UNIZONEは第2戦から5つの拠点でオンライン開催。名古屋OJAが開幕戦に続き強さを見せた

レポート Eスポーツ

2025年5月13日

JAFが公認する唯一のEモータースポーツリーグ「UNIZONE」の第2戦が4月29日に開催。この第2戦より各チームの拠点をつないで対戦する、Eモータースポーツならではの“オンライン開催”が採られ、開幕戦の勢いそのままに、名古屋OJAの武藤壮汰選手と小出峻選手が圧倒的な走りを魅せてレースを制した。

UNIZONE e-Motorsport League Rd.2
開催日:2025年4月29日
開催地:遠州ハママツモータース:はままつ地ビールレストラン マイン・シュロス(静岡県浜松市)、群馬ダイヤモンドペガサス:GUNMA eSPORTS(群馬県高崎市)、Saishunkan Sol 熊本:クマモトeスタジアム(熊本県熊本市)、東京ヴェルディレーシング:e-Create Space AIM SASAZUKA supported by KEIO(東京都渋谷区)、名古屋OJA:コミュファ eSports Stadium NAGOYA(愛知県名古屋市)
主催:JeMO

 JAF公認のEモータースポーツとして2023年12月にリーグ発足の発表会が行われたUNIZONE。2025年2月に本リーグ初年度の開幕戦が群馬県高崎市のビエント高崎ビッグキューブで開催され、名古屋を拠点とするチーム、名古屋OJAがレースを制している。なお、この開幕戦はひとつの会場に5チームが集結して競技を行う“オフライン開催”で行われた。

 そして続く第2戦以降は、各チームの拠点からシミュレーターをオンラインでつないで競技を行う“オンライン開催”で実施される。このオンラインというのは選手が個々の自宅から参戦するのではなく、各チームが地元地域でイベントを催しつつ、オンラインにてレースに参戦する大会形式だ。つまり、全国5か所でUNIZONEのイベントが同時開催され、それぞれの会場で観戦できる仕組みとなっている。

浜松の地ビールが楽しめるレストラン、マイン・シュロスを今大会の拠点としたのは遠州ハママツモータース。瀬田凜選手と田中健太選手が出場し、チームアンバサダーを務める脇阪寿一氏も来場。
群馬ダイヤモンドペガサスは常設型のEスポーツ施設であるGUNMA eSPORTSのバトルアリーナからオンライン参戦。浅賀颯太選手、小此木裕貴選手、小山美姫選手の布陣で挑む。
チームランキング2番手のSaishunkan Sol 熊本はeスポーツ高等学院 クマモトeスタジアムを拠点とした。選手も観客もEスポーツのために用意された最先端の設備環境で楽しむことができた。
東京ヴェルディレーシングは東京都渋谷区のe-Create Space AIM SASAZUKA supported by KEIOより参戦。緑のユニフォームを来た大勢のサポーターたちが選手に声援を送った。
元レースクイーンカメラマンの後藤佑紀氏をMCに迎えた名古屋OJAは、コミュファ eSports Stadium NAGOYAを第2戦の舞台に。さまざまなコンテンツが用意され、大きな盛り上がりを見せた。
パブリックビューイング会場として無料で開放された、東京都新宿区の自遊時間・高田馬場店。当日はUNIZONEのレース観戦のほか、試乗や店内対戦で賑わった。
主催拠点は兵庫県神戸市のeSPARKLe KOBE。Youtubeでのライブ配信が行われ、実況は山中智瑛氏、解説はスオミアッキ氏にて進行されている。
今大会より、マウスコンピューターから機材協賛されたG TUNE FG-A7A7X。AMD Ryzen™ 7 9800X3Dプロセッサ、AMD RADEON™ RX9070XT搭載のゲーミングデスクトップPCが配備された。
同じく今大会ではThrustmasterのT818ステアリングコントローラーベースに、Open Wheel Add-Onステアリングホイールを組み合わせたハンドルコントローラへアップデートされている。

レースフォーマット

UNIZONEリーグは「予選タイムアタック」「スプリントレース①」「スプリントレース②」「セミ耐久レース」という、4つのフォーマットで実施。また、各チームには全てのレースで1名以上国際B 級ライセンスを所持するプレイヤーの出走が義務づけされている。

