では貫禄の勝利を収めた。

4WD-2クラス優勝は大西康弘選手(YH・TEIN・AGフィエスタ)。
2位は四戸岳也選手(YH紅MOTULランサー)、3位は砂子澤明選手(GネモトファインクラフトGC8)。
4WD-2クラスの表彰式。左から4位の藤田哲也選手、2位の四戸選手、1位の大西選手、3位の砂子澤選手、5位の大橋邦彦選手。

クローズドNクラス

 7台が出場したクローズドNクラスは、スバル・ヴィヴィオでWエントリーした柳森賢快選手と加藤洋真選手による争いとなった。ダートトライアル初参戦の加藤選手が、オーナーでもある柳森選手を破り、勝利を飾った。

クローズドNクラス1位は加藤洋真選手(レンタル酸化鉄ヴィヴィオ)。
2位は柳森賢快選手(道産子酸化鉄ヴィヴィオ)、3位は白澤南選手(すたじおあるくミラージュ)。
クローズドNクラス表彰の各選手。

クローズド2クラス、クローズド4クラス

 2台のタイマン勝負で争われたクローズド2クラスは「70歳を超えてから、最近はドキドキすることがなくなってきたので、本日デビューしました(笑)」と語る渡邊雄二選手が、第2ヒートで逆転し一騎打ちを制した。

 クローズド4クラスは高橋智選手のみの出走となったが、第2ヒートで5秒以上もタイムアップを果たして完走した。

クローズド2クラス1位は渡邊雄二選手(エイジングBR86Z)。
クローズド4クラス1位は高橋智選手(ランサーエボ4)。

PHOTO/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA]、REPORT/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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