PN1原田大響選手が第4戦スナガワのデビュー戦で初優勝!
2026年6月4日
全日本ダートトライアル選手権 第4戦が、5月23〜24日に北海道砂川市郊外にあるオートスポーツランドスナガワのダートコースで開催された。全クラス合わせて112台が出走した今大会では、今シーズンから北海道地区戦へステップアップし、全日本にも初参戦したPN1クラスの原田大響選手が、デビュー戦でいきなり初優勝を飾った。
2026年JAF全日本ダートトライアル選手権 第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」
開催日:2026年5月23~24日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道
広大な石狩川の河川敷を利用したコースは、砂川遊水地寄りの上段と石狩川側の下段に分かれ、いずれもフラットな路面が特徴。コース同士を遮る島が少ないことから、幅員の広いセクションが多く、長いストレートに加え、中高速コーナー主体のハイスピードレイアウトが特徴となっている。
今回の決勝コースも、ロングストレートの先に待つ1コーナーが、近年では最もRの緩やかなロングコーナーとなったほか、コース全体を通してタイトコーナーが少なく、「どこまで踏み切って攻められるか」が問われるダイナミックな高速コースとなった。
下段のコースは石狩川の洪水時には冠水する高水敷に位置し、とくに雪代で増水するこの時期は下段の路面が柔らかくなりやすい。そのため例年は、第2ヒートになると路面の各所が大きくえぐれて穴状になることが多かった。
しかし今年は大会前の降雨が少なかったことに加え、上段・下段ともに丁寧な路面整備が施され、ギャップやうねりといったアンジュレーションも少なく、多くの選手から「走りやすかった」と好評を得ていた。
大会は各クラスとも第2ヒートでの逆転劇が相次ぎ、最後まで目が離せない激戦が繰り広げられた。
故・内藤修一選手を偲び全員で黙祷
ドライバーズブリーフィング前には、全日本ダートトライアル選手会(JDCEA)の呼びかけにより、大会直前の5月18日に急病のため亡くなった北海道在住の内藤修一選手へ黙祷が捧げられた。またパドック内には、内藤選手に伴って全国を転戦してきたチーム北海道、そして近年までチームメイトとして全日本を共に戦った北條倫史氏が献花台を設置。多くの関係者が会場に足を運び、故人を偲んだ。
PNE1クラス
開幕から3連勝を飾っている小山健一選手が欠場したPNE1クラスは、第3戦終了時点でランキング2番手につけるいりえもん選手(三菱・コルト)が、第1ヒートで2番手の鈴木正人選手(スズキ・スイフトスポーツ)に4.278秒差をつけるベストタイムをマーク。
第2ヒートでは鈴木選手もタイムアップを果たしたが、いりえもん選手の第1ヒートのタイムには届かず。さらに、いりえもん選手自身は1.95秒タイムを縮め、全日本参戦4シーズン目で悲願の初優勝を果たした。
「路面がとてもスムーズで、気持ち良く走ることができました」と、いりえもん選手。2位の鈴木選手は「第2ヒートはショックの減衰を柔らかめに変更して走りやすくなりましたが、優勝には届きませんでした」と振り返った。3位には、鈴木選手とダブルエントリーの山部恭裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
PN1クラス
PN1クラスでは地元・北海道の若手勢が躍動した。第1ヒートは、昨年シリーズ5位で北海道在住の大場元貴選手(ホンダ・フィット)がトップタイムを記録。0.242秒差の2番手には、今回が全日本デビュー戦となる原田大響選手(スズキ・スイフトスポーツ)が続く。ランキングトップのベテラン・工藤清美選手(ホンダ・フィット)はトップから0.932秒差の3番手につけた。
第2ヒートは、先頭走者の城越明日香選手(ホンダ・フィット)がベストタイムを更新し、その後もタイム更新が続く展開となる。そんな中、第1ヒート2番手だった原田選手が1分33秒109をマークしてトップへ浮上。
しかし、その後、原田選手のタイムを上回る選手は現れない。第2戦タカタで2位表彰台を獲得した坂本勇樹選手(ホンダ・フィット)は1分33秒台に入れるも0.398秒届かず。第1ヒートトップの大場選手も「少し抑えて走ろうと思ったのですが、結果的に抑え過ぎてしまいました」と悔しさをにじませ、0.287秒差の2位となった。
工藤選手も1分33秒台に入れたが4番手、クラス最終走者の飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)も6番手に終わり、ダートトライアル歴2年目の大学生ドライバー・原田選手が全日本デビューウィンを飾る。2位に大場選手、3位には坂本選手が入り、第4戦は若手勢の躍進が光る一戦となった。
PN2クラス
PN2クラスは、昨年のチャンピオンである張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、ホームコースのスナガワで本領を発揮する。第1ヒートではクラス唯一の1分33秒台となるトップタイムをマークすると、第2ヒートでは1分29秒台に突入。2番手に1.341秒差をつける圧巻の走りで、今季2勝目を挙げた。