予選タイムアタック

  • コース
    シルバーストン・サーキット
  • 車両
    GT3車両10車種から選択
  • 周回数
    アウトラップ1周・アタックラップ1周
  • スタート方式
    スーパーラップ
  • 獲得ポイント
    1位:3pt、2位:2pt、3位:2pt、4位:1pt、5位:1pt、以下0pt
  • 備考
    予選タイムアタックでの順位が以降全てのレースでのグリッド順

スプリントレース①

  • コース
    シルバーストン・サーキット
  • 車両
    GT3車両10車種から選択
  • 周回数
    6周
  • スタート方式
    グリッドスタート
  • 獲得ポイント
    1位:10pt、2位:8pt、3位:6pt、4位:5pt、5位:4pt、6位:3pt、7位:2pt、8位:1pt、以下:0pt

スプリントレース②

  • コース
    鈴鹿サーキット
  • 車両
    Super Formula SF23 – Honda、Super Formula SF23 – Toyota
  • 周回数
    8周
  • スタート方式
    グリッドスタート
  • 獲得ポイント
    1位:10pt、2位:8pt、3位:6pt、4位:5pt、5位:4pt、6位:3pt、7位:2pt、8位:1pt、以下:0pt
  • 備考
    スタートグリッドは「通常グリッド」「リバースグリッド」「ハーフリバースグリッド」の中から抽選
スプリントレース②に採用された3種類のグリッド方式。タイムの速い順に並んだ通常グリッド、タイムの遅い順に並んだフルリバースグリッド、そして1~5位および6~10位の2グループの中で順番をリバースさせたハーフリバースグリッド。レース開始前に解説者のくじ引きでどの方式になるかが決まる。

セミ耐久レース

  • コース
    鈴鹿サーキット
  • 車両
    Super Formula SF23 – Honda、Super Formula SF23 – Toyota
  • レース時間
    25分
  • スタート方式
    グリッドスタート
  • 獲得ポイント
    1位:15pt、2位:12pt、3位:8pt、4位:5pt、5位:0pt
  • 備考
    1チーム2名が出場。ピットに入りドライバー交代が義務

予選タイムアタック

 全てのレースでのグリッドが決まる重要な予選タイムアタックは、iRacingに収録されているFIA-GT3マシンの中からチームが選択した車両で争われる。5チームのうち、開幕戦優勝の名古屋OJAとランキング3番手の遠州ハママツモータースがアキュラNSX GT3 EVOを選択し、ランキング2番手のSaishunkan Sol 熊本はシボレーコルベットZ06 GT3.R、群馬ダイヤモンドペガサスがBMW M4 GT3、東京ヴェルディレーシングがフェラーリ296GT3を選択した。

 各車1周のみのスーパーラップ方式で行われた予選では、武藤選手(名古屋OJA)が唯一2分を切る1分59秒231という圧倒的なタイムでポールポジションを獲得。続く2番手にも同じく名古屋OJAの小出選手が続き、早くも1-2体制を築き上げる。そして3番手には独特なサウンドを響かせるコルベットでアタックした黒沢和真選手(Saishunkan Sol 熊本)が入る結果となった。

ポールポジションを獲得したのは武藤選手。他選手が2分台のタイムで鎬を削りあっていた中、唯一の1分59秒台で予選タイムアタックをこなした。

予選タイムアタック結果

順位 ゼッケン ドライバー チーム 車両 タイム タイム差 ポイント
1 758 武藤壮汰選手 名古屋OJA Acura NSX GT3 EVO 22 1:59.231 +0:00.000 3pt
2 759 小出峻選手 名古屋OJA Acura NSX GT3 EVO 22 2:00.083 +0:00.852 2pt
3 445 黒沢和真選手 Saishunkan Sol 熊本 Chevrolet Corvette Z06 GT3.R 2:00.363 +0:01.132 2pt
4 82 瀬田凜選手 遠州ハママツモータース Acura NSX GT3 EVO 22 2:00.454 +0:01.223 1pt
5 444 荒川麟選手 Saishunkan Sol 熊本 Chevrolet Corvette Z06 GT3.R 2:00.593 +0:01.362 1pt
6 11 木村偉織選手 東京ヴェルディレーシング Ferrari 296 GT3 2:00.840 +0:01.609 0pt
7 063 浅賀颯太選手 群馬ダイヤモンドペガサス BMW M4 GT3 2:01.143 +0:01.912 0pt
8 10 佐々木光選手 東京ヴェルディレーシング Ferrari 296 GT3 2:01.189 +0:01.958 0pt
9 802 田中健太選手 遠州ハママツモータース Acura NSX GT3 EVO 22 2:01.237 +0:02.006 0pt
10 83 小山美姫選手 群馬ダイヤモンドペガサス BMW M4 GT3 0pt