「内藤さんには全日本戦はもちろん、北海道の地区戦時代からお世話になっていた方なので、その思いを胸にがむしゃらに走った結果が、今日の優勝につながったと思います」と張間選手。
2位には「しっかり攻めて走ることはできましたが、2か所ではっきりとしたミスがあり、ラインを外してしまいました」と振り返った奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、「若手(張間選手と奈良選手)の勢いが本当にすごいですね。今回のようなハイスピードコースは好きなのですが、ふたりが強すぎるので、どこかで対策を考えたいです」と語った佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、今季3度目の3位表彰台を獲得した。
PN3クラス
PN3クラスは、第2ヒートで大波乱の展開となった。第1ヒートでは、スナガワをホームコースとする北海道在住の和泉泰至選手(トヨタ・GR86)が1分35秒591のベストタイムをマーク。しかし第2ヒートでは、みっちー選手(トヨタ・GR86)が1分33秒571をたたき出してトップに立つ。
他クラス同様にタイムアップ合戦になるかと思われたが、このタイムを更新する選手がなかなか現れない。第2戦タカタ優勝の上野倫広選手(トヨタ・GR86)は1分34秒台で5番手、第3戦丸和優勝の佐藤秀昭選手(トヨタ・GR86)も同じく1分34秒台で4番手に留まる。さらに、第1ヒートトップの和泉選手も1分33秒台に入れてきたものの、その差はわずか0.006秒でみっちー選手には届かなかった。
第3戦丸和でも第1ヒートトップで話題を集めながら、第2ヒートで9位に沈んだみっちー選手に、全日本初優勝が目前まで迫る。しかし最後に待ったをかけたのは、みっちー選手のチームメイトであり師匠でもある竹本幸広選手(トヨタ・GR86)だった。最終走者としてコースインした竹本選手がベストタイムを2.308秒も更新し、自身にとって開幕戦以来となる今季2勝目を手にした。
「第2ヒートでみっちー選手がベストタイムを更新した時点で、自分も『行ける』という自信をもらいました」と竹本選手。2位に入ったみっちー選手は「第1ヒートがボロボロだったので、第2ヒートはせっかくのハイスピードコースですし、気持ち良く走って帰ろうと思っていました」と笑顔を見せる。
さらに、「昨年くらいから、アクセル全開のままコーナリングしたり、アクセルワークでクルマをコントロールすることに少し自信を持てるようになりました。ただ、今年になって『ストレートでアクセルを全開にできていない』と気づいたんです。ストレートで全開にするのって怖いじゃないですか。なので今年から、その恐怖を克服するために、機会があればアクセル全開を意識した練習をしています」とみっちー選手。積み重ねてきた基礎練習と無欲のアタックが、自身初となる2位表彰台につながった。3位には「第2ヒートもそれほど悪い走りではなかったと思います……」と振り返った和泉選手が入賞した。
Nクラス
Nクラスは「北海道は地元ですが、最近はそれほどスナガワを走っていないんです」という宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)が第1ヒートでベストタイムをマーク。昨年の覇者・岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が0.12秒差で追う展開となった。
第2ヒートでは、地元ベテランの小林茂則選手(三菱・ランサーエボリューションIX)がベストタイムを更新。しかし、第1ヒートトップの宝田選手も1分24秒台へタイムを伸ばし、逃げ切り態勢に入るかと思われた。
だが、第1ヒート5番手の細木智矢選手が逆転。「公開練習からいろいろとセットアップを変更してきましたが、第2ヒートでうまく合わせ込むことができました。あとは、がむしゃらに走りました」と語り、今季2勝目を挙げた。
トップとは0.066秒差で2位となった宝田選手は「タイム差を考えると、何か大きなミスがあったわけではないと思います。あえて言うなら、少し荒れた路面で壁に軽く当たってしまいました……」と悔しそうな表情を浮かべた。3位入賞の小林選手は「スナガワは昨年も3位だったので、今回はもう少し上を狙っていました。ただ、第2ヒートで3速のところを5速に入れてしまうシフトミスが悔やまれます」と語った。
SA1クラス
今シーズンのSA1クラスは、一宮悠人選手、平川慶一選手と、全日本初優勝を果たす選手が続いている。そして第4戦スナガワでは新たなヒーローが誕生した。第1ヒートでは地元の若手、三橋清哉選手(ホンダ・シビック)がベストタイムをマークする中、第2ヒートで福島賢大郎選手(スズキ・スイフトスポーツ)がタイムを更新。
その後、クラス最終走者の河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)まで福島選手のベストタイムには届くことなく、福島選手が全日本初優勝を飾った。
「昨年はコース上に大きな穴が多く、第1ヒートはそのイメージが残っていて慎重になり過ぎて4番手でした。第2ヒートは穴を気にせず、コーナーでもできるだけ早くアクセルを開けることを意識しました」と福島選手。
2位には「第2ヒートは前半区間で攻め過ぎてしまいました」と振り返る河石選手が入り、3位には「第2ヒートは2か所ほどコースアウト気味になりましたが、なんとか表彰台を確保できました。チームメイトの福島選手と1-2フィニッシュを決めたかったので、うれしさと悔しさ半分ずつですね」と語った井之上優選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
SA2クラス
SA2クラスでは、一昨年のスナガワラウンドで全日本初優勝を遂げた北海道の若手、笠原陸玖選手(三菱・ランサーエボリューションX)が躍進した。第1ヒートでは、2番手のマイケルティー選手(三菱・ランサーエボリューションIX)に2.626秒差をつける1分23秒838のベストタイムを記録。笠原選手の第2ヒートはタイムダウンしたものの、第1ヒートのベストタイムを上回る選手は現れず、2年ぶりの全日本優勝を果たした。
2位には、「SA2クラスが走る頃には路面に穴が開き始めていて、その穴に入ってしまいました」と語るマイケルティー選手が入り、3位には第2ヒートで荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)を逆転した黒木陽介選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。
SCクラス
SCクラスは、第1ヒートでベストタイムを奪った岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が、第2ヒートでもタイムを更新。第2戦以来の今季2勝目を挙げた。
2位には「パワー面では僕のクルマには厳しいスナガワですが、そのぶんフロントが軽く回頭性が良いので、後半の高速S字は攻め切れたと思います」と語った亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)が入賞。3位には「ACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)の調子がおかしくなり、スペアもなかったのでハンマーでたたいてみたら、良い感じになりました(笑)」と語った北村和浩選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞した。
D1クラス
シリーズランキングトップのパッション崎山選手(トヨタ・MR-S)が欠場したD1クラスは、開幕戦で全日本デビューウィンを飾り、第2戦も制した大谷皇就選手(トヨタ・86)が、第2ヒートで山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)を逆転。今季3勝目を挙げ、シリーズランキング首位の座を奪い返した。
「初めてのスナガワで、まだコースを読み切れていない部分もありましたが、第2ヒートではタイヤのサイズを215から205に変更し、攻め過ぎないよう意識して走ったことが良かったと思います」と大谷選手。
一方、2位となった山崎選手は「第2ヒートはタイヤサイズを太くするか細くするか悩みましたが、最終的に太い方を選びました。路面にはパウダー状のダストが堆積していて、結果的には細いサイズの方がトラクションをかけやすかったようです」と振り返った。
3位には、第2ヒートでタイムを伸ばした松田宏穀選手(マツダ・アクセラ)が入賞。「自分でもいつ以来か思い出せないくらい久しぶりの表彰台です。第2ヒートでは、ハンドル操作を急がず、丁寧に行うことを意識しました」と笑顔を見せた。
D2クラス
D2クラスは、第1ヒートでスナガワを得意とする鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)がベストタイムをマーク。しかし「タイム的にはSCクラスと大差なく、エンジンにもトラブルを抱えている状態です」と不安を口にしていた。
そしてその懸念は第2ヒートで現実となる。ゴール直前でエンジンブローが生じ、なんとか惰性でゴールラインを越えたもののタイムアップには至らなかった。
優勝は「スナガワに向けてセッティングを見直し、スプリングも変更してきました」と言う谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が獲得した。2位は鎌田選手、3位には「クルマもドライバーも調子は悪くないのですが、なかなか結果につながりません」と首をかしげる炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が入賞した。
PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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