※ゼッケン83はアウトラップ最終コーナーのトラックリミット違反のためタイム抹消

スプリントレース①

 GT3マシンを用いて、シルバーストン・サーキット6周のレースが行われるスプリントレース①。スタンディング方式で行われたスタートでは、ポールスタートの武藤選手(名古屋OJA)が抜群のスタートで早くも後続との差を広げる。その一方で、3番手スタートの黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)と4番手スタートの瀬田凜選手(遠州ハママツモータース)が1コーナーで接触し、黒沢選手はスピンアウトを喫してしまった。

 2周目以降もトップ1-2を形成した名古屋OJAの勢いは止まらず、武藤選手は予選を上回る1分59秒230のファステストラップも記録しトップチェッカー。2位の小出選手も決勝では2分を切る1分59秒866のベストタイムを記録しており、決勝中も速さに磨きをかけていることを印象づけたレースであった。

武藤壮汰選手が好スタートを決めて逃げ切り、トップチェッカーを受けた。チェッカー後は名古屋OJAのマシンが健闘を称え合う並走シーンも。
蹴り出しの悪いスタートとなってしまった小出峻選手ながら、ポジションをうまくキープして2位を獲得。武藤選手と1-2体制を築いてゴールした。
スタート時にアクシデントこそあったが、小出選手に離されまいと力走を見せた遠州ハママツモータースの瀬田選手が3位をゲット。

スプリントレース①結果

順位 ゼッケン ドライバー チーム 車両 トータルタイム ペナルティタイム ベストラップタイム ポイント
1 758 武藤壮汰選手 名古屋OJA Acura NSX GT3 EVO 22 12:00.056 0:00.000 1:59.230 10pt
2 759 小出峻選手 名古屋OJA Acura NSX GT3 EVO 22 12:04.342 0:00.000 1:59.866 8pt
3 82 瀬田凜選手 遠州ハママツモータース Acura NSX GT3 EVO 22 12:06.712 0:00.000 2:00.071 6pt
4 444 荒川麟選手 Saishunkan Sol 熊本 Chevrolet Corvette Z06 GT3.R 12:07.676 0:00.000 2:00.322 5pt
5 063 浅賀颯太選手 群馬ダイヤモンドペガサス BMW M4 GT3 12:11.087 0:00.000 2:01.045 4pt
6 802 田中健太選手 遠州ハママツモータース Acura NSX GT3 EVO 22 12:14.942 0:00.000 2:01.510 3pt
7 445 黒沢和真選手 Saishunkan Sol 熊本 Chevrolet Corvette Z06 GT3.R 12:17.104 0:00.000 2:00.172 2pt
8 11 木村偉織選手 東京ヴェルディレーシング Ferrari 296 GT3 12:24.957 0:00.000 2:01.256 1pt
9 10 佐々木光選手 東京ヴェルディレーシング Ferrari 296 GT3 12:35.742 0:10.000 2:04.295 0pt
10 83 小山美姫選手 群馬ダイヤモンドペガサス BMW M4 GT3 12:42.703 0:10.000 2:02.406 0pt

※ゼッケン10は#11に対する走路外への押し出し・弾き出し・衝突行為で10秒加算
※ゼッケン83は#10に対する走路外への押し出し・弾き出し・衝突行為で10秒加算

スプリントレース②

 続いて行われたスプリントレース②ではコース・使用車種ともに変更され、鈴鹿サーキットを舞台にスーパーフォーミュラSF23という日本のモータースポーツファンにも馴染み深い組み合わせに。また新たな試みとして、スプリントレース②では解説のスオミアッキ氏のくじ引きによるスタート方式の変更も行われ、抽選の結果、ハーフリバースグリッドが採用された。

 グリッド方式の変更に伴い、ポールポジションからスタートするのは、荒川麟選手に代わって出場の大滝拓也選手(Saishunkan Sol 熊本)。名古屋OJAの武藤選手は、UNIZONEリーグ戦で初めてポール以外のポジションからスタートすることとなった。

 そのスタートでは早くも波乱が発生。スタート直後に田中健太選手(遠州ハママツモータース)がスピンし、マシンを損傷させると、1コーナーでは小山美姫選手(群馬ダイヤモンドペガサス)が黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)を押し出す形でクラッシュ。個人ランキング3番手につける黒沢選手は、スプリントレース2回とも1コーナーの接触に巻き込まれる不運に見舞われてしまった。

 一方、5番手スタートとなった武藤選手(名古屋OJA)はスタートが決まらず、さらに1周目のヘアピンでは木村偉織選手(東京ヴェルディレーシング)に仕掛けた所でブレーキをロックさせてしまいハーフスピンを喫するなど、こちらも苦戦をする様子が見られた。

 下位スタートの武藤選手をアシストする形で、序盤から大滝選手をかわしてレースをリードした小出選手(名古屋OJA)が、8周のスプリントレースを逃げ切り勝利したかに思われたが、スタート直後の瀬田選手(遠州ハママツモータース)との接触が問われ、小出選手には10秒のタイム加算ペナルティが課された。

 その結果、9番手からのスタートで、1周目に4つポジションを上げる快走を見せていた群馬ダイヤモンドペガサスの小此木裕貴選手が、順位繰上りにより大逆転でスプリントレース②で優勝を飾る。これは群馬ダイヤモンドペガサスとしても、UNIZONEでのレース初優勝の快挙となった。

ハーフリバースグリッドにより9番手スタートとなった群馬ダイヤモンドペガサスの小此木裕貴選手だが、驚異の7台抜きで2番手まで浮上。そしてトップのペナルティ降格により1位へ繰り上がった。
スプリントレース①を制した武藤選手は序盤から苦しいレース展開を強いられた。一時7番手までポジションを落とすも、持てるポテンシャルを存分に発揮して2位表彰台まで登り詰めた。
小出選手は後続を大きく突き放してトップチェッカーを受けたが、衝突行為のペナルティにより10秒加算となってしまう。それでも稼いだアドバンテージにより3位を獲得。

スプリントレース②結果

順位 ゼッケン ドライバー チーム 車両 トータルタイム ペナルティタイム ベストラップタイム ポイント
1 063 小此木裕貴選手 群馬ダイヤモンドペガサス Super Formula SF23 - Toyota 13:03.978 0:00.000 1:37.243 10pt
2 758 武藤壮汰選手 名古屋OJA Super Formula SF23 - Honda 13:05.811 0:00.000 1:36.698 8pt
3 759 小出峻選手 名古屋OJA Super Formula SF23 - Honda 13:06.159 0:10.000 1:36.194 6pt
4 82 瀬田凜選手 遠州ハママツモータース Super Formula SF23 - Honda 13:10.170 0:00.000 1:37.597 5pt
5 10 兒島弘訓選手 東京ヴェルディレーシング Super Formula SF23 - Toyota 13:15.235 0:00.000 1:37.708 4pt
6 445 黒沢和真選手 Saishunkan Sol 熊本 Super Formula SF23 - Honda 13:17.523 0:00.000 1:38.162 3pt
7 444 大滝拓也選手 Saishunkan Sol 熊本 Super Formula SF23 - Honda 13:25.742 0:10.000 1:37.293 2pt
8 802 田中健太選手 遠州ハママツモータース Super Formula SF23 - Honda -1Laps 0:00.000 1:40.238 1pt
8 11 木村偉織選手 東京ヴェルディレーシング Super Formula SF23 - Toyota DNF 0:00.000 1:37.124 0pt
8 83 小山美姫選手 群馬ダイヤモンドペガサス Super Formula SF23 - Toyota DNF 0:30.000 0:00.000 0pt

※ゼッケン759は#82に対する衝突行為で10秒加算
※ゼッケン83は#445に対する走路外への押し出し行為で10秒加算
※ゼッケン83は#802に対するコースアウト・スピンからの危険な復帰行為で20秒加算
※ゼッケン444は#758に対する走路外への押し出し行為で10秒加算

セミ耐久レース

 最後のレースはピットイン&ドライバー交代が義務づけされているセミ耐久レース。開幕戦ではFIA-GT3マシンを用いて行われたが、第2戦ではスプリントレース②に続き、スーパーフォーミュラの車両で行われる。なお、このセミ耐久レースで獲得できるポイントはチームランキングのみとなり、個人ポイントには反映されない。

 肝心のスタートでは3番グリッドから発進の遠州ハママツモータース(田中選手)が出遅れ、5番手にドロップしてしまう。それ以外のチームは1列で1コーナーを抜け、クリーンな幕開けとなった。2周目に入ると4番手につける群馬ダイヤモンドペガサス(小此木選手)がペースを上げ、3番手の東京ヴェルディレーシング(兒島弘訓選手)を3周目2コーナーでオーバーテイクして3番手に浮上する。スプリントレース②での優勝がただのラッキーではなかったことを裏づける好調さを魅せた。

 その後はハイダウンフォースなフォーミュラカーの特性もあり、コース上での順位変動は見られない均衡した展開が続く。レースが動きを見せたのは7周目で、遠州ハママツモータースが最初にピットへ入った。田中選手から瀬田選手にバトンタッチし、再びコースイン。8周目にトップの名古屋OJAと4番手の東京ヴェルディレーシングがピットイン。ドライバーはそれぞれ武藤選手から小出選手、兒島選手から木村選手へ交代。

 そして9周目に名古屋OJAからおよそ1秒差の2番手を走っていたSaishunkan Sol 熊本がピットインするが、ここでトラブルが発生。ピットレーンでの速度制限を守るためのピットリミッターを作動させるボタンが、予定と異なる場所にアサインされており、黒沢選手は一度減速した後に速度超過をしてしまった。このミスにより、Saishunkan Sol 熊本はピットストップのペナルティを余儀なくされ、大きく後退。

 名古屋OJAは後半スティントも快調に走行して後続との差を広げる。だが、2番手争いは激化。群馬ダイヤモンドペガサス(小山選手)に東京ヴェルディレーシング(木村選手)が追いつき、リアルドライバー同士の激しいポジション争いが展開され、豪快な130Rでの飛び込みを見せた木村選手が2番手のポジションをもぎ取る。これに乗じて遠州ハママツモータースも群馬ダイヤモンドペガサスを捕えて3番手に浮上した。

 終始圧倒的なペースでレースを支配した名古屋OJAが、UNIZONE第2戦のセミ耐久レースを制した。スプリントレース②こそ落としたものの、総合での獲得ポイントもトップとなり、終わってみれば開幕戦同様の好調さをキープし連勝することとなった。

武藤選手が前半スティント、小出選手が後半スティントを担当し、2位以降に20秒以上の差をつけて名古屋OJAが優勝を飾った。
「地元名古屋での優勝は素直にうれしいです。初めてEモータースポーツの大会を観に来たという方もいて、いろんな方にこの世界を知ってもらえる機会があり、その中で活躍できている現状を今後も活かしていきたいです」と武藤選手。「スプリントレース②でのペナルティには納得できていませんが、武藤選手と協力してここまで順調に来ているので、この流れを続けていきたいです」と小出選手。
2つのスプリントレースで良いレースができていない状況の中、最後のセミ耐久レースで躍進。兒島弘訓選手と木村偉織選手のペアが東京ヴェルディレーシングに2位表彰台をもたらした。
「うれしさ7割、くやしさ3割」とレースを総括する瀬田選手。「チームワークが発揮できるよう取り組みました」と感想を述べる田中選手。遠州ハママツモータースが3位を獲得した。

セミ耐久レース結果

順位 ゼッケン ドライバー チーム トータルタイム 周回数 ペナルティタイム タイム差 ポイント
1 758 武藤壮汰選手 名古屋OJA 26:18.232 16 0:00.000 +0:00.000 15pt
小出峻選手
2 11 兒島弘訓選手 東京ヴェルディレーシング 26:39.046 16 0:00.000 +0:20.814 12pt
木村偉織選手
3 802 田中健太選手 遠州ハママツモータース 26:51.741 16 0:00.000 +0:33.509 8pt
瀬田凜選手
4 83 小此木裕貴選手 群馬ダイヤモンドペガサス 26:56.022 16 0:00.000 +0:37.790 5pt
小山美姫選手
5 444 黒沢和真選手 Saishunkan Sol 熊本 27:10.061 16 0:00.000 +0:51.829 0pt
大滝拓也選手

UNIZONE PICKUP Team「遠州ハママツモータース」

 静岡県浜松市のはままつ地ビールレストラン、マイン・シュロスにて開催された遠州ハママツモータースの拠点では、食事や地ビールを堪能しながらの観戦という一風変わったイベントが催された。当日はd.2でステアリングを握った瀬田選手や田中選手を始め、チームに所属する百瀬翔選手や尾田結都選手、また山岸真智チーム代表、チームアンバサダーとして就任した脇阪寿一氏が大会を賑わす。

 この会場にはおよそ80名ほどが遠州ハママツモータースの応援に訪れ、間近で繰り広げられるレースの緊張感を共有したり、レースの合間に行われた選手やアンバサダー陣のトークショーなどを楽しんだようだ。今回はゴールデンウィーク期間の開催であることに関連して、大会直後の5月3~5日に実施される浜松まつりのPRなど、地域振興にも寄与したイベント内容だったと言える。

 2025年6月14日に開催されるUNIZONE e-Motorsport League Rd.3でも、遠州ハママツモータースはマイン・シュロスを拠点とした参戦を予定している。当日は17:30より開場予定で、2時間の飲み放題つき前売りチケットが発売されている。お近くの方はぜひ、地域に根づいた活動を魅せる遠州ハママツモータースの拠点からUNIZONE生観戦に赴いてはいかがだろうか。

参戦拠点となったはままつ地ビールレストランのマイン・シュロスは、本場ドイツの雰囲気を味わいながら、地ビールや料理を楽しむことができる施設となっている。
選手たちがレースで使用するシミュレーター以外に、来場者向けの試乗用シミュレーターも設置され、老若男女を問わずEモータースポーツを気軽に体験することができた。
選手の表情が間近で見られるのもEモータースポーツの魅力のひとつ。子供たちも憧れのまなざしでドライビングを見学。
会場の声援に応え、セミ耐久レースでは3位入賞を果たした。チーム内でエース格の瀬田選手が車両をオーバーテイクするたびに会場は拍手が巻き起こっていたほどだ。
縁の下の力持ちとしてドライバーをサポートした、チーム所属の百瀬翔選手と尾田結都選手。メンバーのレースをしっかり見守っていた。
eSPARKLe KOBEから配信されるレース実況とは別に、会場内で独自に行われた脇阪寿一氏の解説はとても分かりやすく、観客にも好評だった。
レースの合間には公益財団法人 浜松・浜名湖ツーリズムビューローの伊藤典明氏を招いた、「浜松まつり」のPRトークショーも催された。
「マイン・シュロスでの大会開催を根づかせて、浜松をモータースポーツの聖地にしたい」と語る山岸代表。チームメンバーも山岸氏が編成を決め、勝利を目指しながら地域に愛され、長く存続していけるチームを目指したという。

2025 SEASON Standings(チーム順位)

順位 チーム Rd.1 Rd.2 Rd.3 Rd.4 Rd.5 トータル
1 名古屋OJA 54 52       106pt
2 Saishunkan Sol 熊本 28 15       43pt
3 遠州ハママツモータース 18 24       42pt
4 群馬ダイヤモンドペガサス 17 19       36pt
5 東京ヴェルディレーシング 10 17       27pt

2025 SEASON Standings(個人順位)

順位 ドライバー Rd.1 Rd.2 Rd.3 Rd.4 Rd.5 トータル
1 武藤壮汰選手 23 21       44pt
2 小出峻選手 16 16       32pt
3 黒沢和真選手 16 7       23pt
4 瀬田凜選手 10 12       22pt
5 小此木裕貴選手 4 10       14pt
6 浅賀颯太選手 5 4       9pt
7 木村偉織選手 6 1       7pt
7 田中健太選手 3 4       7pt
9 兒島弘訓選手 2 4       6pt
9 荒川麟選手 0 6       6pt
11 佐々木光選手 2 0       2pt
11 大滝拓也選手 0 2       2pt
13 小山美姫選手 0 0       0pt

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、UNIZONE REPORT/岡田衛[Mamoru OKADA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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